外資に関する奨励

最終更新日:2017年10月13日

奨励業種

投資促進機関である経済開発庁(EDB)が、奨励産業として掲げている分野は、エレクトロニクス、化学、医薬品・バイオテクノロジー、医療技術、精密エンジニアリング、航空エンジニアリング、ヘルスケア、物流・サプライチェーン管理、情報通信サービス、情報通信製品、コンテンツ・メディア、エネルギー、クリーン・エネルギー、環境・水資源、コンシューマ・ビジネス、専門家サービス、都市・インフラ・工業ソリューション、成長ビジネス(自動車、ライフスタイル商品・サービス、天然資源、防災・セキュリティ、ロボティクス、宇宙工学関連ビジネス)である。

シンガポールは、知識集約型経済構造の確立を目指し、先端技術部門、高付加価値産業部門、研究開発部門、ビジネスハブ機能の強化に資するサービス部門などを振興している。EDBが掲げる分野以外で外資奨励に関連し得る主な政策を紹介する。

国家研究財団(NRF)の設置と2020年研究革新起業計画

国家研究財団(NRF)は、研究開発基金の運用、政策立案、関係機関との調整、政策実行計画の策定、予算管理に当たる行政組織として、2006年1月に首相府内に設置された。NRFのプロジェクト推進室では、設定された戦略研究分野別に戦略プログラム・オフィスを設置し、研究開発案件の公募と審査、R&D助成金の拠出、ならびに各種優遇措置や奨学金制度の導入等を実施している。

国家研究財団ウェブサイト(National Research Foundation:NRF外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

首相を委員長とする官民合同の研究・革新・企業評議会(RIEC)は、2010年9月、2015年までの5年間の研究開発強化戦略として、「2015年研究革新起業計画」を発表。2011~2015年までの5年間で国家予算161億シンガポール・ドル(Sドル)が割り当てられ、国家的な課題であるエネルギー、環境、都市開発などのテーマを対象とする提案コンペ「国家技術革新チャレンジ(NIC)」を通じて配分するほか、民間部門のR&D活動を促し、2015年にはR&D関連支出をGDPの3.5%にまで高めることを目指してきた。
RIECは、2016年1月8日に2020年に向けた5カ年計画「2020年研究革新起業計画」を発表した。予算は190億Sドルが割り当てられ、前5カ年予算の161億Sドルより約18%増加されることとなった。重点産業として、先端製造・エンジニアリング、ヘルス・バイオメディカルサイエンス、持続的都市ソリューション、サービス・デジタル経済が指定されている。同計画をNRFが所管している。

NRF:2020年研究革新起業計画 "RIE2020 Plan外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

スマート国家(Smart Nation)構想

Smart Nationは、最新のICT技術の導入で人々が暮らしやすい街を作ろうという、スマートシティの考え方を国レベルに拡大したシンガポール政府のビジョンで、2014年11月に発表された。世界初の「スマート国家」の実現に向け、人通りや交通量の多いエリアにセンサーを設置する「スマート・ネーション・プラットフォーム(SNP)」、インテリジェント交通システムと無人走行自動車システムのデータ収集・分析(サイバー・フォレンジック)に特化する「サイバーセキュリティー・リサーチセンター」の設立、サイバーセキュリティー分野の戦略・政策立案を担当する「サイバーセキュリティー庁(CSA)」の新設、国内全土を詳細に表示する3次元地図「バーチャル・シンガポール」の制作、規格が異なる無線通信を組み合わせ、効率の良い通信環境を実現する「へトロジニアスネットワーク」の実証実験などが構想の一環として「インフォコム・メディア2025」マスタープランに基づいて進められている。
政府はネットワーク、センサー、ソフトウエアなどのインフラに関しては市場で調達する一方で、国民向けサービスに関しては国内外で開発されている革新的アイデアを導入する方針という。同ビジョンを政府全体で推進するために当初首相府(Prime Minister’s Office)にSmart Nation Programme Officeが設置されたが、2017年5月1日付で財務省と情報通信省のデジタル部局が統合し「スマート国家デジタル政府グループ(SNDGG)」が新設された。

サステイナブル・シンガポール・ブループリント2015(Sustainable Singapore Blueprint 2015

シンガポール政府は、2009年4月、資源の乏しい同国で持続可能な開発の実現を目指す総合的な計画を公表した。国家開発省、環境・水資源省、経済開発庁(EDB)などの複数省庁にまたがる省庁間委員会(IMCSD)が2008年1月から検討を進めてきたもので、2030年に達成すべき数値目標として、[1] GDP単位当たりエネルギー消費量の2005年比35%削減、[2] リサイクル比率の70%への引き上げ、[3] 公共輸送機関利用比率の70%への引き上げなどを設定した。同計画は2014年11月、第2版として計画の一部が見直され、2030年に達成すべき数値目標が引き上げられた。

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インフォコム・メディア2025

2015年までの計画であったメディア開発庁(MDA)によるデジタルメディア産業のマスタープラン「シンガポール・メディア・フュージョン」計画と情報通信開発庁(IDA)による情報通信産業分野のマスタープラン「iN2015」を統合して、情報通信省(MCI)は2025年までの情報通信メディア産業の将来像を描いたマスタープラン「インフォコム・メディア2025」を2015年8月に公表した。この計画にはスマート国家構想を実現するための一連の具体的施策が描かれている。

インフォコム・メディア2025:情報通信省 "INFOCOMM MEDIA 2025外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

国土利用基本計画マスタープラン2014

都市再開発庁(URA)では5年ごとに10年~15年先の国土利用計画マスタープランを発表している。このマスタープランでは国土の用途や容積率が規定されているほか、インフラを含む開発計画が盛り込まれている。現行マスタープラン(MP2014)では、環境に配慮したあらゆる年代層の住宅・公共空間を整備し、職場を国内で分散化させ「職住接近」を実現するほか、交通アクセスの改善を目指すことが盛り込まれた。将来の計画として、2030年までに南部湾岸部で建設を進める新臨海都市「サザン・ウォーターフロント・シティー」についても概略が示された。用地借地権が2027年に期限を迎えるシンガポール・コンテナ港を西部トゥアスに移設し、移設後の中心部タンジョン・パガーから西部パシル・パンジャン一帯の約1,000ヘクタールを再開発する。

URA:マスタープラン "URA Space外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

各種優遇措置

シンガポールを拠点として海外展開を目指す内外企業に対して、法人税制をはじめとして、多種多様な優遇措置と国際的に競争力を高めるビジネス環境が整備されている。

主な投資優遇措置は次のとおり。

法人税制度

  1. 低い税率

    シンガポールは競争力を高めるため、法人税率を引き下げてきた。2010年課税年度(課税対象は2009年の利益)から法人税率を18%から17%に引き下げた。この引き下げによって、シンガポールの法人税率は、アジアでは香港の16.5%にほぼ並ぶ低いものになっている。課税所得のうち最初の30万Sドルに対しては部分免税制度が適用されるため、実効税率は17%未満になる。

    内国歳入庁(IRAS):法人税関連 "Corporate Tax Rates, Corporate Income Tax Rebates, Tax Exemption Schemes and SME Cash Grant外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  2. キャピタルゲイン課税なし

    シンガポールにはキャピタルゲイン課税がない。これは、企業が海外投資を計画する際に撤退戦略まで含めて考えると、重要なポイントとなる。事業再編目的で子会社を売却(投資有価証券を譲渡)する場合に生じるキャピタルゲインに課税が生じないため、その分だけ撤退コストを小さくできる。

    通貨金融庁:税制 "Tax外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  3. 多数の租税条約

    シンガポールは約82カ国・地域と租税条約を結んでいる。シンガポールに置かれた地域統括会社は、租税条約により配当や利息、ロイヤルティーなどへの二重課税を防止できる。

    IRAS:二重課税防止条約 "International Tax外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  4. 国外源泉所得の免税

    シンガポールは国外所得免除方式の課税制度を採用している。国外源泉所得はシンガポールに送金した場合にのみ課税され、ある特定の所得はシンガポールに送金した場合でも免税になる。一つの例として、外国企業からシンガポールに還流された配当金は、その企業が所在する国の表面税率が15%以上の場合、その国で課税されている(源泉税や受取配当のもとの利益に課される所得税などを納付している)ことを条件に、非課税となる。

    IRAS:国外源泉所得の免税 "Tax Exemption of Foreign-Sourced Income外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  5. ワン・ティア・システム

    シンガポール政府はワン・ティア法人税制度を採用しており、シンガポールに置かれた持ち株会社や地域本社が本国に配当する際には一切課税が生じない。シンガポール企業が支払う法人税が最終の納税となる。したがって、シンガポール企業が国内の個人、法人に支払う配当金は、受け取る側では課税対象外であり、国外の企業に配当する場合は源泉税が課せられない。

    財務省:One-Tier System外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  6. タックスヘイブン税制や過小資本税制

    他の多くの国と異なり、シンガポールには、CFCルール(controlled foreign corporation rules、いわゆるタックスヘイブン税制:在外子会社の利益に対する合算課税の制度)や過小資本税制はない。支払利息は、資金が課税所得を生み出すために使用されていることを明確に実証できる限り、損金に算入することができる。

  7. 対内投資促進税制

    国際的な競争力を高めるための税制のほかに、企業は、海外からの直接投資を促すために設けられた優遇税制を利用することができる。

  8. 海外納税クレジット合算制度の創設

    企業の海外事業利益のシンガポール国内への送金を促すため、「海外納税クレジット(FTC)合算制度」を2012年賦課年度に創設した。企業が海外納付した税額を納付国・地域に関係なく合算し、海外利益の国内送金に対する源泉徴収課税の税負担を企業が軽減しやすくする。FTC合算対象は、法人税の最高税率が15%以上の国・地域に限定。

    IRAS:Foreign Tax Credit:FTC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

優遇税制

シンガポールにおける外資導入や産業振興のための税制優遇措置は、所得税法(Income Tax Act)および経済拡大奨励法(Economic Expansion Incentives Act)を根拠法として、時代の政策に応じて整備が行われてきたが、そのうち、製造・サービス業を対象とした優遇措置を所管する経済開発庁(EDB)は、主に外国企業が申請できる投資優遇措置の適用を行う窓口となっている。
これらの優遇措置の適用にあたっては、優遇措置を受けられる投資の認可の条件として、相当規模の資本投資であることや、高度技術と製造技術に関連したプロジェクトであること、特殊技術や専門的サービスの提供を行うこと等が求められており、これを通じて、高付加価値産業への投資促進を誘導している。
優遇税制は、大きく分けて、[1] 地域統括企業向け、[2] 技術革新・製品開発企業向け、[3] 海運・航空事業者向け、[4] 貿易・海外事業拡張・観光促進企業向け、[5] 金融サービス企業向けの5分野に分類され、シンガポールへの投資を検討している日本企業や既にシンガポールで操業している日本企業に利用できるものである。優遇税制の詳細については、「税制-法人税」の項を参照のこと。

その他の優遇措置

優遇税制とは別に、研究開発、企業の国際化、中小企業の生産性向上・能力開発、起業を促進するための助成金制度や投融資制度などの各種優遇策もあり、経済開発庁(EDB)、国際企業庁(IEシンガポール)、生産性規格革新庁(SPRING)をはじめとする政府機関にて所管されている。

[参考]
研究開発などについて:EDB "INCENTIVES FOR BUSINESSES外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
中小企業向けの各種優遇策の詳細は、政府ビジネスポータルサイト「SMEportal.sg外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の「Money Matters」を参照のこと。

その他

特になし

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