為替管理制度
最終更新日:2022年07月28日
- 最近の制度変更
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2022年12月1日
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2022年11月30日
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2022年11月10日
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2022年10月17日
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2022年9月27日
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管轄官庁/中央銀行
中央銀行ほか
アルゼンチン中央銀行(Banco Central de la República Argentina
)
経済省(Ministerio de Economía
)
為替相場管理
変動相場制を採用している。
政令260/2002号により変動相場制を導入。ただし、厳しい資本取引規制が導入されているため国外から資本が流入しにくい状態が続いている。為替市場での取引は貿易代金の決済が中心となっており、公式為替レートの変動幅は小さい。
2019年9月に資本取引規制が強化された結果、非公式の為替取引に適用される並行為替レート(通称ブルーレート)と公式為替レートの乖離幅が広がっている。
貿易取引
必要緊急大統領令609/2019号により、財・サービスの輸出代金の国内への還流が義務付けられた。輸入代金決済用外貨の取得に関する規則は、中銀通達により定められている。
- 輸出代金のペソへの交換義務
- サービス輸出の場合:国外へサービスを提供した場合、国内または国外で支払いがあった時点から5営業日以内に、国内の為替市場でペソに交換しなければならない。
ただし、国外から受け取る報酬の一部を外貨のままで留保できる。 - 財輸出の場合:国内の為替市場で代金をペソに交換するまでの期日が設けられており、取引の種類と品目によって、船積日から15、30、60、120、180、365日と設定されている。
- 15日:小麦、大麦、トウモロコシ、大豆、大豆ミール・油・かす
- 30日:関税分類第27類の品目(鉱物性燃料など)
- 60日:関連企業間取引で、ⅰ、ⅱの品目および関税分類第26、71類の品目など。
- 60日:関連企業間取引で、ⅰ~ⅲ以外の品目で、年間輸出が5,000万ドル未満。
- 120日:年間輸出5,000万ドル以上で、冷凍牛肉、ミルクジャム、ワインなど。
- 180日:ⅰ~ⅴ以外の品目
- 365日:品目に関係なく、簡易輸出制度「Exporta Simple」を通じた輸出取引。
中銀は、商品の輸出取引に関する外貨の追跡システム(SECOEXPO)を導入。2019年9月2日以降に実施されたすべての輸出取引状況を把握するための追跡システム。輸出業者は、追跡を担当する銀行を選定しなければならない。
- サービス輸出の場合:国外へサービスを提供した場合、国内または国外で支払いがあった時点から5営業日以内に、国内の為替市場でペソに交換しなければならない。
- 輸入代金決済用外貨の取得
- 中銀の事前承認
輸入代金決済用の外貨の入手には、一部の例外を除いて、原則として中銀の事前承認が必要。- サービス輸入の場合:サービスの提供日から180暦日経過後の支払いなどは例外。
- 財輸入の場合:後払い、一定額を下回る前払い、特定の財、公的機関による輸入などが例外。財の輸入時の前提条件として、以下が定められている。
- 輸入取引を裏付ける書類(商品の詳細、支払条件など)を取引銀行に提出。
- 購入先と支払先が異なっていてはならない。
- 規定の期限内に商品が通関されることを保証する宣誓書を取引銀行に提出。
- 資本財は代金の支払いから270日以内、その他商品は90日以内に通関される必要がある。
中銀は、輸入代金の支払取引フォローシステム(SEPAIMPO)を導入した。2019年11月1日以降に実施されたすべての輸入取引の支払い状況を把握するための追跡システム。輸入業者は、追跡を担当する銀行を選定しなければならない。
- 輸入の総合モニタリングシステム(SIMI)を通じた輸入代金決済時期の制限
前年の輸入実績と輸入申告(SIMIの申請)額に応じて輸入代金の決済時期を制限する制度が2022年3月に導入された。- SIMIにカテゴリーA、B、Cを割り当て、外国為替市場にアクセスできる時期に制限を設けている。各カテゴリーの概要は以下のとおり。
- カテゴリーA:2021年のFOB輸入額の105%、あるいは、2020年のFOB輸入額の170%のいずれか少ない方の金額の範囲内で行われる輸入が該当。2021年の輸入実績が100万ドルを下回る事業者は、2021年の輸入実績額の115%まで。原則として、輸入代金の支払いは通関後。2020年、2021年に輸入実績がない場合、カテゴリーAに分類される輸入額の上限は5万ドル。
- カテゴリーB:カテゴリーAの上限を超えた輸入が該当。輸入代金の支払いは通関から180日後以降。非自動輸入ライセンス対象品目、資本財などは例外。
- カテゴリーC:条件付きで食品、鉱物、燃料油など特定の原材料の輸入が対象。輸入代金の支払いは通関後となる。2021年のFOB輸入額の105%、2020年のFOB輸入額の170%のうち、大きい額と小さい額の差額が輸入枠。
- 2022年6月に規制が強化され、2022年9月末日までは次の措置が適用される。
- 非自動輸入ライセンス対象品目を、輸入通関から180日を待つことなく支払いが可能な例外品目から除外。支払いは通関から180歴日後以降。
- 資本財(BK)の輸入代金は、100万ドルを超えない場合は30%まで前払いが可能だったが、船積み後80%、通関後20%の支払いに制限された。
- カテゴリーAによる1カ月当たりのSIMIの申請可能額に限度額の20%相当額を加算することができなくなった。
- 国内生産品を中心に、輸入代金の支払いを通関から180歴日後以降に限定する品目を拡大。
- 支払いが通関から365暦日以降にしかできないぜいたく品の対象品目を追加。
- SIMIにカテゴリーA、B、Cを割り当て、外国為替市場にアクセスできる時期に制限を設けている。各カテゴリーの概要は以下のとおり。
- 中銀の事前承認
貿易外取引
中銀は2019年10月28日より、外貨購入の上限を設定。特定の取引については、事前承認の取得を義務付けている。
- 外貨の購入
中銀通達A6815により、2019年10月28日以降、国内に居住する自然人による外貨購入および海外送金は、1カ月につき200米ドルまでとされた。法人が外貨を購入するためには、中銀の事前承認が必要。両替商、政府機関、国際機関、外交機関などは規制の対象外。 - クレジットカード・デビットカード
海外においてクレジットカード・デビットカードを利用して現金を引き出すためには、アルゼンチン国内に外貨口座を保有することが条件。引き出せる金額は、1カ月につき50米ドルまで。
クレジットカード・デビットカードで次の取引の代金を国外に支払う場合、カード発行金融機関は中銀の事前承認を取得する必要がある。- オンラインカジノのアドオンラインギャンブルへの支払い
- 決済サービスプロバイダ(PSP)への資金送金
- 国外のファンドマネージャーへの資金送金
- 国外での為替取引
- 仮想通貨の購入
資本取引
厳しく規制されている。
国外への利益・配当金の送金には中銀の事前承認が必要。一定の条件を満たせば中銀の事前承認は不要だが、実態としては、国外への利益・配当金の送金は困難である。債務の元本および利子の支払いにも中銀の事前承認の取得が必要だが、実態として債務の元本の部分の送金は困難である。
関連法
中銀通達(Comunicación)、政令260/2002号(変動相場制の導入)、必要緊急政令609/2019号(輸出代金の国内還流義務)ほか。
法令・検索ウェブサイト "Información Legislativa y Documental"
アルゼンチン中央銀行通達検索サイト "Banco Central de la República Argentina-Buscador de Comunicaciones)
アルゼンチン中央銀行「貿易と為替に関する通達集」(Textos ordenados de las normas sobre “Exterior y Cambios”(2.45MB))
その他
特になし。