外資に関する奨励

最終更新日:2023年11月10日

奨励業種

外資に限定した奨励業種はない。インセンティブは、基本的に税制面で与えられる。

  1. 観光
    2014年11月に発効した「観光分野の投資および貸付法」により、観光業にかかわる新規インフラ、設備投資、研修などの投資額の全部あるいは一部について、法人税の減税措置が受けられる。その他、観光目的で利用する船舶、乗用車、飛行機などの輸入税の免税、輸送機器燃料の特別価格での購入、旅行サービス業者への公共サービス価格の割引措置なども受けられる。また、観光促進を行う企業は、観光促進のための国内外の展示会への出展支援や、観光関連投資用資金の借入を3%の低利子で受けられる。これらの特別措置の適用を受けるためには、観光省およびその他管轄官庁の許可が必要。
    また、各銀行は、融資額全体の3%以上を観光分野向けに行うことが義務付けられており、融資の用途に応じて返済期限の上限が定められている。
  2. 住宅建設
    低所得者向け社会開発プログラム「ミシオン」の1つである「住宅大ミシオン」の一環で、住宅の建設、改築、再建築、組み立て、改修工事、復旧工事、近代化、メンテナンス、研究、デザイン、計画、製造、技術の最適化などの企業活動に対しては、法人税が免除される。ただし、免除された法人税相当額の全額が、建設能力向上のための資本財に投資されることが条件となる(2011年5月3日付官報39665号公布の政令8175号)。また、住宅の建設、改築、復旧、改良、メンテナンス、解体に係る動産の輸入・販売やサービスの提供に関しては、付加価値税、関税、税関サービス税が免除される(2011年5月3日付官報39665号公布の政令8174号)。
  3. 空港運営
    シモン・ボリバル国際空港では、同空港運営会社のマイケティア国際空港会社(IAIM)やベネズエラ民間航空局(INAC)によって、同空港の事業運営や商業活動を活性化する観点から、航空事業者や専門サービス会社をはじめ、空港インフラの整備等に貢献する企業には、インセンティブが提供される。同インセンティブの適用については、直近半年間の運行状況(ルートや便数の増加)を見ながら判断が下される(指令第066号、2017年8月28日付官報41223号公示)。
  4. その他
    国民の生活や国の維持を目的とした政府機関による特定品目の輸入に関しては、付加価値税が免除される。

各種優遇措置

2022年に経済特区(Zonas Económicas Especiales)が設立された。

地域別優遇措置について

2022年6月の経済特区組織法(2022年7月20日特別官報6710号)により経済特区(SEZ)が創設された。国が定める基準に従い輸入関税その他の国税が還付される。最終消費財、国内生産を代替するもの、輸入代替政策に影響のあるものには適用されない。2023年にイスラ・ラ・トルトゥーガ、アラグア州、ファルコン州パラナグア半島、ラ・グアイラ州の4カ所に設置された。

なお法人税の還付は会社設立から4年間は100%だがその後、60%の輸出が達成される場合とそうでない場合で還付率が変わり、8年以降は60%となる。また原材料や機械類の輸入、建屋やインフラ建設のために適用される税が免除される。

戦略的セクターに対する優遇措置について

現在ベネズエラでは、国の特別プロジェクトにおいて戦略的と位置付けられているセクターに対して、付加価値税(IVA)や法人税(ISLR)を免除するための法律がある。対象は、農業、住宅、製造、インフラおよび天然資源分野である。

  • 法令4220号により、炭化水素由来の燃料、ガソリンの品質改善を目的とした添加剤の輸入および国内販売に対する関税、付加価値税およびその他諸税が免除される(2020年6月8日付官報41896号)。
  • 輸入品の関税免除に関する法令が2022年12月31日まで延長された(2022年5月1日付の臨時官報6697号)。法令第4条は、輸入税および付加価値税(VAT)の免税を受けるために、事前に「国内生産なし」または「国内生産不十分」の証明書の提示を義務付けている。関税免除の対象となる品目は、小売販売用に調製された有効成分および医薬品、臨床・外科・歯科・獣医用のガーゼや包帯などの医療用品、その他医療専門家向けの製品など。この制度では、受益者は、輸入される財のリストと、受益者宛に発行されたインボイスを税関に提出しなければならないと定められている。

税関手続きに関する優遇措置について

  1. 一時輸入
    特定の目的のために物品を輸入し、同物品にいかなる変更も加えることなく、使用後一定の期間内に再輸出する場合、保税輸入ができる。
  2. 輸出を目的とした保税加工のための一時輸入(ATPA)
    加工、混合、修復、組み立て後に輸出(1年以内)されるという条件で、原材料・部品を保税輸入することができる。
  3. 一時輸出(再輸入)
    一時的に物品を輸出し、同物品にいかなる変更も加えることなく、一定の期間内に再輸入される場合、輸入税の支払いが免除される。
  4. 外国における加工を目的とした貨物の再輸入(ETPP)
    外国で加工、修復、組み立てされた後に再輸入(1年以内)する条件で、原材料・部品を輸出し、加工された貨物の再輸入時には、外国で生じた付加価値および港に到着するまでの費用に関する輸入税のみを支払う。
  5. ドローバック制度
    輸出を目的とした商品の生産に必要な原材料・部品を輸入した際に支払った輸入税が、輸出時に還付される制度。ただし、還付は現金ではなく、他の税金(法人税など)の支払いに充当できる「CERT」と呼ばれる証明書が与えられる形による。
  6. 原材料・部品の補充にかかわる輸入税の免除(1回限り)
    過去に輸出したことのある物品を生産する際に使用した原材料・部品が、関税を支払って輸入されたものである場合に、それと同じ数量、内容、品質、技術的性質の原材料・部品を再び輸入する場合、1度に限り輸入税の支払いが免除される。

その他

特になし。