越境EC普及の理由に迫る(その2)(ブラジル)
マイ・インポートによる輸入手続き方法

2019年10月7日

越境電子商取引(EC)に、新たな動きが起きている。ブラジル人消費者による海外ECサイトの利用者が増え、国内のECサイトでもブラジル国内に在庫を持たない出展企業が増えてきた。ブラジルにおいて越境ECの普及に大きく寄与したのが、ブラジル郵便における国際郵便小包の輸入手続き電子・簡素化による利便性向上である。本稿では、2017年10月27日からウェブサイト上で輸入に関するすべての操作が可能となった「ミーニャス・インポルタソンイス(マイ・インポート)」と呼ばれる新簡易輸入システムとその具体的な使い方を紹介する。

「マイ・インポート」による輸入方法

1.「マイ・インポート」登録・ログインと輸送状況確認

国外からの荷物を受け取る場合はブラジル郵便局ウェブサイトにアクセスして、以下の「マイ・インポート」ロゴをクリック。利用者名パスワードを登録の上、追跡番号(例:XX123456789CC)を入力して、運送状況を確認する。

「マイ・インポート」未登録の場合でも、ブラジル郵便ウェブサイトでCPF(納税者番号)/CNPJ(連邦税納税者番号)と追跡番号で、運送状況が確認できる。同様の携帯アプリも多く出回っている。

2.非課税になった場合の支払い

非課税の荷物の場合、支払い待ち(Aguardando pagamento)という表示が出て、配送料15レアル(約390円、1レアル=約26円)の支払い方法はクレジットカードあるいは「ボレト」と呼ばれるブラジル銀行連盟(FEBRABAN)が規定する請求書を選ぶ。料金を払わず、受け取り拒否(Recusa de encomenda)を選択することもできる。支払いは通知到着後、30日以内に行わなければならない。

3.課税になった場合の支払い

課税対象となった荷物は、税関監査終了(Fiscalizacao aduaneira finalizada)の表示がされる。この場合も、マイ・インポートで支払いが可能だ。受け取り拒否もできる。次の画像は課税が発生した場合の画面だ。

次はマイ・インポート追跡コード調査で課税が発生した場合の画面。

次の画像は課税支払いを求めるページ。支払いは通知到着後30日以内。

次は課税分の税金の支払い方法で、クレジッカードまたはボレトでの支払いが可能。

非課税になるケースも多い

多様な決済手段を提供するフィンテック・スタートアップ企業のEbanxsによると、アリ・エクスプレス、イーベイ(Ebay)、ウィッシュ(Wish)など、海外ECからの注文は15~20日ほどでブラジルに到着する。その後、税関審査から自宅到着までは、さらに20~60日を要するとしている。

ブラジルでは、郵便貨物の輸入関税は、商品価格、輸送費、保険料のいわゆるCIF価格の合計額に対して、一律60%が課せられるのが原則だ。だた、郵便貨物の場合、税関ではなく国際郵便集配センター(CEINT)が課税業務を行うため、CIF価格ではなく、配送料の15レアルのみに60%の関税が課税されるケースもあるという。また、50米ドル未満でかつ個人から個人に送付する商品の場合は非課税扱いになるケースもあるなど、運用がケースバイケースで異なるといったコメントが、当地ソーシャルネット外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます に寄せられている。

筆者が当地で爆発的な人気を誇るECサイト、メルカド・リブリで、中国から発送する59レアル(約1,534円、1レアル=約26円)の中国製携帯リュックを購入したところ、同サイトは追跡番号とブラジル郵便への商品到着を案内した。その後は、ブラジル郵便の「マイ・インポート」で輸入手続きを行い、クレジットガードで15レアルの配送料を支払ったところ、問題なく自宅に到着した。 ブラジルでは、中古品輸入は原則禁止となっているが、実際には中古品を中心に販売するEbeyでの購入者も多いようだ。

越境EC普及の理由に迫る(ブラジル)

  1. 郵便輸入手続きの電子・簡素化が寄与
  2. マイ・インポートによる輸入手続き方法
執筆者紹介
ジェトロ・サンパウロ事務所長
大久保 敦(おおくぼ あつし)
1987年、ジェトロ入構。ジェトロ・サンパウロ事務所調査担当(1994~1998年)、ジェトロ・サンティアゴ事務所長(2002~2008年)等を経て、2015年10月より現職。同年10月からブラジル日本商工会議所理事・企画戦略委員長、2017年1月から同副会頭。