電子税務システム導入により効率化と脱税摘発の強化へ
(トルコ)
イスタンブール発
2024年08月27日
トルコのメフメト・シムシェキ国庫・財務相は、トルコ国営アナドル通信に対して、国庫・財務省と税務査察局のデジタル改革について説明した(8月19日付アナドル通信)。「同改革の新しいシステムでは、税務調査官と納税者はリモート面談し、議事録もデータで管理される」「電子議事録、電話会議アプリケーション、機械学習、人工知能の統合などの開発で、1年以内に本格的なデジタル変革を目指す」と述べた。このシステムにより、税務調査の効率化を図り、脱税企業を見つけ、課税の公平性を強化することを目的としている(2024年8月15日記事参照)。
同相は、このシステムによって、国内ソフトウエアと全てのデータを同省のサーバーで保管することにより、外国企業のクラウドにデータを保管し、外国製のテレビ会議アプリケーションの使用による税務上のプライバシーに関する問題が発生する慣行の回避につながるとした。ただし、帳簿や書類は電子で提出できるが、調査には税務調査官と納税者の両者の協力が必須で、納税者と連絡が取れない場合は、書面で議事録を残す必要が引き続き発生すると述べた。
また、同相は、税務調査報告書など紙で保管されていたものが、電子署名を利用した電子システム上の管理へ移行し、書類作成コストをゼロにすることにより、100%デジタルの監査ユニットが構築されると述べた。
2024年8月に入ってから、高額納税企業を中心に税務調査が全国で一斉に行われており、違法営業の企業や収益未申告の企業に罰金が次々と科されている。顕著な例として、たばこメーカー1社に対し、過去最高額となる60億リラ(約252億円、1リラ=約4.2円)が科された
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(井口南)
(トルコ)
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