外国企業の会社設立手続き・必要書類

最終更新日:2023年11月01日

外国企業の会社設立手続き・必要書類

ニュージーランドの主要な企業形態は有限責任会社、自営、パートナーシップに大別される。

外国企業のビジネス形態は、現地法人、支店、パートナーシップ、ジョイントベンチャー、個人事業主(Sole Trader)、信託(Trust)の6つに大別される。

法人

会社設立にあたっては、企業・技術革新・雇用省の会社登記局(Companies Office)に申請する。

当該ウェブページから、次の情報を入手できる。

  1. 会社設立にかかわる事前準備(Before you start a company
  2. 会社設立(Starting a company
  3. 会社詳細情報の更新(Keeping company details up to date
  4. 株式保有(Shares and shareholders
  5. 会社役員(Company directors
  6. 年次申告(Filing annual returns
  7. 関係法令(Complying with the law
  8. 財務報告(Financial reporting
  9. 外資企業の経営管理(Managing an overseas company in New Zealand
  10. 会社解散(Closing a company
  11. 会社再建(Restoring a company to the register
  12. 会社清算(When your company fails
  13. オンラインアカウントの管理(Managing your online account
  14. 会社登録のサポート(Getting support to use the Companies Register

会社設立

会社設立の流れは次のとおりで、インターネットでのみ申請する。なお、会社登録が完了すると、ニュージーランドビジネス番号(NZBN)が自動的に発行される。

  1. 申請者は、設立予定の会社名の使用の可否を会社登記局に照会。
    使用可能な場合は会社名を留保(Name Reservation)。
  2. 会社登記局から、留保した名前が登録可能である旨の確認がある。確認後、会社設立を会社登記局に申請。
    20日以内(週末、祝祭日除く)に会社登録ができない場合、申請、追加費用を支払うことにより、20日間の延長が可能。
  3. 次の情報を会社登記局にオンラインで提出。
    1. 会社の住所
      1. 登録住所(Registered office
      2. 事業住所(Address for service
      3. 連絡先(Address for communication
    2. 株主情報
      1. 株主の氏名ならびに住所
      2. 発行株式数
      3. 株主ごとの保有株式数
    3. 取締役
      取締役には、最低1人のニュージーランド在住者、もしくはオーストラリア在住者で同国会社の取締役を兼任する者が必要。なお、以下の情報のほか、追加の情報を会社登記局から求められることがある。
      1. 取締役の氏名(法律上の氏名)
      2. 取締役の誕生日ならびに出生地
      3. 居住住所
      4. 任命日

      なお、次のいずれかに該当する者は、取締役に就任することができない。

      1. 18歳未満の者
      2. 未債務免除の倒産者
      3. 法的に取締役の任に着くのが不適切と認められた者 等
    4. 定款
      1. 定款の制定は任意。
      2. 定款を制定する場合、英語での提出が必要。
    5. 納税者番号の取得、物品・サービス税納税者番号(Goods and Services Tax number)の登録。非居住者に関してはIRDナンバー、ならびにGST納税者登録は別に申請する必要がある。
      1. 会社登録時に、必要な情報を入力することにより、納税者番号の申請も同時に行うことが可能。
      2. 年間売上額が6万NZドル以上と予想される場合は、併せて物品・サービス税納税者番号も登録する。
      3. 税務署へのIRDナンバーならびにGST納税者登録の申請は無料。

        GSTに関しては「税制」を参照。
        歳入庁(IRD):GST納税者登録(Registering for GST外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  4. 払込・授権資本金の制限はない。
  5. 登録完了、登録料金支払後 、会社役員・株主の承諾・認可(Consent and Certificate of Director or Directors of Proposed Company、Consent of Shareholder or Shareholders of Proposed Company)がメールで通知される。
    同意書に署名し、オンラインでアップロード、もしくはファックスで返送する。
  6. 会社登記局は、申請が適正に行われたことを確認し、登記証明書を発行。
    変更がある場合、会社登記局への変更登録が必要となる。

支店の登録

ニュージーランド国外にて設立された企業が、ニュージーランドにて事業を行う場合、ニュージーランドの会社登記局(Companies Office)へ登録が必要となる。
支店の登録で会社登記局に申告する事項は次のとおり。

  1. 会社名(設立国における会社名と完全に一致する必要がある)を留保する(事前に政府系オンラインサービス用の「Realme」アカウント登録、および10NZドル+GSTの会社名留保費用が必要)。
  2. 連絡先:ニュージーランド国内における住所、法的文書を受け取る個人名
  3. ニュージーランドでの事業活動開始日(開始日から10日以内に登録を行わなければならない)
  4. ニュージーランドでの年次税務申告を行う月(12月および1月以外から選択可)
  5. 決算日(ニュージーランドで新規登録する企業の決算日は海外企業本体と同一でなければならない)、および監査を受けた財務報告書(海外大型企業のみ)
  6. 設立国における会社登記証書またはそれに準ずる証明書
  7. 現職取締役全員の氏名、居住住所、メールアドレスと電話番号
  8. 申請者である海外企業の定款(承認された原文の写しおよび英語訳)と定款書類

会社登録の更新

毎年、会社登記局へ会社登録更新(Annual Return)を申請し、会社や年次総会詳細についての更新概略を報告する必要がある。

登記所への財務報告義務

登録している会計年度の終了後、一定の基準を満たす会社は財務報告の義務がある。
報告や提出義務の必要性などについては、専門家のアドバイスを求めるのがよい。また、特定の業種(例:金融サービス業)では、異なる基準が適用される場合もある。

財務報告の詳細

法人形態 財務報告義務 会計監査の義務 登記局への監査済み
財務報告書の提出義務
1. 海外大型企業 *1 あり。 あり。 あり。
決算日から5カ月以内に財務報告書を提出する義務あり。
2. 海外大型企業の子会社 *1 あり。 あり。 あり。
決算日から5カ月以内に財務報告書を提出する義務あり。
3. 海外企業の子会社ではないが外資の比率が25%以上の「大型企業」 *2 あり。 あり。 あり。
決算日から5カ月以内に財務報告書を提出する義務あり。
4. Financial Markets Conduct(FMC)報告制度対象企業(主に金融関連企業、規模に関わらず) あり。 あり。 あり。
決算日から4カ月以内に財務報告書を提出する義務あり。
5. 1.~4.以外の企業 なし。 なし。 なし。

*1:2会計年度連続で、当該ニュージーランド子会社およびそれ自身の子会社すべてを含む総売上高が1,100万NZドル超、または総資産が2,200万NZドル超の場合。

*2:外資が議決権を有する株式の25%以上を保有する企業で、2会計年度連続でそれ自身の子会社すべてを含む総売上高が2,200万NZドル超、もしくは総資産が6,600万NZドル超の場合。

また、「外資」とは次のいずれかに該当する株主も含む。

  • 海外企業の子会社
  • ニュージーランドの通常居住者でない個人

外国企業の会社清算手続き・必要書類

1993年会社法318条1項に基づき、会社の解散方法には、会社の正式な清算、会社登録簿からの任意削除、登記年次を更新せずに抹消の3通りがある。

会社等の解散手続き

  1. 会社の正式な清算
    会社を正式に清算する場合、もしその会社が債務超過状態で負債を支払うことができなければ、銀行などの第三者により清算人が指名される(会社法第16部(Part 16))。
    清算に要する期間は会社の規模や状況によりさまざまだが、2カ月から1年以上かかる場合もある。
  2. 会社登録簿からの任意削除
    株主もしくは取締役会から、営業活動を停止すること、ならびに、すべての負債を債権者へ支払ったことを通知することにより、削除の申請ができる。
    この申請には、税金未納分がないこと、つまり、歳入庁(IRD)が「ニュージーランドの会社登録から外れることへの反対理由がないこと」を記した書類を添付。

    具体的な流れは次のとおり。

    1. IRDによる承認。
    2. 取締役(1人の場合)からの書面、もしくは全員一致の取締会の議事録を添付し、会社登記局に申請。
    3. 官報(NZ Gazette)に公示(第三者からの異議がないことを確認)。
    4. 約3カ月後に登記から削除される。

    ※外国の会社のニュージーランド支店の登録削除
    ニュージーランドでの営業活動の停止の通知を、官報ならびに所在地域の主要新聞の最低1紙に公示することにより、可能。

  3. 登記年次を更新しないことによる抹消
    会社登記局への年次登録(Annual Return)を更新しないことにより、その会社は最終的に登記簿から削除される。
    その場合、会社登記局はPersonal Property Securities Act 1999に基づき、担保物件登録簿に登録されている担保付債権者に対して通知する。

会社登録の復元

  1. 抹消からの復元
    ニュージーランドで事業を継続しているにもかかわらず、何らかの理由で登録が抹消された場合には、会社登記局への事務手続きにより、復元が可能。
    その場合は、年次更新届、2013年財務報告法に基づく決算書、その他必要な書類の提出が必要。また、必要な更新費用や延滞料の支払いも必要。
  2. 海外の会社のニュージーランド支店の登録復元
    海外の会社が支店の登録をいったん取り下げた場合は、会社登記局に再申請する必要がある。親会社自体が消滅したわけでなくてもニュージーランドでの事業は停止していたことになるため。

合併

1993年会社法にて、企業結合が認められている。合併は2社以上の企業が結合し、既存の一企業として継続するか、新規会社として継続することができる。

その他

特になし。