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広東省の統計から見える急速な経済回復(中国)
第1四半期のGRPは、前年同期比6.7%減

2020年5月8日

中国・広東省統計局は4月21日、同省の2020年第1四半期(1~3月)の経済指標を発表した。域内総生産(GRP)は前年同期比6.7%減の2兆2,519億元(約33兆7,785億円、1元=約15円)。うち、一定規模以上企業の工業生産付加価値額(以下、工業生産額、注)が15.1%減、固定資産投資額15.3%減、社会消費品小売総額19.0%減と、軒並みマイナスとなった。 しかし、統計を細かく見ると、社会消費品小売総額を除き、ほとんどの項目で1~3月は1~2月期に比べ減少幅が縮小している。2月を底に、3月は新型コロナウイルス感染の終息傾向により経済活動が急回復したことが分かる(表参照)。

表:広東省の経済指標(△はマイナス値、-は値なし、見出しのかっこ内は単位)

生産
項目 1~2月 1~3月 1~3月期と
1~2月期との差
(ポイント)
金額(億元) 前年同期比(%) 金額(億元) 前年同期比(%)
一定規模以上の工業生産付加価値額 3,287.2 △23.2 6,061.4 △15.1 8.1
生産(品目別)
業種 品目 前年同期比(%) 1~3月期と
1~2月期との差
(ポイント)
2月単月 1~2月 3月単月 1~3月
医薬関連 バイオ薬品 30.8 7.0 11.2 11.3 4.3
医療用衛生材料 70.5 7.9 87.3 44.9 37.0
医薬用補助材料 58.6 18.7 348.0 152.0 133.3
医療診断、治療設備 18.1 11.7 △6.4
リハビリ補助器具 7.6 31.3 23.7
マスク 180.8 616.5 435.7
(うち、医療用マスク) 155.2 841.0 685.8
発酵アルコール 9.0 33.8
生活必需品 2.5 4.7 2.2
冷凍肉 14.4 13.9 △0.5
インスタントラーメン 6.6 6.1 △0.5
乳製品 8.1 8.9 0.8
液体ミルク 23.5 24.4 0.9
ハイテク製品 3Dプリンター関連設備 131.2 114.6 △16.6
ワークステーション 60.7 22.5 △38.2
風力発電ユニット 98.2 158.2 60.0
消費
項目 1~2月 1~3月 1~3月期と
1~2月期との差
(ポイント)
金額(億元) 前年同期比(%) 金額(億元) 前年同期比(%)
社会消費品小売総額 5,636.1 △17.8 8,334.0 △19.0 △1.2
消費(業態別)
業態 前年同期比(%) 1~3月期と
1~2月期との差
(ポイント)
1~2月 1~3月
小売り △15.1 △15.8 △0.7
飲食 △37.8 △43.6 △5.8
消費(品目別)
業種 品目 前年同期比(%) 1~3月期と
1~2月期との差
(ポイント)
1~2月 1~3月
食品 食料、食用油 19.5 21.9 2.4
医薬 薬品 19.3 21.6 2.3
その他 自動車 △37.7 △34.7 3.0
石油系製品 △28.4 △28.7 0.3
投資
業態 前年同期比(%) 1~3月期と
1~2月期との差
(ポイント)
1~2月 1~3月
固定資産投資総額 △21.4 △15.3 6.1
投資(形態別)
業態 前年同期比(%) 1~3月期と
1~2月期との差
(ポイント)
1~2月 1~3月
インフラ投資 △14.8 △11.4 3.4
製造業投資 6.0
不動産投資 7.8
投資(業種別)
業態 前年同期比(%) 1~3月期と
1~2月期との差
(ポイント)
1~2月 1~3月
電気、ガス、水道 24.8 12.2 △12.6
医薬 4.6
航空宇宙 51.5
コンピューター、事務機器 4.6
自動車 12.2
家電 16.0

出所:広東省統計局の発表を基にジェトロ作成

同省統計局は、第1四半期の経済について「新型コロナウイルスの感染拡大は、広東省の経済にかつてない衝撃を与えたが、終息に向かって経済活動が徐々に正常化しつつある。また、ウイルスとの闘いによって、新業態が急速に発展した」と述べた。

力強い生産回復

工業生産額は前年同期比15.1%減だった。しかし、1~2月期と比べ減少幅は8.1ポイント縮小、3月は2月と比べ約2.4倍と大幅に上昇した。とくに、感染拡大防止のための需要の急増により、医薬品の増産が顕著だった。3月にはバイオ薬品、医療用衛生材料、医薬用補助材料はそれぞれ前年同月比で11.2%増、87.3%増、4.5倍と大きく伸びた。医療用マスク(9.4倍)、発酵アルコール(消毒用を含む)(33.8%増)も3月に増産が続いた。このほか、ハイテク製品の3Dプリンター関連設備(2.1倍)、ワークステーション(22.5%増)、風力発電ユニット(2.6倍)なども、1~3月の生産量で高い伸び率を示した。

4月以降の消費支援策の効果に期待

社会消費品小売総額は前年同期比19.0%減で、43.6%減まで落ち込んだ飲食業をはじめ、自動車(34.7%減)、石油関連製品(28.7%減)など、幅広い品目で消費の減少が顕著だった。一方、感染への不安心理による買いだめなどにより、食品や薬品は逆に消費を伸ばしている。

消費を喚起するため、広東省発展改革委員会など10部門は4月15日、農村部住民の消費を刺激するために「広東省農村部における消費促進に関する若干の措置」を発表。12月31日まで農村部で自動車(「汽車下郷」推進策)のほか、4Kテレビ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫、パソコン、携帯電話、炊飯器、給湯器といった8品目の購入に補助金(「家電下郷」推進策)を支給することを決めた(2020年4月28日付ビジネス短信参照)。

深セン市や珠海市、佛山市など広東省の各市政府は各種の消費券を市民へ配付し、省内の消費券発行額は4月単月で総額10億元を超えた(「広州日報」紙、4月20日)。

投資はハイテク産業を中心に増加

固定資産投資は前年同期比15.3%減(減少幅は1~2月期に比べ6.1ポイント縮小)となった。分野別ではインフラ、製造業、不動産への投資の減少幅が1~2月期に比べそれぞれ3.4、6.0、7.8ポイント縮小した。1~3月期の業種別では、医薬(4.6%増)、航空宇宙(51.5%増)、コンピュータ・事務機器(4.6%増)、自動車(12.2%増)、家電(16.0%増)となった。

貿易は改善との見方も

第1四半期(1~3月)の広東省の貿易額は、前年同期比11.8%減の1兆3,700億元となり、1~2月期に比べた減少幅は3.4ポイントだった。これについて、広東省統計局は「貿易は改善している」とコメントした。輸出入の別には、輸出が14.4%減(同3.1ポイント縮小)の7,900億元、輸入が7.8%減(同4.0ポイント縮小)の5,800億元だった。

税関総署広東省分署の統計によると、3月単月の貿易額は5.9%減の5,250億4,000万元で、減少幅が1~2月期比9.1ポイント縮小した。貿易形態別には、第1四半期に全体の50.1%を占める一般貿易が12.1%減の6,859億7,000万元、加工貿易は25.6%減の3,856億元だった。一方、保税物流は5.0%増の2,209億9,000万元、越境ECは4.7%増の130億9,000万元と好調だった (「広州日報」紙、4月22日)。


注:
付加価値ベース、年間売上高2,000万元以上の企業が対象。
執筆者紹介
ジェトロ・広州事務所
盧 真(ロ シン)
2004年、ジェトロ・広州事務所入所。これまでに総務関係、日本企業の中国進出支援、調査、対日投資、イノベーション促進、経済分析などを担当。

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