農林水産物・食品の輸出支援ポータル

1. 英国におけるオーガニック商品の売上げ推移(2003〜2017年)

英国のオーガニック商品の売上げは2008年をピークにいったん落ち込んだが、2011年以降、6年連続で成長を続け、2017年には22億ポンドと過去最高の売上げを記録した。英国の欧州連合離脱問題に伴う先行きの不透明さにも関わらず、成長率は前年比6%増と堅実。特に非食品分野での成長が著しく、オーガニック繊維は25%、ビューティー・健康関連製品は24%の伸びをみせた。ソイル・アソシエーションのブラウニング理事長によると、英政府は今後オーガニック農業支援に本腰を入れる方針だという。

2. 英国におけるオーガニック市場の流通経路別売上げと構成比および前年比(2017年)

オーガニック市場を流通別に見ると、スーパーマーケットでの売上げが15億ポンドで、全体の67%を占めている。しかし、成長率はスーパーマーケットが4.2%であるのに対し、独立系小売事業者や宅配事業者、フードサービスでは1年間でそれぞれ10%近く伸びている。ソイル・アソシエーションの報告書によれば、インターネットでもオーガニック商品を注文する人が増えているという。また、大手メーカーがオーガニックブランドの開発に力を入れていたり、一方で、革新的な製品が独立系小売店で販売を伸ばし、大手小売店に販路を広げたりといった傾向も注目されている。

3. 英国におけるオーガニック食品市場の商品カテゴリー別構成比(2017年)および前年比

オーガニック食品を商品カテゴリー別に見ると、トップが乳製品で全体の約3割を占め、青果がこれに次ぐ24%。成長率では、チルド食品と総菜が前年比21.3%と著しい伸びを示している。成長率でこれに続くのが8.2%増のアルコール類(ビール、ワイン、スピリッツ)、6.7%増の冷凍食品。英国の食品業界では全体的に調理済み食品の売り上げが好調で、それに合わせてオーガニックの調理済み食品も堅調に伸びていることが読み取れる。一方、売上げが落ちているのは乳幼児食とパン類。

4. 主な国のオーガニック占有率および各国の売上げと成長率(2016〜2017年)

オーガニック市場は世界中で成長傾向にある。フランスでの売上げは年率22%の伸びを示し、アメリカ、ドイツも年率10%近い成長をみせた。特筆すべきは国内におけるオーガニック市場が全体の約10%に達しているデンマーク。同国では政府のサポートにより、小売事業者が幅広いオーガニック商品を手頃な価格で販売する。例えば、ドイツ系格安スーパーマーケットチェーンのリドルでは、デンマークの店舗で2018年までにオーガニック商品の種類を50%増強する計画がある。

5. オーガニックを選ぶ理由 トップ10

人々がオーガニック商品を選択する理由は、それがもたらす恩恵に大きな価値を見出していることが考えられる。その重要な恩恵のひとつが健康。今や、「オーガニック」は「健康」と同義に扱われることもあり、2014年の調査によると、オーガニックを選ぶ理由として「農薬や化学物質が少ない」を挙げた人が全体の37%、「自然で加工されていない」が34%、「自分と家族の健康によい」が33%で、「自然と環境によい(29%)」や「味がよい(24%)」を上回った。「(英国では原則的に栽培できない)遺伝子組み換え作物が入っていない」も21%の人がオーガニック選択の理由として挙げている。

1. 農薬や化学物質が少ない 37%
2. 自然で加工されていない 34%
3. 自分(および家族)の健康に良い 33%
4. 自然と環境に良い 29%
5. 味が良い 24%
6. 動物福祉に良い 21%
7. 遺伝子組換え作物が入っていない 21%
8. 食の安全 20%
9. より倫理的 19%
10. その他 20%