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多品種少量取引から始まるB2Cの越境EC
韓国におけるジェトロのEC事業の紹介(2)

2021年4月26日

BtoBマッチングサイト、ecplaza、EC21と連携」に続き、本稿では、韓国のEC市場進出におけるジェトロのB2C分野支援事業を紹介する。

ジェトロは、海外の主要ECサイトによる日本商品の買い取り販売を支援するため、2018年からJAPAN MALL事業 を実施している。韓国では2020年度から、Qoo10、オーダープラスの2つのB2Cサイトとの連携を開始した。以下に、両サイトの特徴と成果などを紹介する。

B2C事業ながら、業務用商材も対象に

Qoo10外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、日本でもECサイトを運営する。韓国では、日本製品の越境ECサイトとして有名だ。2010年にシンガポールで設立されて以来、韓国や東南アジア地域の代表的なECサイトとして成長してきた。現在は約500万人の会員を有し、サイト内で1日平均1万件の取引が行われている。

また、オーダープラス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます は、2014年に設立された業務用食材の価格比較・購買のECサイトだ。飲食店関係者が同社のアプリケーションにアクセスし、求める製品の最低価格を検索して注文するシステムだ。特徴は、モバイルアプリケーションだけで注文できること(PCでは使用できない)。この分野において韓国で最大手の1つだ。

ジェトロが両サイトとの連携を決めた理由として、以下の点が挙げられる。まず、Qoo10の場合、越境ECのメリットを十分に生かすことができることだ。正規輸入の場合、通関・検査などで費用・時間がかかる。しかし、個人使用の越境ECだと手続きが簡素化できる。また、Qoo10は日本に物流関連の子会社を持つ。日本企業は同社が日本国内に有する倉庫まで納品すれば良い。すなわち、日本国内の取引だけで輸出でき、簡単に海外市場で販売動向をテストできる。

他方、オーダープラスは、業務用食材を求めている飲食店関係者などをターゲットとするB2Bの要素も持つ。一般的なB2C ECサイトが最終消費者向けであるのとは異なる。JAPAN MALL事業ではこれまで、一般消費材による最終消費者向けのB2Cサイトに限って支援してきた。しかしオーダープラスとの提携は、業務用商材を扱うという点で当該事業初となる。この分野の日本企業に対する新たな支援スキーム構築に成功した意味は大きい。

提携サイトとの個別商談などを支援、事業後のフォローアップも

ジェトロが両サイトとの連携を通じ、日本企業を支援する方法は大きく3つある。

まず、日本企業と両サイトとのビジネス商談のアレンジだ。今回、日本企業とのオンライン商談は、Qoo10と50件、オーダープラスと20件以上を実施した。特に、新型コロナウイルス禍で対面による海外販路開拓に苦戦している日本企業に対し、場所や時間の制約なく、海外のバイヤーと話す場を提供して、好評を得た。

2つ目は、両サイトでのJAPAN MALL事業の特設ページのPR活動を通じた販売促進支援。図1のとおり、ジェトロは、両サイトのトップページにJAPAN MALL事業のバナー、またはポップアップによって広告活動を実施した。そのほか、両サイトの会員にJAPAN MALL事業を紹介するダイレクトメールを送るなど、積極的な広報活動で消費者の流入を誘導した。

図1:JAPAN MALL事業、Qoo10のトップページバナーと、
オーダープラスのポップアップ


Qoo10のウェブサイト
(ジェトロ撮影・加工)

オーダープラスのモバイルサイト
(ジェトロ撮影・加工)

3点目は、事業終了後の成果フィードバックだ。ジェトロはJAPAN MALL事業に参加した日本企業に、事業終了後、定性的・定量的な資料を提供している。資料には、時系列の販売状況や売れ筋製品の分析などが含まれる。当事業に参加した日本企業は、その後の海外市場戦略策定時に参考にすることができる。

多品種少量取引を通じ、市場販売を試行するメリットも

Qoo10での事業は、2020年10月28日から2021年3月19日の約5カ月間実施。日本企業約40社が参加した。日本企業の製品群は、ラーメン類や菓子類、キッチン製品、化粧品などさまざまな分野にまたがっている。越境ECサイト特有の多品種少量の販売形態が確認できた。

日別の売り上げをみると(図2)、事業開始初期は販売商品数が多くなくて伸び悩んだ。しかし、クリスマス前後や旧正月前後やプロモーションの実施期間などに販売が伸びていることが確認できる。

図2:Qoo10のJAPAN MALL事業の日別売り上げ
2020年10月22日から3月19日までの日別売上額の推移です。事業開始初期は販売商品の少なさもあり、伸び悩みましたが、クリスマス前や年始、旧正月の前後などイベント時に大きく伸び、1月12日に最高売上額を記録しました。

注:Qoo10の要請により、売り上げの単位は省略。
出所:Qoo10資料からジェトロ作成

またオーダープラスでの事業は、2020年11月23日から2021年3月19日の約4カ月間実施された。オーダープラスでも日本企業約40社が参加し、業務用のソース類や粉類、麺類などが販売された。

今回、両サイトとの連携を通じてわかったのは、ECビジネスでは最初の取引は多品種少量から始まるケースが多いことだ。バイヤーがリスクをヘッジするのがその理由だろう。なお、多品種少量の販売は、リスクヘッジだけでなく、売れ筋製品の確認や大口の販路拡大をテストするとの意味でもメリットがある。

他方、精密検査が必要な新規製品の場合、検査に1カ月以上を要する。このように、ECでも、販売まで2カ月以上の十分なリードタイムを確保する必要がある点も確認できた。

韓国におけるジェトロのEC事業の紹介

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執筆者紹介
ジェトロ・ソウル事務所
李 海昌(イ ヘチャン)
2000年から、ジェトロ・ソウル事務所勤務。本部中国北アジア課勤務(2006~2008年)を経て、現職。

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