外資に関する規制

最終更新日:2024年02月01日

規制業種・禁止業種

外国人による投資は〔外国人投資条例〕に基づく許可が必要。華僑・外国人投資の業種は原則自由だが、「華僑・外国人投資ネガティブリスト」に属するものは例外的に禁止または制限。また、中国企業による投資は〔大陸地区人民来台投資許可弁法〕に基づく許可を要し、投資可能な業種は「大陸地区人民来台投資業別項目」に属するもののみが許される。

華僑・外国人による投資

現在、華僑および外国人に対して、台湾における投資項目の95%以上が開放されており、ネガティブリスト形式で管理されている。
国家の安全保障、公序良俗および国民の健康などを害する可能性のある項目、法律および国際協定により禁じられている項目は開放されていない。また一部の業種に限り、特別な許可を得た業者以外による投資も制限。

華僑および外国人に開放されていない投資項目には、禁止項目と制限項目の2種類が存在する。

  1. 禁止項目:華僑および外国人による投資は全面的に不可能。
  2. 制限項目:該当する国家機関が各業界別の制限項目を規定。業種別制限項目は数が多く、複雑であるため、経済部投資審議司は申請受付を統一する目的で、外国人投資家に対し、専用の申請用書類の作成および提出を求めている。

    申請用書類については「外国企業の会社設立手続き・必要書類」参照。
    申請用書類の提出後、経済部投資審議司から該当機関に送付される。

    経済部投資審議司(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    所在地:100215 台北市中正区羅斯福路1段7号8階
    Tel:+886-2-3343-5700
    Fax:+886-2-2393-8829
    E-mail:icserve@moea.gov.tw

経済部投資審議司:華僑・外国人投資のネガティブリスト(2018年2月8日修正公布)(中国語PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(ダウンロード、214KB)
ジェトロ:華僑・外国人投資のネガティブリスト(2018年2月8日修正公布)(日本語)PDFファイル(396KB)

中国企業による投資

  1. 許可業種

    中国企業の対台湾投資は〔大陸地区人民来台投資許可弁法〕に基づく許可を要し、投資可能な業種は一部の製造業、サービス業および公共建設項目(請負を含まない)のみに開放され、ポジティブリスト形式の「大陸地区人民来台投資業別項目」が制定されている。

    中国企業の対台湾投資ポジティブリストは2009年から2012年までに段階的に規制緩和されている。
    第1段階として、2009年6月30日の公布当初、計192項目が解禁され、2010年5月20日、2011年1月1日にそれぞれ金融関連法令の改正およびECFAのアーリーハーベストリストの影響によって改正され、新たに13項目が追加された。

    2011年3月7日からは第2段階に入り、集積回路、半導体や液晶関連業種が解禁され、これまでに製造業89項目、サービス業138項目、公共建設20項目の計247項目が解禁された。
    2012年3月30日より、ポジティブリストはさらに拡大し、製造業(115項目、97%)、サービス業(23項目、51%)、公共建設(23項目、51%)が新規解禁され、投資可能となった。

    経済部投資審議司:中国企業の対台湾投資ポジティブリスト(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ダウンロード、628KB)

    全国法規資料庫:大陸地区人民来台投資許可弁法(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  2. 中国企業の定義〔大陸地区人民来台投資許可弁法第3条〕

    台湾に投資する中国大陸の個人、法人、団体、その他の機構、またはこれらが第三地に投資する会社。

    この第三地に投資する会社とは、中国大陸の個人や法人などが中国大陸および台湾以外の地域の会社に対し次のいずれかに該当するものである。

    1. 当該会社に対し、直接または間接的に30%を超える株式もしくは出資額を保有する。
    2. 当該会社に対して支配力を有する。

    なお、第三地に所在する会社には当該法を適用するため、外国人投資条例を適用しない。

許可を要する投資行為〔大陸地区人民来台投資許可弁法第4条〕

次の投資行為を行う場合は、投資審議司の許可が必要である。

  1. 台湾の会社、独資、パートナーシップまたは有限責任組合の株式または出資額を保有する場合。
    ただし、台湾の金融・保険・証券・先物業に投資する場合を除き、1回かつ累積投資がいずれとも上場会社、店頭登録会社またはエマージング登録会社の株式の10%を満たさない場合はこの限りではない。
  2. 台湾にて支店、またはその他法人格を有しない独資、パートナーシップもしくは有限責任組合を設立する場合。
  3. a、bの投資先に1年以上のローンを提供する場合。
  4. 契約またはその他方式で、台湾の独資、パートナーシップ、有限責任組合、または上場会社・店頭登録会社・エマージング登録会社を除く台湾の会社に対し、支配力を有する場合。
  5. 第三地に投資する会社が上場会社・店頭登録会社・エマージング登録会社を除く台湾の会社の事業または財産に対しM&Aを行う場合。
審査基準〔大陸地区人民来台投資許可弁法第8条〕

次のいずれかに該当する場合、投資審議司は投資を制限、あるいは禁止することができる。

  1. 経済的に独占または寡占的な地位を有する場合。
  2. 政治、社会もしくは文化的に敏感であり、または国家の安全に影響を及ぼす場合。
  3. 台湾の経済発展または金融安定に不利な影響がある場合。

なお、軍事関係者の投資先または軍事目的を有する企業による投資は制限される。

出資比率

会社法および外国人投資条例による制限はないが、一部は業種による規制がある。

会社法および外国人投資条例による出資比率、出資額、投資家の国内住所保有などの制限はなく、出資比率は100%も可能。しかし、次の例のとおり、ラジオ・テレビ経営業および第1類電気通信業等、一部業種による規制がある。

  1. 有線ラジオ・テレビ経営業、衛星ラジオ・テレビ経営業
    1. 有線ラジオ・テレビ経営業〔有線ラジオ・テレビ法第9条〕
      経営組織は株式会社に限定され、外国人が直接および間接的に保有する株式は、発行済株式総数の60%未満。
      また、直接株式を保有する場合、保有主体は法人に限定され、かつ合計で発行済株式総数の20%未満。
    2. 衛星ラジオ・テレビ経営業〔衛星ラジオ・テレビ法第4条〕
      経営組織は株式会社か財団法人に限定され、外国人が直接保有する株式は発行済株式総数の50%未満。

    全国法規資料庫:有線ラジオ・テレビ法(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    全国法規資料庫:衛星ラジオ・テレビ法(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  2. 電気通信業〔電気通信法第11条、第12条〕

    第1類電気通信業(電気通信設備の設置および電気通信サービスの提供)は株式会社に限定され、外国人が直接保有する株式は発行済株式総数の49%、直接および間接的に保有する株式総数は発行済株式総数の60%を超えてはならない。

    全国法規資料庫:電気通信法(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

このほかにも、航空や配電などに関連する業種に出資比率制限が設けられており、各業種別の制限項目および外国人出資比率の詳細については、経済部投資審議司へ問い合わせが必要。

外国企業の土地所有の可否

台湾人が域外で同様の権利を享受できる場合に限り、当該外国の者も、台湾で土地に関する権利を取得できる。

原則として、条約または外国の法律によって、台湾人が当該外国で同様の権利を享受できる場合に限り、当該外国の者も台湾で土地に関する権利を取得できる。

外国人が自分のため、投資または公益の目的で使用する場合、次の用途の土地を取得できる。ただし、その面積および場所は、各自治体が定める法規の制限に従わなければならない〔土地法第19条〕。

  1. 住宅
  2. 営業所、事務所、商店および工場
  3. 教会
  4. 病院
  5. 駐在外国人子女の学校
  6. 大使館等駐在機関および公益団体の集会所
  7. 墓地
  8. 台湾の重大施設、経済全体または農場・牧場の経営に有益な投資であり、主務機関の許可を得たもの

なお、次の土地は国籍に関係なく、私有が禁止される〔土地法第14条〕。

  • 海岸から一定範囲内の土地
  • 天然形成された湖で公共の需要があるもの(その沿岸から一定範囲内の土地を含む)
  • 通運可能な水道およびその沿岸から一定範囲内の土地
  • 市町区域内の水道、湖およびその沿岸から一定範囲内の土地
  • 公共交通道路
  • 鉱泉地
  • 瀑布地
  • 公共の需要がある水源地
  • 名勝史跡
  • その他の法律により私有が禁止される土地

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参考:
ジェトロ:現地法人が不動産取得をする場合の売買契約手続きおよび税金:台湾(2017年3月)

資本金に関する規制

会社の最低払込資本金規定はないが、原則として、会社登記の際に公認会計士の監査報告が必要である。

会社の最低払込資本金規定は、2009年4月29日の会社法改正により廃止されたが、会社登記より30日以内に公認会計士の監査報告を提出し、資本金が会社設立コストに足りることの証明が必要である。
ただし、一部の業種(銀行業、保険業など)によっては最低払込資本金規定が定められているため、事前確認が必要である。

全国法規資料庫:会社法(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
全国法規資料庫:公認会計士による会社登記資本金査証弁法(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

その他規制

洋上風力発電産業における海事工事の台湾企業優先。

台湾では2025年までに電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を20%まで引き上げるという目標の下、太陽光発電と洋上風力発電の導入が推進されている。洋上風力発電については、[1]示範(モデル)、[2]潜力(ポテンシャル)、[3]区塊(ブロック)の3段階に分けて開発を進め、このうち[2]潜力段階では、発電事業者は、施設の建設や部品調達にあたり、一定の割合で、台湾企業を通じた発注・調達を行う必要がある。2023年の12月の経済部の公告において、当該制限に関わる、より具体的な内容が盛り込まれている。

行政院:洋上風力発電の促進—台湾をアジアの洋上風力発電技術産業クラスターに(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
経済部工業局:洋上風力発電「ブロック開発」での産業関連政策(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
経済部産業発展署:洋上風力発電「ブロック開発」での産業関連政策(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
経済部産業発展署:洋上風力発電「ブロック開発」での産業関連政策(第二期)(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます