新車登録台数は1979年以降の最低に、電気自動車は拡大(オーストリア)

2023年9月26日

オーストリアの自動車市場は2年連続で縮小した。乗用車の新車登録台数は21万5,050台で1979年の水準まで減少した。内燃機関車(ガソリン、ディーゼル)の減少(前年比15.4%減)が特に著しかった。代替動力車も前年比1.9%減と微減したものの、うち電気自動車(EV)は2.4%増でシェアを16%弱に伸ばした。日本メーカーの新車登録台数は前年比6.4%減だった。

オーストリア統計局は2023年1月12日、2022年の乗用車と商用車の新車登録台数を発表した。乗用車は前年比10.3%減の21万5,050台で、21万4,297台だった1979年の水準まで減少した。自動車市場の不振の主な原因として、オーストリア自動車輸入業者連盟のスポークスパーソンであるギュンター・ケアレ氏は、新型コロナウイルス禍の後遺症や、ロシアのウクライナ侵攻の影響などによる配送の阻害、高インフレとそれによる経済停滞のほか、エネルギー価格が高騰する中で政府が2022年秋に二酸化炭素税を導入したことが影響したと述べた。二輪車は前年比2.4%減となった。一方、トラックは、2021年は増税前の駆け込み需要で好調だった(2022年1月28日付ビジネス短信参照)が、2022年は前年比59.7%減と落ち込んだ(表1参照)。

表1:主な部門別新車登録台数とシェア(2022年)(単位:台、%)(△はマイナス値)
種別 台数 シェア 前年比
乗用車 215,050 70.4 △ 10.3
二輪車 43,651 14.3 △ 2.4
トラック 25,200 8.2 △ 59.7
トラクター 7,303 2.4 14.4
トラクター(トレーラ用) 3,232 1.1 10.5
バス 934 0.3 5.3
合計(その他を含む) 305,332 100 △ 17.8

出所:オーストリア統計局

乗用車の新車登録台数をエンジン種別でみると、初めて代替動力車のシェアが内燃機関車を上回った。これは内燃機関車の減少によるもので、ディーセル車は前年比17.4%減の4万8,115台、シェアは前年から1.9ポイント減の22.4%となった。ガソリン車も7万8,567台と14.1%減、シェアは1.6ポイント減の36.5%となった。一方、代替動力車は前年比1.9%減の8万8,368台だったが、シェアは3.5ポイント増の41.1%に拡大した。このうち、ハイブリッド車は4.4%減の5万4,126台となり、シェアは1.5ポイント増の25.1%で、ディーゼル車を上回った。電気自動車(EV)は2.4%増の3万4,165台で、シェアは2.0ポイント増の15.9%となった(表2参照)。

表2:エンジン種別新車(乗用車のみ)登録台数とシェア(2022年)(単位:台、%)(△はマイナス値)
種別 台数 シェア 前年比
ディーゼル 48,115 22.4 △ 17.4
ガソリン 78,567 36.5 △ 14.1
代替動力車 88,368 41.1 △ 1.9
階層レベル2の項目ハイブリッド 54,126 25.1 △ 4.4
階層レベル2の項目電気 34,165 15.9 2.4
階層レベル2の項目天然ガス・ガソリン併用 12 0 △ 25.0
階層レベル2の項目天然ガス 51 0 △ 27.1
階層レベル2の項目燃料電池 14 0 0.0
合計 215,050 100 △ 10.3

出所:オーストリア統計局

VWグループが新車登録台数の4割近くを占める、日本メーカーのシェアは微増

乗用車の新車登録台数をメーカー・ブランド別でみると、フォルクスワーゲン(VW)グループのシェアは、VW14.9%、シュコダ8.7%、アウディ5.7%と、1、2、4位を占め、グループ全体では0.2ポイント増の37.2%だったが、台数は前年比9.8%減の8万台だった。VWグループのほとんどのブランドの登録台数が減少したが、セアトのスポーツカーブランド「クプラ」のみが前年比2.7倍の5,298台で急増した。VWグループ以外の上位20社では、3位のBMWは4.4%増の1万6,316台となったが、5位のメルセデスは8.3%減、6位の現代は7.1%減、7位のフォードは9.2%減など、登録台数が減少したブランドが多くみられた。他方、EVのテスラは、前年比15.1%増の5,410台で15位へと順位を上げた(表3参照)。

表3:メーカー・ブランド別新車登録台数とシェア上位20位(2022年) (単位:台、%、ポイント)(△はマイナス値、-は値なし)
順位 メーカー・ブランド 台数 前年比
(台数)
シェア 前年比
(シェア)
1 VW 31,951 △ 11.2 14.9 △ 0.1
2 シュコダ 18,725 △ 14.1 8.7 △ 0.4
3 BMW 16,316 4.4 7.6 1.1
4 アウディ 12,208 △ 1.7 5.7 0.5
5 メルゼデス・ベンツ 11,515 △ 8.3 5.4 0.2
6 現代 11,094 △ 7.1 5.2 0.2
7 フォード 10,990 △ 9.2 5.1 0.1
8 セアト 10,406 △ 31.3 4.8 △ 1.5
9 トヨタ 9,124 45.0 4.2 1.6
10 起亜 8,712 5.4 4.1 0.7
11 ルノー 7,753 △ 31.0 3.6 △ 1.1
12 ダチア 7,678 15.4 3.6 0.8
13 プジョー 7,023 △ 8.4 3.3 0.1
14 マツダ 5,732 △ 20.1 2.7 △ 0.3
15 テスラ 5,410 15.1 2.5 0.5
16 クプラ 5,298 167.2 2.5 2.1
17 オペル 5,272 △ 37.2 2.5 △ 1.0
18 フィアット 4,626 △ 52.9 2.2 △ 1.9
19 シトロエン 4,018 △ 20.2 1.9 △ 0.2
20 スズキ 3,271 △ 42.3 1.5 △ 0.9
合計(その他を含む) 215,050 △ 10.3 100

出所:オーストリア統計局

日本メーカーの新車登録台数は合計で前年比6.4%減の2万3,573台となったが、シェアは0.4ポイント増の10.9%に拡大した。トヨタ(前年比45.0%増の9,124台)とレクサス(同35.2%増、223台)は大幅に台数が伸びた一方、マツダ(同20.1%減、5,732台)、日産(同19.7%減、1,936台)、三菱自動車(同8.3%減、1,860台)などは減少した(表4参照)。

表4:日本メーカー・ブランド別新車登録台数とシェア(2022年) (単位:台、%、ポイント)(△はマイナス値)
順位 メーカー・ブランド 台数 前年比
(台数)
シェア 前年比
(シェア)
9 トヨタ 9,124 45.0 4.2 1.6
14 マツダ 5,732 △ 20.1 2.7 △ 0.3
20 スズキ 3,271 △ 42.3 1.5 △ 0.9
23 日産 1,936 △ 19.7 0.9 △ 0.1
24 三菱 1,860 △ 8.3 0.9 0.1
28 ホンダ 1,118 8.2 0.5 0.1
33 スバル 309 △ 26.1 0.1 △ 0.1
35 レクサス 223 35.2 0.1 0.0
合計 23,573 △ 6.4 10.9 0.4

出所:オーストリア統計局

モデル別でみると、1位のシュコダの「オクタビア」は新車登録台数が2021年の6,233台から4,506台に大幅に減少した。トヨタの「ヤリス」は前年比2.2倍の4,397台で2位となった。3位はテスラの「Yモデル」(3.8倍、4,356台)で、初めてEVがトップ3にランクインした。2021年に1位だったフィアットの「500」は、2022年には56.5%減の2,818台となり、12位に転落した。モデル上位10位のうち、7つはVWグループだった(表5参照)。

表5:モデル別新車登録台数とシェア上位20位(2022年) (単位:台、%)(△はマイナス値)
順位 モデル 台数 シェア 前年比
1 シュコダ「オクタビア」 4,506 2.1 △ 27.7
2 トヨタ「ヤリス」 4,397 2.0 115.3
3 テスラ「Yモデル」 4,356 2.0 279.8
4 VW 「ゴルフ」 4,145 1.9 △ 13.9
5 ダチア「サンデロ」 4,041 1.9 10.7
6 シュコダ「ファビア」 3,904 1.8 △ 0.3
7 VW「バス」 3,700 1.7 △ 13.6
8 VW 「ティグアン」 3,602 1.7 26.0
9 VW 「ポロ」 3,359 1.6 △ 13.7
10 VW「 ID.4」 3,311 1.5 33.1
11 VW「 T-ロック」 2,819 1.3 △ 35.2
12 フィアット「500」 2,818 1.3 △ 56.5
13 BMW 「X3」 2,668 1.2 △ 3.5
14 クプラ「フォーメンター」 2,600 1.2 85.2
15 ダチア「ダスター」 2,510 1.2 21.2
16 現代「ツーソン」 2,483 1.2 △ 27.1
17 セアト「イビザ」 2,458 1.1 △ 33.0
18 クプラ「ボーン」 2,346 1.1 846.0
19 シュコダ「カロック」 2,297 1.1 △ 21.0
20 VW 「キャディー」 2,237 1.0 △ 4.8

出所:オーストリア統計局

EVの新車登録台数は順調に拡大

エンジン種別でみると、2022年に唯一、新車登録台数を拡大したのはEVだった。前年の3万3,366台から、2022年は2.4%増の3万4,165台と伸び率としては大きくはないが、その他のエンジン種別がすべて大幅に減少したことを勘案すると注目に値する。EVの販売実績好調の背景には、政府のeモビリティ施策に基づく、合計1億6,720万ユーロの2022年の購入補助金の存在がある。個人によるEV購入には最大5,000ユーロ、法人・企業・自治体の場合は、乗用車1台当たり最大2,000ユーロ、ミニバンは最大1万2,500ユーロの補助金が提供された。補助金を加味したとしてもEVは高価なため、2022年のEVの購入者の割合のうち法人等が78.8%と依然圧倒的に多いが、個人購入者の割合は2021年の16.5%から2022年には21.2%へと拡大し、登録台数は31.0%増の7,230台となった。

EVでもVWグループが首位

EVの新車登録台数をメーカー別(グループごと)でみると、VWグループが計約1万2,000台でシェア34.3%と1位になり、2位はテスラの5,410台でシェア15.8%、3位はBMWの3,161台でシェアは9.3%だった(表6参照)。モデル別では、1位のテスラ「Yモデル」は前年比3.8倍の4,356台だった。2位から5位にはVWグループのVW「ID.4」(前年比33.1%増、3,311台)、クプラ「ボーン」(同9.5倍、2,346台)、シュコダ「エンヤック」(同13.8%減、2,000台)、VW「ID.3」(同46.7%減、1,546台)が続く。韓国メーカーは、現代「イオニック5」(同46.5%増、898台)が9位、起亜「EV6」(同2.8倍、803台)が11位などに入ったが、日本メーカーのモデルは上位40位に入っていない(表7参照)。

表6:電気自動車のメーカー・ブランド別新車登録台数とシェア上位10位(2022年)(単位:台、%)(△はマイナス値、-は値なし)
順位 メーカー・ブランド 台数 シェア 前年比
1 テスラ 5,410 15.8 15.1
2 VW 5,391 15.8 △ 8.3
3 BMW 3,161 9.3 60.7
4 クプラ 2,346 6.9 846.0
5 シュコダ 2,000 5.9 △ 14.1
6 アウディ 1,996 5.8 △ 6.0
7 現代 1,680 4.9 △ 4.7
8 起亜 1,519 4.4 11.4
9 ルノー 1,516 4.4 △ 37.4
10 メルセデス 1,482 4.3 18.5
その他 7,664 22.4 △ 17.8

出所:オーストリア統計局

表7:電気自動車のモデル別新車登録台数とシェア上位10位(2022年) (単位:台、%)(△はマイナス値、-は値なし)
順位 モデル 台数 シェア 前年比
1 テスラ「Yモデル」 4,356 12.7 279.8
2 VW「 ID.4」 3,311 9.7 33.1
3 クプラ「ボーン」 2,346 6.9 846.0
4 シュコダ「エンヤック」 2,000 5.9 △ 13.8
5 VW「 ID.3」 1,546 4.5 △ 46.7
6 フォード「マスタング」 1,176 3.4 28.9
7 アウディ「Q4」 1,073 3.1 55.1
8 BMW 「X3」 925 2.7 5.8
9 現代「イオニック5」 898 2.6 46.5
10 テスラ「3モデル」 896 2.6 △ 74.6
その他 15,638 45.8 △ 11.3
合計 34,165 100.0 2.4

出所:オーストリア統計局

EV普及には課題含み

2023年上半期には、前年同期比16.7%増の12万6,690台の新車が登録された。エンジン種別では、ガソリン車は前年同期比0.8%増の4万3,136台(シェア34.0%)、ディーゼル車は4.9%増の2万5,278台(同20.0%)だった。代替動力車が39.6%増の5万8,276台(同46.0%)で、うちEVは61.3%増の2万3,372台だった。新車登録台数の割合は、68.4%が法人・自治体、31.6%が個人で、EVに限るとそれぞれ78.8%、21.2%と、より偏りが大きい。EVの新車登録台数の高い伸び率(注1)にもかかわらず自動車の電動化のペースは遅く、EUの2030年までに全ての新車をゼロエミッション車にする目標に向けて順調とは言えない、と報じられている。前述のケアレ氏(注2)は主な原因を、高騰する電気料金と充電スタンドの料金の不透明さだと指摘する。ケアレ氏によると、充電スタンドの料金は1キロワット/時(kWh)当たり45~95セントで、支払い方法によってはこれに追加料金が課せられる可能性がある。「このような状態は特に個人による購入を遠ざけている」とケアレ氏は語る。「EVの購入は経済的なメリットをもたらさず、それでもEVを買う人は、相当な環境ファンでないと難しいだろう」と指摘する(「デア・スタンダード」紙7月13日付)。2022年末時点にオーストリアで登録されている乗用車515万890台のうち、EVは11万287台と2.1%のシェアに過ぎない。州別でみると、フォアアールベルクにおけるEVのシェアは3.0%で最も高く、ザルツブルクが2.8%、ウィーンが2.5%と続き、1人当たりのGDPが比較的低いブルゲンランドとケルンテンはそれぞれ1.7%、1.4%と最も少ない(表8参照)。

表8:乗用車登録台数(エンジン別、州別)(2022年) (単位:台、%)
州/エンジン種別 ガソリン シェア ディーセル シェア 電気、水素 シェア ハイブリッド シェア 天然ガス シェア 合計
ブルゲンランド 86,360 42.2 109,072 53.3 3,421 1.7 5,570 2.7 140 0.1 204,563
ケルンテン 155,007 41.7 200,820 54.0 5,388 1.4 10,603 2.9 147 0.0 371,965
ニーダーエースタライヒ 496,937 44.2 568,561 50.5 21,674 1.9 37,056 3.3 569 0.1 1,124,797
オーバーエースタライヒ 396,381 40.8 522,970 53.8 21,755 2.2 30,551 3.1 949 0.1 972,606
ザルツブルク 135,074 41.8 164,831 51.0 8,957 2.8 13,892 4.3 440 0.1 323,194
シュタイヤマーク 331,772 42.3 414,070 52.7 14,526 1.9 24,364 3.1 409 0.1 785,141
チロル 172,185 40.8 219,858 52.1 10,214 2.4 18,124 4.3 1,826 0.4 422,207
フォアアールベルク 100,653 45.7 103,604 47.0 6,530 3.0 9,167 4.2 338 0.2 220,292
ウィーン 319,756 44.0 347,494 47.9 17,822 2.5 40,359 5.6 694 0.1 726,125
国全体 2,194,125 42.6 2,651,280 51.5 110,287 2.1 189,686 3.7 5,512 0.1 5,150,890

出所:オーストリア統計局

コンサルタント大手EYのレポートによると、オーストリア人の22%は今後2年以内に自動車を購入する意思を示している。これは、調査対象20カ国の平均の44%を大幅に下回り、高インフレによる購買力の低下が主な原因だと考えられる。購入意思を示したオーストリア人のうちの47%は代替動力車を、そのうち約半数(全体の23%)がEVの購入を検討している。EV購入の主な動機としては燃料の急騰が挙げられ、環境上の配慮は動機の上位5位には入らなかった。購入に対する懸念としては航続距離、高いバッテリー交換コストと充電が挙げられた。2022年から急騰した電気料金も懸念事項となっている。

自動車産業の動向

オーストリア自動車産業連盟によると、自動車産業は製造業のうち金属エンジニアリング産業、電気・電子産業、化学産業に次いで、オーストリアで4番目に大きい業種である。同連盟のメンバー企業は2022年に従業員3万7,600人を雇用し、合計で1,710億ユーロの売り上げをもたらした。そのうち、85%の1,460億ユーロ分は輸出された。2022年の乗用車生産台数は、前年比13.8%減の10万7,500台となった。一方、トラック(同15.8%増、1万3,900台)、オートバイ(同24.1%増、22万2,041台)と自転車(同14.9%増、21万8,343台)の生産はそれぞれ伸びた(表9参照)。

表9:オーストリア道路輸送機器生産台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
項目 2020年 2021年 2022年 前年比
乗用車 109,500 124,700 107,500 △ 13.8
トラック 15,500 12,000 13,900 15.8
トラクター 10,700 12,250 13,000 6.1
トレーラ 19,472 19,662 15,585 △ 20.7
オートバイ 140,252 178,992 222,041 24.1
自転車 186,618 189,958 218,343 14.9

出所:オーストリア自動車産業連盟

オーストリアの自動車産業はドイツとの関係が強い。輸出入とも、最大の貿易相手国になっている。2022年には、道路輸送機器〔標準国際貿易分類(SITC)78〕輸出の31.3%(表10参照)、輸入の39.8%をドイツが占めた。自動車部品(SITC784)については、ドイツのシェアはそれぞれ輸出で51.0%(表11参照)、輸入で47.3%だった。

表10:道路輸送機器の輸出国上位10位(単位:ユーロ、%)(△はマイナス値、-は値なし)
順位 国名 2021年 2022年 シェア 前年比
1 ドイツ 4,955,833,027 5,479,248,281 31.3 10.6
2 米国 1,438,911,447 1,382,232,789 7.9 △ 3.9
3 英国 919,108,777 813,692,338 4.7 △ 11.5
4 チェコ 607,552,786 774,145,815 4.4 27.4
5 中国 585,605,030 758,128,847 4.3 29.5
6 ハンガリー 602,331,280 708,709,096 4.1 17.7
7 韓国 438,534,585 642,905,129 3.7 46.6
8 スロバキア 552,443,114 612,442,140 3.5 10.9
9 イタリア 593,758,736 584,387,686 3.3 △ 1.6
10 ルーマニア 424,635,408 579,328,519 3.3 36.4
合計 16,046,329,440 17,478,487,457 100.0 8.9
EU-27 10,310,354,622 11,554,853,855 66.1 12.1
EU以外 5,735,974,818 5,923,633,602 33.9 3.3

出所:オーストリア統計局

表11:自動車部品の輸出国上位10位 (単位:ユーロ、%)(△はマイナス値、-は値なし)
順位 国名 2021年 2022年 シェア 前年比
1 ドイツ 2,086,287,464 2,251,971,360 51.0 7.9
2 スロバキア 297,726,577 298,187,526 6.8 0.2
3 ハンガリー 242,620,965 254,262,178 5.8 4.8
4 ルーマニア 148,046,723 169,393,687 3.8 14.4
5 イタリア 145,708,845 159,880,017 3.6 9.7
6 米国 119,803,232 157,684,842 3.6 31.6
7 チェコ 141,387,168 152,222,281 3.4 7.7
8 英国 181,460,892 132,299,072 3.0 △ 27.1
9 ポーランド 114,540,050 129,048,113 2.9 12.7
10 スペイン 96,930,879 97,820,107 2.2 0.9
合計 4,123,652,253 4,416,133,354 100.0 7.1
EU-27 3,564,959,847 3,851,082,269 87.2 8.0
EU以外 558,692,406 565,051,085 12.8 1.1

出所:オーストリア統計局

フラウンホーファー研究所は2022年、オーストリア自動車産業連盟からの委託調査において、自動車産業が電動化に向かって大幅に変動する中、オーストリアの自動車産業は、ドイツをはじめとしたグローバル企業への依存度が高く、企業の意思決定や戦略的方向性についても大手自動車メーカーに左右されることが課題であると指摘した。また同調査において、オーストリア自動車関連企業は内燃機関に依存し過ぎており、電動化への変化の準備が不十分だと指摘し、オーストリア企業の競争力を保つために自動車産業転換基金の設立を提案した。

2023年6月には、自動車大手ステランティスが、「自動車市場のEV化への転換によって、内燃機関用のギアボックスの製造には将来性がない」ことを理由に、ウィーンにあるオペルのギアボックス工場を閉鎖すると発表した(2023年7月3日付ビジネス短信参照)。これにより、従業員300人が職を失う。自動車業界にとって、市場の変化がもたらす厳しさについて警鐘を鳴らす出来事と言える。


注1:
2023年上半期、EVの新車登録台数は増加した。しかし、前年にはサプライチェーン問題に起因する納品遅延も発生していた。その反動による増加もあってのことと分析されている。
注2:
ケアレ氏は、連邦産業院(WKO)自動車販売業界団体の副理事長も務める。この発言は、当該団体副理事長としてのもの。
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ジェトロ・ウィーン事務所
エッカート・デアシュミット
ウィーン大学日本学科卒業、1994年11月からジェトロ・ウィーン事務所で調査(オーストリア、スロバキア、スロベニアなど)を担当。