農林水産物・食品の輸出支援ポータル

健康的な食品、人道的な農業、持続可能な土地利用のためのキャンペーンを行う「ソイル・アソシエーション」を母体に持ち、英国のオーガニック認証で中心的役割を担う「ソイル・アソシエーション・サーティフィケーション」。食品・飲料、化粧品、衣料品といった商品に対する認証や、飲食業や林業、農業の事業者に対するオーガニック認証を行っている。また、オーガニック関連事業者のサポート、消費者の理解促進を図る活動のほか、母体のソイル・アソシエーションでは環境保護キャンペーンを行うなど、さまざまな側面からオーガニック推進に取り組んでいる。ソイル・アソシエーション・サーティフィケーションで貿易関連を担当するリー・ホールドストックさんに話を伺った(インタビューはオーガニック食品総合商社クリアスプリング社で行われた)。

――ソイル・アソシエーションの成り立ちは?

ソイル・アソシエーションの歴史は1946年まで遡ります。農業の産業化で農薬や化成肥料といった化学物質が大量に使われはじめ、それを危惧した人々が集まって設立しました。土壌の質、その土壌で育つ植物の質、それを食べる人や動物の健康、この3つには重要な関係性があるという確信が基盤にあったのです。同様の考えを持つ小さな団体が合併していって、最終的に現在の形に至ります。共通の認識としての基準が必要となり、1973年に認証制度を作りました。1991年にはEUにおけるオーガニック食品および農業の基準づくりにも協力しています。一般会員(有料)の数は消費者1万2000人、事業者2500団体、多くの賛同者に支えられています。

――どのようにしてオーガニックに対する一般の人々からの理解を得たのでしょうか?

食の不安を煽りたくはありませんが、BSE(狂牛病)のように生産過程の歪みによる問題が起こったことで食への安全に対する人々の意識が高まり、オーガニック食品に注目が集まるようになりました。事実、(BSEが問題となった)1990年代には小売店においてオーガニック食品の取り扱いが増加しました。しかし、今もオーガニック食品に対する世間の認知度はまだまだです。売上げの多くは限られた消費者層に支えられていることも統計調査でわかっています。この核となる層を広げていくことが私たちの課題です。例えば、理解への第一歩として、オーガニックを「低農薬」「人工着色料・保存料の不使用」「(家畜などの)放し飼い」「抗生物質に依存しない」「遺伝子組み換え不使用」という5つの馴染みやすい言葉でまとめたキャンペーンがあります。厳密に言えば、これらはオーガニックを意味するものではありませんが、私達が食べるものやオーガニックの良さについて、さらに深い部分を理解するための入り口になるのではないかと思います。

――日本から輸入される食品について。

数は多くないものの、日本からの輸入食品の認証も行っています。オーガニックの認証条件には世界である程度の共通認識がありますが、細かい点では国ごとに異なります。例えば、私たちの認証は動物福祉の点などでEUの基準よりも厳しく設定されています。
英国のオーガニック食品市場における日本産食品の可能性は各分野で考えられると思いますが、例えば、使い勝手の良い便利なオーガニック食品はどうでしょう。オーガニック先進国である米国に比べると、英国は商品のバラエティがやや少ないのが現状です。オーガニックのスナック菓子などいいかもしれません。また、商品や原材料の背後に消費者を惹きつけるストーリーがあれば、可能性が広がるのではないでしょうか。

――今後のオーガニックマーケットはどうなると思いますか。

オーガニック市場が大きくなると商品の流れが複雑化し、弊害も懸念されます。オーガニック認証団体の乱立は統一性の維持を難しくしますし、わずかではありますがオーガニックを偽る詐欺も既に発生しています。オーガニックが嘘偽りなく維持されるための対策として、例えば、生産者情報のデジタル化を進めて、購入時にモバイル機器で簡単に作り手の情報を得られるようにするなど、テクノロジーの開発が進むことが考えられます。

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