日本からの輸出に関する制度

牛乳・乳製品の輸入規制、輸入手続き

英国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2022年2月

EU離脱に関する規則
英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。ただし、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。例えば、混合食品に関して、EUで2021年4月21日から適用されている新規則とは異なるため、輸入時に添付すべき書類や混合食品の分類などについて、注意が必要です。
なお、北アイルランドに関しては、英国の関税領域ですが、食品規制に関して、EU規制が適用されます。本稿では特段の注意がない限り、英国(グレートブリテン)にかかる規制について記載し、北アイルランド議定書に関してはジェトロレポート「英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)」または、ジェトロビジネス短信を確認してください。
英国への入域条件
英国に「生乳」、「乳製品」を輸出するためには、一次生産 (生産農場)から加工に至るまで英国の求める衛生基準を満たすことが求められています。国レベルでは、対象の動物性食品(原料) が「残留モニタリング承認リスト」に掲載され、英国への輸出を許可された「第三国リスト掲載国」となること、事業者レベルでは、当該「原料乳」が登録を受けた農場から由来し、英国/EU HACCP認定施設で加工を行うことで輸出が可能となります。
英国にヒトの消費向け「生乳」および「乳製品」を輸出するには、次の1)~3)の条件を満たしている必要があります。
  1. 維持規則(EU)2017/625に基づき、「残留物質モニタリング計画」の承認を受け、対象品目が維持指令2011/163/EUの国別のリスト(「残留モニタリング承認リスト」)に掲載される。
  2. 対象品目が維持規則(EU)605/2010の生乳や乳製品についての「第三国リスト」に掲載されている
  3. さらに、チーズなどの乳製品に関しては、国際獣疫事務局 (OIE :Office International des Epizooties)が 定める国際基準(陸生動物衛生規約)に基づき国内の牛群の牛結核(bovine tubercle bacillus)・ブルセラ症(Brucella)についての清浄国認定を取得している

日本は1)と2)の「生乳・乳製品」の国レベルでの入域条件を満たしています。3)に関しては、調査時点では、全国的清浄性確認サーベイランスを実施中のため、ブルセラ症および結核病の検査結果が必要となります(次の5)を参照)。

また、事業者レベルでは、

  1. 英国向け「生乳」、「乳製品」の「原料乳」を登録生産農場から調達する。または、英国/EU規則に基づく衛生およびHACCP管理基準を満たし、生産農場の登録を希望する旨の届け出を行い、登録番号を取得する。登録生産農場の一覧は、農林水産省のウェブサイトで公表されますが、2022年2月時点で、日本には登録を受けた生産農場は存在しません。

    これらの「原料乳」は

    • 輸出検疫証明書の発行前 12カ月間、口蹄疫および牛疫清浄であり、これらの疾病に対するワクチン接種が行われていない国で飼養されていた動物に由来する
    • 原料乳が、口蹄疫または牛疫に係る規制の対象となっていない農場に由来する必要があります。
  2. 「原料乳」の由来する動物が、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)別添1に基づくブルセラ病または結核病の検査結果が陰性であり、これらの疾病の症状を呈しておらず、かつ、得られた生乳は加熱処理されていること、そしてアルカリフォスファターゼ試験などの結果陰性であることを動物衛生当局が確認済みであること。(維持委任規則(EU)605/2010に定められた動物衛生に関する要件)
  3. 「乳製品」に関しては、4)、5) に基づき「原料乳」を調達し、維持委任規則(EU)605/2010に定められた衛生要件と英国/EU HACCP管理基準を満たす認定施設で加工をする必要があります。新たに英国/EU 向け輸出乳製品を取り扱う施設としての認定を受けようとする施設の営業者は、施設を管轄する都道府県知事などを経由して厚生労働省に申請し、あわせて、当該申請書類の副本を当該施設が所在する地域を管轄する地方厚生局宛て提出する必要があります。厚生労働省は、英国側の手続きを経て、環境・食料・農村地域省(DEFRA) の HP に施設の名称などが掲載された後、当該施設に認定番号を付し、都道府県知事などを通じ営業者にその旨を通知します。2022年1月時点で、日本には認定を受けた加工施設は存在しません。
    英国/EUにおいて、「加工された動物性食品と植物性原材料の両方を含む食品」を「混合食品」と定義し、特定の規則が課されています。「加工済み乳製品」であるか、「加工済み乳を含む混合食品」であるかで、適用される規則や要求される書類が変わるため留意が必要です。
    「乳製品」と「混合食品」の違いについては、「輸入規制」の「4. その他(混合食品)」の項を参照してください。

これら4)~6)に必要に要件や公的証明書、施設の認定などに関しては、「取扱要綱」または次項「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項を必ず確認してください。

※本項以降では、EU規制に加え、英国がEU規制に上乗せで定めている独自規制についても言及していますが、これは、ジェトロで把握できた範囲において言及しているものです。

関連リンク

関係省庁
英国政府 英国動植物衛生庁(APHA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
動物検疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
2018年EU(離脱)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年EU(離脱協定)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU)2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令 2011/163/EU (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
維持委任規則(EU)605/2010 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国食品基準庁(FSA)一般食品法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)
英国政府 「英国向け生きた動物・動物由来製品の輸入にかかる動物衛生証明書の様式(2021年10月)」 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 国境検疫対象の混合食品(EU域外第三国産)の動物衛生証明書の様式(2021年12月版)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)
英国政府 「英国におけるEU域外からの生きた動物・動物性食品・非動物由来飼料にかかる輸入ガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
動物検疫所 輸出畜産物の検査手続外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「証明書や施設認定の申請(欧州)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(7.9MB)
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」

2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2022年2月

EU離脱に関する規則
英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。ただし、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。例えば、混合食品に関して、EUで2021年4月21日から適用されている新規則とは異なるため、輸入時に添付すべき書類や混合食品の分類などについて、注意が必要です。
なお、北アイルランドに関しては、英国の関税領域ですが、食品規制に関して、EU規制が適用されます。本稿では特段の注意がない限り、英国(グレートブリテン)にかかる規制について記載し、北アイルランド議定書に関してはジェトロレポート「英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)」または、ジェトロビジネス短信を確認してください。
英国に乳および乳製品を輸出するためには、原料乳を生産している農場の登録(農林水産省)と対英国/EU輸出のための施設認定(厚生労働省)を行う必要があります。英国当局へは、厚生労働省が通知をします。
原料乳の生産農場登録
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)で輸出要件や衛生条件、生産農場の要件、原料乳の基準を確認のうえ、「取扱要綱」に指定される別紙様式に必要情報を添えて、管轄する都道府県の畜産主務課に届出を行います。当該畜産主務課は、内容確認後、農林水産省消費・安全局動物衛生課に対し、生産登録を行います。登録された生産農場の一覧は、動物検疫所のウェブサイトで公表されます。なお、登録を受けた農場には定期的な立ち入り検査があります。
2022年2月現在、英国輸出向けに登録された原料乳の生産農家は存在しませんが、登録農家から英国へ乳製品を輸出する目的で原料乳を出荷する場合は、「取扱要綱」にのっとり、管轄都道府県の家畜保健衛生所に「原料乳に関する確認書」を発行してもらいます(ただし、生産農場と乳処理施設が隣接しており、これらの所有者が同じで連続的に加工が行われる場合は、家畜保健衛生所は、原料乳の出荷時ではなく、当該乳製品の出荷時までに、「原料乳に関する確認書」を発行します)。
乳製品加工施設認定
「取扱要綱」に記載される衛生条件や個別基準を確認のうえ、関連書類を添付し、要綱「別紙様式3 施設認定申請書様式 EU 向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品取扱施設認定申請書」を認定施設の管轄の都道府県知事を経由して、厚生労働省に申請します。関連資料には次の書類が挙げられます。
  1. 施設の構造・設備に関する資料
  2. 製品に関する資料など
  3. 衛生管理などに関する資料(マニュアルなど)
  4. 従事者の健康診断実施体制(項目および頻度)に関する資料
  5. 作業手順書など
  6. HACCPに関する資料
  7. 食品衛生法に基づく過去の処分事例がある場合は当該資料など
英国向け乳製品衛生証明書
英国輸出向け乳製品の場合、「取扱要綱」に指定する別紙様式「衛生証明書発行申請書(乳製品)」を、認定施設の管轄の保健所へ、電子メールまたはNACCSを通じて、規定される添付書類と一緒に申請します。
申請の際、使用される原料乳が英国の衛生条件を満たしていることを証明する次の書類や、使用された原料乳のトレーサビリティを示す資料などの添付が求められます。
  1. 日本産原料乳の場合:登録された生産農場に由来する「原料乳に関する確認書」
  2. EU加盟国産原料乳の場合:EU加盟国産であることを証明する公的書類
  3. 「第三国リスト掲載国」産原料乳の場合:英国/EUの衛生要件を満たすことを証明する外国政府機関発行の公的書類
交付された「衛生証明書」は、動物検疫所において「輸出検疫証明書」の発行に必要とされます。
輸出検疫証明書の発行
輸出検疫の申請・証明書の発行手続きについては、「輸入規制」の「3. 動植物検疫の有無」の項を参照してください(動物検疫所による発行)。
なお、英国において、「加工された動物性食品と植物性原材料の両方を含む食品」を「混合食品」と定義し、特定の規則が課されています。「加工済み乳製品」であるか、「加工済み乳を含む混合食品」であるかで、適用される規則や要求される書類が変わるため留意が必要です。「乳製品」と「混合食品」の違いについては、「輸入規制」の「4. その他(混合食品)」の項を参照してください。
新しい動物衛生制度の概要に関しては、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」でも確認ができます。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2022年2月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。ただし、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

原料乳生産動物検査(抗体検査・ツベルクリン検査)
「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目」の項のとおり、英国(EU)に輸入される乳製品の原料となる「生乳」を供給する動物については、国際獣疫事務局(OIE)が定める国際基準(陸生動物衛生規約)に準拠した検査を実施することが求められています。農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)のとおり、
  1. 管轄の都道府県(畜産主務課)に、あらかじめ、「生乳」の由来する動物の抗体検査およびツベルクリン検査を依頼し、ブルセラ病または結核病の結果が陰性であること、
  2. すべての動物がブルセラ病および牛結核病陰性であることを証明する「EU向け乳製品原料乳生産動物群検査証明書」を入手し、
  3. これらの疾病の症状を呈していない、かつ、得られた生乳を加熱処理し、アルカリフォスファターゼ試験などの結果陰性であることこれを動物衛生当局により確認されている必要があります。
「取扱要綱」別表3の殺菌基準
低温殺菌※1 (1)72℃15秒以上
(2)63℃30分以上
(3)その他上記と同等以上の殺菌効果を有する方法による殺菌
超高温殺菌方法(UHT)など (4)F0 値が3を達成するための殺菌処理
(5)UHT により殺菌をする場合 (i)連続して135℃で短時間で加熱を行い、発育しうる微生物を死滅させるのに十分な効力を有している。
(ii)30℃で15日間または 55℃で7日間の恒温試験により、微生物の発育が ないことを保証するのに十分であるか試験を行う。
高温短時間殺菌法(HTST) (6)75℃で15秒間の高温短時間殺菌法(HTST)を乳に2回実施し、pHが7.0 以上を達成し、適用可能な場合には加熱処理の直後に実施したアルカリホスファターゼ検査に対して陰性である。
(7)乳のHTST処理で、pH を7.0 未満に低下させる
(8)次のいずれかによる別の物理的処理とHTST処理の併用 (i) 1時間かけてpHを6未満に下げる
(ii)乾燥を併用した72℃以上の追加加熱
低温殺菌 (9)(6)と同等の低温殺菌効果を達成する処理が適用可能な場合には加熱処理の直後に実施したアルカリフォスファターゼ検査に対して陰性反応である。
動物検疫所への輸出検疫検査の申請
維持規則 (EU) 2017/625および維持規則(EU)No 2019/2007のANNEXに掲載のとおり、本原稿の対象品目であるHSコード0401~0406類は、英国の国境での動物検疫の対象となっています。このため、「輸入規制」の「2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項に記載のとおり、登録された農場からの原料乳の調達および認定施設登録など「取扱要綱」の要件を満たしたうえで、英国への「生乳」・「乳製品」の輸出に際して、施設所轄都道府県の保健所が発行した衛生証明書(「EU向け乳製品衛生証明書」)を提出し、日本の動物検疫所で動物検疫を受ける必要があります。
  1. 「乳製品衛生証明書」を所轄(都道府県)の保健所から入手、
  2. 家畜伝染病予防法施行規則第52条に規定される「輸出検査申請書」と1.の原本を添えて、輸出検疫証明書の発行を動物検疫所に申請します。この申請はNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を利用して申請できます。
  3. 動物検疫所は、書類審査または現物検査などの結果、家畜の伝染性疾病を広げる恐れがなく、英国が求める輸入条件を満たしていることを確認のうえ、「輸出検疫証明書」を発行します。
ヒトの消費向け動物性・動物由来製品の輸入に関する公的証明書には、食品公衆衛生(ヒトが食べて安全か)の観点のみから発行されるものと、公衆衛生と獣医証明(家畜などの伝染病の予防や動物衛生)の両方の観点から発行されるものがあり、乳や乳製品には後者の公的証明書が求められます。具体的な書類として、輸出検疫証明書の様式は英国のウェブサイトで確認できます。(動物衛生要件は維持規則(EU) 605/2010がベースとなっています。)
輸出国側での現物検査
前述の申請事項に基づいて、動物検疫所は現物の検査を行う場合があります。現物検査は、動物検疫所、家畜防疫官の指定検査場所または農林水産大臣の指定検査場所のいずれかで実施され、必要に応じて精密検査、生産工場などの調査が実施される場合があります。これらの書類検査・現物検査のうえ、認められた場合に、輸出検疫証明書が交付されます。
輸出入検疫を受ける空港や港を管轄する動物検疫所の問い合わせ先リストは、動物検疫所のウェブサイトで確認することができます。
詳細は、畜産物を輸出する予定の港、空港を管轄する動物検疫所へ問い合わせてください。 公衆衛生に関しては、「食品関連の規制」の「1. 食品規格」の項を確認してください。
なお、EUにおいて、「加工された動物性食品と植物性原材料の両方を含む食品」を「混合食品」と定義し、特定の規則が課されています。「加工済み乳製品」であるか、「加工済み乳を含む混合食品」であるかで、適用される規則や要求される書類が変わるため留意が必要です。「乳製品」と「混合食品」の違いについては、「輸入規制」の「4. その他(混合食品)」の項を参照してください。
新規則の概要に関しては、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」を確認してください。

4. その他:混合食品

調査時点:2022年2月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。ただし、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。例えば、混合食品に関して、EUで2021年4月21日から適用されている新規則とは異なるため、輸入時に添付すべき書類や混合食品の分類などについて、注意が必要です。

英国/EU独自の定義として、「植物由来製品と加工済み動物由来製品の両方を含む食品(維持規則(EC)853/2004 第1条)」を「混合食品」とし、動物由来食品とは別に定義しています。
これらの定義は非常に広義であるため、詳細はジェトロレポート「動物性原材料を含む食品のEU向け輸出に関する規制について(2017年3月発行 / 2019年5月更新)」で確認してください。

動物性加工食品(加工済み乳製品)と混合食品の違い

加工済み乳製品(動物由来食品)
維持規則(EC)853/2004 ANNEX Iおよび維持規則(EU)2019/626 (第2条)の定義により動物性食品、動物由来食品(乳製品)は次のように分類されます。 「動物由来製品(Products of animal origin)」とは、はちみつ、血液、ゼラチンおよび昆虫を含む動物由来食品をいう。 「乳製品(Dairy products)」とは、生乳の加工または当該加工済み製品のさらなる加工に由来する加工済み製品をいう。
なお、英国/EUにおいて「未加工食品」とは、加工を受けていない食料品をいい、分割、分離、切断、スライス、骨抜き、刻み、皮剥ぎ、粉末化、切り込み、洗浄、トリミング、殻剥き、製粉、冷却、急速冷凍または解凍された食品も含むと定義されています(維持規則(EC)852/2004 第2条の1項)。 一方、加工とは、当初の(加工前の)材料を実質的に変化させるプロセスのことであり、加熱、燻蒸、塩漬け(curing)、熟成、乾燥、マリネ(marinating)、抽出、押出成型、またはそれらの組み合わせも含まれます。
混合食品
前述のとおり、英国/EU独自の定義として、「植物由来製品と加工済み動物由来製品の両方を含む食品」を「混合食品」(維持規則(EC)853/2004 第1条)としています。また、欧州委員会の維持決定2007/275 EC第2条において「ヒトの食用を意図した食材で、動物由来の加工品および植物由来製品の両方を含み、一次製品の加工が最終製品の製造のうえで不可欠なプロセスになっている場合」も混合食品であると定義されています(例えば、鮮魚(動物性未加工食品)とコメを一緒に炒めて製造されるパエリャや動物性未加工食品と小麦粉生地(植物性原材料)を同時に焼いて製造されるピザなど)。
一方、添加される植物原材料が動物性加工食品に特徴をつける目的である場合や、動物性加工食品の性質上、植物原材料が欠かせない場合は、混合食品とされず動物由来製品とされます(例えば、フルーツ入りヨーグルトやニンニク入りのソーセージやハーブ入りオムレツ)。
同じ名称(例えばクレープ)であっても殻付き卵と生乳から製造したクレープは加工済み動物性食品ですが、加工済み液卵(卵製品)と加熱処理をされ常温保存可能な牛乳を混ぜて作られたクレープは混合食品となる場合があります。 アイスクリームであっても、生乳から製造されるフルーツやナッツ入りのアイスクリームは乳製品ですが、加工乳(熱処理乳、粉乳)を原料とするフルーツやナッツ入り氷菓の製造は混合食品とされる場合があります。
このため、同じ名称の食品であっても原材料や製造手順(方法)によって混合食品か否かの判断は異なることもあります。不明点につきましては、事前に必要情報(食品の税関コード(英国側のHSコード)、動物性原材料・植物性原材料の割合、食品の種類、構成(成分)、意図されている用途 、原産国など)を準備のうえ、英国のポートヘルス(国境管理所(動植物検疫所)に相当)に問い合わせてください。ポートヘルスは、輸出入を行う各港、空港に設置されていますが、サフォーク・コースタル・ポートヘルス(Felixstowe)では、混合食品について細かな説明が記載されています。詳細は、関連リンクの「その他参考情報」を確認してください。
英国における混合食品の分類
  1. 「肉類を含む」または「動物性原材料の割合が50%以上の」混合食品については、当該動物性原材料に関する「第三国リスト掲載国」(例:チキンエキスを含む混合食品の場合、鶏肉に関する「第三国リスト掲載国」)で製造され、かつ当該製品の原産国が出荷国と同じである必要があり、
  2. (1)に該当しない混合食品(肉類を含まず、動物性原材料の割合が50%未満の混合食品)については、「第三国リスト掲載国」で製造される必要はない(例:ミルクチョコの場合、原料の乳製品が「第三国リスト掲載国」に由来していれば、ミルクチョコそのものは乳製品に関する「第三国リスト掲載国」で製造する必要はない) また、混合食品そのものの製造は、「英国/EU HACCP認定施設」で行われる必要はない。
ただし、未加工動物性食品と植物性原材料を同時に加工して最終製品(混合食品)を製造する場合は、「英国/EU HACCP認定施設」で行われることが必須となります。
これらから、肉製品(肉エキスを含む)を含む混合食品においては、維持規則(EC) 28/2012に規定される様式の衛生証明書と英国側での検疫の対象となり、肉製品の輸出同様、日本で発行された「輸出検疫証明書」が必要とされます。 同様に、乳製品・卵・水産品を50 %以上含む、あるいは50 %未満であっても、安定していない(熱処理されていない、常温・長期保存できないなど)場合も、維持規則(EC)28/2012に規定される様式の衛生証明書が必要となるため、動物由来食品同様の要件が求められます。例えば、原料に「乳製品」を含む場合、「原料乳」は原料乳生産動物検査(抗体検査・ツベルクリン検査)が、「乳製品」の加工には認定製造施設番号が必要です。その他、「輸入規制」の「3. 動植物検疫の有無」の項に記載する要件を満たす必要があります。 なお、調査時点では、日本に肉製品、乳製品について、英国/EU HACCP認定施設は存在しないため、これらを原材料に含む混合食品を英国に輸出することはできません
動物由来食品の詳細は、本ポータルサイト「英国」の「牛肉」、「鶏卵・卵製品」、「菓子」、「調味料」およびジェトロレポート「動物性原材料を含む食品のEU向け輸出に関する規制について(2017年3月発行 / 2019年5月更新)」で確認ください。ただし、EUにおいては2021年4月21日から新しい混合食品規則に関する制度が適用されているため、混合食品の分類や添付書類が英国のものとは異なるため、注意が必要です。
日本の残留モニタリング計画承認状況
動物種 残留物質モニタリング計画の承認状況
ウシおよびウシ科動物(Bovine)
羊・山羊(Ovine/caprine) ×
豚(Porcine)
ウマ科動物(Equine) ×
鶏・家きん類(Poultry)
水産養殖物(Aqua-culture)
乳(Milk)
卵(Eggs)
ウサギ(Rabbit) ×
野生の狩猟獣(Wild game) ×
飼育の狩猟獣(Farmed game) ×
ハチミツ(Honey) ×
日本の第三国リスト掲載品
動物種 第三国リスト掲載品目(動物を除く)
生鮮肉 加工品
生鮮の牛肉 (Bovine animals) 〇 *1
豚(Porcine) × 〇 *1
鶏・家きん類(Poultry) 〇 *1
水産養殖物(Aqua-culture) ○(鮮魚)
二枚貝は冷凍したもののみ
活魚は鯉のみ

水産養殖物の加工品
乳(Milk) 〇(生乳・初乳) 〇(乳製品)
卵(Eggs)

衛生証明書の添付が不要な混合食品

次の混合食品は、衛生証明書の添付が不要で、必要情報(品目の種類、数量、原産国、製造者、原材料)を含めた商業文書を添付することで、英国へ輸出ができるとされています。

  1. 維持規則(EC)2007/275第6条に掲載される次の条件を満たす混合食品
    肉や肉製品(肉エキスを含む)を原材料に使用しておらず、動物性原材料の使用割合が50%未満、かつ
    1. 常温保存が可能、または製造過程ですべての原材料が熱処理により変性している
    2. ヒトの食用であることが明記されている
    3. 清潔な容器に密封されている
    4. 加盟国の公用語(英語)で記載された送り状などの商用文書および食品ラベル表示により、加工食品の種類、分量、個数、原産国、製造業者、原材料が明らかになっている
    あるいは
  2. これら1. の全要件を満たし、維持規則(EC)2007/275 ANNEX IIに記載される(a)~(f)のいずれか
    1. 乳・卵製品の含有割合が合計50%未満の チョコレート・キャンディなどの菓子
      (HSコード)1704, 一部の1806類
    2. 乳・卵製品の含有割合が合計50%未満のパスタ・麺類
      (HSコード) 1902 19, 1902 30, 1902 40
    3. 乳・卵製品の含有割合が合計20%未満のパンやビスケットなど
      (HSコード) 一部の1905類
    4. 魚詰めオリーブ
      (HSコード)ex 2001 90 65、2005 70 00, ex 1604
    5. 魚介パウダー・エキスの含有割合が50%未満のスープ・ブロス
      (HSコード) ex 2104 10, ex 2104 20
    6. 肉製品を除く動物性由来加工製品20%以下のヒト向けサプリメント
      (HSコード) ex 2106 10, ex 2106 90

ただし、原材料に用いられる乳製品は英国/EU産や日本など「第三国リスト掲載国」産である必要があります。また、原材料として使用される、乳・卵・魚介類が、日本国内または「第三国リスト掲載国」で加工されている必要があります。

さらに、「衛生証明書の添付が不要」であっても、英国/EUの衛生規則の原則である、「動物性原材料の英国/EU HACCP認定施設」由来自体が免除されているわけではありません。調査時点では、日本には、乳・乳製品に関する「英国/EU HACCP認定施設」は存在しないため、輸出することはできません。また、ランダムチェックなどで指摘されることも考えられ、乳製品や混合食品の国境管理所における現物検査の実施頻度は15%とされています。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
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維持規則 (EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 決定2007/275/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU)2019/626 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)28/2012(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国における国境管理所(UK Border Control Post (BCP) )外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「英国向け生きた動物・動物由来製品の輸出にかかる動物衛生証明書の様式(2021年10月)」 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 国境検疫対象の混合食品(EU域外第三国産)の動物衛生証明書の様式(2021年12月版)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)
農林水産省「欧州 : 証明書や施設認定の申請」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
サフォーク・コースタル・ポートヘルス(Felixstowe) 「動物由来混合食品の輸入について」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(7.9MB)
ジェトロ「動物性原材料を含む食品のEU向け輸出に関する規制について(2017年3月発行 / 2019年5月更新)
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」

英国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2022年2月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。ただし、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国/EUにおいては、農産物市場体系 (CMO)を確立する維持規則(EU)1308/2013により、「生乳」「乳製品」にかかるラベル表示や販売規格などが定められています。英国においては、英国法「2008 No. 1287:2008年スプレッド用油脂(販売基準)及び乳・乳製品(名称保護)規則(イングランド)」、「2008 No.1317:2008年飲料用牛乳(イングランド)規則)」などの英国独自法内で適用されていますが、英国法「2013 No.3235:2013年CMO(派生的改正)規則」により、一部、EUの「生乳」「乳製品」のCMO販売基準が適用されています。

維持規則(EU)1308/2013 ANNEX VIIの第IV編により、飲用乳の成分規格は次表のとおり規定されています。

飲用乳の成分規格
名称 要件
生乳(raw milk) 40℃以上に加熱されていない乳、またはこれと同等の効果を有する処理を受けていない乳。
全乳(whole milk) 乳脂肪分に関して、次のいずれかの要件を満たす加熱処理乳。
標準化全乳(standardised whole milk) 乳脂肪分が3.5%以上の乳。ただし、加盟国は、乳脂肪分が4.0%以上の全乳の追加カテゴリーを設けることができる。
非標準化全乳(non-standardised whole milk) 乳脂肪の添加や除去、または天然の乳脂肪分が変化した乳との混合により、搾乳段階から乳脂肪分が変化していない乳。ただし、乳脂肪分は3.5%を下回ってはならない。
半脱脂乳(semi-skimmed milk) 乳脂肪分が1.5%以上1.8%以下に低減された加熱処理乳
無脂肪乳(skimmed-milk) 乳脂肪分が0.5%以下に低減された加熱処理乳

また、飲用乳は、次の要件を満たす必要があります。

  1. 採取した飲用乳の原産地で記録された生乳の平均凝固点に近い凝固点を有すること。
  2. 20℃で3.5%の乳脂肪分を含む乳については、1リットル当たり1,028グラム以上の質量を有するものとし、脂肪分が異なる場合は、1リットル当たりこれと同等の質量を有すること。
  3. 3.5%の乳脂肪分を含む乳については、最低2.9%のタンパク質を含むものとし、乳脂肪分が異なる場合は、これと同等の濃度を含むこと。

なお、英国において、乳・乳製品に関する定義は、動物性食品の衛生基準を定める維持規則(EC)853/2004で次のように規定されています。
「生乳(Raw milk)」とは、40度を超えた加熱またはそれと同等の影響を及ぼす処理を受けていない、家畜の乳腺からの分泌によって生成された乳をいう。
「乳製品/酪農製品(Dairy products)」とは、生乳の加工または当該加工済み製品のさらなる加工に由来する加工済み製品をいう。

食品衛生
さらに、英国外から輸入される食品については、英国国内法化された維持規則(EC)No 178/2002に基づき、英国が求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Article 11)。
このため、英国の食品輸入事業者は、輸入した食品が英国の食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、英国の所管当局に通知する義務があります(維持規則(EC)No 178/2002 Article 19)。
英国の衛生法(「衛生パッケージ」)は、維持規則(EC)No 178/2002(食品一般法)、維持規則(EC)852/2004(一般食品の衛生規則)、維持規則(EC)853/2004(動物性食品の衛生規則)、維持規則(EC)183/2005(動物の飼料に要求される衛生規則)そして新公的管理維持規則(EU)2017/625およびこれらの規則を補完する関連規則(維持規則 (EU) 2019/625など)により構成されています。
例えば、原料乳の衛生基準は牛の生乳の場合、一般生菌数が10万/mℓ、体細胞数は40万mℓとなっています。生乳の殺菌基準(低温殺菌方法・UHTなど)や微生物学的基準が設けられていますので、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)で確認ください。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2022年2月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項で説明のとおり、維持規則(EU)2017/625に基づき、英国に乳・乳製品を輸出することが可能な認定を受けた加工施設などの事業者は、別途定められたモニタリング計画および実施要領(危害分析およびHACCP 計画)に従い、定期的な天然毒素、微生物学的汚染物質、化学的汚染物質農薬や残留動物用医薬品などのモニタリング検査の実施が必要とされます。
家畜の伝染病予防に関する動物の衛生要件に関して、乳・乳製品の疾病リスクを軽減するために講じる措置やアルカリフォスファターゼ検査については農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」(別表3「生乳の殺菌基準」)でも確認できます。
英国では、使用可能な農薬について、ポジティブリスト制を採用し、食品の種類ごとに許容される残留農薬の上限値(Maximum Residue Limit:MRL)が規定されています(維持規則(EC)No 396/2005)。MRLは英国農薬データベースの「生乳(Milk)」で確認することができます。当該食品1キログラム当たりに許容される農薬量(mg/kg)として示され、MRLが設定されていない農薬と食品の組み合わせに対しては、一律0.01mg/kgの下限値が適用されます。なお、加工食品についても本規制の対象となりますが、加工食品に適用されるMRLは調査時点で設定されていないため、原材料として使用する「生乳」のMRLに注意してください。

英国における動物由来食品向け(動物用医薬品中の)残留薬理的活性物質(pharmacologically active substances)に関しては、維持規則(EC) 470/2009および維持規則(EU) No 37/2010 ANNEXに記載されていますが、英国において、2019年EU離脱規則(動物・動物製品と動物医薬品 No. 676)などにより修正または一部無効化されています。その他、詳細は、農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」で確認することができます。

関連リンク

関係省庁
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 獣医理事局(VMD:Veterinary Medicines Directorate) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
2019年動物・動物製品と動物医薬品(最大残留基準と残留物検査)(修正など)(EU離脱)規則(2019, No. 676)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2019年飲食品、動物医薬品および残留物(修正など)(EU離脱)規則(2019, No. 865)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年動物医薬品と残留物(修正)(EU離脱)規則(2020, No 1461)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU)2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 396/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
維持規則 (EC) 470/2009 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU) No 37/2010外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国食品基準庁 食品の残留農薬(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「動物用医薬品規則に関するガイダンス(英語)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 獣医理事局(VMD:Veterinary Medicines Directorate)「Regulatory Science Strategy 2021-2026」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)1.25 MB
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(7.9MB)
農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. 重金属および汚染物質(最大残留基準値/禁止)

調査時点:2022年2月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、維持規則(EC)1881/2006で食品カテゴリーごとに含まれる汚染物質の上限値を規定しています。ここでの「汚染物質」とは、意図的に食品に添加されたものではなく、食品の生産(作物管理、畜産、獣医療における作業を含む)、製造、加工、調理、処理、包装、梱包、輸送および保管などのプロセスまたは生育環境に由来して、食品中に存在する物質をいいます(維持規則(EEC)No315/93 Article 1(1))。

乳・乳製品が該当する汚染物質の上限値は、次のとおりです。ただし、ここに記載されている以外にも、乳児・幼児用の食品、医療用栄養食品に関しては別途上限値が規定されているため注意が必要です。

汚染物質の上限値
物質名 上限値 対象品目
アフラトキシン M1:0.05㎍/kg 生乳、乳製品製造用の乳
M1:0.025㎍/kg 乳幼児向け※調製粉乳フォローアップミルク
オクラトキシンA >3.0㎍/kg 穀物加工品およびヒトが直接消費する穀物を含む、未加工穀物から作られるすべての製品
0.02 mg/kg
生の状態での重量
生乳、乳製品製造用の乳
ただし乳児向け液体ミルクは0.01 mg/kg
0.1 mg/kg バターを含む油脂
カドミニウム 0.01mg ・0.005 mg/kg 乳児向け乳製品(液状)/(粉状)
過塩素酸イオン 0.01mg/kg 乳幼児用向け食品など
ダイオキシン類の上限値(生乳およびバターを含む乳製品)
項目 上限値 対象品目
ダイオキシン類合計(WHO-PCDD/F-TEQ)(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシンとポリ塩化ジベンゾフランの毒性等量合計※) 2.5 pg/脂肪1 g当たり※
乳幼児向け食品は0.1 pg/脂肪1g 当たり
生乳およびバターを含む乳製品
ダイオキシン類、ダイオキシン様PCB類の合計(WHO-PCDD/F-PCB-TEQ)(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ビフェニルの毒性等量合計※) 5.5 pg/脂肪1 g当たり※
乳幼児向け食品は0.2 pg/脂肪1g 当たり
PCB28,PCB52,PCB101,PCB138,PCB153,PCB180の合計(ICES-6) 40 ng/脂肪1 g当たり※
乳幼児向け食品は1.0 pg/脂肪1g 当たり
その他の汚染物質の上限値(多環芳香族炭化水素など)
物質名 上限値 対象品目
ベンゾ[a]ピレン 2.0 ㎍/kg 食用油や油脂
ベンゾ[a]ピレン、ベンズ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、クリセンの総量 10.0 ㎍/kg
ベンゾ[a]ピレン 1.0 ㎍/kg 乳児向けフォローアップミルクを含む調製品
ベンゾ[a]ピレン、ベンズ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、クリセンの総量 1.0 ㎍/kg
メラミン 2.5 mg/kg 乳児用調製品およびフォローアップミルク
エルカ酸(植物の自然毒) 10 g/kg 乳児用調製品およびフォローアップミルク
3-MCPD 50㎍/kg 乳児用調製乳、乳児用フォローアップミルク、特殊用途育児食品および幼児用調製乳(粉末)
6.0㎍/kg 乳児用調製乳、乳児用フォローアップミルク、特殊用途育児食品および幼児用調製乳(液体)
3-MCPDおよび 3-MCPD脂肪酸エステル類 125㎍/kg 乳児用調製乳、乳児用フォローアップミルク、特殊用途育児食品および幼児用調製乳(粉末)
15㎍/kg 乳児用調製乳、乳児用フォローアップミルク、特殊用途育児食品および幼児用調製乳(液体)

なお、2021年8月30日から、EUでは、規則(EC)1881/2006を改正する規則(EU)2021/1323および規則(EU)2021/1317によりカドミウム、鉛の上限値のリストに「塩」や「香辛料」なども追加されているため、加工食品などに原材料として使用する場合は注意が必要ですが、英国では調査時点で、この規則は適用されていません。

その他、英国では、環境残留性と生物蓄積性が高く環境と健康にリスクをもたらすダイオキシン類・ポリ塩化ビフェニル(PCB)・DDTなどの残留性有機汚染物質(POPs)に関して、生産、販売および使用が禁止または厳しく制限されています。2019年6月から、旧規則(EC) 850/2004は新規則(EU)2019/1021により改正されており、同規則ANNEX1に記載されている物質は英国内における上市、使用が禁止されています。

REACH規則含め、詳細はジェトロEU 輸入品目規制「特定危険化学品に関する規制」で確認してください。

なお、食品事業者に適用される英国/EU規則「食品の微生物学的基準に関する維持規則(EC) 2073/2005により英国における食品中の微生物学的判断の基準が規定されています。同規則によりいくつかの乳製品のサルモネラの上限値が定められています。

例えば、「1.11 生乳または低温殺菌よりも低い温度で処理された牛乳を原料として製造されたチーズ、バター、クリーム」「1.12 粉乳及びラクトセラム粉末」「1.13 アイスクリーム(ただし、アイスクリームはサルモネラ菌のリスクを排除することを可能にする製造方法または組成を採用している製品は除く)」の濃度基準の測定に際しては、1ロット当たり任意に採取した5サンプルについて検査し、すべてのサンプル、すなわち25g中でサルモネラが検出されないことが基準となります。
その他、チーズ、粉乳、粉末ラクトセラムにはブドウ球菌腸毒素の上限値が定められています。

乳児用調製粉乳および6カ月未満の乳児用の特別な医学的目的の粉末栄養製品やフォローアップミルクに関しては、さらに厳しい上限値が課されます。
原料乳の衛生基準は、一般生菌数が10万/mℓ、体細胞数は40万/mℓとなっています。生乳の殺菌基準(アルカリフォスファターゼ試験)については、「取扱要綱」の別表3に記載されています。

詳細は、農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」「別添3 HACCP 方式による衛生管理実施基準」で確認することができます。

4. 食品添加物

調査時点:2022年2月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国において、着色剤や保存料、酸化防止剤、その他乳化剤・安定剤などの食品添加物と、食品香料および食品酵素を区別し、これらを合わせて「食品改良剤(Food Improvement Agents)」)と総称しています。食品改良剤については、ポジティブリスト形式での規制が課されており、認可を得た食品改良剤のみが使用を認められています。

英国では、食品添加物については維持規則(EC)1333/2008に基づきポジティブリスト形式で規制が課されており、認可を得た食品添加物のみが使用を認められています。
日本と異なり、英国におけるポジティブリストでは、食品添加物ごとに「使用可能な食品カテゴリー」および「許容含有量(定められていない食品添加物もある)」が定められています。カテゴリーごとに検索する場合、欧州委員会データベースにおいて、食品添加物が「01 乳製品およびその代用品」の食品カテゴリーにおいて使用可能かどうか確認可能です。しかし、一部英国国内法と相違があり、最終的な根拠法令としては、英国における維持規則(EC)1333/2008 に基づく必要があります。

なお、食品添加物および食品香料のポジティブリストについては、維持規則(EC)1333/2008のANNEXIIIで上限値などを確認することができます。食品酵素については、調査時点ではポジティブリストが完成していないため、ポジティブリスト形式での使用規制は適用されていません。

英国における食品改良剤の定義
食品改良剤 根拠法 定義
食品添加物 維持規則(EC) 1333/2008 それ自体は通常は食品として消費されず、栄養価の有無を問わずに食品の典型的な原材料としては通常は使用されない物質で、食品の製造、加工、調理、処理、包装、輸送、保存の段階において技術的な効果(防腐、酸化防止、色の定着など)を意図的に追加することにより、その物質やその副産物が直接的・間接的に食品の構成要素となるか、なることが十分に予想される物質。E番号で表示される。
ただし、次の物質は食品添加物として使用されない場合本規則の適用外である。
  • 加工助剤(processing aids)
  • 植物の健康に関する共同体ルールに従って植物や植物製品の保護のために使用される物質
  • 栄養素(nutrients)として食品に添加される物質
  • 維持指令98/83/ECの範囲に該当するヒトの消費を意図した水の処理などで使用される物質
  • 維持規則(EC) No 1334/2008の範囲に該当する香味料
その他、添加物とみなされないものについては同規則第3条を確認のこと
食品香料 維持規則(EC) 1334/2008 それ自体は食品として消費されず、香りや風味を添えるか、もしくは変えるために食品に添加される製品。香料物質、香料調整品、熱処理香料、スモーク香料、香味料前駆体、その他香料およびこれらの複合物からなる。
食品酵素 維持規則(EC) 1332/2008 植物、動物、微生物、または植物、動物、微生物に由来する製品から得られる製品で、微生物の発酵によって得られる製品も含む。

ただし、維持規則(EC)1333/2008に基づきポジティブリスト形式で規制が課されていますが、ANNEX II に記載されていない場合でも、ANNEX IIIに掲載されている添加物やキャリアは使用条件に従って食品添加物、食物酵素、食品香料、栄養物(ビタミン・ミネラル)に使用することが可能です。
また、維持規則(EU)2019/649により、ビタミン・ミネラルなどの食品への添加に関する維持規則(EC)1925/2006が改正され、2021年4月1日から、最終消費者向け食品(小売り、レストランなど)のトランス脂肪酸は天然由来の動物性の脂肪酸を除き、脂質100g当たり2gを超えてはならないとされています。また、業務向けでこの数値を超える場合は、トランス脂肪酸の量に関する情報を提供する必要があります。
乳などの未加工品に添加することはできませんが、食品に添加できるビタミン剤およびミネラル成分に関しては、維持規則(EC)1925/2006のANNEX IIに記載されています。

5. 食品包装規制

調査時点:2022年2月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、食品用の容器・包装をはじめ、調理器具や食品製造機械、食品輸送用のコンテナなど、食品と接触することが意図されているまたは通常の使用条件において食品と接触することが合理的に予見されるあらゆる素材・製品(Food Contact Material:食品接触素材)について、健康被害を引き起こしてはならない、食品成分に許容できない変化を引き起こしてはならない、食品の味・香り・食感などを劣化させてはならない旨が定められています(維持規則(EC)No 1935/2004)。また、維持規則(EC)No 2023/2006においては、食品接触素材の製造工程における適正製造規範(Good Manufacturing Practice:GMP)がそれぞれ定められています。

食品接触素材に関する主な規則
食品接触素材 規則・指令 主な内容
プラスチック 維持規則(EU) 10/2011 ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX Iのリストに掲載されている物質を原料として製造されたプラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。このリストは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。
アクティブ・インテリジェント素材 〔鮮度保持などの目的で食品から物質を吸収する素材(吸湿材など)、容器内に物質を放出する素材(防腐剤を放出する鮮度保持材など)、食品の状態を監視する素材(温度変化に反応する素材など)〕 維持規則(EC) 450/2009 食品と誤認されるおそれがある場合には、3mm以上のフォントサイズで‘DO NOT EAT’と表記する必要があります。なお、調査時点では、ポジティブリストは制定されていません。
再生プラスチック 維持規則(EC) 282/2008 同規則に従って認可を受けたリサイクルプロセスから得られた物質を原料として製造された再生プラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。
セラミック 維持指令84/500/EEC カドミウムと鉛の検出上限値が規定されています。
再生セルロースフィルム 維持指令2007/42/EC ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX IIのリストに掲載されている物質を原料として製造された再生セルロースのみが、食品接触素材として使用可能となっています。

さらに、特定の物質に関する規則が定められています。
維持規則(EU) 2018/213:BPA(ビスフェノールA)
維持規則1895/2005/EC:エポキシ樹脂
維持指令93/11/EEC:ゴムからのN-ニトロソアミンおよびN-ニトロソ

なお、イングランド向け、ウェールズ向け、スコットランド向け、北アイルランド向けの食品接触材の地域ごとの規則が制定されています。詳細は、関連リンクの「根拠法等」を参考にしてください。
その他、木箱やパレットなど木製の梱包に関する規制は本ポータルサイト「英国」の「花き」を確認してください

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
維持規則(EC)No 1935/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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維持指令(EEC)No 84/500 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
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維持規則(EU)2018/213 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令93/11/EEEC (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2012年 食品接触材規則(イングランド向け)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2012年 食品接触材規則(ウェールズ向け)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2012年 食品接触材規則(スコットランド向け)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2012年 食品接触材規則(北アイルランド向け)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国食品基準庁 食品接触材について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国基準庁 食品接触材の規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品との接触を意図したプラスチック素材と製品に関する規則(EU)No 10/2011に関するEUガイドライン(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(579KB)
EU加盟国の食品接触素材に対する独自規制に関するレポート(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「海外向け食品の包装制度調査」
ジェトロ「食品輸出にかかる食品接触材規則と留意点:欧州」(貿易・投資相談Q&A)

6. ラベル表示

調査時点:2022年2月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、ラベル表示についても、英国独自の国内法も別途設けられることが、保険医療法案により示唆されており、今後、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国独自のラベル表示規則

英国政府のガイダンスでは、英国(北アイルランドを除く)内で販売する商品は、2022年9月30日までにラベル表示を英国の規則に基づいて変更する必要があることが書かれています。ラベルの変更実施の責任機関は英国(北アイルランドを除く)の自治体にあり、別市場のラベル付け要件に準拠する必要がある場合は、ラベルにほかの情報を含めることは可能です。
北アイルランドについては、アイルランド/北アイルランド議定書に基づき北アイルランドで販売する商品のラベル表示はEU規則の順守を継続するとされているものの、英国政府は事業者に新たな規則に対応するための時間が必要だと認識しているとされています。英国政府は北アイルランドの農業・環境・地域省と地域議会と連携して、北アイルランド市場でのラベル表示要件の実施手法について検討を行っています。識別マーク、FBO住所、英国(北アイルランド)原産表示に関する実施手法はラベル表示の変更点に沿いながら、適切でリスクに基づいたものになるとしています。

英国(北アイルランドを除く)で販売される梱包済みの食品またはチーズの主成分になるカゼインには、2022年9月30日までに食品事業者(FBO:Food Business Operator )の英国の住所を含める必要があります。FBOが英国にない場合は、輸入者の住所を記す必要があります。北アイルランドで販売される場合、2021年1月1日以降、北アイルランドまたはEUのFBOの住所を記載する必要があり、FBOがない場合、輸入者の住所を記す必要があります。

認定施設由来であることを証明する衛生識別マーク
なお、英国で製造される「生乳」「乳製品」には、維持規則(EC)853/2004 ANNEX IIの第I編に記載のとおり、製造者は認定施設から出荷する前に、読みやすく、消えないように識別マークを表示する必要があります。出荷国名および施設認定番号を楕円マークの中に明示し、表示は製品、包装または梱包に直接印刷するか、印刷するラベルを貼付します(加工用の原材料の場合は外部外箱に貼付することができます。)。
施設の承認番号が表示されたラッピングまたはパッケージ上に参照記述を含めることも可能です(維持規則(EC)853/2004 ANNEX III 第IX編)。
その他、消費者向け事前包装された食品のラベル表示は、維持規則(EU)1169/2011(通称INCO規則)で規定されています。同規制は英国で流通する食品全般(ケータリング向け食品含む)に適用され、輸入食品にも適用されます。英国で流通し消費者に販売される時点から、輸入者もしくは販売者に表示の義務が課されます。アレルギー物質や栄養素の表示など、日本よりも義務表示の対象が広い項目もあるため、注意が必要です。
包装済み「生乳」または「乳製品」を輸出する場合、維持規則(EU)No 1169/2011で第9条(次表の中では「同規則」)および関連英国/EU規則に基づき次の項目を表示する義務があります。
なお、消費者を惑わせる表示や医学的効能を宣伝する表示が禁止されているほか、オンライン販売などの手法により遠隔地から販売する事業者にも同様の規定が適用されます。
英国におけるラベル表示に関する規則
生乳 乳製品 項目 補足説明
食品の名称 「生乳」一部「乳製品」の名称は、「食品規格」の項で説明のとおり、
  1. 法的名称:EU(英国)の法律、規則などで定められた名称で表示する必要があり、英国法または、維持規則(EU)1308/2013 Annex VIIに定められる、食品規格に準拠した食品の名称を使用しなくてはいけません。
本規則に定められていない「乳製品」の場合は、
  1. 慣習的名称:当該販売国で消費者に食品名称として受け入れられている名称。その名称以外に説明が不要なもの。
  2. 説明的名称:製品の本質が消費者に分かり、混同しやすいほかの製品と区別できる食品を形容した説明および必要に応じてその用途を示す名称。
を表示します。知的財産など保護された商標やブランド名を食品の名称として使用することはできません。
食品規格に基づく法的名称
維持規則(EU)1308/2013
消費用「生乳」の名称:維持規則(EU)1308/2013 Annex VII, 第IV編,第3項の定義に準拠した販売名称を使用。(「食品関連の規制」の「食品規格」の項の飲用乳の成分規格を参照)
「乳製品」の名称:維持規則(EU)1308/2013 Annex VII, 第III編,第2項に規定される範囲に準じて、同項に記載される各加盟国言語(英語)の販売時の名称を使用する。
  例外的に使用可能な名称維持決定2010/791/EU 前述のとおり、「乳製品」の販売名称において「乳」「クリーム」の名称を維持規則(EU)1308/2013に規定される定義の範囲外である植物由来製品などに使用することはできません。(例 : 「豆乳 Soy milk 」の名称は「動物の乳から抽出される液体」でないため使用できません。)
ただし、維持決定2010/791/EUのANNEXに規定される名称の使用は可能です。本規則は各加盟国言語で、使用可能な名称が違うため注意が必要です(例 :フランス語、スペイン語では「Lait d’amande/ Leche de almendras(アーモンドミルク)」の名称の使用が可能であるが英語では不可)。
    食品名称に付随する個別項目
維持規則(EU) 1169/2011
同規則第9条に規定されるとおり、購入者の誤解を招く恐れがある場合は「粉末化、再冷凍、フリーズドライ、急速冷凍、濃縮、燻製」などの施された特定の処理
販売前に冷凍され、解凍状態で販売される食品の場合は「解凍済み(defrosted)」を添える(例外あり)
  原材料リスト 維持規則(EU) 1169/2011 単一原材料で食品の名称と同一である場合は不要です。
ただし添加物などを添加した場合や加工食品の場合、すべての原材料(食品添加物や酵素を含む)を重量順に表示する必要があります。乳製品などの場合で、製造に必要な微生物や食物酵素以外の原材料を一切使用していないチーズ・バター・発酵クリーム・乳の場合は不要です。(生チーズやプロセスチーズ以外のチーズの場合は、製造に必要な塩も含む)(同規則第19条)
また、食品に占める割合が2%未満の原材料については、重量順と異なるかたちで列挙することも可能です。なお、複合原材料についても、名称・総重量を記載したうえで、その後に原材料リストを記載する必要があります。
食品添加物および食品香料は、そのカテゴリー(酸化防止剤、防腐剤、着色料など)ごとに物質名またはE番号を表示する必要があります。ただし、加工助剤や最終製品技術的な機能を持たない担体(キャリア)などについては同規則第20条を参照。
原材料の量の表示は同規則ANNEX VIIIを参考してください。
  アレルギー物質 食品の名称が、当該物質で明確に記載されている場合は不要ですが、表示が義務付けられているアレルギー物質は、次のとおりです。
  • グルテンを含む穀物(小麦、大麦、オーツ麦など)および同製品(一部例外あり)
  • 甲殻類および同製品
  • 卵および同製品
  • 魚および同製品(一部例外あり)
  • ピーナッツおよび同製品
  • 大豆および同製品(一部例外あり)
  • 乳(ラクトースを含む)および同製品(一部例外あり)
  • ナッツ類および同製品
  • セロリおよび同製品
  • 辛子および同製品
  • ゴマおよび同製品
  • 濃度が 1キロ/1リットル当たり10mg 超の二酸化硫黄または亜硫酸塩
  • ルピナス(マメ科植物)および同製品
  • 軟体動物および同製品
原材料リストの標記を太字などで強調することにより表記することが可能です。
「乳(ラクトースを含む)および同製品」は農産物由来のエチルアルコールを含むアルコール蒸留液を作る際に使用される乳清(whey)、ラクティトール(lactitol)を除く
正味量

「ℓ(リットル)」「cl(センチリットル)」「mℓ(ミリリットル」「kg(キログラム)」または「g(グラム)」を用います。液体の場合は、体積単位で、その他の製品は質量の単位で表示します。

文字の大きさは重量に応じ、次のとおり表示する必要があります。

公称重量 文字の高さ
50g以下 2mm以上
50g超200gまで 3mm以上
200g超1,000gまで 4mm以上
1,000g超 6mm以上
また、容量誤差の許容範囲(容器に記載された公称重量と実質重量の誤差)については、維持指令76/211/EEC により、次のとおり規定されています。
公称重量
(g)
許容範囲
(公称容量より少ない場合)
公称重量
に対する%
g
5 ~ 50 9
50 ~ 100 4.5
100 ~ 200 4.5
200 ~ 300 9
300 ~ 500 3
500 ~ 1,000 15
1,000 ~ 10,000 1.5
表示されている正味量が関連する英国/EU規制に準拠していることを示すため、eマークを正味量の横に表示することが可能です。
〇g eマーク
図:eマーク
賞味期限または消費期限 事前包装されている食品に関して、微生物学の視点からみて傷みやすく、短期間で危険となりうる食品の場合、日本と同様に、品質保持期限/賞味期限(the date of minimum durability)に代えて「消費」期限(the ‘use by’ date)を表示する必要があります。
冷凍製品の場合は、冷凍日を「Frozen on 日/月/年」の表示義務が追加されます(維持規則(EU)1169/2011 ANNEX. X)。
特殊な保存条件や使用条件 当該食品が特別な保存条件や使用条件を必要とする場合には、表示する必要があります。
(食品情報について責任を負う)食品事業者の名称または商号、および所在地 食品を当該名称または商号で販売しているFBO(食品事業者)(英国内事業者でない場合は、英国への輸入者)の名称または商号および所在地を表示する必要があります。
原産地 乳・乳製品(50%以上の生乳が含まれる)の原材料として使用される乳のラベル表示に関しては、維持規則(EU)No 1169/2011第26条に記載されており、製品の原産国または起源地が表示されていて、それが主原材料の原産国または起源地と異なる場合は、
  1. 当該の主原材料の原産国または起源地もあわせて表示しなければならない。
  2. 主原材料の原産国または起源地が食品の原産国または起源地と異なる旨を、表示しなければなりません。
例「(〇○:主原料)は(××:最終製品の原産地)に由来しない」(○○ do/does not originate from ××)と記載します。(例えば、最終製品の「クリームスープ」と主原料の「クリーム」の原産地が異なる場合など)。主原料とは、最終製品の50%以上を占める原材料、または、製品の名称から消費者が通常想起する原材料(「クリームスープ」における「クリーム」)を指します。
また、最終製品の原産地が表記されていなくても、原産地を想起させる国旗などがパッケージに表示されている場合、本規制の対象となります(維持実施規則(EU)2018/775)。
使用方法の指示 記載がなければ適切な使用が困難な場合に記載する必要があります。
  栄養表示 「単一の原材料」または「単一の原材料からなる未加工製品」あるいは、「熟成(maturing)による単一の原材料からなる加工製品」の場合は不要ですが、維持規則(EU)No 1169/2011ANNEX Vに記載される製品以外の場合、次の項目について、100gまたは100ml当たりの栄養素を表示する必要があります。これに加えて、一食当たりの栄養素を表示することも可能です。栄養表示はスペース上で可能であれば表形式で記載し、難しい場合は列記しなければなりません。
  • エネルギー量(kJ/kcalの両方を記載する必要があります)
  • 脂肪(g)
  • 飽和脂肪酸(g)
  • 炭水化物(g)
  • 糖類(g)(単糖類および二糖類の合計値のことを指します。)
  • タンパク質(g)
  • 塩分(g)〔(塩分)=(ナトリウム含有量)×2.5で算出することとなっています〕
製造ロット番号
(EU維持指令2011/91/EU)
英国内で流通する包装済み食品は、製造ロット番号を表示する必要があります。明確な表示(LOTなど)の場合を除き、「L」の文字に続けてロット番号を表示する必要があります。
さらに、英国内で製造される動物性食品に関しては、【認定施設由来であることを証明する衛生識別マーク】で記載のとおり、すべての段階でのトレーサビリティを目的として「衛生識別マーク」の表示が必要となります(維持規則(EC)853/2004)。

食品のラベルに使用される言語は、英語となり、文字の大きさについては、次のとおり指定されています(維持規則(EU)1169/2011 Article 15)。

Appendix
  • 包装面の最大面積が80cm2以上の場合、「x」の文字の高さ(図中の6)は1.2mm以上
  • 包装面の最大面積が80 cm2未満の場合、「x」の文字の高さは0.9mm以上
栄養・健康に関する強調表示
維持規則(EC) 1924/2006により、栄養・健康に関する強調表示(例:健康強調表示「DHA は正常な血圧の維持に寄与します」栄養強調表示「脂肪分0%」)に関する規制が定められています。食品ラベル上に記載可能な強調表示はポジティブリスト形式で定められており、強調表示が可能な栄養素など、記載可能な表現、強調表示を行うために含まれるべき栄養素などの基準が詳細に定められているため、強調表示を行う場合には、注意が必要です。
例えば、カルシウムの強調表示において、「Calcium is needed for the maintenance of normal bones(カルシウムは正常な骨の維持に必要です)」、「Calcium contributes to normal blood clotting(カルシウムは正常な血液凝固に寄与します)」という表現は英国で許可されますが、「Calcium helps to keep a healthy blood pressure.(カルシウムは健康的な血圧の維持に寄与します)」という表現は許可されていません。
ポジティブリストに関しては欧州委員会のデータベースでも検索が可能ですが、一部英国で認められていない表現もあるため、英国政府のウェブサイトの「(データ)リスト登録」でも必ず確認してください。
その他、特定の母集団向けのカルシウムの強調表示について維持規則(EU) No 1228/2014(50代以上の女性向け)で定められています。
詳細は、ジェトロレポート「健康食品関連規制調査 (EU)」でも確認することができます。
また、日英経済連携協定(「日英・EPA」)の発効に伴い、日本の地理的表示(GI)が英国でも保護されることになりました。2021年1月の発効時点で、GI保護の対象となる日本側の牛乳・乳製品はありません。一方、英国側の「ウエスト・カントリー・ファームハウス・チェダー・チーズ」、「ホワイト・スティルトン・チーズ/ブルー・スティルトン・チーズ」は地理的表示に指定されているため、「(日本の)○○県産ウエスト・カントリー・ファーム・ハウス・チェダー・チーズ」や「ホワイト・スティルトン・チーズスタイル(日本の)○○県産…」などの表記は禁止されています。

関連リンク

関係省庁
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国保健省(DHSC)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
2018年EU(離脱)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年EU(離脱協定)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
EU離脱に伴う改正法(2019 No. 822)(The Market Measures (Marketing Standards) (Amendment) (EU Exit) Regulations 2019)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)No 2018/775(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)No 1169/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持決定 2010/791/EU (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)1308/2013(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) 1924/2006 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令2011/91/EU(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令76/211/EEC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国保健省(DHSC)消費者向け食品情報に関するヘルスケア議案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 食品ラベル : 消費者向け食品情報に関するガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 包装済み食品 : 重量と測定の規則に関するガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 栄養・健康に関する強調表示のガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「食品基準ラベル表示ガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁「2021年1月1日以降適用される衛生の識別マークに関するガイダンス」(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「(栄養・健康に関する強調表示の)リスト登録(Excel)」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「食品ラベルと包装」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(7.9MB)
維持規則(EU) No 1228/2014(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「EUにおける食品ラベル表示に関する規制」(2014年3月)
ジェトロ「英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)」
ジェトロ「EU向け食品ラベルの翻訳例」(2020年12月)
欧州委員会「Food Labelling Information System (FLIS)」(食品ラベル規則の検索ツール)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

7. その他

調査時点:2022年2月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

  1. 英国外から輸入される食品については、英国国内法化された維持規則(EC)No 178/2002に基づき英国が求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Article 11)
  2. 英国の食品輸入事業者は、輸入した食品が英国の食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、英国政府の所管当局に通知する義務があります(維持規則(EC)No 178/2002 Article 19)。

これらの英国/EUの衛生法(衛生パッケージ)は維持規則(EC)178/2002(食品一般法)、維持規則(EC)852/2004(一般食品の衛生規則)、維持規則(EC)853/2004(動物性食品の衛生規則)、維持規則(EC)183/2005(動物の飼料に要求される衛生規則)そして新公的管理維持規則(EU)2017/625およびこれらの規則を補完する関連規則(維持規則(EU)2019/625など)により構成されています。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
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維持規則 (EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU)2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU) 183/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。

英国での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス、商品の事前登録等(登録に必要な書類)

調査時点:2022年2月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

輸入ライセンス

日本から英国へ牛乳・乳製品を輸出する場合、一部の品目について、英国側でのWTO関税割当の適用(輸入割当(Quotas)と監視(Surveillance)措置の対象)により輸入ライセンスの取得が必要になります。輸入者が個別に輸入ライセンスを取得することで、特定の第三国を原産とする特定の製品を特定の期間に限り、指定された数量または金額のみ輸入することが可能となります。

関税割当番号:05.4595
HSコード:0406.90.21.00、チェダーチーズ
関税割当対象国:EU加盟国以外のすべての国
関税割当数量:64,000kg
関税割当期間:7月1日~翌6月30日
関税割当枠内税率:175.74ポンド/トン
保証額:35ポンド/100kg

関税割当の利用に際しては、貿易実績証明書類(Proof of Trade)が必要となります。これは、英国政府が指定するHSコードに該当する牛乳・乳製品(英国政府通知のANNEX5に記載)の輸入実績が、特定の期間に少なくとも25トンあることを示すものです。この特定の期間とは、最初の申請日から2カ月遡った日を最終日とする1年間となります。例えば、5月1日に申請する場合、前年の3月1日から翌2月28日までの1年間になります。具体的な書類としては、通関関連の書類や使用済みの輸入ライセンスなどとなります。
輸入ライセンスは、英国政府のウェブサイトから申請します。申請期間は、関税割当適用期間開始月の前月の最初の7営業日になります。チェダーチーズは7月が関税割当の開始月のため、6月初めの7営業日が申請期間に当たります。また、輸入ライセンスの申請期間と同期間において、保証金の支払いが必要となります。
一連の手続きについては、英国政府「特定の農産物の輸出入に係る貿易業者への通知」を参照してください。

その他、手続きの詳細はジェトロ「英国 輸出入手続き 輸出入許可申請」を参照してください。なお、関税割当枠内税率は英国政府の「関税率検索データベース」でも確認することができます。

牛乳などの動物製品の輸出入に関する輸出入ライセンスは、環境・食料・農村地域省(DEFRA)が発行しています。

問い合わせ先 動植物・動植物製品: 英国動植物衛生庁(Animal and Plant Health Agency:APHA)
国際貿易センター(カーライル支部) 住所:Eden Bridge House, Lowther Street, Carlisle, CA3 8DX Tel:+44 (0)3000 200 301
E-mail: SSC.Carlisle@apha.gov.uk
URL:https://www.gov.uk/government/organisations/animal-and-plant-health-agency

英国の輸入業者として必要な情報

英国への物品の輸入の際に使用するEORI番号の取得などにあたりVAT番号、納税者固有番号(UTR:Unique Taxpayer Reference)、事業開始日および産業分類(SIC:Standard Industrial Classification)コード、「Government Gateway(英国政府ウェブサイト)」のアカウントなどの情報が必要となります。その他、詳細はジェトロレポート「移行期間終了後の英国ビジネス関連制度」の中の「I. 英国の輸入にかかる通関手続き」で確認することができます。

EORI番号について
英国のEU離脱移行期間終了に伴い、英国はEUの制度から独立したEORI番号(Economic Operators Registration & Identification number)制度を導入します。そのため、英国において、英国外の国との輸出入を行う場合、英国によって発行されたGBで始まる12桁のGB EORI番号が必要となります。
GB EORI番号は、英国で輸出入通関手続きを行う(輸入申告の延期を含む)すべての企業に必要です。GB EORI番号を申請するための詳細については、英国政府のウェブサイト(Get an EORI number)を参照してください。番号申請には5〜10分、取得には最大で 5営業日ほどかかります。EU諸国との貿易をしているVAT登録事業者は、既にEORI番号を登録しているため、該当事業所のEORI番号を確認し、「GB」で始まる番号でない場合は、GB EORI番号の申請をしてください。
その他、「生乳」、「乳製品」の英国への入域条件は「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項を、英国輸入時の国境検疫検査(公的統制)に必要な書類や手続きは、「輸入手続き」の「2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)」および「3.輸入時の検査・検疫」の項を必ず確認してください。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2022年2月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

事前通知と輸入港

EU維持規則(EU)2017/625 第47条および維持決定 2007/275/ECのANNEX Iに規定されているCNコード(混合食品)または維持実施規則(EU)2019/2007のANNEX Iに掲載されている動物性食品および混合食品は、国境検疫所(Border Control Post:BCP)における公的検査(国境検疫検査)の対象となります。このため、英国に輸出される「生乳」、「乳製品」は、必ず動物検疫検査の実施が可能なBCPが設置されている港または空港を仕向地としなければなりません。指定されたBCPと対象アイテムのリストは英国政府のウェブサイトで確認することができます。

個人消費目的の手荷物、サンプル品などを除き、輸入港のBCPに貨物が到着する24時間前までに事前通知を行う必要があります。この事前通知は、英国独自の電子システムである「IPAFFS」を通して行います。また、EU 向け輸出製造者として TRACES に登録している場合は、英国向けに輸出を行う場合に、情報を「IPAFFS」 に改めて登録する必要があります。

事前通知には、輸出者、荷受人、貨物の責任者名、輸入者、原産地、貨物の出国地、衛生証明書の番号および発行日など、「共通衛生入域文書(CHED)」 の発行にあたって要求される情報を添える必要があります。動物由来食品向け「CHED-P」に必要な情報や様式は実施委任規則(EU)No 2019/1715 ANNEXに規定されています。
「CHED」は、BCPでの国境検疫検査に合格すると発行されますが、空白や不完全な項目がある場合、事前通知は完了しません。また、完全な「CHED」が提示されるまで、通関手続き(関税の支払いなど)の通過は認められません。

必要書類

日本から「生乳」「乳製品」を英国に輸入する際には、次の書類が必要になります。 輸入申告の前に、輸入者は「輸入手続き」の「1. 輸入許可、輸入ライセンス、商品の事前登録等(登録に必要な書類)」の項に記載のとおり、英国の輸入業者として必要な手続きをあらかじめ終えている必要があります。

  1. 通関申告書(単一管理文書 (SAD : Single Administrative Document))すべての輸出入手続きに必要な共通申請書。様式は維持規則(EU) 2016/341 Appendix B1に記載されています。
    通常の輸入申告または簡易輸入申告においても、輸入者は、CHIEF(Customs Handling of Import and Export Freight)またはCDS(Customs Declaration Service)のいずれかの通関処理システムを通じて、電子申告を行います。単一貨物識別番号(unique consignment referenceUCR)の情報も必要です。ただし、CHIEFシステムは2023年3月31日に終了し、CDSが単一のプラットフォームになるとされています。
  2. インボイス(商業送り状)
  3. パッキングリスト(包装明細書: P/L)
  4. 価格申告書(Customs Value Declaration)
  5. VATを支払うためのアカウント(duty deferment account)
  6. 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB)
  7. 公的証明書(動物衛生証明書Health certificatesや公衆衛生証明書)および識別マーク・その他必要に応じた証明書。「共通衛生入域文書(Common Health Entry Documents: CHED-P)」に必要な情報や「IPAFFS」システム申請のための入力事項
  8. 輸入ライセンスにかかる書類 (必要な場合)

簡易輸入申告適用のための申請資格・方法については英国政府のウェブサイトで確認することができます。

原産地証明

日英経済連携協定(日英・EPA)の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。書式に関しては税関のウェブサイト「原産地規則ポータル」で確認することができます。

国境管理所における動物検疫については「輸入規制」の「3. 輸入時の検査・検疫」の項を参照してください。

関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国動植物衛生庁(APHA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
動物検疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
2018年EU(離脱)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年EU(離脱協定)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年 公的管理(動物、飼料、食品、植物衛生など)(修正)(EU離脱)規則(2020 No. 1481)(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年 公的管理(動物、飼料、食品、植物衛生など)(修正)(EU離脱)(No. 2)規則 (2020 No. 1631) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU)2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 決定2007/275/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU) 2019/2007(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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維持規則(EU) 2019/1715(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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維持規則(EU) 2016/341(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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その他参考情報
英国政府 BCP所在地について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 動物性食品の輸入について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「牛乳乳製品衛生証明書の様式について」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 国境検疫対象の混合食品(EU域外第三国産)の動物衛生証明書の様式(2021年12月版)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)207KB
英国政府 簡易輸入申告 ガイダンス (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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英国政府 英国向け税関申告の(経過措置後の)要件 ガイダンス 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 IPAFFSシステムについて(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
経済産業省 日英包括的経済連携協定(日英EPA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
財務省関税局・税関「日英 EPA 自己申告及び確認の手引き(2020 年 12 月)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「日英EPA関連情報」
ジェトロ「日英EPA解説書:日英EPAの特恵関税の活用について」PDFファイル9.3 MB
税関 原産地規則ポータル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税関 EPA原産地規則マニュアルPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.6MB)
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2022年2月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。ただし、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。例えば、混合食品に関して、EUで2021年4月21日から適用されている新規則とは異なるため、輸入時に添付すべき書類や混合食品の分類などについて、注意が必要です。

公的管理・国境管理所におけるチェック
ヒトの消費を目的とする特定の動物および製品の貨物の英国への入域に関する要件に関し、動物衛生上の観点から、維持規則(EU)2017/625および維持規則(EU)2019/625により、第三国から英国に輸入される動物由来食品に関しても英国の衛生要件(維持規則(EC)853/2004)との整合が図られています。次の要件を最低限満たしていないと英国への入域ができません。
  1. 「第三国リスト掲載国」に由来している
  2. 当該貨物が維持規則(EU)605/2010に規定する要件を満たすことを発送元の第三国の当局が証明している
  3. 2. の要件を満たすことを第三国の当局が保証する次の文書が添付されている
    • 第三国の公的獣医により発行された動物衛生証明書 (animal health certificate)
    • 宣言(declaration)およびその他の文書(求められる場合)
このため、英国内への「生乳」、「乳製品」の輸入に際し、「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項に記載の、【英国への入域条件】(農場登録・施設認定など)を満たしたうえで、「輸入規制」の「2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類など(輸出者側で必要な手続き)」の項に記載の手順にのっとり、日本の動物検疫所に「輸出検疫証明書」(輸出検疫証明書(Export Quarantine Certificate)および英国が求める書式の獣医検疫(衛生)証明書(Veterinary Certificate for Export))をあらかじめ発行してもらいます。「生乳」「乳製品」にかかる公的証明書(衛生証明書や獣医検疫証明書)の様式は、維持規則(EU) 605/2010で規定されています。
公的管理の対象品は、維持規則(EU)2017/625 第47条および維持決定 2007/275/ECのANNEX Iに規定されているCNコード(混合食品)、または維持規則(EU)2019/2007のANNEX Iに掲載されている動物性食品および混合食品になります。
国境管理所において書類検査が実施され、リスクに応じて同一性検査と現物検査が実施されます。
維持規則(EU)2017/625および関連規則に、動物検疫の手続きなどについて、次のように規定されています。
  1. 文書検査(衛生証明書などの必要書類の確認、輸入条件への適合状況の確認など)
  2. 同一性検査(貨物が提出書類と対応しているかの確認)
  3. 現物検査(官能検査、簡単な化学検査、ラボラトリー検査)の3段階により行われます。
1)の文書検査において、衛生証明書は必ず原本でなければならず、コピーやファックスは認められません。また、3)の現物検査については、過去の違反事例や健康被害リスクなどを踏まえ、検査官が必要と判断した場合に実施されます(乳、冷蔵・冷凍乳製品の現物検査の実施頻度は約3割となっています)。
国境管理所における動物検疫に合格した際に「共通衛生入域文書 (CHED-P)」が発行され、貨物を国境検疫所から移動させることができます。
公的証明書(動物衛生証明書Health certificates)の様式は、英国政府のウェブサイトにおいて確認することができます。(動物衛生要件は維持規則(EU) No 605/2010がベースとなっています。)
これら動物検疫上の検査に加えて、食品添加物規制や残留動物用医薬品基準など、食品衛生に関するほかの英国/EU規制についても、適合状況をあわせて検査される場合があります(維持規則(EU)No 2017/625 第45条)。
なお、公的管理とは、次の各分野に関する英国/EU 法令・その他のルールへの適合を英国政府当局が統一的に管理することを指します。
  1. 食品安全、生産・加工・流通のあらゆる段階における食品の完全性および健全性、食品と接触する素材および製品(Food Contact Materials、食品包材やキッチン用品など) の製造と使用
  2. 食品または飼料の生産を目的とする遺伝子組み替え作物の環境への意図的導入
  3. 飼料の生産、加工および流通のあらゆる段階における安全
  4. 動物衛生に関する要件
  5. 動物副産物に由来するヒトや動物の健康へのリスクの予防・削減
  6. 動物福祉に関する要件
  7. 植物病害虫に対する保護措置(植物衛生)
  8. 植物保護製品(農薬)の販売および使用、農薬の持続可能な使用に関する要件
  9. 有機製品および有機製品のラベル表示
  10. 原産地呼称保護、地理的表示保護(GI)および伝統的特産品保証の使用とラベル表示
いずれの検査についても、要した費用は請求されます。
また、公的管理の強化期間中に同じ業者または国からの貨物が同じ違反を3回繰り返した場合は、英国政府は発送国の当局に対して、必要な調査と是正が要請されます。
なお、混合食品にかかる国境検査に関しては、「輸入規制」の「4. その他 混合食品」の項でも確認することができますが、国境管理所での公的管理の対象ではない食品であっても、「混合食品に用いられる加工済動物由来原材料の原産地がEU(英国)の「第三国リスト」に掲載され、かつ、EU(英国) が認可した施設で製造されたものである」という原則が適用されないというわけではありません。仕向け地、英国(EU)市場、倉庫で公的管理の検査が実施されます。
公的管理の新制度については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」も参照してください。

関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国動植物衛生庁(APHA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
動物検疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
2018年EU(離脱)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年EU(離脱協定)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年 公的管理(動物、飼料、食品、植物衛生など)(修正)(EU離脱)規則(2020 No. 1481)(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年 公的管理(動物、飼料、食品、植物衛生など)(修正)(EU離脱)(No. 2)規則 (2020 No. 1631) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU) 2019/2007(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU)2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 決定2007/275/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持委任規則(EU)605/2010 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2019/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国国境管理所(BCP)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「英国国境管理所(BCPs) : 生きた動物・動物製品の輸入」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国動植物衛生庁(APHA) 「英国における生きた動物・動物性食品・非動物由来飼料の国境管理所(BCP)ガイダンス」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 動物性食品の輸入について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 「英国向け生きた動物・動物由来製品の輸出にかかる動物衛生証明書の様式(2021年10月)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「牛乳乳製品衛生証明書の様式について」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 国境検疫対象の混合食品(EU域外第三国産)の動物衛生証明書の様式(2021年12月版)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)207KB
英国政府 簡易輸入申告 ガイダンス (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 輸入申告(非簡易申告)ガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 英国向け税関申告の(経過措置後の)要件 ガイダンス 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 IPAFFSシステムについて(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」

4. 販売許可手続き

調査時点:2022年2月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

食品事業者は英国法または英国国内法に組み込まれたEUの衛生法に従い、動物性由来の原材料を含む食品を取り扱う場合、第一次産業・家庭用消費を除き、管轄当局により各施設の登録、通知、または承認を受けることが義務付けられている場合があります(「一般食品に関する衛生規則」維持規則(EC) No 852/2004第6条ならびに「動物性食品に関する衛生規則」維持規則(EC) No 853/2004第4条)。

英国において食品事業を開始する際も、その施設を登録しなくてはならず、管轄の地域の自治体に開業の28日前に登録・通知しなくてはなりません。レストラン、小売り、テイクアウト、ケータリングだけでなく、遠隔販売、宅配、一時的なポップアップストアなど、食品を調理、料理、保管、流通、供給、販売など取り扱いをする事業者は登録が必要です。

また、食肉、生乳、卵や水産物など動物性食品を製造・加工する食品事業者は施設認定が必要となりますが、直接消費者に販売する商店(肉屋や魚屋など)は前述の登録・通知のみとなります。ただし、例外規定もあるため管轄地域の当局に問い合わせる必要があります
詳細は、英国食品基準庁(FSA)のウェブサイトで確認することができます。

5. その他

調査時点:2022年2月

なし

英国内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2022年2月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国の関税はThe UK Global Tariff(以下「UKGT」)として英国政府のウェブサイトに掲載されていますので、該当する品目の関税率を特定する必要があります。

また、日英経済連携協定(「日英・EPA」)の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。「日英・EPA」では、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明に関しては、税関のウェブサイトで確認することができます。また、商品に非日本産原料が含まれており、原産地の判断が困難な場合は、事前教示の制度により税関当局に照会することができます。「日英・EPA」が適用されない場合(同EPAのルール上の原産性を満たさないなど)、「UKGT」による税率が適用されます。

「日英・EPA」における「生乳」「乳製品」が該当する「UKGT」コードと関税率
UKGTコード/品目 関税率  
通常 日英・EPA適用 関税割当枠内税率
0401.20.11
2リットルを越えない包装済みミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥をしまたは砂糖その他の甘味料を加えたものを除く。)で乳脂肪分が3%以下のもの
15ポンド/100kg 非課税
(0%)
なし
0401.20.91
2リットルを越えない包装済みミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥をしまたは砂糖その他の甘味料を加えたものを除く。)で乳脂肪分が3%以上6%以下のもの
19ポンド/100kg 非課税
(0%)
なし
0401.50.9190
2リットルを越えない包装済みミルク(濃縮もしくは乾燥をしまたは砂糖その他の甘味料を加えたものを除く。)で乳脂肪分が45%以上
153ポンド/100kg 非課税
(0%)
なし
0402
ミルクおよびクリーム(濃縮もしくは乾燥をしまたは砂糖その他の甘味料を加えたものに限る。)
14.00 ~ 153.00ポンド/100kg※ 非課税
(0%)
 
0402.10.11
2.5 kg を越えない粉状の(濃縮もしくは乾燥をした)包装済みミルクおよびクリームで、砂糖その他の甘味料を加えておらず、乳脂肪分が1.5%以下のもの
104ポンド/100kg 非課税
(0%)
なし
0402.21.11
2.5 kgを越えない粉状の(濃縮もしくは乾燥をした)包装済みミルクおよびクリームで、砂糖その他の甘味料を加えておらず、乳脂肪分が1.5%以上27%以下のもの
113ポンド/100kg 非課税
(0%)
なし
0403
バターミルク、凝固したミルクおよびクリーム、ヨーグルト、ケフィアその他発酵させまたは酸性化したミルクおよびクリーム
10.00~141.00ポンド/100kg※ 非課税
(0%)
 
0403.20.1100
ナッツ、チョコレート、フルーツなどいかなる香料やトッピングを含有していない乳脂肪分が3%以下の無糖のプレーンヨーグルト
17ポンド/100kg 非課税
(0%)
なし
0405
ミルクから得たバターその他の油脂およびデイリースプレッド
158.00 ~193.00ポンド/100kgまたは8% 非課税
(0%)
 
0406 チーズおよびカード 116.00 ~185.00ポンド/100kg 非課税
(0%)
 
0406 902110
低温殺菌されていない生乳から作られ、最低脂肪含有量が50重量%(乾物中)で、少なくとも9カ月間熟成した、その他特定の要件を満たす一部のチェダーチーズ
139ポンド/100kg 非課税
(0%)
175.74ポンド/トン

2. その他の税

調査時点:2022年2月

英国への輸入には、輸入関税に加え、付加価値税(VAT)や物品税が品目によって課されます。
乳および乳製品に該当するHSコード(0401~0406)の販売について、VATは課されません。

関連リンク

関係省庁
英国歳入関税庁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持指令2006/112(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。

3. その他

調査時点:2022年2月

なし

その他

調査時点:2022年2月

有機食品に関する規制
2021年1月1日以降、英国で有機食品を取引する場合、英国の規則(イングランド、ウェールズ、スコットランド)を順守する必要がありますが、EUの規則と類似のものとなっています。
日本の特定の有機食品は、英国との間で同等性が認められており、英国に有機JASの農産品または農産加工品などを輸入する場合、英国の有機認証団体から認可を受けることにより英国でも有機食品(「Organic」)として表示できます。ただし、畜産物は「同等性」利用の対象外となっているため、有機JASを取得した「生乳」や「乳製品」であっても、英国へ「有機食品」として輸出(「Organic」の表示)することはできません。
また、英国とEUの間で、2023年12月31日まで、有機認証の相互同等性を認めているため、EUで有機認証されている食品も、英国でも有機食品として表示できます。
詳細は、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)に問い合わせてください。