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2020年の新車販売台数は前年比30.2%減(ペルー)

2021年8月27日

2020年のペルーの自動車販売台数は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、前年比大幅減となった。一方で、各メーカーは新たな需要の取り込みやオンライン販売を促進。年末にかけて販売実績は回復していった。また、2020年安全関連規制や電気自動車(EV)普及に向け、法整備が進んだ。

2020年のペルーの自動車市場を概観する。

厳しい経済活動の制限で自動車業界も大打撃

ペルー自動車協会(AAP)公表データによると、2020年のペルーにおける新車販売台数(注1)は、11万8,503台。前年比30.2%減と大幅に減少した。新型コロナの感染拡大で3月に発令された緊急事態宣言により、自動車関連産業で幅広く活動が制限されたことが影響した。影響を受けたのは製造事業に留まらず、販売代理店、部品販売、修理サービスなどに及んだ。四半期別には、第2四半期(4~6月)の減少幅が最も大きかった(6,351台、前年同期比84.5%減)。経済活動再開計画の第2段階が6月以降となり、自動車分野の活動再開が認められたのはそれからだったことが影響した。しかしその後は、経済活動再開に加え、失業者の転職や副業先となった宅配サービスやタクシー業の増加、感染を恐れる人々による公共交通機関(バス・鉄道など)離れといった特需も生じた。その結果、7月以降の販売動向は改善した。また第3四半期(7~9月)以降は、感染対策の一環として各社が導入したオンライン販売サービスの充実などもあり、回復を見せた。第3四半期の新車販売台数は前年同期比18.7%減の3万5,307台。第4四半期(10~12月)も同1.2%減の4万3,912台だ。依然として前年割れとは言え、順調と評価できるだろう。

メーカー別販売実績では、ほぼ全てのメーカーが前年実績を下回った。日本車については、トヨタ自動車が前年比28.5%減の2万1,450台だった。ただし、市場全体に占める販売占有率18.1%で、首位を堅持した。また、その他の日本メーカー8社を合わせた日本車の新車販売占有率は37.3%の4万4,205台だった。国別でトップシェアを誇っている。

2021年は各社ともに、引き続き「新型コロナ感染を恐れるようになって初めてのマイカー購入」という新たな需要を見据えたラインナップを充実。あわせて、国内販売代理店網の拡大や見直しを進めた。AAPは2021年の販売予測を前年比25.0%増としている。もっとも、急進左派政権の誕生で不透明感が増す政治情勢の影響を懸念する声も少なくない。2021年上半期の累計販売台数は7万6,632台で、前年比95.3%増と順調な回復を見せている。ただし、新型コロナ感染拡大前(2019年)の実績にはまだ達していない(2019年同期比では6.4%減)。

安全関連規制の整備も進む

2020年には、安全関連規制に関する動きもあった。まず、中古車輸入条件の厳格化(大統領令第005-2020-MTC号による政令843号の改定)が挙げられる。2020年2月から、輸入中古ガソリン車の車齢を5年以下から2年以下に、走行距離についても各車両区分ごとにそれまでの半分以下とされた。また、輸入許可に新たな条件が設けられた(2020年2月14日付ビジネス短信参照)。例えば、(1)対象車両が輸出元で事故(注2)や被ばくなどの被害を受けていないこと、(2)その他分損および全損宣告を受けるような欠損事故車両でないこと、(3)排ガス規制の現行基準を満たしていることなど、などだ。

さらに、世界製造業者識別コード(WMI)制度の導入(大統領令第014-2020-PRODUCE号)により、2020年7月から全ての車両(自動二輪・三輪車を含む)について、輸入車の場合は製造元、国産車の場合は製造工場の登録を義務付けた。同コードの交付機関には、国立品質研究所(INACAL)が指定された。

エコカー市場は今後の拡大に期待

2020年には環境関連政策でも進展があった。エネルギー鉱山省(MINEM)は、7月に大統領令第022-2020-EM号を発令した。これにより、EVの供給・充電に向けた国内インフラ整備規程が定められた。ペルー政府は2030年までに、国内の普通乗用車やバスなどの交通機関について、電気自動車の割合を5%に引き上げることを目標にしている。本規定も、それに伴う法整備の一環だ。

2020年を通じたペルーでのエコカーの販売台数は、ハイブリッド車(ガソリンとバッテリー)が145台(前年販売実績なし)、LPGハイブリッド車(ガソリンと液化石油ガス) 219台(前年比6.8%減)、EV10台(前年は4台)となっている。2021年上半期(1~6月)は、前年同期の約3倍となる339台で推移。AAPでは、2021年中に全販売台数におけるエコカーの比率が0.63%に達すると予測している。ただし、周辺国と比較して依然、低い割合だ。

メーカー別では、トヨタ自動車が2020年エコカー販売台数の94.9%を占めてほぼ独占状態にある。2021年上半期もシェア73.2%で、依然として市場の牽引役となっている。ただし、アウディやボルボなど欧州メーカーも前年より販売台数を伸ばしており、他社の参入も進んでいる。


注1:
各社の販売代理店がAAPに報告している販売台数。
注2:
ここで言う事故には、横転、正面・側面衝突・追突、車両火災、押しつぶし、解体、水害(洪水、水没または長期浸水)などを含む。
執筆者紹介
ジェトロ・リマ事務所長
設楽 隆裕(しだら たかひろ)
1992年、ジェトロ入構。ジェトロ・マドリード事務所(1997~2001年)、ジェトロ・ブエノスアイレス事務所長(2006~2010年)、ジェトロ大阪本部情報サービス課長および主幹(2013~2017年)などを経て、2018年8月より現職。

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