税制
最終更新日:2025年01月20日
- 最近の制度変更
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2024年10月28日
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法人税
連邦税、州と地方自治体(市町村)の税から成る。連邦税は一律8.5%。州・地方自治体税は12~18%。
従来、州・地方自治体税は概ね3~21%であったが、2019年5月19日に行われたスイス国民投票で、法人税および老齢・遺族年金改革法案が可決された結果、従来の外資優遇の法人税制は廃止され、2020年1月以降、内外一律の税率(各州により異なるが、12~18%)が課せられることとなった。本税制改革後、州の法人税収が減少するため、連邦政府は州に再配分される連邦税の割合を17%から21.2%に引き上げ、州の負担を減らした。
また、同時に特許収入への課税控除(Patent Box)、自己資本への課税控除(National Interest Deduction)、R&D支援のための課税控除(R&D Deduction)の選択的租税特別措置も導入した。
法人税は事業年度に従って課税される。スイスに本店や主な事業所を有する居住内国法人の場合、全世界所得(外国法人、国外における恒久的施設、国外不動産に帰属する所得を除く)に対して課税される。外国法人の場合、スイスにおける源泉所得のみが課税対象となる。
2021年10月に経済協力開発機構(OECD)/G20の「BEPS包括的枠組み」において、スイスを含む約140カ国・地域が合意したグローバル・ミニマム課税(年間総収入金額が7億5,000万ユーロ以上の多国籍企業を対象に、一定の適用除外を除く所得について各国ごとに最低税率15%以上の課税を確保する仕組み)に対応するため、スイスは国民投票を経て2024年1月1日から国内ミニマム課税(QDMTT)を導入したが、所得合算ルール(IIR)と軽課税支払ルール(UTPR)の適用は延期していた。スイス連邦参事会は同年9月4日の会議で、IIRについては2025年1月から適用することを決定した。IIRの導入により、スイスは、対象となるスイス多国籍企業の外国構成事業体、および外国多国籍企業のスイス中間持株会社の外国構成事業体の軽課税所得に課税できるようになった。
連邦財務省(Federal Department of Finance):グローバル・ミニマム課税の導入について(Implementation of the OECD minimum tax rate in Switzerland)
二国間租税条約
スイスが日本との間で締結する二国間租税条約に基づき、配当については一般に10%、親子企業間では5%(親会社の子会社に対する持ち株比率が10%以上50%未満)が課税され、親子企業間で同持ち株比率が50%以上の場合は非課税となる。利子に対しては、一般に10%課税され、政府・銀行の利子送金、ロイヤルティー(パテント譲渡益を含む)は非課税となる。
「所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書」(2010年5月21日署名、2011年12月30日発効)に基づく。
その他税制
所得税は、連邦税が0.1~11.5%、州税・地方税はそれぞれ0~30%程度が課せられる。
付加価値税は、2024年1月より標準税率8.1%、書籍・食品・医薬品などには2.6%の軽減税率、宿泊サービスには3.8%の特別税率が適用される。
配当・利子には、35%の源泉税が課せられる。
- 個人所得税
連邦および州・地方自治体の各レベルで、いずれも世帯単位で課税される。連邦税は累進課税であり、既婚同居夫婦および単親世帯には優遇税率が適用される。連邦税および州・自治体税ともに、保険料、企業年金、利息といった一般的な控除対象項目に加え、住居の修繕・維持費、子女の教育費なども控除対象となる。一定の金額を超える所得を得ている労働者については、確定申告の義務がある。
連邦税の最高税率は11.5%。州・地方自治体の課税方式は州・自治体ごとに異なる。連邦税務局のウェブサイトで、州・地方自治体ごとの税率統計を公開している。連邦税務局(Federal Tax Administration
)
- 付加価値税
2024年1月1日より、標準税率8.1%、食料品、医薬品、書籍、新聞等には2.6%の軽減税率、宿泊サービスへは3.8%の特別税率が適用されている。
なお、医療機関での治療行為、および保険、銀行サービスなどは非課税。
- 配当・利子
スイス国内の法人における配当、利子、ライセンス料には、源泉税35%が課せられる。
ただし、スイスに本社があり、EU加盟国に子会社を持つ企業については、各EU加盟国において配当金、利子、ライセンス料に対する源泉税を支払う必要はない。