外資に関する規制

最終更新日:2017年10月13日

規制業種・禁止業種

外国資本による事業所有に関しても、国家の安全保障にかかわる公益事業、メディア関係等の一定の分野を除いて制限はない。
外資規制を管轄する官庁はない。ライセンスを管轄する官庁は業種によって異なる。

規制業種

メディア

監督官庁:情報通信メディア開発庁(Info-communications Media Development Authority:IMDA)
放送・新聞等のメディア事業については、諸外国と同様、シンガポールにおいても外資規制が行われている。具体的には、外資による出資割合および外国人の取締役就任に関して規制が行われている。なお、一定割合以上の株式の取得については、内外資関係なく、事前承認が必要。

  1. 放送事業:放送法(Broadcasting Act)による規制
    • ライセンス(8条):ライセンスなしでの放送業務の禁止
    • 外資による出資制限(44条):外資による株式および議決権の49%超の保有(*)
    • 外国人取締役の制限(33条):CEOおよび取締役の少なくとも半数はシンガポール国民であること(*)
    • 出資規制(35条):5%以上の議決権株式の取得、保有、処分等(*)
    • 同(36条):12%超の株式および議決権の取得、株式等の保有にかかわらず取締役に対する一定の指示権限の保有(*)
    (*)大臣またはMDAによる事前承認が必要
  2. 新聞社:新聞・印刷機法(Newspaper and Printing Presses Act)による規制
    • 外国人取締役の制限(10条):すべての取締役はシンガポール国民であること(*)
    • 株主資格の制限(10条):普通株式(Ordinary Share)と経営株式(Management Share)の2種類の株式を発行し、後者はシンガポール国民または大臣により認可を受けた法人のみ保有可能(*)
    • 出資規制(11条):5%以上の議決権株式の取得、保有、処分等(*)
    • 同(12条):12%超の株式および議決権の取得、株式等の保有にかかわらず取締役に対する一定の指示権限の保有(*)
    • ライセンス(21条):許可なしでの新聞の印刷・発行等の禁止

    (*)大臣またはMDAによる事前承認が必要

    IMDA:管轄する法規制 "Acts and Regulations外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

電気・ガス

監督官庁:エネルギー市場監督庁(Energy Market Authority:EMA)
電気事業およびガス事業については、法律上、外国資本の参入は制限されていない。市場の自由化も進んでおり、電力の小売市場については、以前は1社(SP Service)が独占していたが、徐々に自由化が進み、2015年7月からは月電力消費量が2,000kWh以上の利用者へ自由化の対象が拡大されている。さらに2018年下半期には、一般世帯・事業者を含めた小口需要についても完全自由化される予定。

  1. 電気事業:電気法(Electricity Act)による規制
    • ライセンス(6条):ライセンスなしでの電気事業の禁止
    • 出資規制(30B条):5%超12%未満の持分保有者を監督官庁に届出
    • 同(30B条):12%超または30%超の持分または議決権の取得、および持分等の保有にかかわらず取締役等に対する一定の指示権限の保有(*)
  2. ガス事業:ガス法(Gas Act)による規制
    • ライセンス(6条):ライセンスなしでのガス事業の禁止
    • 出資規制(63B条):持分保有者を監督官庁に届出
    • 同(63B条):12%超または30%超の持分または議決権の取得、および持分等の保有にかかわらず取締役等に対する一定の指示権限の保有(*)

    (*)大臣またはEMAによる事前承認が必要

製造業規制法(Control of Manufacture Act

次の品目を製造しようとする事業者は、製造業者登記官(Registrar of Manufacturers)である経済開発庁(EDB)に書面で事前の許可を取得しなければならない(5条)。

  1. ビール・スタウトビール
  2. たばこ
  3. 延伸鋼製品
  4. ガム
  5. マッチ

光ディスク製造法(Manufacture of Optical Disc Act

コンパクトディスク(CD)、CD-ROM、デジタルビデオディスク(DVD)、DVD-ROM、ビデオコンパクトディスク(VCD)を販売目的で製造する者は経済開発庁(EDB)よりライセンスを取得しなければならない(4条)。

金融

銀行:銀行法(Banking Act)による規制

  • ライセンス(4条):ライセンスなしでの銀行業の禁止
  • 最低資本規制(9条):外国銀行が現地法人を設立する際の最低資本要件が15億Sドルで、シンガポール通貨金融庁(MAS)による自己資本比率を満たさなければならない。
  • 出資規制(15A条):シンガポールの地場銀行に対し5%以上の議決権株式の取得・保有・処分(*)
  • 同(15B条):シンガポールの地場銀行に対し12%超または20%超の持分または議決権の取得、および持分等の保有に係らず取締役等に対する一定の指示権限の保有(*)
  • 出店規制(MAS Notice 603):フルバンクには配置支店数、ATM数の制限あり。10行には、適格フルバンク(QFB)の特権を付与。QFB銀行は、25販売拠点(うち10は支店)まで設置可能。QFB間でのATM網の共同利用可能。

(*)大臣による事前承認が必要

MAS:金融分野の規制等 "Regulations, Guidance and Licensing外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

法律サービス

  • 法律事務所:弁護士法(Legal Profession Act)による規制
  • 弁護士資格(4条):シンガポールの国内法の範疇において弁護士業務を行う場合にはシンガポールの弁護士資格を取得しなければならない。
  • ライセンス(130B/C/D/E条):外国法律事務所の開設には外国法律事務所ライセンス(Foreign Law Practice License)を取得しなければならない。外国法律事務所は原則、地元の法律事務所と提携しない限り、シンガポール法に基づく業務を禁じられている。シンガポールの法律事務所との提携により、Formal Law Alliance LicenseまたはJoint Law Venture Licenseを取得すると、金融、国際仲裁、会社法、知的財産、海事などに限って業務を拡大することができるが、外国法律事務所による持ち分について一定の制限があるほか、マネジングパートナーはシンガポールの弁護士である必要があり、最高意思決定機関の議決権の3分の2以上をシンガポールの弁護士が保有しなければならないなどの条件が付けられている。

シンガポールの法曹界の発展を促進する目的で、シンガポール法務省は2008年に適格外国法律事務所制度(QFLP)を導入し、英米の6つの法律事務所に適格外国法律事務所ライセンス(Qualifying Foreign Law Practice License)が与えられた。QFLP資格を有する外国法律事務所には一定の範囲でシンガポールでの単独業務提供を認められる。2012年7月にQFLP資格の第二次募集が行われ、国際的な法律事務所4社が新たにQFLPに選定された。

シンガポール人および外国人弁護士資格の付与ならびに法律事務所の登録は、法務省下部機関の法律サービス規制庁(Legal Services Regulatory Authority:LSRA)が行う。

ライセンスを必要とする主な業種

内外資を問わず、事前に一定のライセンスを取得することが必要な事業がある。代表的な業種、ライセンス名、監督官庁は、次のとおり。

ライセンス手続のポータルサイト:LicenceOne外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  1. 小売業
    1. Tobacco Retail Licence(たばこ販売):ヘルスサイエンス庁(Health Sciences Authority:HSA)
    2. Supermarket Licence(スーパーマーケット):国家環境庁(National Environment Agency:NEA)
    3. Telecommunication Dealer’s (Individual/Class) Licence(情報通信機器販売):情報通信メディア開発庁(Info-communications Media Development Authority:IMDA)
    4. Licensing Of Retail Pharmacies(薬局):ヘルスサイエンス庁(Health Science Authority:HSA)
    5. Duty Free Shop (DFS) Scheme(免税店):シンガポール税関(Singapore Customs
    6. Licence for Pet Shop(ペットショップ):農食品・獣医庁(Agri-Food and Veterinary Authority:AVA)
  2. 飲食業
    1. Food Shop Licence(レストラン):国家環境庁(National Environment Agency:NEA)
    2. Liquor Licence(アルコール飲料販売):シンガポール警察(Singapore Police Force:SPF)
    3. Licence to Operate a Food Processing Establishment(セントラルキッチン等):農食品・獣医庁(Agri-Food and Veterinary Authority:AVA)
  3. 不動産業
    1. Housing Developer's Licence(不動産開発業):都市再開発庁(Urban Redevelopment Authority:URA)
    2. Estate Agent Licence(不動産仲介業):不動産仲介業評議会(Council for Estate Agencies:CEA)
  4. 建設業 Licence to Supply Professional Engineering Services by a Corporation(国家資格を有する専門家サービスの提供):専門技術者局(Professional Engineers Board:PEB)
  5. 運輸・物流業
    1. Harbour Craft Licence(内航海運業):海事港湾庁(Maritime and Port Authority:MPA)
    2. Air Operator Certificate(航空輸送業):民間航空庁(Civil Aviation Authority of Singapore:CAAS)
    3. Petroleum / Flammable Materials Transportation Licence(石油・可燃物輸送業):民防部隊(Singapore Civil Defence Force:SCDF)
    4. Licenced Warehouse (LW) Scheme(ライセンス倉庫を運営する物流業):シンガポール税関(Singapore Customs
    5. Hazardous Substances (HS) Licence(危険物等化学品を取り扱う物流業):国家環境庁(National Environment Agency:NEA)
    6. Licence to Operate a Coldstore(冷蔵・冷凍倉庫):農食品・獣医庁(Agri-Food and Veterinary Authority:AVA)
  6. 製造業
    1. Hazardous Substances (HS) Licence(危険物等化学品の製造業):国家環境庁(National Environment Agency:NEA)
    2. CWC Licence(化学兵器禁止条約に基づく特定化学品の製造業):シンガポール税関(Singapore Customs
    3. Food Processing Establishment Licence(食品製造業):農食品・獣医庁(Agri-Food and Veterinary Authority:AVA)
    4. Licence to Operate Slaughter-house(と畜場):農食品・獣医庁(Agri-Food and Veterinary Authority:AVA)
  7. 電気通信業
    1. Facilities Based Operator (FBO) Licence(電気通信設備を所有する設備ベース事業者ライセンス):情報通信メディア開発庁(Info-communications Media Development Authority:IMDA)
    2. Services-Based Operator (SBO) (Individual/Class) Licence(設備を所有しないサービス・ベース事業者ライセンス):情報通信メディア開発庁(Info-communications Media Development Authority:IMDA)
  8. 教育産業
    1. Certificate of Registration of School(私立学校):教育省(Ministry of Education:MOE)
    2. Registration of private Education Institutions(私立学校):私立教育審議会(Council for Private Education:CPE)
  9. 医療・介護サービス Hospital Licence, Medical Clinic Licence(民間病院、診療所):保健省(Ministry of Health:MOH)
  10. その他サービス業
    1. Travel Agent Licence(旅行業):シンガポール観光局(Singapore Tourism Board:STB)
    2. Employment Agency Licence(人材紹介業):人材省(Ministry of Manpower:MOM)
    3. Licence for the Provision of Arts Entertainment(展示会、コンサート、演劇等):情報通信メディア開発庁(Info-communications Media Development Authority:IMDA)
    4. Class Licence Registration for Internet Access Service Providers And Resellers(インターネットサービスプロバイダ、インターネットコンテンツプロバイダ):情報通信メディア開発庁(Info-communications Media Development Authority:IMDA)
    5. Printing Press Licence(出版業):情報通信メディア開発庁(Info-communications Media Development Authority:IMDA)
    6. Certificate of Registration and Hotel-Keeper's Licence(ホテル業):ホテル認可庁(Hotels Licensing Board:HLB)

出資比率

シンガポールでは国家の安全にかかわる特定の部門を除き、外国資本による全額出資が原則認められている。

外国企業の土地所有の可否

居住用不動産法に基づき、国土庁(SLA)による一定の制限が設けられている。

シンガポールの国土のうち4万1,000ヘクタール(全国土の約58%)は国有地となっており、国土庁(SLA)をはじめとして、住宅開発局(HDB)、ジュロンタウン公社(JTC)、都市再開発庁(URA)など政府機関が管理している。

リースホールド(貸出し)、売却

国家開発省は年2回、市場の需要や国内経済政策に基づき、国有地の民間への売却計画を発表している。

限られた国土を有効に活用することを目的に、売却計画は工業用地で最大30年または60年間、住宅や商業用地で最大99年間など使用権を一定期間に区切って貸し出す方式(リースホールド)が一般的で、売却方式は、国有地を政府が定めた一定価格を上回る購入申請があった場合、入札を実施する予備リスト方式と、一部開発を急ぐ国有地に限って、一定の期日に国有地を売却する確定リスト方式の2通りがある。リースホールドの用地で住宅や商業施設などを開発して一定期間後に再開発する場合には、リース期間の延長などを申請することも可能である。

外国人による不動産の所有

  1. 法務大臣の許可を要する物件

    外国人による不動産、特に住宅用不動産の所有に関しては、1973年に施行された居住用不動産法に基づき、国土庁(SLA)による一定の制限が設けられている。原則として、法務大臣から適用免除または許可を受けていない外国人(シンガポール国籍者、シンガポール法人、シンガポール有限責任パートナーシップ(LLP)、シンガポール社団法人以外の個人または法人)がシンガポール国内において次の物件を所有することは認められない。

    1. 住宅用更地
    2. 計画法(Planning Act)に従って建設され認可を受けたコンドミニアム内以外の土地付き住宅(タウンハウス、クラスターハウスなど)
    3. テラスハウス
    4. セミデタッチハウス(一棟二軒の住宅)
    5. バンガローハウス
    6. 非商業用ショップハウス
    7. 社団法人用施設
    8. 礼拝施設
    9. ホテル法(Hotel Act)の規定の下で登記されていない労働者用宿舎、サービスアパートメント、学生用宿舎

    これら制限付き不動産の所有を希望する外国人はSLAにオンライン申請することができる。

    外国人による不動産所有に関するオンライン申請先:国土庁(Singapore Land Authority:SLA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  2. 法務大臣の許可が不要な物件

    法務大臣の許可なく外国人の所有が認められる不動産は、次のように限定されている。

    1. 多層階住宅(Flat)のユニット
    2. コンドミニアムのユニット
    3. 認可を受けたコンドミニアム内の土地付き住宅
    4. リース残余期間が7年間を超えない土地付き住宅
    5. 商業用ショップハウス
    6. 工業用・商業用不動産
    7. ホテル法の規定に基づいて登記されたホテル
    8. エグゼクティブ・コンドミニアムのユニット、HDBフラット、HDBショップハウス

居住用不動産法の改正

外国人による土地付き住宅と更地の所有を制限する居住用不動産法は2011年1月に大幅に改正された。この改正では、外国人株主や取締役がいる住宅不動産開発会社が期限内に開発・分譲を終えられない場合には、遅延金を課す仕組みを設けたほか、同法の規定に違反する外国人による住宅不動産売買に対する罰金の上限を5,000Sドルから、20万Sドルに大幅に引き上げた。このほか、戸建て住宅・宅地を相続で取得した外国人がそれらの不動産を手放す猶予期間を10年から5年に短縮。シンガポール国籍の離脱者と永住権返上の外国人には、国籍離脱・永住権返上から2年以内に所有している戸建て住宅・宅地を売却するよう義務付けることなどが盛り込まれた。

関連法:居住用不動産法(Residential Property Act

資本金に関する規制

特定の業種に関する出資比率制限以外には、外国資本による資本金に関するその他の規制はない。シンガポールで設立された企業の最低授権資本に関する法定要件もない。

その他規制

為替管理:1978年に為替管理制度が撤廃されて以来、為替管理規制の適用はない。このため、シンガポールの対内直接投資、配当金または利益の送金、資本の本国送金に関する為替管理上の制限はない。
輸出入管理:シンガポールは原則として自由港であり、輸出入に関する規制は極めて少ない。輸出入に必要な書類も比較的簡単なものである。しかし、シンガポールの領海および領空を通過する戦略物資に関する規制の枠組みが存在する(「貿易管理制度」の「輸出管理その他」内「戦略物資管理」の項目で詳述)。

ご相談・お問い合わせ

現地日系企業の皆様

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