日本からの輸出に関する制度

牛肉の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する牛肉のHSコード

本稿で定義する「牛肉」の規則は基本的には、生鮮肉に適用されるものに触れるものとし、第16項に分類される食肉製品や加工食品については触れないものとする。
調製品(加工食品)については、本ポータルサイト「EU」の「混合食品」で確認してください。

0201.30:牛の肉(生鮮のものおよび冷蔵したものに限る)のうち、骨付きでない肉

欧州議会・理事会規則 (EC) 853/2004 ANNEX Iの定義による「生鮮の牛肉(fresh meat)」とは、冷却、冷凍または急速冷凍以外の保存処理をしていない肉をいい、真空パッケージングされた肉または制御気圧でパッケージングされた肉を含む。

なお、本稿の品目対象外である、 「肉調製品(meat preparations)」は、食材、香味料もしくはそこに加えられた添加物を含む、または肉の内部筋繊維組織の改変に不十分な処理を施しこれにより生鮮肉(fresh meat)の特性をなくした、生鮮肉(fresh meat)(断片化された肉を含む)を指し、 「肉製品(meat products)」は、当該製品がもはや生鮮肉(fresh meat)の特性を有しないことがその切断面からわかるように施された、肉の加工または当該加工済み製品のさらなる加工に由来する加工済み製品をいう。 日本で「肉調製品」と呼ぶ際には、「加工食品」のことを指す場合があるため、分類に注意してください。

調査時点での最新情報を記載していますが、2019年12月14日から2021年4月にかけて混合食品含め、植物衛生、動物衛生、公的管理の規則が新制度に移行中のため、記載事項は常に変更される可能性がある点に留意してください。
また、新制度については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」も参照してください。

なお、公的管理とは、次の各分野に関するEU 法令・その他のルールへの適合をEU加盟国当局が統一して管理することを指します。

  1. 食品安全、生産・加工・流通のあらゆる段階における食品の完全性および健全性、食品と接触する素材および製品(Food Contact Materials、食品包材やキッチン用品など) の製造と使用
  2. 食品または飼料の生産を目的とする遺伝子組み替え作物の環境への意図的導入
  3. 飼料の生産、加工および流通のあらゆる段階における安全
  4. 動物衛生に関する要件
  5. 動物副産物に由来するヒトや動物の健康へのリスクの予防・削減
  6. 動物福祉に関する要件
  7. 植物病害虫に対する保護措置(植物衛生)
  8. 植物保護製品(農薬)の販売および使用、農薬の持続可能な使用に関する要件
  9. 有機製品および有機製品のラベル表示
  10. 原産地呼称保護、地理的表示保護(GI)および伝統的特産品保証の使用とラベル表示

関連リンク

関係省庁
根拠法等
規則(EEC)No 2658/87(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
規則(EC) No 853/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州議会・理事会規則 (EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
財務省貿易統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」

EUの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年12月

BSE(牛海綿状脳症)感染のリスクが高いとして、欧州議会・理事会規則(EC)999/2001 ANNEX Vで定められた次の特定危険部位は、EU域内への輸入が禁止されています。

  • 12カ月齢超の牛の頭蓋(下あごを除き、脳・眼を含む)および脊髄
  • 30カ月齢超の牛の脊柱(尾椎、頸椎・胸椎・腰椎の棘突起および横突起、正中仙骨稜、仙骨翼を除き、背根神経節を含む)
  • (月齢にかかわらず)扁桃、小腸の後部4メートル、盲腸および腸間膜

なお、日本における特定危険部位は次のとおりですが、前述のEU規制と一部差異があるため留意が必要です。

  • (月齢にかかわらず)扁桃、回腸遠位部(盲腸と回腸の接続部分から2メートルまでの部分)
  • 30カ月齢超の牛の頭部(舌・頬肉・皮を除く)、脊髄、背根神経節を含む脊柱
EUへの入域条件
EU域内に生鮮牛肉を輸出するためには、一次生産から加工に至るまでEUの求める衛生基準を満たすことが求められています。国レベルでは、対象の動物性食品が「残留モニタリング承認リスト」に掲載、EU域内への輸出を許可された「第三国リスト掲載国」となること、事業者レベルでは、当該生鮮牛肉が「EU (HACCP)認定施設(と畜場、食肉処理場含む)」を経由、加工を行うことで輸出が可能となります。
EU域内に生鮮牛肉を輸出するには、国レベルでは、
  1. 規則(EU)2017/625に基づき、「残留物質モニタリング計画」の承認を受け、対象品目が指令2011/163/EUの国別のリスト(残留モニタリング承認リスト)に掲載される。
  2. 対象品目が実施規則(EU) 2021/404(動物衛生)または、実施規則(EU) 2021/405(公衆衛生)の「第三国リスト」に掲載される。
    EU向け輸出牛肉は、「(1)輸出検疫証明書を交付する日において、過去 12 カ月間牛疫および口蹄疫に関して清浄な国であり、同時期に当該疾病に対するワクチンの接種がなされていないこと。(2)牛海綿状脳症(BSE)に関して無視できるリスク国であること。」から日本は1、2の「生鮮牛肉」の国レベルでの入域条件を満たしています。
また、事業者レベルでは、
  1. EU向け生鮮牛肉をEU規則に基づく衛生およびHACCP管理基準を満たしている旨、国の認定を受けたと畜場・食肉処理場から調達する(EU HACCP認定由来を証明する識別マークを添付した牛肉を調達する)。または、認定を申請し、認定施設のリストに掲載され、認可施設の番号を入手する。
  2. EU輸出向け牛肉を加工する場合は、認定と畜場、食肉処理から調達した原料(識別マーク付きの牛肉)を認定加工施設で加工する必要があります(肉製品の認定施設での加工。ただし2021年12月現在、日本には不在)。その他、委任規則に定められた動物衛生に関する要件を満たすこと。
要件や公的証明書、施設の認定などに関しては、次項「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項を必ず確認してください。
なお、品目の定義(HSコード)でも説明のとおり、EUにおける「肉調製品(Meat preparations)」とは、生鮮肉(断片化された肉を含む) であって、食品、調味料もしくは添加物が添加されているもの、または肉の内部の筋肉繊維の構造を変化させることにより生鮮肉の特性を除去するには不十分な工程を経たものをいい、加工食品については、「肉製品(Meat products)」という用語を使用しています。 また、EUでは、動物由来加工製品(Processed products of animal origin)と植物由来製品(Products of plant origin)の両方を含む食品を「混合食品(Composite product)」と定義し(欧州委員会決定2007/275/EC Article2)、特別な規制を設けています。
肉製品と混合食品の違いについては、「4.その他」を参照してください。
※本項以降では、EU規制に加え、主要EU加盟国がEU規制に上乗せで定めている独自規制についても言及していますが、これは、ジェトロで把握できた範囲において言及しているものであり、各国の独自規制を網羅しているものではありません。また、各項目で明示的な言及がない加盟国については、記載できる情報がないということであり、独自規制が存在しないということではありません。

2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2021年12月

と畜場および食肉処理施設の認定手続き
と畜場や食肉処理場の認定を受けるための手続きや要件、HACCP管理の手順は、農林水産省の「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタインおよびノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)で確認することができます。
と畜場や食肉処理場の認定を受けようとする場合には本取扱要綱に指定される別紙様式を食肉衛生検査所長および都道府県知事などを経由して厚生労働省あてに申請します。厚生労働省により既にアメリカ合衆国、カナダまたは香港に牛肉を輸出可能なと畜場などとして認定されている場合は一部手続きが省略されます。
厚生労働省は、書類審査および現地調査において、と畜場などの施設、設備などが取扱要綱に規定される要件などを満たしていると確認した場合は、認定番号を付して欧州委員会保健衛生・食の安全総局に通知します。欧州委員会(DGSANTE)のウェブサイトに掲載された後、厚生労働省が都道府県知事などを通じて、申請者に認定した旨を通知し、申請者はEUへの輸出が可能となります。
肉製品(加工食品)の施設認定に関しては、「輸入規制」の「4. その他 :肉製品(加工食品)と混合食品」の項を確認してください。また、腸詰などの「ケーシング」や「ゼラチン・コラーゲン」の施設認定については、本稿で触れませんので、農林水産省ウェブサイトの当該取扱要綱で確認してください。
輸出検疫証明書の発行手続き
規則(EU)2019/625第13条に記載のとおり02項は公的証明書(輸出検疫証明書)が必要となります。
  1. 「食肉衛生証明書」の発行申請
    施設の認定を受け、DGSANTEのウェブサイトに認定施設として掲載された後、EUへの食肉輸出に必要な「輸出検疫証明書」を入手するために、取扱要綱で指定される別紙を添えて管轄する食肉衛生検査所長に検査申請書を提出し、EU向け輸出食肉の検査申請を行う必要があります。
  2. 輸出検疫証明書の発行申請
    前述の食肉衛生検査に合格した食肉に対して「食肉衛生証明書」が発行された後、取扱要綱に指定される「輸出検査申請書」の様式を、「食肉衛生証明書の写し」と一緒に動物検疫所に申請し、認められた場合「輸出検疫証明書」(Export Qualantine Certificate)が発行されます。
なお、「取扱要綱」の別添7に記載のとおり、輸出の都度、食肉衛生証明書の発行手続きが必要です。電子メールまたはNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を利用して、食肉衛生検査所に提出できます。また、スライス加工した食肉に関しても、前述と同様の「食肉衛生証明書」でEUへの輸出ができます。
原産地表示とトレーサビリティの管理
トレーサビリティの観点から、牛肉の食肉処理場はと畜場に併設され、と畜・解体から分割まで一貫して行われている必要があります。また、EU向けに処理される牛は日本において生まれ、飼養されて、洗浄・消毒された車両で輸送されている必要があります。
輸出時と輸入時の動物検疫(獣医学検査)に関しては、「輸入規制」の「3. 動植物検疫の有無」の項または「輸入手続き」の「3. 輸入時の検査・動物検疫」の項を参照してください。 また、不正の防止の観点から検印、封印シールおよび格付印などにかかる基準が定められています。詳細は、「食品関連の規制」の「6. ラベル表示」の項を参照してください。
動物衛生の新規則の概要に関しては、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」でも確認することができます。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年12月

動物検疫所への輸出検疫検査の申請
欧州委員会規則(EU)2017/625および実施規則(EU)2021/632のANNEX のリストの掲載のとおり、本原稿の対象品目であるHSコード0201類はEUの国境での動物検疫の対象となっています。
EU域内への生鮮牛肉の輸出に際し、「輸入規制」の「2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項に記載のとおり、施設登録の要件を満たしたうえで、日本当局(管轄する食肉衛生検査所長)に検査申請書を提出し
  1. 「食肉衛生証明書」を入手、
  2. 輸出検疫証明書の発行を申請し、EUへの輸出が可能であることを確認のうえ、日本の動物検疫所に「輸出検疫証明書」(輸出検疫証明書(Export Quarantine Certificate)およびEUが求める書式の獣医検疫(衛生)証明書(Veterinary Certificate for Export))を発行してもらいます。
この申請はNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を利用して申請できます。
動物由来食品の輸入に関する公的証明書(衛生/検疫証明書)には、食品公衆衛生 (ヒトが食べて安全か)の観点のみから発行されるものと、食品公衆衛生と獣医証明(家畜などの伝染病の予防や動物衛生)の両方の観点から発行されるものがあり、牛肉や肉製品には後者の公的証明書が求められます。公的証明書(衛生証明書や獣医検疫証明書)の様式は、実施規則 (EU) 2020/2235で規定されるものを使用することになります。
輸出国側での現物検査
前述の申請事項に基づいて、動物検疫所は現物の検査を行う場合があります。現物検査は、動物検疫所、家畜防疫官の指定検査場所および農林水産大臣の指定検査場所のいずれかで実施され、必要に応じて精密検査、生産工場などの調査が実施される場合があります。これらの書類検査・現物検査のうえ、認められた場合に、輸出検疫証明書またはEUが求める書式の獣医検疫証明書が交付されます。
輸出入検疫を受ける空港や港を管轄する動物検疫所の問い合わせ先リストは動物検疫所のウェブサイトで確認することができます。
衛生の識別マーク
また、EU域内に輸出される生鮮牛肉には、当該生鮮牛肉が認定施設由来であることを証明する施設番号と、当該施設の所在国名(「JP」などISO基準の2文字略号も可能)を記した「識別マーク」(identification mark)が必要です(規則(EC)No 853/2004第5条およびANNEX II Section I)。その他「容器包装の封印シール」については「食品関連の規制」の「6. ラベル表示」の項を確認してください。
動物衛生上の観点から、規則(EU) 2016/429 および委任規則(EU)2020/692により、次の要件を満たしていない場合、EUへの入域ができません。
  1. 第三国リスト掲載国に由来している
  2. 当該貨物が本規則に定める一般要件(第6 条~10 条)および該当する個別要件(パート II~パート VI)を満たすことを発送元の第三国の当局が証明している
  3. 前述 b)要件を満たすことを第三国の当局が保証する次の文書が添付されている
    • 第三国の公的獣医により発行された動物衛生証明書 (animal health certificate)
    • 宣言(declaration)およびその他の文書(本委任規則により求められる場合)
      さらに、前述のとおり、生鮮牛肉は同規則の第4条、第6条〜10条(一般要件)とパートIVタイトル4第124条〜128条)およびリスクの低減措置(ANNEX XXIII~XXV)に適合している必要があります。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
動物検疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
決定2007/275/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
委任規則 (EU)2020/692 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EU) 2017/625(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU)2019/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
決定2011/163/EU (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU) 2021/404(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU) 2021/405(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU) 2021/1533(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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実施規則(EU)2021/632(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則 (EU) 2020/2235(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)2128KB
農林水産省「証明書や施設認定の申請(欧州)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
動物検疫所 輸出畜産物の検査手続外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」

4. その他

調査時点:2021年12月

肉製品(加工食品)と混合食品
EUにおいて「肉製品(meat products)」とは、当該製品がもはや生鮮肉(fresh meat)の特性を有しないことがその切断面からわかるように施された肉の加工、または当該加工済み製品のさらなる加工に由来する加工済み製品を指します。
なお、EUにおいて「未加工食品」とは、加工を受けていない食料品をいい、分割、分離、切断、スライス、骨抜き、刻み、皮剥ぎ、粉末化、切り込み、洗浄、トリミング、殻剥き、製粉、冷却、急速冷凍または解凍された食品も含むと定義され(欧州議会・理事会規則(EC)852/2004第2条 の1項)ます。一方、加工とは、当初の(加工前の)材料を実質的に変化させるプロセスのことであり、加熱、燻蒸、保蔵(curing)、熟成、乾燥、マリネ(marinating)、抽出、押出成型、またはそれらの組み合わせも含まれます。
肉製品であってもEU向けの場合、生鮮牛肉同様、「残留モニタリング計画」により「第三国リスト」に掲載された国由来かつ認定施設で加工された肉製品のみが輸出可能です。日本においては肉製品も「第三国リスト」入りしていますが、2021年12月現在、肉製品の認定施設が存在していません。
「肉製品」の加工施設の認定の場合
EU輸出向け肉製品を製造する施設に認定が必要となります。農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)に記載されている衛生管理基準(標準手作業基準、微生物検査、自主管理)や要件にのっとり、同「取扱要綱」別紙様式3を当該施設管轄の都道府県知事など(地方厚生局)に申請します。
原料の食肉も、EU認定と畜場、食肉処理場(解体や分解を含む)から調達する必要があります。外国の認定施設から原料肉を輸入調達して食肉製品を製造する場合は、EUの衛生要件を満たしていることを証明する外国政府機関発行の証明書が必要となります。
認定後の輸出検疫証明書の申請
基本的な流れは「生鮮牛肉」の輸出検疫証明書入手と同じ流れですが、
  1. 認定施設由来の牛肉(原料)を調達し、認定施設で加工した肉製品を輸出する場合、あらかじめ原料食肉製造者に依頼し、原料肉にかかる「原料食肉証明書」の原本を入手します(外国認定施設所由来の場合を除く)。「原料食肉証明書」の発行については、原料食肉製造者が「取扱要綱」に指定される別紙様式により、管轄の食肉衛生検査所などに申請します。電子メールによる申請方法については、別添4により発行を依頼できます。合格した原料肉には「原料食肉証明書」が発行されます。
  2. 「取扱要綱」に指定される別紙様式の要件を満たしたうえで、指定の様式により衛生証明書発行申請書を前述の「原料食肉証明書」と一緒に、施設の管轄する保健所に提出し、衛生証明書の発行手続きを行います(NACCSを利用する場合は、同「取扱要綱」別添4のとおり)。
  3. 「取扱要綱」別紙様式11-1に規定される要求を満たしたうえで、動物検疫所に対し「輸出検査申請書」と「衛生証明書」の原本を添付し、輸出検疫を依頼します。動物検疫所による前述の情報の確認の後、輸出検疫証明書が交付された場合、当該製品に添付することで輸出が可能となります。
混合食品
一方、EUでは、加工された動物性食品(注1)と植物性原材料の両方を含む食品を「混合食品」と定義し(欧州委員会決定2007/275/EC Article2)、特別な規制を設けています。
例えば、生鮮肉と野菜のくし刺(冷凍)などは未加工動物性食品とされ、たまねぎと牛ひき肉が一緒に入った缶詰やトマトに生鮮肉を詰めたファルシーなどは肉製品(加工済み動物性食品)と分類されます。一方で、肉エキスや野菜製品のスープの素(固形)や焼きベーコン、野菜、ピザ生地を同時に焼いたものなど(調理済み食品)は混合食品とされることがあります。
詳細は、本ポータルサイトの「EU」向け「混合食品」「菓子」「調味料」、および農林水産省ウェブサイトの「EUにおける新たな混合食品規制への対応について」を確認してください。
基本的には、肉製品(肉エキスを含む)を含む混合食品においては、肉製品の輸出同様、日本で発行された獣医検疫証明書が必要とされ、EU側での検疫対象となります(公的証明書が必要)。混合食品を製造する施設に認定は不要ですが、原料の肉は認定施設から調達する必要があります。ただし、未加工の肉から混合食品を製造する加工施設には認定が必要となります。詳細は、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」で確認することができます。
規則(EU)2019/625第12条に記載されるHSコード1517, 1518, 1601 00, 1602(肉の調製品、ソーセージを除く調製をし、保存に適する処理をした肉、くず肉を含む), 1603 00 (肉エキスを含む), 1604, 1605, 1702, 1704,
1806, 1901, 1902 (スパゲッティ、ラザーニヤなど), 1904, 1905, 2001, 2004, 2005, 2101, 2103 (ソース、ソース用調製品など), 2104, 2105 00, 2106 (その他調製食料品), 2202, 2208に該当する混合食品については、次のとおり分類されます。
対象混合食品の分類
分類 混合食品の生産国要件 施設のEU認可の要否 添付書類
混合食品
カテゴリーA
:温度管理が必要
混合食品に含まれるすべての動物由来加工原料について、第三国リスト規定されていること ※1 冷蔵の出汁入りみそ、冷凍和菓子 動物性加工原材料はEU認可施設に由来する必要あり
※3
公的証明書※4
肉製品、乳製品、卵製品を含む混合食品: 動物検疫所 (輸出検疫証明書)
水産製品のみを含む混合食品: 農林水産省輸出・国際局(衛生証明書)
混合食品
カテゴリーB
:温度管理が不要で肉製品※1を含む。
混合食品に含まれる肉製品について、第三国リスト規定されていること ※2 肉エキスを含むラーメンスープ 動物性加工原材料はEU認可施設に由来する必要あり
※3
公的証明書※4
肉製品、乳製品、卵製品を含む混合食品: 動物検疫所 (輸出検疫証明書)
混合食品
カテゴリーC
:温度管理が不要で肉製品※1を含まない。
混合食品に含まれるか否かを問わず、肉製品、水産食品、乳製品(および初乳ベース)、卵製品のそれぞれが第三国リスト規定されていること※2 出汁の素
肉エキスなどを含まないめんつゆ
和菓子など
動物性加工原材料はEU認可施設を由来する必要あり
※3
自己宣誓書※5を添付
(輸入者)
動物性加工食品 牛肉入りカレー EU認可施設で製造 公的証明書

なお、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱 」は整備されていますが、2021年12月現在日本には「肉製品」の認定加工施設は存在しないため、留意が必要です。

関連リンク

その他参考情報

EUの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年12月

農産物市場体系を確立する欧州議会理事会規則(EU)1308/2013第75条と第78条により、いくつかの製品・セクター(対象品目)に関しては、EU域内で流通するための食品の規格または名称の定義が設けられています。

牛肉は、EUの共通農業政策(CAP)における農産品の共通市場制度(CMO)の対象と なっており(第78条)、生産者の競争力の向上、需給バランスの維持、伝統と生産者の正当な利益の保護、消費者の保護を目的に、12カ月齢以下の牛肉の定義、8~12カ月齢未満の牛肉の格付けや各加盟国言語の販売時の名称、ラベル表示義務や、義務付けられている登録内容、輸出入に関するルールなどが定められています。12カ月齢未満の子牛の肉に使用される販売名称を12カ月齢以上の子牛の肉のラベルに表示してはいけません。

主な加盟国における販売名称
加盟国名 8カ月齢未満の子牛
(カテゴリーV)
8~12カ月齢未満の子牛
(カテゴリー Z)
イタリア vitello, carne di vitello vitellone, carne di vitellone
オランダ Kalfsvlees rosé kalfsvlees
スペイン ternera blanca, carne de ternera blanca Ternera, carne de ternera
ドイツ Kalbfleisch Jungrindfleisch
フランス veau, viande de veau jeune bovin, viande de jeune bovin
食品公衆衛生
EU域外から輸入される食品については、欧州議会・理事会規則(EC)No 178/2002に基づきEUが求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則第11条)。
そのため、EUの食品輸入事業者は、輸入した食品がEUの食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、加盟国の所管当局に通知する義務があります(欧州議会・理事会規則(EC)No 178/2002 第19条)。また、同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、EUが当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則第53条)。
EUの衛生法(衛生パッケージ)は規則(EC)No 178/2002 (食品一般法)、規則(EC)852/2004 (一般食品の衛生規則)、規則(EC)853/2004 (動物性食品の衛生規則)、規則(EC) 183/2005 (動物の飼料に要求される衛生規則)、そして新公的管理規則(EU)2017/625およびこれらの規則を補完する関連規則(例えば、委任規則 (EU) 2019/625など)により構成されています。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EU) No 1308/2013 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) No 852/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EU) 2017/625(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
規則(EC) No 183/2005 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) No 2019/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2021年12月

「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」で説明のとおり、欧州委員会規則 (EU)2017/625に基づき、EU域内に牛肉を輸出することが可能な認定を受けた加工施設などの事業者は、別途定められたモニタリング計画および実施要領(危害分析およびHACCP 計画)に従い、定期的な天然毒素、微生物学的汚染物質、化学的汚染物質農薬や残留動物用医薬品などのモニタリング検査の実施が必要です。

また、2021年4月21日から、家畜の伝染病予防に関する動物の衛生要件に関して一般要件および個別要件を規定する委任規則(EU)2020/692が施行されています。牛肉のモニタリング計画は同規則、あるいは国際獣疫事務局(OIE)の定める規定に沿って実施されます。その他、牛の「輸送車両及び輸送」に関しても、農林水産大臣の承認を受けた消毒薬を用い、洗浄及び消毒される必要があります。詳細は、農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」を確認してください。

さらに、公的検査の枠組みの中で、規則2019/627 第45条によりEU規則で禁止された物質の利用または定められた最大残留農薬基準値(MRLs)や最大残留動物用医薬品基準値などを超えた動物由来食品(生鮮肉)を「ヒトの消費用の生鮮肉」として適合しないと検査官が宣言するとしています。

EUでは、使用可能な農薬について、ポジティブリスト制を採用し、食品の種類ごとに許容される残留農薬の上限値(Maximum Residue Limit:MRL)が規定されています(欧州議会・理事会規則(EC)No 396/2005)。MRLはEUの農薬データベースの「動物性食品(牛)」で確認することができます。当該食品1キログラムあたりに許容される農薬量(mg/kg)として示され、MRLが設定されていない農薬と食品の組み合わせに対しては、一律0.01mg/kgの下限値が適用されます。

EUにおける動物由来食品向け残留薬理的活性物質(pharmacologically active substances)に関しては、EU規則(EC) 470/2009および規則(EU) No 37/2010 ANNEXに記載されています。これらの、関連規則に関しては、欧州委員会の残留動物医薬品などに関するサイトで確認することができます。

規則 (EU) 37/2010のANNEXに記載される動物由来食品におけるMonensin Aの残留薬理的活性物質のMRL(牛肉)
薬理的活性物質 動物種 MRL 対象部位 条件や要件 処方区分
Monensin Monensin A 牛(Bovin) 2 μg/kg 牛筋肉Muscle Anti-infectious agents抗感染症薬/
抗生物質Antibiotics
10 μg/kg 脂身
50 μg/kg 肝臓
10 μg/kg 腎臓
2 μg/kg 牛乳

さらに、(EU)2019/6により2022年1月28日からEUに輸入される畜産物に新しい動物用医薬品(veterinary medicinal products)規則が適用されます。本規則第118条に「EUに輸入される動物または動物由来の製品」について規定されており、

  • 成長促進剤や生産量増加を目的とした抗微生物薬(Antimicrobial medicinal)の使用を禁止(同規則第107条2項)
  • 特定のヒトの感染症の治療用の抗微生物薬(同規則第37条5項)をEU向け輸出用の動物または動物由来製品に使用してはならない

とされています。しかし、「人体用に使用が制限される抗菌剤のリスト」および「第三国からの輸入に関する委任規則」については、まだ規定されていないことから、現状は農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」に規定される条件に従ってください。
なお、本新規則と同時期に施行されている医薬用飼料 (medicated feed)にかかる規則 (EU) 2019/4と併せて、EU規則2017/625の公的管理の対象となっているため、動向に注意が必要です。

なお、家畜の飼料の添加物に関しては、規則(EC)1831/2003に規定されており、本規則第5条により、「抗コクシジウム剤(coccidiostats)または抗ヒストモナス剤(histomonostats)以外の抗生物質(Antibiotic)は飼料の添加物として許可されない(第5条 (4))」とされています。抗コクシジウム剤または抗ヒストモナス剤の飼料添加物の場合、同規則第7条にのっとり、承認を得る必要があります。認可された飼料用添加物に関しては、欧州委員会のウェブサイトで確認することができます。

その他、残留物質や動物医薬品には関連しませんが、EU基準の動物福祉に関しては、農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」別添6「動物福祉に関する基準」を確認してください。

3. 重金属および汚染物質(最大残留基準値/禁止)

調査時点:2021年12月

EUは、欧州委員会規則(EC)1881/2006で食品カテゴリーごとに含まれる汚染物質の上限値を規定しています。ここでの「汚染物質」とは、意図的に食品に添加されたものではなく、食品の生産(作物管理、畜産、獣医療における作業を含む)、製造、加工、調理、処理、包装、梱包、輸送および保管などのプロセスまたは生育環境に由来して、食品中に存在する物質をいいます(欧州理事会規則(EEC)No315/93 第1条(1))。
骨付きでない生鮮牛肉が該当する汚染物質の上限値は、次のとおりです。ただし、ここに記載されている以外にも、乳児・幼児用の食品、医療用栄養食品に関して別途上限値が規定されているため注意が必要です。

汚染物質の上限値(骨付きでない生鮮牛肉)
項目 上限値 対象品目
0.10 mg/kg(湿重量) 牛、羊、豚および家きんの食肉(内臓は除く)
0.20 mg/kg(湿重量) 牛、羊の内臓
カドミウム 0.050 mg/kg(湿重量) 牛、羊、豚および家きんの食肉(内臓は除く)
0.50 mg/kg(湿重量) 牛、羊、豚、家きんおよび馬の肝臓
1.0 mg/kg(湿重量) 牛、羊、豚、家きんおよび馬の腎臓
無機スズ 200 mg/kg(湿重量) 飲料以外の缶詰
ダイオキシン類合計(WHO-PCDD/F-TEQ)(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシンとポリ塩化ジベンゾフランの毒性等量合計※1) 2.5 pg/g脂肪※2 牛および羊の食肉、食肉製品
0.3 pg/g(湿重量)
 
牛、豚および家きんの肝臓
ダイオキシン類、ダイオキシン様PCB類の合計(WHO-PCDD/F-PCB-TEQ)(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ビフェニルの毒性等量合計※1) 4.0 pg/g脂肪※2 牛肉、牛肉製品
0.5 pg/g(湿重量) 牛、豚および家きんの肝臓
PCB28,PCB52,PCB101,PCB138,PCB153,PCB180の合計(ICES-6) 40 ng/g脂肪※2 牛肉、牛肉製品
3.0 ng/g(湿重量) 牛、豚および家きんの肝臓
ベンゾ[a]ピレン 2.0 mg/kg 燻製肉および燻製肉製品※3
ベンゾ[a]ピレン、ベンズ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、クリセンの総量 12.0 mg/kg

なお、2021年8月30日から、規則(EC)1881/2006を改正する規則(EU)2021/1323および(EU)2021/1317によりカドミウムと鉛の上限値のリストに「塩」や「香辛料」なども追加されているため、加工食品などに原材料として、使用する場合は注意が必要です。

また、食品事業者に適用されるEU規則「食品の微生物学的基準に関する委員会規則(EC) 2073/2005によりEUにおける食品中の微生物学的判断の基準が規定されており、同規則により生鮮肉や肉製品のサルモネラの上限値が定められています。詳細は、農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」「別添3 HACCP 方式による衛生管理実施基準」で確認することができます。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EC)No 1881/2006(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EEC)No 315/93(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU)2020/685 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2019/1021 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) 2073/2005 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
規則(EU) 2021/1323 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2021/1317 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
欧州委員会 「重金属および汚染物質に関する規制」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)2128KB

4. 食品添加物

調査時点:2021年12月

EU では、着色剤や保存料、酸化防止剤、その他乳化剤・安定剤などの食品添加物と、食品香料および食品酵素を区別し、これらを合わせて「食品改良剤(Food Improvement Agents)」)と総称しています。食品改良剤については、ポジティブリスト形式での規制が課されており、認可を得た食品改良剤のみが使用を認められています。食品添加物および食品香料のポジティブリストについては、欧州委員会のウェブサイトで検索が可能です。食品酵素については、調査時点ではポジティブリストが完成していないため、ポジティブリスト形式での使用規制は適用されていません。

食品改良剤に関するEU根拠法
食品改良剤 根拠法 定義
食品添加物 規則(EC) 1333/2008 それ自体は通常は食品として消費されず、栄養価の有無を問わず、食品の典型的な原材料としては通常は使用されない物質で、食品の製造、加工、調理、処理、包装、輸送、保存の段階において技術的な効果(防腐、酸化防止、色の定着など)を意図的に追加することにより、その物質やその副産物が直接的・間接的に食品の構成要素となるか、なることが十分に予想される物質。E番号で表示される。
ただし、次の物質は食品添加物として使用されない場合本規則の適用外である。
  • 加工助剤(processing aids)
  • 植物の健康に関する共同体ルールに従って植物や植物製品の保護のために使用される物質
  • 栄養素(nutrients)として食品に添加される物質
  • 理事会指令98/83/ECの範囲に該当するヒトの消費を意図した水の処理などで使用される物質
  • 規則(EC) No 1334/2008の範囲に該当する香味料
その他、添加物とみなされないものについては同規則第3条を確認のこと。
食品香料 規則(EC) 1334/2008 それ自体は食品として消費されず、香りや風味を添えるか、もしくは変えるために食品に添加される製品。香料物質、香料調整品、熱処理香料、スモーク香料、香味料前駆体、その他香料およびこれらの複合物からなる。
‘‘flavouring”、具体的な名称または香料の概要で表示。天然(Natural)の記載については同規則第16条の条件を満たす必要がある。
食品酵素 規則(EC) 1332/2008 植物、動物、微生物、または植物、動物、微生物に由来する製品から得られる製品で、微生物の発酵によって得られる製品も含む。
同規則で定められている食品酵素の名称または販売概要で表示。

EU では「漂白剤」「炭化剤」「保色剤」が食品添加物として分類に含まれていない一方で、「酸味料」「加工でん粉」「コントラスト増強剤」が食品添加物とされています。

EU規制におけるポジティブリストでは、食品添加物ごとに「使用可能な食品カテゴリー」および「許容含有量(定められていない食品添加物もある)」が定められているため、食品添加物が「08.1肉調製品を除く生鮮肉」の食品カテゴリーにおいて使用可能かどうかについても確認する必要があります。ポジティブリストについては、欧州委員会のウェブサイト「食品添加物検索データベース」で検索が可能です。

ただし、ANNEX II に記載されていない場合でも、ANNEX IIIに掲載されている添加物やキャリアは使用条件に従って食品添加物、食物酵素、食品香料、栄養物(ビタミン・ミネラル)に使用することが可能です。

また、規則(EU)2019/649により、ビタミン・ミネラルなどの食品への添加に関する規則(EC)1925/2006が改正され、2021年4月1日から、最終消費者向け食品(小売り、レストランなど)のトランス脂肪酸は天然由来の動物性の脂肪酸を除き、脂質100gあたり2gを超えてはならないとされています。また、業務向けでこの数値を超える場合は、トランス脂肪酸の量に関する情報を提供する必要があります。 牛肉などの未加工品に添加することはできませんが、食品に添加できるビタミン剤およびミネラル成分に関しては、規則(EC)1925/2006のANNEX IIに記載されています。

生の食品に香料の規則は適用されませんが、酵素や香料に関する詳細はジェトロレポート「EU における 食品香料・食品酵素に対する規制動向(2017年3月)」でも確認することができます。

なお、加工助剤に関しては、食品添加物とされておらず、各加盟国法で定められている場合があります。例えば、フランスにおいては加工助剤に関して、「特定の食品の製造における加工助剤の使用に関する2006年10月19日付アレテ」で規定されており、食品加工助剤として使用できる酵素のポジティブリストや抽出溶媒などについて定められています。

関連リンク

欧州食品安全機関(EFSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EC) 1331/2008(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 1333/2008(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) 1334/2008(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) 1332/2008(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)1925/2006 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2019/649 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令2009/32/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
EU指令 98/83/ EC (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
欧州委員会 食品改良材について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品添加物検索データベース(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
(化学物質名や食品カテゴリーでの検索が可能)
欧州委員会 食品香料データベース(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
特定の食品の製造における加工助剤の使用に関する2006年10月19日付アレテ(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
食品添加物検索データベース(英語) (化学物質名や食品カテゴリーでの検索が可能)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ EUにおける食品添加物に関する規制(2014年3月) 
ジェトロ 食品添加物規制調査 EU(2016年2月) 
ジェトロ EUにおける食品香料食品酵素に対する規制動向(2017年3月)

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年12月

EUでは、食品用の容器・包装をはじめ、調理器具や食品製造機械、食品輸送用のコンテナなど、食品と接触することが意図されている、または通常の使用条件において食品と接触することが合理的に予見されるあらゆる素材・製品(Food Contact Material:食品接触素材)について、健康被害を引き起こしてはならない、食品成分に許容できない変化を引き起こしてはならない、食品の味・香り・食感などを劣化させてはならない旨が定められています(欧州議会・理事会規則(EC)No 1935/2004)。また、規則(EC)No 2023/2006においては、食品接触素材の製造工程における適正製造規範(Good Manufacturing Practice: GMP)が定められています。

前述の一般原則を規定する規則に加え、特定の食品接触素材について、個別の規則が定められており、定められた条件に準拠していることを示す適合宣言書の添付が求められています。

主な食品接触素材に関する根拠法
食品接触素材 規則・指令 主な内容
プラスチック 規則(EU) 10/2011 ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX Iのリストに掲載されている物質を原料として製造されたプラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。このリストは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。
アクティブ・インテリジェント素材
〔鮮度保持などの目的で食品から物質を吸収する素材(吸湿材など)、容器内に物質を放出する素材(防腐剤を放出する鮮度保持材など)、食品の状態を監視する素材(温度変化に反応する素材など)〕
規則(EC) 450/2009 食品と誤認されるおそれがある場合には、3mm以上のフォントサイズで“DO NOT EAT’’と表記する必要があります。なお、調査時点では、ポジティブリストは制定されていません。
再生プラスチック 規則(EC) 282/2008 同規則に従って認可を受けたリサイクルプロセスから得られた物質を原料として製造された再生プラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。
セラミック 指令84/500/EEC カドミウムと鉛の検出上限値が規定されています。
再生セルロースフィルム 指令2007/42/EC ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX IIのリストに掲載されている物質を原料として製造された再生セルロースのみが、食品接触素材として使用可能となっています。

さらに、特定の物質に関する規則が定められています。

  • 規則(EU) 2018/213:BPA(ビスフェノールA)
  • 規則1895/2005/EC:エポキシ樹脂
  • 指令93/11/EEC:ゴムからのN-ニトロソアミンおよびN-ニトロソ

また、EUレベルでの法規制に加えて、EU加盟国は独自規制を導入することが可能となっているため、注意が必要です。

フランスでは、法令No 2012-1442に基づき、食品に接触するすべての包装容器などについてビスフェノールAの使用が禁止されています。日本では缶の裏側にビスフェノールAが使用されていることが多いため留意が必要です。

フランスでは、デクレNo 2007-766(2007年5月10日付)とデクレNo 2008-1469(2008年12月30日付)により、ゴム、シリコンゴム(ポリマー)、イオン放射線処理、金属・合金 (ステンレススチール、アルミニウム) に関するアレテが定められており、適用される基準値や添加できる物質のポジティブリストなどが規定されています。
また、食品の包装と保管、着色に関する1912年6月28日付アレテにより、一部の製造・醸造を除き、飲食品に直接、銅、亜鉛、亜鉛メッキが触れることは禁止されており、食品に接触する重金属(ヒ素、鉛、スズ)、紙・ボール紙、ニス・コーティング剤、人口着色料などについても独自規定が設けられています。
その他、ガラス・グラスセラミックなどに含有される重金属量(カドミニウム、鉛、クローム)の上限値や禁止の有無、製造に使用できる素材(木材など)洗浄剤など、それぞれの該当規定を確認する必要があります 。
また、法令No 2012-1442に基づき、食品に接触するすべての包装容器などについてビスフェノールAの使用が禁止されています。

なお、木箱やパレットなど木製の梱包に関する規制は本ポータルサイト「EU」の「花き」を確認してください。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
規則(EC)No 1935/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 2023/2006(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令(EC)No 2007/42(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 1895/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令(EEC) 84/500(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU)No 10/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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規則(EC) 2018/1670(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EU) No 2016/2031(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2019/787 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
委任規則 (EU) 2019/2125 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
EU指令 2011/91/EU (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU)2018/213 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No 1895/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令93/11/EEC (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2007年5月10日付 デクレNo 2007-766 (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※ 関連リンクに示した仏国内法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、Version à la date du で最新の日付を入力してください。
2008年12月30日付 デクレNo 2008-1469 (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1994年11月9日付飲食品に接触するゴム製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1992年11月25日付飲食品に接触するシリコンゴム製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1986年8月12日付飲食品に接触する製品・素材へのイオン放射線処理に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1976年1月13日付食品に接触するステンレス製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(375KB)
1987年8月27日付飲食品に接触するアルミニウムまたはアルミニウム合金製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1985年11月7日付アレテ飲食品に接触するセラミック製品から抽出可能なカドミニウムや鉛の上限値に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1999年9月8日付アレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1912年6月28日付食品の包装と保管、着色に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フランス法令No 2012-1442(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
欧州委員会 食品接触材 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 食品接触材に関する各国当局窓口(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(882KB)
食品との接触を意図したプラスチック素材と製品に関する規則(EU)No 10/2011に関するEUガイドライン(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(579KB)
EU加盟国の食品接触素材に対する独自規制に関するレポート(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フランス国立計測試験研究所(LNE)(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「食品輸出にかかる食品接触材規則と留意点:欧州」(貿易・投資相談Q&A)
ジェトロ「海外向け食品の包装制度調査(EU、TPP、米国、中国、韓国、台湾、インド、タイ、インドネシア、GCC、メルコスール)(2020年3月)」

6. ラベル表示

調査時点:2021年12月

牛肉と牛肉製品の登録と個体識別番号(コード)
EU域外から輸入される生鮮牛肉に関しても、「牛の登録および識別システムを確立および牛肉と牛肉製品のラベル表示に関する欧州議会・理事会規則(EC)No 1760/2000」第13条 および第15条に基づき次の項目を記載することが規定されています。
  1. 牛肉と家畜の関連性を保証するコードまたは番号 (reference number/reference code) 。この番号は、肉の由来となる動物または動物の集団の個体識別番号である。
  2. 動物または動物の集団のと畜が行われたと畜場の認定施設の番号とそのと畜場が所在する国名を「Slaughtered in国名(Japan)(認定番号)」と記載する。
  3. 枝肉または枝肉群の切断作業を行う施設(食肉処理場)の認定番号とその施設の所在する国名を「Cutting in: 国名(Japan)(認定番号)」と記載する。
本規則に関連して「生鮮牛肉」「牛肉製品」のラベルには、牛の原産国「Origin: (name of third country)」の表示が必要です。ただし、牛の出生国(country of birth)、飼育国、と畜国が違う場合は、同規則第13条にのっとって記載します。
第三国からの輸入の牛肉に関して前述の対応が難しい場合は 、
「Origin:non-EU(原産国:非EU産)」と「Slaughtered in 国名(と畜が行われた国)」
の表示義務だけでよいとされています。
加工食品に少なくとも8%の肉が含まれる場合も同様です。
本規則は規則(EC) No 1825/2000により補完されます。
認定施設由来であることを証明する衛生識別マーク
EUに輸出される「生鮮牛肉」および「肉製品」には、規則(EC)853/2004ANNEX IIの第I編に記載のとおり、製造者は認定施設から出荷する前に、認定施設の施設番号と、当該施設の所在国名(「JP」などISO基準の2文字略号も可能)を記した「識別マーク」(Identification Marking)を読みやすく、消えないように表示する必要があります。識別マークの見本は認定管轄の都道府県で確認することができます。なお、施設番号はEU加盟国と誤認するような略語(「EC」や「CE」など)を用いないようにすることとされています。識別マークは、製品や包装などに直接つけるか、製品などに貼付するラベルに印刷し、包装を開けた時に破損されるようにします。
不正防止の観点からの検印と封印シールおよび検査済証
また、不正防止の観点から、施設の認定管轄の都道府県などは検査に合格した枝肉などに押印するおよび封印シールおよび容器包装に印刷する検査済証を作成します。様式や詳細は「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」別添5で確認することができます。

図 1:「検印」の一例(「取扱要綱」別紙より抜粋)

図 2:封印シールと検査済証の一例(「取扱要綱」別紙より抜粋)

その他、消費者向け事前包装された食品のラベル表示は、欧州議会・理事会規則(EU)No 1169/2011で規定されています。同規制は EU 域内で流通する食品全般(ケータリング向け食品含む)に適用され、輸入食品にも適用されます。EU 市場で流通し消費者に販売される時点から、輸入者もしくは販売者に表示の義務が課されます。アレルギー物質や栄養素の表示など、日本よりも義務表示の対象が広い項目もあるため、注意が必要です。
包装済み「生鮮牛肉」または「肉製品」を輸出する場合、同規則第9条(次表の中では「同規則」)および関連EU規則に基づき次の項目を表示する義務があります。 なお、消費者を惑わせる表示や医学的効能を宣伝する表示が禁止されているほか、オンライン販売などの手法により遠隔地から販売する事業者にも同様の規定が適用されます。
ラベル表示義務項目
項目 補足説明
食品の名称 「生鮮牛肉」の名称は、「食品規格」の項で説明のとおり、次のとおり記載する必要があります。
法的名称:EUまたは加盟国の法律、規則などで定められた名称。12カ月齢未満の牛に対し、理事会規則(EU)1308/2013 PART1 Annex VIIに規定される各加盟国言語の販売時の名称で表示する必要があります。
なお、商標やブランド名を食品の名称として使用することはできません。
食品名称に付随する個別項目 同規則ANNEX VIに規定されるとおり、
  1. 購入者の誤解を招く恐れがある場合は、「粉末化、再冷凍、フリーズドライ、急速冷凍、濃縮、燻製」などの施された特定の処理、
  2. 販売前に冷凍され、解凍状態で販売される食品の場合は、「解凍済み(defrosted)」(例外あり)
  3. 肉の切り身、骨付き肉、スライス、塊、または枝肉の外観を有する肉製品および肉調製品で、添加水が最終製品の重量の5%を超える場合は、食品の名称に添加水の存在の表示
を含める必要があります。
その他、一片の肉から成るような印象を与えるが、実は複数片からなる食肉製品や調製品に記載する各国言語の表示、異なる動物に由来するタンパク質を添加した食肉製品や調製品には別途記載の規定が定められているため、原文を確認してください
原材料リスト 単一原材料で食品の名称同一である場合は不要。
ただし添加物などを添加した場合や加工食品の場合、すべての原材料(食品添加物や酵素を含む。)を重量順に表示する必要があります。ただし、食品に占める割合が2%未満の原材料については、重量順と異なるかたちで列挙することも可能です。なお、複合原材料についても、名称・総重量を記載したうえで、その後に原材料リストを記載する必要があります。食品添加物および食品香料は、そのカテゴリー(酸化防止剤、防腐剤、着色料など)ごとに物質名またはE番号を表示する必要があります。ただし、加工助剤や最終製品技術的な機能を持たない担体(キャリア)などについては同規則第20条を参照してください。原材料の量の表示は同規則ANNEX VIIIを参考してください。
アレルギー物質 食品の名称が、当該物質で明確に記載されている場合は不要ですが、
表示が義務付けられているアレルギー物質は、次のとおりです。
  • グルテンを含む穀物(小麦、大麦、オーツ麦など)および同製品(一部例外あり)
  • 甲殻類および同製品
  • 卵および同製品
  • 魚および同製品(一部例外あり)
  • ピーナッツおよび同製品
  • 大豆および同製品(一部例外あり)
  • 乳(ラクトースを含む)および同製品(一部例外あり)
  • ナッツ類および同製品
  • セロリおよび同製品
  • 辛子および同製品
  • ゴマおよび同製品
  • 濃度が 1キロ/1リットルあたり10mg 超の二酸化硫黄または亜硫酸塩
  • ルピナス(マメ科植物)および同製品
  • 軟体動物および同製品
原材料リストの標記を太字などで強調することにより表記することが可能です。
正味量

重量単位で「kg(キログラム)」または「g(グラム)」で表示します。
文字の大きさは重量に応じ、次のとおり表示する必要があります。

公称重量 文字の高さ
50g以下 2mm以上
50g超200gまで 3mm以上
200g超1,000gまで 4mm以上
1,000g超 6mm以上

また、容量誤差の許容範囲(容器に記載された公称重量と実質重量の誤差)については、指令76/211/EECにより、次のとおり規定されています。

公称重量
(g)
許容範囲
(公称容量より少ない場合)
公称重量
に対する%
g
5 ~ 50 9
50 ~ 100 4.5
100 ~ 200 4.5
200 ~ 300 9
300 ~ 500 3
500 ~ 1,000 15
1,000 ~ 10,000 1.5

表示されている正味量が関連するEU規制に準拠していることを示すため、eマークを正味量の横に表示することが可能です。

〇g

図:eマーク

賞味期限または消費期限 事前包装されている食品に関して、微生物学の視点からみて傷みやすく、短期間で危険となりうる食品の場合、日本と同様に、品質保持期限/賞味期限(the date of minimum durability)に代えて「消費」期限(the ‘use by’ date)を表示する必要があります。
冷凍牛肉の場合は、冷凍日を「Frozen on 日/月/年」(複数回冷凍されている場合には最初の冷凍日)の表示義務が追加されます(同規則ANEX III.6)。
特殊な保存条件や使用条件 当該食品が特別な保存条件や使用条件を必要とする場合には、表示する必要があります。
(食品情報について責任を負う)食品事業者の名称または商号、および所在地 食品を当該名称または商号で販売している食品事業者(EU域内事業者でない場合は、EUへの輸入者)の名称または商号および所在地を表示する必要があります。
原産地 最終製品の原産地と、最終製品に含まれる主原料の原産地が異なる場合(例えば、最終製品の「ミートパイ」と主原料の「ミート」の原産地が異なる場合)には、当該主原料の原産地を記載するか、「(〇○:主原料)は(××:最終製品の原産地)に由来しない」(○○ do/does not originate from ××)と記載する必要があります。主原料とは、最終製品の50%以上を占める原材料、または、製品の名称から消費者が通常想起する原材料(「ミートパイ」における「ミート」)を指します。また、最終製品の原産地が表記されていなくても、原産地を想起させる国旗などがパッケージに表示されている場合は、本規制の対象となります(委員会維持実施規則(EU)2018/775)。
牛肉の原産地表示 前述「牛肉と牛肉製品の登録と個体識別番号(コード)」を確認してください。規則(EC)No 1760/2000、規則(EC)No 1825/2000
使用方法の指示 記載がなければ適切な使用が困難な場合に記載する必要があります。
栄養表示 同一製品の未加工生鮮肉の場合は不要ですが、肉製品の場合、次の項目について、100gまたは100mlあたりの栄養素を表示する必要があります。これに加えて、一食あたりの栄養素を表示することも可能です。栄養表示はスペース上で可能であれば表形式で記載し、難しい場合は列記しなければなりません。
  • エネルギー量(kJ/kcalの両方を記載する必要があります)
  • 脂肪(g)
  • 飽和脂肪酸(g)
  • 炭水化物(g)
  • 糖類(g)(単糖類および二糖類の合計値のことを指します。)
  • タンパク質(g)
  • 塩分(g)〔(塩分)=(ナトリウム含有量)×2.5で算出することとなっています〕
製造ロット番号
(EU指令2011/91/EU)
肉製品など、EU域内で流通する包装済み食品は、製造ロット番号を表示する必要があります。明確な表示(LOTなど)の場合を除き、「L」の文字に続けてロット番号を表示する必要があります。
ただし、生鮮牛肉に関しては、「牛肉と牛肉製品の登録と識別ロット」で述べたとおり、すべての段階でのトレーサビリティにかかる「識別ロット」の表示が必要となります((EC)No 1760/2000)。
また、密閉した包装容器内の空気を除去し、窒素などその他のガスを充填したガス充填包装がなされた食品については、「packaged in a protective atmosphere」と表示する義務が追加されます(同規則ANNEX III.1)。
食品のラベルに使用される言語は、EUの公用語であれば複数の記載が可能ですが、当該製品を販売する国の公用語を必ず使用する必要があります(欧州議会・理事会規則(EU)No 1169/2011 第15条)。 また、ラベル表示に使用する文字の大きさについても、同規則において次のとおり指定されています。
  • 包装面の最大面積が80cm2以上の場合、「x」の文字の高さ(図中の6)は1.2mm以上
  • 包装面の最大面積が80cm2未満の場合、「x」の文字の高さは0.9mm以上
また、日EU経済連携協定の発効に伴い、日本の地理的表示(GI)がEU圏内でも保護されることになりました。牛肉に関しては、GI「但馬牛」「神戸ビーフ」「特産松坂牛」「米沢牛」「前沢牛」「宮崎牛」「近江牛」「鹿児島黒牛」がEU圏内でも保護されます。
(栄養・健康に関する強調表示)
規則(EC) 1924/2006により、栄養・健康に関する強調表示(例:「DHA は正常な血圧の維持に寄与します」「脂肪分 0%」)に関する規制が定められています。食品ラベル上に記載可能な強調表示はポジティブリスト形式(EU リスト)で定められており、強調表示が可能な栄養素等・記載可能な表現・強調表示を行うために含まれるべき栄養素などの基準が詳細に定められているため、強調表示を行う場合には、注意が必要です。

7. その他

調査時点:2021年12月

なし

EUでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス、商品の事前登録等(登録に必要な書類)

調査時点:2021年12月

EU規制において、生鮮牛肉の輸入に際してライセンスなどの要件は定められていません。

ただし、「生鮮牛肉」のEUへの入域条件は「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項を、EU輸入時の国境検疫検査(公的統制)に必要な書類や手続きは、「輸入手続き」の「2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)」および「3. 輸入時の検査・検疫」の項を必ず確認してください。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年12月

日本から生鮮牛肉をEU域内に輸入する際には、次の書類が必要になります。

通常の通関書類(インボイスおよびパッキングリスト)に加えて、「輸入規制」の「3. 動植物検疫の有無」の項に記載のとおり「輸出検疫証明書(Export Quarantine Certificate)」および識別マークの貼付が必要です。

  1. 通関申告書(単一管理文書 (SAD : Single Administrative Document))
    EU域外の第三国とのすべての輸出入手続きに必要な共通申請書。様式は委員会実施規則(EU) 2016/341 Appendix B1に記載されています。
  2. インボイス(商業送り状)
  3. パッキングリスト(包装明細書: P/L)
  4. 価格申告書(Customs Value Declaration)
    CIF価格が2万ユーロを超える場合、SADと併せて価格申告書の提出を求められます。様式は規則 (EU) 2016/341 ANNEX 8に記載されています。
  5. 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB)
  6. 共通衛生入域文書(Common Health Entry Documents: CHED-P) /動物衛生証明書や公衆衛生証明書および識別マーク、その他必要に応じた公的証明書や事業者による宣言書
    「生鮮牛肉」にかかる公的証明書(衛生証明書や獣医検疫証明書)の様式は、実施規則 (EU) 2020/2235で規定されています。

さらに、「輸入手続き」の「1. 輸入許可、輸入ライセンス、商品の事前登録など(登録に必要な書類)」の項のとおり、第三国由来の動物性食品をEUに輸出するには、国境検疫所における公的管理の対象となるため、委任規則2019/1602に記載されているとおり、貨物が到着する24時間前までにTRACESまたはTRACESと互換性のある電子システム経由で「共通衛生入域文書(CHED)」に必要な情報を事前通知する必要があります。国境管理所における動物検疫に合格した際に「共通衛生入域書」が発行されます。「CHED-P」の作成方法に関しては欧州委員会のマニュアルで確認することができます。

空白や不完全な記載がある場合、関係当局は署名をしないとされています。また、完全なCHEDが提示されるまで、通関手続き(関税の支払いなど)の通過は認められません。

輸入時の検査については、「輸入手続き」の「3.輸入時の検査・動物検疫」の項を確認してください。

また、日EU経済連携協定(以下「日EU・EPA」)に基づく特恵税率の適用を受けるためには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。「日EU・EPA」では、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者または通関業者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。書式に関しては税関のウェブサイト「原産地規則ポータル」で確認することができます。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
規則 (EU) 2017/625(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
委任規則 (EU) 2019/1602 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則 (EU) 2019/1715 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU)2016/341 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則 (EU) 2020/2235(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
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欧州委員会 国境管理所(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局「『CHED-P』作成マニュアル」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 国境動物検疫 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 各加盟国の国境検査所 BCPs(動物検疫)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」
税関「原産地規則ポータル」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会(TRACES プラットフォームDG SANTE )「第三国の認定施設データベース」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 日EU・EPAガイダンス「特恵の要求、確認および否認」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(545KB)
欧州委員会日EU・EPAガイダンス「原産地に関する申告」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(481KB)
欧州委員会 税制・関税同盟「日本」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス要求、確認および特恵の否認(2019年12月更新版)(ジェトロ仮訳)」PDFファイル(722KB)
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス原産地に関する申告(ジェトロ仮訳)」PDFファイル(711KB)
ジェトロ「日EU・EPA解説書」PDFファイル(9.93 MB)
ジェトロ「原産地証明ナビ」

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年12月

欧州委員会規則(EU)2017/625第47条および実施規則(EU)2021/632のANNEX のリストに掲載のとおり、本原稿の対象品目であるHSコード0201類はEUの国境での動物検疫の対象となっています。動物検疫の検査は国境管理所(Border Control Post:BCP)で実施されます。このため、EUに輸出される生鮮牛肉は、必ず、国境検疫所が設置されている港または空港を仕向地としなければなりません。指定されたBCPと対象アイテムのリストは欧州委員会のウェブサイトで確認することができます。

EU域内への生鮮牛肉の輸出については、「輸入規制」の「2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類など(輸出者側で必要な手続き)」の項に記載のとおり、施設登録の要件を満たしたうえで、輸出側で日本当局(管轄する食肉衛生検査所長)に検査申請書を提出し「食肉衛生証明書」を入手、「輸出検疫証明書」の発行を申請します。EUへの輸出が可能であることを確認のうえ、日本の動物検疫所に「輸出検疫証明書(輸出検疫証明書(Export Quarantine Certificate)」およびEUが求める書式の「獣医検疫(衛生)証明書(Veterinary Certificate for Export))」を発行してもらいます。

委任規則2019/1602に記載されているとおり、第三国由来の動物性食品をEUに輸出するには、国境検疫所に貨物が到着する24時間前までに事前通知を行う必要があります。この事前通知は、EUのウェブシステム「TRACES」または「TRACES」と互換性のある電子システムを通して行うことができます(実施規則(EU)No 2019/1715)。

この事前通知には、輸出者、荷受人、貨物の責任者名、輸入者、原産地、貨物の出国地、衛生証明書の番号および発行日など、「共通衛生入域文書(CHED)」で要求される情報を添える必要があります(2019年12月13日までは「共通動物検疫入国証(CVED)」と非動物性製品の「共通入域文書(CED)」に分けられていましたが、「共通衛生入域文書(CHED)」に統一されました)。

動物由来食品の輸入に関する公的証明書(衛生/検疫証明書)には、食品公衆衛生 (ヒトが食べて安全か)の観点のみから発行されるものと、公衆衛生と獣医証明(家畜などの伝染病の予防や動物衛生)の両方の観点から発行されるものがあり、牛肉や肉製品には後者の公的証明書が求められます。公的証明書(衛生証明書や獣医検疫証明書)の様式は、実施規則 (EU)2020/2235で規定されるもの使用することになります。

公的管理・国境管理所におけるチェック
「ヒトの消費を目的とする特定の動物および製品の貨物の EU への入域に関する要件に関 し、欧州議会・理事会規則(EU) 2017/625 を補完する欧州委員会委任規則(EU) 2019/625」により、第三国から EU に輸入されるヒトの消費 を目的とする動物および製品に課される要件が規定され 、動物由来食品に関する現行の衛生要件(規則(EC)853/2004)との整合が図られています。動物検疫の手続きなどについては、規則(EU)2017/625および関連規則に規定されています。
動物検疫は、(1)文書検査(衛生証明書などの必要書類の確認、輸入条件への適合状況の確認など)、(2)同一性検査(貨物が提出書類と対応しているかの確認)、(3)現物検査(官能検査、簡単な化学検査、ラボラトリー検査)の3段階により行われます。(1)の文書検査において、衛生証明書は必ず原本でなければならず、コピーやファックスは認められません。また、(3)の現物検査については、過去の違反事例や健康被害リスクなどを踏まえ、検査官が必要と判断した場合に実施されます(牛肉など生鮮肉の現物検査の確率は3割となっています)。動物検疫の結果、輸入条件に適合することが確認されると、検査官から「共通衛生入域文書(CHED)」が発行され、貨物を国境検疫所から移動させることができます。
これら動物検疫上の検査に加えて、ほかのEU規制についても、適合状況を併せて検査される場合があります(規則(EU)No 2017/625 第45条)。なお、公的管理とは、次の各分野に関するEU 法令・その他のルールへの適合をEU加盟国当局が統一に管理することを指します。
  1. 食品安全、生産・加工・流通のあらゆる段階における食品の完全性および健全性、食品と接触する素材および製品(Food Contact Materials、食品包材やキッチン用品など) の製造と使用
  2. 食品または飼料の生産を目的とする遺伝子組み替え作物の環境への意図的導入
  3. 飼料の生産、加工および流通のあらゆる段階における安全
  4. 動物衛生に関する要件
  5. 動物副産物に由来するヒトや動物の健康へのリスクの予防・削減
  6. 動物福祉に関する要件
  7. 植物病害虫に対する保護措置(植物衛生)
  8. 植物保護製品(農薬)の販売および使用、農薬の持続可能な使用に関する要件
  9. 有機製品および有機製品のラベル表示
  10. 原産地呼称保護、地理的表示保護(GI)および伝統的特産品保証の使用とラベル表示
いずれの検査についても、要した費用は請求されます。
また、公的管理の強化期間中に同じ業者または国からの貨物が同じ違反を3回繰り返した場合は、欧州委員会は第三国の発送国の当局に対して、必要な調査と是正が要請されます。
公的管理の新制度については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」も参照してください。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
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規則(EC) No 853/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
決定2011/163/EU (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU) 2021/404(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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4. 販売許可手続き

調査時点:2021年12月

食品事業者は、EUの衛生法または加盟国法に従い動物性由来の原材料を含む食品を取り扱う場合、第一次産業、家庭用消費を除き、管轄当局により各施設の登録、通知、または承認を受けることが義務付けられている場合があります(「一般食品に関する衛生規則」規則(EC) No 852/2004第6条ならびに「動物性食品に関する衛生規則」規則(EC) No 853/2004第4条)。

例えば、フランスの場合、個人消費者向けの小売りについては申請(Déclaration)を様式CERFA 13984 の「Section 2 ACTIVITÉS DE COMMERCE OU DE PRODUCTION FERMIÈRE(商行為または農産物の生産)」の欄に必要事項を記入して、管轄地域の住民保護局 (DDPP : 競争・消費・不正抑止局DGCCRFに管轄される衛生面の監督局)に申請をする必要があります。
と畜場、肉加工業者の施設に加えて、業務用食品卸売店に関しても、施設の衛生認定義務 (Agrément sanitaire)があり、CERFA 13983を送付し、住民保護局により認可を取得する必要があります。
(取り扱う販売量や販売形態により、申請(Déclaration)で済む場合もあるので最寄りの住民保護局に確認してください)。

なお、レストランの場合であっても、動物性食品を取り扱う場合は、事業を開始する前に、住民保護局に申告をする必要があり、所定の様式 「CERFA 13984」の「Section 1 – ACTIVITÉS DE RESTAURATION(外食事業)」に必要事項を記入して郵送するか、オンラインで申請をする必要があります。
この申請は、宅配サービス、遠隔販売(オンライン販売)、フードトラック、慈善活動、自宅で調理した料理の提供、公共給食の場合においても同様に必要となります。

その他、販売時の牛肉の名称に関しては、「食品関連の規則」の「1. 食品規格」および「6.ラベル表示」の項を確認してください。

関連リンク

根拠法等
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動物性食品市場の施設の衛生認定にかかる2006年6月8日のアレテ(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

5. その他

調査時点:2021年12月

なし