税制

最終更新日:2024年01月11日

法人税

法人税率は25%(非上場企業の場合)。

法人税

非上場企業の法人税率は25%で、金融機関の場合は30%。2023年7月にそれまでの法人税率20%(金融機関は25%)から引き上げられた(2023年7月15日付官報32249号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、トルコ語)。

製造業および輸出産業を支援するため、製造所得は1%、輸出所得については5%の減税が認められる(製造所得の法人税率は24%、輸出所得の法人税率は20%となる。製造と輸出を同時に行う場合の法人税率は20%)。
上場企業の場合の法人税率は23%であり、製造所得は22%、輸出所得は18%の法人税率が適用される。

トルコに主たる事業所が所在する会社は、全世界における所得が課税対象となる。なお、海外に本店がある会社がトルコ国内に支店等を置く場合は、トルコ国内源泉所得のみが課税対象となる。
詳細は、2023年7月20日付ジェトロの記事「トルコ国会が法人税率引き上げを可決」を参照。

長期にわたる高インフレの影響より、2023年度末(特別会計年度を採用する納税者は、2024年中の特別会計年度の終了時点)よりインフレ調整が求められた。インフレ調整は原則として非貨幣性資産に補正係数を加味する形で実施され、税金納付額に影響を与える場合がある。詳細は会計事務所などの専門家に確認することが必要である。

源泉税

取引内容に応じて10~30%の源泉税が課される。

主な源泉税対象取引 税率
配当金 10%
専門家報酬 20%
居住者が受け取る有価証券利息 0%
非居住者が受け取る有価証券利息 0%
銀行預金利息 外貨建て:25%
2023年6月28日付官報32235号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(1220KB)、トルコ語)
    トルコ・リラ建て
  1. 預入期間0~6カ月未満 15%(5%*)
  2. 同6~12カ月未満 12%(3%*)
  3. 同1年以上 10%(0%*)
  4. 同1年以上のインフレ連動預金 0%
  5. 外貨預金からトルコ・リラに変換された預金口座 0%
  6. 金預金からトルコ・リラに変換された預金口座 0%

2023年12月28日付官報32413号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(721KB)、トルコ語)
*2024年4月30日までは、括弧内の優遇レートが適用される。

レポ取引 外貨建て 20%
トルコ・リラ建て 15%(5%*)
*2023年6月30日までは、括弧内の優遇レートが適用される。

移転価格税制

OECDモデルを基礎として、2007年1月から施行されている。なお、マスターファイル、国別報告書(Country-by-Country Reporting:CbCR)といった移転価格文書に関する最新の取り扱いは、現地会計事務所等へ確認のこと。

過少資本税制

2006年7月施行。過少資本税制とは、内国法人が海外関連会社等から資金提供を受ける場合において、資本出資に代えて過大な借入れを行うことによる内国法人の租税回避を防止するための制度であり、負債資本比率は日本の同制度と同様に3:1(当事者が金融機関等である場合は6:1)とされている。

タックス・ヘイブン対策税制(CFC)

2006年1月施行。トルコ内国法人が特定外国法人に投資を行う際、当該外国会社に課せられる現地での法人税の実行税率が10%未満であるなど一定の条件を満たす場合、当該外国会社の所得のうちトルコ内国法人の持ち分相当額に対しては、トルコの法人税を課すタックス・ヘイブン対策税制(CFC)が適用される。

国庫・財務省(Ministry of Treasury and Finance)歳入局(Revenue Administration外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

二国間租税条約

2024年1月時点で、トルコは日本を含む約98カ国と二重課税防止条約を締結している。

ジェトロ:二国間重課税防止条約締結国一覧PDFファイル(104KB)

日本とトルコとの租税協定は1993年に署名され、1994年12月に発効した。

日土租税協定で定められた主な源泉税対象取引と適用税率
日土租税協定に定められる主な源泉税対象取引 税率
金融機関が受け取る利子 10%
金融機関以外が受け取る利子 15%
配当金(株式所有率25%以上) 10%
配当金(株式所有率25%未満) 15%
使用料 10%

日本・外務省:
トルコとの租税(所得)協定(その1)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(922KB)
トルコとの租税(所得)協定(その2)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.06MB)

国庫・財務省(Ministry of Treasury and Finance外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)歳入局(Revenue Administration外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

その他税制

所得税、付加価値税、特別消費税等。

個人所得税

累進課税制度が採用されているトルコの個人所得税の税率は、15%から40%の4段階に区分されている。

課税される所得金額 税率
11万トルコ・リラ以下 15%
11万超~23万トルコ・リラ以下 20%
23万超~58万トルコ・リラ以下 27%
58万超~300万トルコ・リラ以下 35%
300万トルコ・リラ超 40%

2023年12月30日付官報32415号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(126KB)(トルコ語)

2024年1月1日より、最低賃金は1万7,002トルコ・リラに引き上げられた。政府は、最低賃金に対する所得税や印紙税の源泉徴収を免除すると発表した。当該免除規定は、最低賃金より多くの賃金を得る個人にも適用される。

出張手当

雇用主から支払われる出張手当は所得税法第24条の1および2を前提とし、所得税が免除される。また、雇用主は当該出張手当を法人税の計算上損金に算入可能である。2024年度のトルコ国内出張において非課税で支払うことのできる出張手当は最大480トルコ・リラ/日であり、海外出張の場合には訪問国によりその上限金額が異なる(2023年12月31日付官報32416号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(9.8MB)、トルコ語)。

付加価値税(VAT)

トルコの付加価値税は、取引対象となる物品やサービスに応じ、次の税率が適用される。

主な付加価値税対象取引 税率
標準税率 20%
繊維製品、書籍、文具製品、宿泊施設・サービス、農具・車両、家具、医薬品原料、歯ブラシ、歯磨き粉、歯科用糸等 10%
農産物、食品、製造用機械、フォークリフト、蒸気タービンまたは水力タービン、新聞、雑誌等 1%
輸出取引等 免税

2023年7月10日より標準税率が引き上げられ、税率8%のカテゴリーの製品が10%、同18%の製品が20%となった(2023年7月7日付官報32241号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(137KB))。
課税対象取引別の付加価値税率の詳細は、歳入局ウェブサイト“KDV Oranları Listesi外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます”を参照。

特別消費税(SCT)

特別消費税(SCT)の課税対象品目は、次のような品目グループごとに税率が規定されている。

  • 石油製品、天然ガス、その他の潤滑油、溶剤
  • 自動車、二輪車、飛行機、ヘリコプター、ヨット
  • たばこおよびたばこ製品、アルコール飲料
  • 奢侈品

歳入局:最新の特別消費税率の情報 "Özel Tüketim Vergisi Tutarları Ve Oranları外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"(トルコ語)

銀行・保険取引税(BITT)

0.1~10%(ただし、VATは非課税。消費者ローンの場合、2022年6月11日より10%)
なお、2020年9月30日官報31260によると、外貨および金の購入取引については0.2%のBITTが課税される。

印紙税

印紙税は契約文書等に対して課せられ、課税対象の種類によって、0.189~0.948%の税率あるいは固定額が課せられる。なお、2024年1月時点における印紙税の限度税額は、1,700万6,516.30トルコ・リラとされている。

主な印紙税対象取引 税率/税額
契約書 0.948%
賃貸借契約書 0.189%
給与 0.759%
原産地証明 160.30トルコ・リラ

2023年12月30日付官報32415号、Stamp Tax Code General Communique No. 65PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(257KB)(トルコ語)

自動車税

ジェトロ:自動車購入における課税‐付加価値税(VAT)、特別消費税(SCT)PDFファイル(118KB)
ジェトロ:自動車購入における課税‐自動車税(MVT)PDFファイル(123KB)

富裕税

相続税は1%から最大で10%、贈与税は10%から最大で30%の範囲内で課税される(2023年12月30日付官報32415号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(110KB)、トルコ語)。

固定資産税

固定資産税は、課税対象となる固定資産が、イスタンブール、アンカラ、イズミルをはじめとする約30の首都圏地方自治体(Metropolitan Municipality)の中にあるか外にあるかによって、次のように税率が異なる。

資産 Metropolitan Municipality Metropolitan Municipality
居住用建物 0.2% 0.1%
非居住用建物 0.4% 0.2%
用地 0.6% 0.3%
土地 0.2% 0.1%

RUSF(Resource Utilization Support Fund

RUSF(トルコ語ではKKDF)は、トルコの居住者が銀行から資金を借入れる際、あるいは、商品を現金前払い決済以外の方法で輸入する際に、所定のレートにより計算された金額が課税されるトルコ独自の制度。
RUSFの税額を算出する場合、借入取引については借入れ資金の元本および利息を合わせた金額(トルコ・リラ建て借入取引については利息のみ)を、輸入取引についてはインボイス価格を基準にする。

対象取引 適用レート
1. トルコ国内の銀行および金融機関等からの借入 消費者ローン(個人が行う商業目的以外の借入) 15%
その他の借入 0%
2. トルコ国内の銀行および金融機関等が行う国外からの借入 0%
3. 銀行および金融機関等以外のトルコ居住者が行う国外からのトルコ・リラ建て借入 ・平均償還期間が1年未満の借入れ 1%
・平均償還期間が1年以上の借入れ 0%
4. 銀行および金融機関等以外のトルコ居住者が行う国外からの外貨建て借入および金融資(信託取引を除く) ・平均償還期間が1年未満の借入 3%
・平均償還期間が1年以上2年未満の借入 1%
・平均償還期間が2年以上3年未満の借入 0.5%
・平均償還期間が3年以上の借入 0%
5. 商品等輸入に係る信用取引、後日払信用状取引等 6%

輸入取引において、現金前払い、信用状(引受信用状、後日払信用状等を除く)、現金引換え書類渡し決済等を用い税関申告書日以前に決済した場合は、原則としてRUSFは課税されない。輸入通関の際、RUSFの課税対象外であることを証明するため、外国為替売渡書、トルコ・リラ送金書、銀行から発行される支払証明書等により、取引に応じ決済処理を前払いにより実施したことを証明する必要がある。

なお、2015年4月10日、政府は一部品目に対するRUSFの適用税率を6%から0%へ変更すると閣議決定した。
詳細は、2015年4月27日付ジェトロの記事「一部品目への財源使用税の適用税率が0%に-コスト低下で対トルコ輸出に追い風-」を参照。

国庫・財務省歳入局:RUSF0%適用対象品目リスト(トルコ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(72.6KB)
欧州委員会:EU法の概要 "Turkey外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
国際投資家協会(YASED外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、トルコ語)

デジタルサービス税

2020年3月1日より、全世界でのデジタルサービスに関する売上高が7億5,000万ユーロ、またはトルコ国内売上高が2,000万トルコ・リラ以上の企業を対象に、デジタルサービス税7.5%(原則)が課税される(2019年12月7日付官報30971号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、トルコ語)。

宿泊税

宿泊税の課税が2023年1月1日から開始された。課税対象はホテル、モーテル、ペンション等の民間宿泊施設であり、税率2%が課税される(2022年12月14日付官報32043号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、トルコ語)。

高価格住宅税

居住用住宅の所有者は、不動産価格に応じ高価格住宅税が課税される(2023年1月1日より課税)。自治体、大学、国際機関等が所有する住宅は免除される(2023年12月30日付官報32415号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(237KB)(トルコ語)にて改正)。

住宅価格 税率
12,880,000~19,321,000トルコ・リラ 0.3%
19,321,001~25,763,000トルコ・リラ 0.6%
25,763,000トルコ・リラ超 1.0%

リサイクル税(GEKAP)

2020年1月1日より、ポリ袋、タイヤ、乾電池等の販売について、リサイクル税が課税される。
税率は課税対象により異なる。課税対象品目およびその税率は官報参照(2023年12月29日付官報32414号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、トルコ語)。

著作権保護のため一部の機械機器への課税

2020年3月18日より、知的財産(音楽や画像などの著作権)を複製可能な印刷機や録音・録画機器、スマートフォンなどの機械機器の輸入に際して、文化観光省が関税評価額の0.5~3.0%を著作権保護のために新たに徴収する。課税対象品目およびその税率は官報参照(2020年3月4日付官報31058号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2.62MB)、トルコ語)。
詳細は、2020年3月11日付ジェトロの記事「著作権保護のために一部の機械機器に対し新規課税」を参照。