外為市場近代化法案を議会に提出、外貨口座保有へ規制も緩和

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年10月16日

ブラジル中央銀行は10月7日、外国為替市場近代化のための法案を連邦下院議会に提出した。

法案には、ブラジルや諸外国に在籍するブラジル人、ブラジル法人の外国為替と外国資本に対する安全な法的枠組みを確立する目的がある。法案が議会で承認されれば、国際業務を行う個人・法人に対して、業務の簡素化や迅速化といった恩恵をもたらし、ビジネス環境改善につながることが見込まれる。

変更点は、国際機関や外国の中銀、国際市場で清算・決済・保管業務を行う金融機関などの外国機関がブラジルに拠点を有していなくても口座を開設できるようになることだ。通貨レアルに加えて、外貨の管理口座や預金口座の開設ができる。また、ブラジルに居住する個人・法人が外貨口座を開設することも可能になる。ブラジルでは現在、居住者しか口座開設ができない。また、ドル口座の開設については、法人の場合は旅行代理店、国際取引を行うクレジットカード会社、保険会社など特定業種に限定されている。個人の場合は外国人の資金移行措置としてのみ認められている。

ブラジル中銀総裁のロベルト・カンポス・ネト氏は、ドル口座開設や外国銀行によるレアル口座開設を認める背景について、「将来的にレアルが全ての国際取引に使用されるようになり、交換性の高い通貨になることを目指している」とコメントしている。

法改正により、フィンテック企業の事業範囲も拡大しそうだ。ブラジルでは近年、フィンテック企業の台頭が著しいが、同業種による為替分野の業務は銀行もしくは関連仲介業者との合弁によってのみ認められている。法案では、フィンテック企業が単独で活動できるようになり、競争力が生まれることで、外国為替市場や外国投資事業へより効率的なサービスが提供されるだろう。また、法人や個人にかかわらず、海外送金にかかるコストも下がることが期待できそうだ。

(大久保敦)

(ブラジル)

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