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2020年の新車登録台数は過去20年間で最低の前年比21.5%減(ベルギー)
電気自動車の市場シェアが急伸、ディーゼル車も底堅く

2021年4月7日

ベルギー自動車工業会(FEBIAC)の発表によると、2020年通年の新車登録台数は前年比21.5%減の43万1,491台。過去20年間で最も少ない台数となった(表1参照)。FEBIACは主な要因として、新型コロナウイルス感染症の拡大により、(1) 2020年春と秋に実施された制限措置により販売店が閉鎖され、販売活動ができなかったこと、(2) 物流に混乱が生じたことで部品の供給が滞り、新車の生産自体が大きく影響を受けたこと、 (3) 経済の不確実性が高まったこと、を指摘している。

一方、2020年の中古車登録台数は前年比6.0%減にとどまった。新車市場と比べると新型コロナ禍に伴う制限措置による影響は限定的だったことになる。これは6~10月の登録台数が前年同期比で増加したためだ。FEBIACはその主な要因として、(1) この時期の経済の先行き不透明感の強まりが消費者心理に影響を与えたことや、(2) 公共交通機関の一時的な代替手段として中古車のニーズが高まったこと、を指摘。加えて、(3) 制限措置の影響で新車の納期が大幅に伸びる中、中古車の納期の短さが購入の決め手になった、と分析した。

販売台数の減少だけではない。移動制限により車の走行距離が大幅に減少したことで、車両のメンテナンスや修理、消耗部品交換の頻度の減少にもつながった。新型コロナ禍は、自動車産業全体に影響を及ぼしたことになる。

表1:過去20年間の新車登録台数の推移(単位:台)
新車登録台数
2000年 51万5,204
2001年 48万8,683
2002年 46万7,569
2003年 45万8,796
2004年 48万4,757
2005年 48万88
2006年 52万6,141
2007年 52万4,795
2008年 53万5,946
2009年 47万6,194
2010年 54万7,347
2011年 57万2,211
2012年 48万6,737
2013年 48万6,065
2014年 48万2,939
2015年 50万1,066
2016年 53万9,516
2017年 54万6,558
2018年 54万9,632
2019年 55万3
2020年 43万1,491

出所:ベルギー自動車工業会

電気自動車の市場シェアが拡大、ディーゼルも増加に転じる

新車登録台数を燃料タイプ別でみると、ハイブリッド車(HV)と純電気自動車(BEV)の市場シェアが拡大。それぞれ約2倍の増加となった(注)。HVの市場シェアは前年の4.7%から10.9%、BEVは前年の1.6%から3.5%への増加だ。HVの中でも、プラグインハイブリット車(PHV)が特に好調という。FEBIACは、その背景として、(1) ベルギー国内でBEV向けの充電インフラの整備が進んでいないこと、(2) 国民1人当たりの1日の走行距離が50キロ以下なこと、を指摘している。

ガソリン車のシェアが減少する一方、ディーゼル自動車の後退は落ち着いた。ディーゼル自動車の市場シェアは前年比1.6ポイント増と微増し、2020年は全体の33.0%を占めた(表2参照)。ディーゼル自動車が市場シェアを拡大したのは、シェアが76.0%だった2010年以降で初めてとなる。FEBIACによると、ディーゼル自動車は、以前から燃費の面で消費者にとって魅力的な選択肢だった。しかし、最新のディーゼルエンジンは、すすだけでなく窒素酸化物(NOx)の排出も大幅に抑えられるようになった。燃費面での利点が二酸化炭素(CO2)の排出量削減にもつながるなど、ディーゼル自動車の有意性が再び重視されるようになった。このため、特に長距離輸送や重量物輸送では、ディーゼル自動車の選択は正当性があり合理的なことになる。そのため、この傾向はしばらく続くとみられるとした。

表2:新車登録台数の燃料タイプ別シェアの推移(単位:%)
燃料別 2019年 2020年
ガソリン 61.6% 51.8%
ディーゼル 31.4% 33.0%
ハイブリッド(HV) 4.7% 10.9%
純電気自動車(BEV) 1.6% 3.5%
その他 0.7% 0.9%

注:発表に基づき作成。合計が100%を超える場合がある。
出所:ベルギー自動車工業会

購入者の属性別では、2020年の新車登録台数の43.7%が個人による購入だ。前年の42.6%から微増した。個人事業主・自営業者による購入は前年から横ばいの2.3%。企業による購入は前年の55.0%から微減の54.0%になった。

購入者のカテゴリーを燃料タイプ別にみると、2020年に企業が購入した新規登録車両の約5台に1台(20.6%)が電気自動車だった。そのうち、HVが15.3%、BEVが5.3%を占めた(表3参照)。一方で、個人で新規に登録された車両の6.8%が電気自動車。内訳はHVが5.6%、BEVが1.2%だった。

表3:2020年燃料タイプ別の購入者の内訳(単位:%)
燃料タイプ 企業 個人 自営業者
2019年 2020年 2019年 2020年 2019年 2020年
ガソリン 47.9% 35.1% 79.1% 72.2% 65.0% 55.5%
ディーゼル 43.8% 43.6% 15.7% 19.9% 26.4% 28.6%
ハイブリッド(HV) 5.3% 15.3% 4.0% 5.6% 6.8% 11.5%
純電気自動車(BEV) 2.3% 5.3% 0.7% 1.2% 2.0% 3.5%
天然ガス 0.7% 0.7% 0.5% 0.6% 0.8% 0.6%
LPG 0% 0.0%(※1) 0.0%(※2) 0.5% 0.1%(※3) 0.5%

注1:発表に基づき作成。合計が100%を超える場合がある。
注2:(※1) 0.03%、(※2) 0.04%、(※3)0.06%。
出所:ベルギー自動車工業会

新車登録台数を車両タイプ別のシェアでみると、最も多かったのが中型スポーツ用多目的車(SUV)で23.1%。2番目が小型セダンで19.2%、3番目に小型SUVで14.3%だった。過去5年間の推移をみると、多目的乗用車(MPV)のシェアは12.5%から5.0%に、セダンは33.4%から27.3%に縮小した。一方で、(小型、中型、大型を合わせた)SUV全体のシェアは25.9%から41.9%に拡大した。

メーカー・ブランド別では、フォルクスワーゲン(VW)が市場全体の9.2%を占め、首位を維持。ただし、前年比24.9%減の3万9,861台となった。前年と同水準の登録台数を維持したBMW(前年比0.7%減)は全体の8.4%を占めて2位。プジョー(シェア7.8%、前年比21.7%減)が続いた(2021年1月14日付ビジネス短信参照)。

地域ごとに異なる環境対応車への優遇策

2020年に国内で販売されたHVは約4万5,000台だ。「ブリュッセルタイムズ」紙 によると、その70.2%がフランダース地域で販売されたという。ブリュッセル首都圏地域(15.0%)、ワロン地域(14.8%)とは大きな開きがあった。

ベルギーでは、環境対応車向けの免税措置などの優遇策は、地域政府の管轄だ。地域間の制度の違いがHVの販売台数に影響を与えたものとみられる。

フランダース地域政府は2020年末まで、走行距離1キロあたりのCO2排出量が50グラム以下のHVについては、自動車税を免除。その後、2021年1月1日からはHVに対する自動車税が再導入された。それでも、国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP)に基づいたCO2排出量の測定方法を新たに採用し、排出量が少ないほど税額の優遇を受けられる制度が導入された。

一方で、ブリュッセル首都圏地域とワロン地域では、BEVについては自動車税で最低税額が一律に適用される。しかしHVについては、ガソリン車などと同様に、エンジンの排気量と馬力に応じて税額が算出される。そのため、フランダース地域に比べて税制面でのメリットが小さかったことが販売台数の差につながったと考えられる。


注:
本稿では、ハイブリッド車(HV)および純電気自動車(BEV)をまとめて電気自動車と呼ぶ。ハイブリッド車(HV)にはプラグインハイブリッド車(PHV)が含まれる。純電気自動車(BEV)は電動モーターだけで走行する車両を指す。
執筆者紹介
ジェトロ・ブリュッセル事務所
大中 登紀子(おおなか ときこ)
2015年よりジェトロ・ブリュッセル事務所に勤務。

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