2023年の対内直接投資額、過去最高の130億ユーロを記録

(ハンガリー)

ブダペスト発

2024年01月30日

ハンガリー投資促進庁(HIPA)は1月15日、2023年の外国投資受け入れに関する報告書を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同報告書によると、2023年に発表された対内直接投資額は130億1,400万ユーロで、過去最高だった前年の65億ユーロから約2倍に拡大した。直接投資件数は209件だった。中国を筆頭に引き続きアジアからの投資が活発で、投資額の82%を中国、韓国、日本からの投資が占めた。

金額ベースでみると、最大の投資国は中国で76億1,800万ユーロ、次いで韓国の19億8,600万ユーロ、ドイツの9億6,100万ユーロだった。また、外国からの直接投資による新規雇用創出数も過去最高の1万9,692人を記録した。そのうち、中国は1万310人の新規雇用を創出し、全体の半分以上を占めた。2位はドイツの2,235人、3位は韓国の2,137人だった。なお、2023年に発表された中国による大型投資案件としては、電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)による工場建設などがあった(2024年1月4日記事参照)。今回の結果について、 HIPAのヨー・イシュトバン長官は「アジアのパートナーが果たす役割は、今や、政府が進める『東方開放政策』の成功を示す模範となっている」とコメントした。

投資規模については、投資件数全体の約3分の1にあたる69件が5,000万ユーロ以上の大型投資案件で、直接投資額全体の90%以上(総額118億ユーロ超)を占めた。そのほかの140件は、再生可能エネルギー設備の設置やエネルギー効率化に伴う設備投資などを後押しする、政府の工場救済プログラム(注)に関連した案件で、投資総額は12億ユーロとなった。

産業分野別では、自動車産業および電気・電子産業が引き続き首位の座を維持し、両者を合わせると投資額、新規雇用者数ともに全体の約90%を占めた。このほか、雇用創出では情報通信技術(ICT)が、大型投資ではプラスチック、容器・包装、化学、金属の各産業が貢献した。

さらに、ハンガリー政府は、投資を首都ブダペストのみに集中させるのではなく、地域経済のより均等な発展を進めようとしている。同報告書によると、2023年の投資案件の87%は首都圏以外の場所となった。

シーヤールトー・ペーテル外務貿易相は自身のSNSへの2023年12月3日付の投稿で、2023年も好調だったハンガリーの対内直接投資の状況について、「これからも競争は絶えない。私たちの目標は、欧州で最も競争力のある投資制度を持つことであり、手をこまねいてはいられない」と述べた。

(注)工場救済プログラムは、ロシアによるウクライナ侵攻後、国際的なエネルギー価格の高騰対策として政府が2022年11月に開始したハンガリー国内企業向けの補助金制度(2022年10月26日記事参照)。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

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