税制

最終更新日:2016年02月08日

法人税

法人税率は17%。ただし、経済開発庁(EDB)などの政府機関によって、認定を受けた企業に関しては、軽減税率の適用を受けることができる。

I. 法人税
1. 居住企業の定義
所得税法(Income Tax Act)第2条で規定されるとおり、シンガポール国内で事業の経営および管理が行われている場合、その企業はシンガポールの居住法人となる。内国歳入庁(IRAS)は、登記場所や法人の居住地が定款に記載されているか否かなども考慮した上で法人が居住者/非居住者であるかを判断する。通常、外国企業のシンガポール支店は海外本店により経営と管理が掌握されているため、居住法人とはみなされない。居住法人・非居住法人とも法人税率をはじめとして適用される税制は同じであるが、居住法人のみが享受できる新会社に対する免税措置、国外源泉所得に対する免税措置、二重課税防止条約に基づく源泉税の減免などの税制優遇を非居住法人は享受できない。内国歳入庁の連絡先は後述「その他税制」項目内『6. 管轄官庁』を参照のこと。



2. 所得税
シンガポールは属地主義(territorial system)を採用しており、シンガポールに源泉がある所得、ならびにシンガポール国外源泉所得のうちシンガポールで受け取られる所得が課税対象となる。シンガポールで受け取られる国外源泉所得については一定の免税範囲があり、国外源泉所得が国外で課税の対象となり、かつ国外の最高法人税率が15%以上である場合は、シンガポールに送金される配当金、国外支店の所得、非個人のサービス収入は免税の適用対象となる。

非居住者がシンガポール国内外にまたがって取引や事業を実施する場合、その取引や事業の利得および利益は、シンガポール国外で実施された業務に直接帰属しないとされる範囲においてシンガポールに源泉があるとみなされる。シンガポール源泉所得総額を明確に算出する責任は納税者にある。

(1) 所得内容
課税対象となる所得内容は次のとおりである。
a. 通商、事業から稼得された利得および利益
b. 配当金、利息および賃貸料など投資業務からの収益
c. ロイヤルティー、プレミアムおよびその他の資産から稼得された利益
d. 収入の性質を有する上記以外の利得および利益

(2) 費用
課税所得の稼得のために専ら発生した費用は原則として損金算入できる。資本控除は工業用の建物および構造物、設備、機械ならびに特定の知的財産について適用可能である。費用の損金への参入の可否はIRASのウェブサイトで参照することができる。
(関連ウェブサイト)
https://www.iras.gov.sg/irashome/Businesses/Companies/Working-out-Corporate-Income-Taxes/Business-Expenses/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(3) キャピタルゲイン
シンガポールにはキャピタルゲイン税はないが、繰り返し発生する性質のもので所得とみなすことのできるものは所得税の課税対象となる。売却益が資産の減価償却後の価値を超える場合は、過去における減価償却の範囲で所得税の課税対象となる。企業が保有する関連会社の株式の売却時における譲渡所得は、2012年6月1日以降、売却前に最低24カ月以上にわたり、20%以上の株式保有率を維持している場合には、キャピタルゲインに該当することとされ、課税所得の対象から除外されることとなった。これに該当しない場合には、従前同様にキャピタルゲイン判定を行うこととなる。

(4) 法人税率
2010賦課年度より、法人税率は居住法人・非居住法人ともに17%に引き下げられた(2008~2009賦課年度は18%、2005~2007賦課年度は20%、2003~2004賦課年度は22%、2002賦課年度は24.5%、2001賦課年度は25.5%)。

2013~2017賦課年度には法人税額の30%に相当する法人税還付(Corporate Income Tax Rebate:2015賦課年度までは各賦課年度最大3万Sドル、2016~2017賦課年度は各賦課年度最大2万Sドル)を受けることができる。この法人税還付制度はIRASにより自動的に付与されるため、企業において自ら申請することは不要となっている。

2005賦課年度に部分税額免除制度(Partial Tax Exemption)が導入され、2008賦課年度からは通常の法人課税所得のうち最初の1万Sドルの75%および次の29万Sドルの50%が免税となる。

また、2005賦課年度には新スタートアップ会社税額免除(Tax Exemption Scheme for New Start-Up Companies)制度が導入され、2008賦課年度からは、新たに設立された法人で適格とされるものについて設立から3年間、通常の課税所得のうち最初の10万Sドルの100%および次の20万Sドルの50%が免税となる。さらに、2010賦課年度からは、新会社に適用される免税措置に有限責任保証会社(company limited by guarantee)も含まれることとなった。ただし、2013年2月25日以降に設立された投資持ち株会社および不動産開発会社は、税額免除(新スタートアップ会社)制度の適用除外とされる。

2011賦課年度から2015賦課年度まで、研究開発、知的財産権登録、知財権の取得、設計、自動化装置・ソフトウエア、社員の能力向上研修費など認定された6分野に投資すると、企業は「生産性・革新クレジット(PIC)」として各分野の投資額の400%相当額(40万Sドルを上限)を損金算入できることとなった。また、中小企業などを念頭に、2013~2015賦課年度に適格PIC支出の60%(年間上限6万Sドル)の補助金交付制度を設けている。このPIC税制は2014年度政府予算案で2018賦課年度まで3年間延長され、中小企業に対して新たに「PICプラス」スキームを導入し、PIC適格支出の上限が40万Sドルから60万Sドルに引き上げられた。

(5) 源泉税率
利息、ロイヤルティー、取締役報酬、技術支援料、マネジメントフィーなどシンガポールに源泉のある所得が非居住者に支払われる場合は10%、15%、もしくは法人税と同率(2010年より17%)の源泉税の課税対象となる。原則としてロイヤルティーの源泉税率は10%に抑えられており、借入や債務に関して支払われる利息、手数料などには15%の軽減税率が適用される。技術支援料およびマネジメントフィーの源泉税率は、その時点の法人税率が適用される。

シンガポールは2003年1月より従来のimputation方式を改め、one-tier制の法人税制を採っている。この制度では、法人が課税所得に関して納めた税金が最終課税となり、法人が株主に支払った配当金はすべて非課税扱いとなる。このため、5年間の移行期間を経た2008年1月より、シンガポール企業が非居住者に対して支払う配当金はシンガポールにおける源泉税の課税対象とはならない。

外国法人のシンガポール支店は非居住法人とみなされることから、シンガポール法人から非居住法人のシンガポール支店に対する利息、ロイヤルティー、取締役報酬、技術支援料、マネジメントフィーなどの支払いについて源泉所得税が課税されていたが、当該源泉所得税は、シンガポール支店のシンガポールでの法人税の納付税額から控除または還付され、最終的な納付税額に影響しないことから、手続きの簡素化を目的として、2014年2月21日以降、源泉所得税の徴収は不要とされた。ただし、上記支店はACRAへ登記されている支店のみが対象となり、建設工事やその他一定のプロジェクトで、ACRAへ支店登記されていない税務上の恒久的施設(Permanent Establishment)に対する支払いについては適用がない。

特定の支払いについては、二重課税防止条約、シンガポール所得税法の規定または政策に従って源泉税の免除または引き下げが適用される場合がある。特に日本-シンガポール租税条約に基づき利息、ロイヤルティー、動産の使用権の支払には10%の軽減税率で源泉税が適用されることになっている。

(6) 欠損金の繰り戻しおよびグループ合算
一定の条件の下、企業は未利用の減価償却額および事業上の損失額について、将来の所得と相殺するための繰越(欠損金の繰り戻し)または関連会社への引き継ぎ(グループ合算)を行うことが認められている。また中小企業は、現行年度における未利用の減価償却額および事業上の損失額を1年間繰り戻すこともできる。

関連会社とは、シンガポールで設立された法人で、75%以上を直接または間接的に保有している会社を指す。

(7) 企業間取引
シンガポールには正式な移転価格税制は存在しないものの、企業間取引に独立企業間価格の原則を適用する例は所得税法の多くの規定や二重課税防止条約全般において見られる。

所得税法には租税回避防止規定があり、これによって非居住者-居住者間における取引が独立企業間価格に基づいていない場合、内国歳入庁は非居住者への課税を居住者名義で行うことができる。所得税法により内国歳入庁には特定の移転価格の取り決めを調整する権限が与えられており、この調整は当該の移転価格の取り決めが節税目的であることを内国歳入庁が確認した場合に実施される。

納税者による「事前確認制度」の適用については正式な手続きが定められており、企業間取引に対する課税の取り扱いを明確に把握するための機会が提供されている。

(8) 企業が提出すべき申告書
法人税の納付企業は、各会計年度の終了日から3カ月以内に推定課税所得申告書(ECIフォーム)を、毎年11月30日までに賦課年度(決算日が属する暦年の翌年)の確定課税所得申告書(フォームC)を内国歳入庁(IRAS)に提出することが求められる。フォームCには監査済財務諸表、税額計算書、裏付資料を添付しなければならない。

2012年賦課年度より、年間売上高が100万Sドルに満たない小規模企業は、簡略化された確定課税所得申告書(フォームC-S)を12月15日までに電子的に提出するだけで、監査済財務諸表、税額計算書など資料の添付が不要となった。

(9) 生産性投資支援税制
シンガポールは先進国の仲間入りを果たしたものの、米国や日本に比べてまだまだ生産性に劣るとの認識から、企業の生産性向上と事業・技術革新につながる投資を後押しする支援税制「生産性・革新クレジット(PIC)」が2010年度政府予算案で導入された。このPIC税制は、2011賦課年度から2015賦課年度まで、「研究開発(R&D)投資」、「知財権(IP)登録」、「知財権(IP)買収」、「デザイン投資」、「自動化装置・ソフトウエア投資」、「社員の能力向上研修費」など認定された6分野に投資すると、企業はPICとして1分野当たり年間40万Sドル(2012賦課年度までは年間30万Sドル)を上限に、投資額の400%相当額(2012賦課年度までは250%相当額)を損金算入できる制度である。また、課税所得が少ない中小企業などを念頭に、年間6万Sドル(2012賦課年度までは3万Sドル)を上限に、適格PIC支出の60%(2012賦課年度までは30%)の補助金を給付するオプションを設けている。

このPIC税制は、2013年度政府予算案で新たに「PICボーナス」制度が導入され、強化された。PICボーナス制度は、最低5,000Sドルの適格PIC支出を行う企業につき、同額の現金を支給補助するもので、1万5,000Sドルが上限となる。適用期間は、2013賦課年度から2015賦課年度の3年間で、このPICボーナス制度はPIC税制による従前の恩典に追加して享受することができるため、PIC適格支出がある企業は同じ支出について、従前のPIC税制による恩典(すなわち400%の所得控除または60%の現金補助)に加えてPICボーナス制度を適用することができる。本PICボーナス制度は2015賦課年度をもって終了した。

さらに、このPIC税制は2014年度政府予算案で2018賦課年度まで3年間延長され、中小企業に対して新たに「PICプラス」スキームを導入、年間売上高が1億Sドル以下または従業員が200名以下の中小企業は、カテゴリーごとのPIC適格支出の上限が40万Sドルから60万Sドルに引き上げられた。

申請窓口:IRAS
関連法:所得税法附属規定
[参考]
https://www.iras.gov.sg/irashome/Schemes/Businesses/Productivity-and-Innovation-Credit-Scheme/
How-the-Productivity-and-Innovation-Credit--PIC--Scheme-Benefits-You/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます


(10) 税制上の優遇措置
シンガポールでは外国企業の誘致や産業振興を図る目的で様々な優遇措置が設けられている。これらの優遇措置は所得税法(Income Tax Act)および経済拡大奨励法(Economic Expansion Incentives Act)に規定されており、そのうち製造・サービス業を対象とした優遇措置の主な管轄当局は経済開発庁(EDB)である。EDBの連絡先については後述の管轄官庁を参照のこと。



II. 製造・サービス企業向け優遇措置

1. 地域統括本部(Regional Headquarters Award:RHQ
アジア太平洋地域の統括拠点をシンガポールに置く企業で政府の認定を受けた企業は、増分適格所得について3年間にわたり15%の軽減税率が適用される。適格所得とは海外のマネジメントフィー、サービス料、売上、貿易所得、ロイヤルティーを指す。地域統括本部の認定を受けるには、投資額、シンガポールでの事業規模など公表されている規定の基準をすべて満たさなければならない。最初の3年目以降は、企業が要件をすべて満たす場合にかぎり更に2年間にわたって15%の軽減税率が適用される。適格要件には次の4項目が含まれる。
なお、地域統括会社の優遇税制は、EDBに申請して取得するDEI(開発拡張インセンティブ)に基づくものと、所得税法43E項に基づくものの2種類があり、所得税法43E項に基づく認定統括会社インセンティブは2015年度予算案により撤廃された。

(1) 資本金
払込済資本金が適用開始から1年以内に20万Sドル以上、同3年以内に50万Sドル以上になること

(2) サービス
3つ以上の本部サービス(事業企画の策定、経営管理、営業企画およびブランド管理、知的財産権管理、教育訓練および人事管理、研究開発および試験生産・販売、共有サービス、経済や投資に関する調査・分析、技術支援、資材調達・流通、財務顧問など)を3カ国以上の国外ネットワーク会社(子会社、関連会社、支店、合弁会社、駐在員事務所、フランチャイズ先を含む)に提供すること

(3) 人事
[1] 適用期間中、常時、従業員の75%以上がシンガポール技術教育機構(ITE)の国家技術資格2級(NTC2)以上の資格を有すること、[2] 適用開始から3年以内に10人以上の専門職者(ディプロマ以上の資格)を追加雇用すること、[3] 適用開始から3年以内に上位5位の管理職者の平均年収が10万Sドル以上になること

(4) 事業支出
[1] 適用開始から3年以内に、年間事業支出(国外外注費、原材料・部品・梱包材料、国外に支払われるロイヤルティー・ノウハウ料を除く)が200万Sドル以上増加すること、[2] 適用開始から3年間の事業支出の累計金額が300万Sドル以上増加すること

申請窓口:EDB
関連法:経済拡大奨励法パートIIIB
[参考]
http://www.edb.gov.sg/content/edb/en/why-singapore/ready-to-invest/incentives-for-businesses.html外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます


2. 国際統括本部(International Headquarters AwardIHQ
国際統括本部は、地域統括本部(RHQ)としての適格要件を大幅に超える事業計画を約束する企業を対象とするもので、適格所得に対する軽減税率をはじめとする個別のインセンティブパッケージについてEDBと協議を行う。軽減税率やその適用期間は5年から10年で、個々の統括会社の規模やシンガポール経済への貢献度により決定される。

申請窓口:EDB
関連法:経済拡大奨励法パートIIIB
[参考]
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3. パイオニア・インセンティブ
Pioneer Incentive:PC-M/PC-S)
パイオニア・ステータスの認定を受けた企業には、最長15年間にわたる法人所得税の免税措置が適用される。パイオニア・ステータス・スキームは特定製品の製造奨励および特定サービスの発展を目的とした制度である。財務省が定める特定適格サービス(シンガポールの経済発展計画に適合するサービス)を提供する企業にもパイオニア・ステータスが付与される。パイオニア・ステータスは原則として政府の裁量により付与されるものであるため、パイオニア・インセンティブの認定については決まった基準がなく、交渉を通じて認定の判断が行われる。EDBは、製品の種類、投資規模、技術レベルなどを主に考慮してパイオニア・ステータスの付与を判断している。

申請窓口:EDB
関連法:経済拡大奨励法パートII およびパートIII
[参考]
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4. 開発・拡張インセンティブ(
Development & Expansion IncentiveDEI
パイオニア・ステータスの認定を過去に受けていた企業やパイオニア・インセンティブの認定を受けられなかった企業を対象とする制度で、開発・拡張インセンティブの認定を受けるには新規プロジェクトを実施するか、シンガポールにおける事業の拡張または増強を行わなければならない。認定の判断は、固定資産投資額、シンガポールにおける事業支出総額、技術・能力開発、プロジェクトの質、技術革新の内容などの基準により行われる。認定を受けた企業は、適格活動に対して5%または10%の軽減税率が適用され、当初適用期間は最長10年間である。適用期間の延長は1回につき最長5年間であり、最長20年間の延長が認められる。延長申請はそれぞれのケースによりその是非が検討される。

申請窓口:EDB
関連法:経済拡大奨励法パートIIIB
[参考]
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5. 投資控除(Investment AllowanceIA
)および総合投資控除(Integrated Investment Allowance:IIA)
投資所得控除は(パイオニア・ステータスの代替となるものであり)、製造業者、航空機のMRO(メンテナンス、リペア、オーバーホール)を請け負う事業者、認定建設事業を実施する企業、研究開発プロジェクトを対象とするインセンティブである。オートメーション機器は特にその対象として好ましいものに指定されている。本インセンティブでは、合意した期間内(5年未満)における工場建物(土地を除く)、認定プロジェクト用の新規生産設備、ノウハウや特許権の取得に関する認定資本支出について、通常の資本控除100%に加え、適格設備投資の30%もしくは50%の追加控除が可能となる。さらに、シンガポールの国際拠点化を加速するため、2012年2月17日以降、海外に設置する生産設備のために発生した適格資本支出に対し、資本控除とは別に総合投資控除(IIA)が適用できるようになった。本制度の適用期間は、2013賦課年度から2017賦課年度となり、個別のインセンティブパッケージについてEDBと協議を行う。

申請窓口:EDB
関連法:経済拡大奨励法パートX
[参考]
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6. 合併・買収スキーム(M&A Scheme)
M&Aスキームは、企業の成長および国際化戦略としてのM&Aを奨励するために2010年度に導入された。一定の要件を満たす会社を買収したシンガポール法人は、買収金額の5%相当(上限500万Sドルで、5年定額償却)を損金として認められるほか、印紙税が20万Sドルを上限として免除され、加えて取得関連費用についても200%控除(上限10万Sドル)を認められる。

なお、従来は、本スキームの利用にあたって、直接買収または完全子会社を通じた間接買収を対象とし、買収会社、完全子会社およびターゲット企業すべてがシンガポール居住法人であることといった要件があった。しかし、2012年予算案にて制度が拡充され、2012年2月17日以降、2015年3月31日までに実施されたM&A案件を対象に、孫会社以下の完全子会社を利用した買収についても対象とされ、買収企業がシンガポール居住法人であることという要件が撤廃され、買収会社が外国法人でも対象とされた。

さらに2015年度税制改正により、本制度の適用期間が2020年3月31日まで延長されたが、適用対象となる買収金額限度額は1億Sドルから2千万Sドルに縮小され、大規模な買収を行う企業にとってその恩典は少なくなった。ただし、税務上損金算入される金額が適格買収金額の25%に増加され、買収後50%超保有することという最低株式持分要件が20%に緩和されたことにより、大規模な買収を意図しない中小企業においては、当該スキームの恩典が大きくなる。当該スキームの適用は原則最終親会社がシンガポール資本である法人が対象となるため、日系企業は原則適用ができないが、EDBが管轄する地域統括会社を取得していると、申請により適用が認められる場合もある。
申請窓口:EDBおよびIRAS
[参考]
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7. 土地集約化に関する税務上の減価償却(Land Intensification AllowanceLIA

本制度は、国土の小さいシンガポールにおける土地の有効利用を促進することを目的として2010年度税制改正において導入された。都市再開発庁(URA)が定める区域に一定の産業用建物を取得等する場合、適格建物および構築物の建設、改築または拡張について直接生じた費用について、25%の初期償却と5%の年間償却が認められる。LIAを活用したい建物所有者は、事前にEDBに適用申請をし、許可を受ける必要がある。また、EDBからの許可を受けた後も、建築物の総床面積の80%以上が適格活動のために使用され、総容積率も一定の基準を満たしていなければならない。適用対象となる期間は2015年6月30日までの時限措置となっていたが、2014年度税制改正において、同制度の適用対象期間が2020年6月30日まで延長されたほか、適格活動が製造業に加えて、空港や港湾内に立地する物流業も加えられるようになった。

申請窓口:EDB
関連法:所得税法18C項
[参考]
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8. 土地を高度利用する企業に対しての助成金制度(Land Productivity GrantLPG

2013年度の税制改正により新設された制度で、事業オペレーションの再編により、利用土地の集中化やリロケーションを行おうとする企業に対し、当該再編にかかるコンサルティング費用または移転費用の一部が助成される。当該制度は、シンガポールで土地を集中利用している企業に対し、その事業オペレーションの一部を海外に移転することによるシンガポールの土地利用の高度化を図らせることにある。
シンガポール国内において少なくとも0.1へクタール以上の利用可能な土地の創出を伴う事業再編を行おうとする法人(国内法人および国外法人)は、[1] 移転費用(工場・プラント等の物理的な移動費用)、[2] 移転候補先の調査や移転に伴う業務の再設計に係る第三者に対するコンサルティング報酬、[3] 移転プロジェクトの管理や移転先での立ち上げ業務(移転先の従業員の教育訓練等を含む)のために移転先に派遣されるシンガポール法人スタッフに関する人件費などの適格費用の10%から70%の範囲で助成を受けることができる。当該制度は申請に応じて適用され、期間は2017年3月31日までとなっている。

申請窓口:EDB(国外法人)およびSPRING(国内法人)
[参考]
http://www.edb.gov.sg/content/edb/en/why-singapore/ready-to-invest/incentives-for-businesses.html外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます



III. 海運・航空事業者向け優遇措置

1. 認定国際海運企業(Approved International Shipping Enterprise AwardAIS
世界の主要港に国際的なネットワークを有する国際海運会社でシンガポールでのオペレーションを拡充する事業計画を有する会社は、本制度を管轄するシンガポール海事港湾庁(Maritime and Port Authority of Singapore:MPA)への申請資格を持ち、認定されると10年間にわたり特定の海運収益に対する法人税とシンガポールの非居住法人に支払う傭船料に掛かる源泉税が免除される。AIS認定企業は、一定の条件を満たすと、期間をさらに延長することもできる。

申請窓口:MPA
関連法:所得税法13F
[参考]
http://www.mpa.gov.sg/web/portal/home/maritime-companies/setting-up-in-singapore/programmes-to-support-your-maritime-business/maritime-sector-incentive-approved-international-shipping-enterprise-msi-ais-award外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます


2. 海運関連支援サービス・アワード(Shipping-related Support Services AwardSSS

シンガポールにて船舶の運航と物流に関与する船舶代理店業務、海上運賃の先物取引、船舶売買の仲介、船舶管理、物流サービスなど海運関連支援サービスのオペレーションを拡充する事業計画を有する会社は、本制度の申請資格を持ち、認定されると5年間にわたり海運関連支援サービスから稼得する収益増加分の法人税に対し、10%の軽減税率が適用される。本制度の申請は2021年5月31日までとなっている。

申請窓口:MPA
関連法:経済拡大奨励法パートIII B
[参考]
http://www.mpa.gov.sg/web/portal/home/maritime-companies/setting-up-in-singapore/programmes-to-support-your-maritime-business/maritime-sector-incentive-shipping-related-support-services-msi-sss-award外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます


3. 海事リーシング・アワード(Maritime Leasing AwardML

シンガポールにて船舶またはコンテナのリース事業に携わる会社、船舶投資ファンド、信託会社、パートナーシップは、本制度の申請資格を持ち、認定されると5年間を上限として、特定のリースまたは傭船所得に対する法人税に10%の軽減税率が適用される。本制度の申請は2021年5月31日までとなっている。さらに、2012年2月17日以降、認定されたコンテナ船の取得にかかる利息の支払いに対する源泉税が免除されている。

申請窓口:MPA
関連法:所得税法43W項
[参考]
http://www.mpa.gov.sg/web/portal/home/maritime-companies/setting-up-in-singapore/programmes-to-support-your-maritime-business/maritime-sector-incentive-maritme-leasing-msi-ml-award外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
 


4. 航空機リーシング・スキーム(Aircraft Leasing SchemeALS

シンガポールにて航空機のリース事業に携わる会社、投資ファンド、信託会社は、本制度の申請資格を持ち、認定されると5年間を上限として、特定のリース所得に対する法人税に10%の軽減税率が適用される。本制度の申請は2017年3月31日までとなっている。さらに、2012年5月1日以降、認定された航空機の取得にかかる利息の支払いに対する源泉税が免除されている。

申請窓口:EDB
関連法:所得税法43Z項
[参考]
http://www.edb.gov.sg/content/edb/en/why-singapore/ready-to-invest/incentives-for-businesses.html外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます




IV. 貿易・海外事業拡張・観光促進企業向け優遇措置

1. グローバル・トレーダー・プログラム(Global Trader ProgrammeGTP
石油製品、石油化学製品、農産物、金属、電子部品、建築資材、消費財などの国際貿易に携わる会社でシンガポールをオフショア貿易活動の拠点として位置付け、経営管理、投資・市場開拓、財務管理、物流管理の機能を有する会社は、本制度の申請資格を持ち、認定されると特定商品のオフショア貿易による収益増分に対する法人税に5%または10%の軽減税率が適用される。2001年に開始された本制度は、2011年税制改正において商品貿易拠点としてのシンガポールの地位強化に向け、適格デリバティブ取引を追加した。個別のインセンティブパッケージについては国際企業庁(IEシンガポール)と協議を行う。

申請窓口:IEシンガポール
関連法:所得税法43P項
[参考]
http://www.iesingapore.gov.sg/Trade-From-Singapore/Global-Trader-Programme外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 


2. 国際成長スキーム(International Growth Scheme:IGS)
シンガポールの大手企業の国際化の進展を一層支援するため、シンガポールに主要機能を残したまま、海外に飛躍する可能性の高い企業を対象に、2015年度予算案において、新たな国際成長スキーム(IGS)が導入された。IGSにおいては、認定を受けた適格シンガポール企業は、適格活動から生じる所得増加部分について5年を超えない期間にわたり10%の優遇税率の適用を受けることができる。適格シンガポール企業には、国際化を図る活動に従事し、シンガポール人に国際社会と接する機会を提供することが期待される。優遇税制の対象となる活動は、地域統括サービス、財務サービスなど19項目が指定され、個別のインセンティブパッケージについては国際企業庁(IEシンガポール)と協議を行う。本制度の申請期間は2015年4月1日から2020年3月31日までとなっている。

申請窓口:IEシンガポール
関連法:所得税法43P項
[参考]
http://www.iesingapore.gov.sg/Assistance/Global-Company-Partnership/Market-Access/International-Growth-Scheme外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます


3. 国際化に対する二重税額控除(Double Tax Deduction for InternationalisationDTD

シンガポールで登記された会社で海外でのプロジェクトや市場開拓、事業・投資機会を模索するための現地法人を新規に設立しようとする会社は、フィージビリティ・スタディや現地視察に掛かる外部コンサルタント費用、海外における新規市場や顧客を開拓するための支出などを課税所得から二重に控除することができる。
また海外にプロジェクト開発のための現地法人を設立する場合には、オフィス・レンタル費用、渡航費、派遣社員の報酬など最初の6カ月間にわたって同様に二重に控除することができる。本制度はさらに拡充され、2012年4月1日から2016年3月31日までの間、海外での事業開発、海外での投資機会の調査、海外での展示会出展、国内での認定された展示会出展に掛かる適格費用が年間10万Sドルを下回る場合に、自動的に二重に控除できるようになった。費用が年間10万Sドルを超える場合は、所管の国際企業庁(IEシンガポール)に事前承認を受けなければならない。
2015年度予算案において、この200%損金算入の対象となる適格支出の範囲が、新設国外会社に異動するシンガポール人の人件費まで拡大された。これにより、海外展開を進める企業を支援すると共に、シンガポール人に対し海外で就業するためのより専門的な仕事や機会を創出する。当該スキームで200%損金算入が認められる適格人件費は、認定1企業あたり年間100万Sドルが上限とされている。

申請窓口:IEシンガポール
関連法:所得税法14B&14K項
[参考]
http://www.iesingapore.gov.sg/Assistance/Global-Company-Partnership/Market-Access/Double-Tax-Deduction外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 


4. 認定国際展示会に対する二重税額控除(Double Tax Deduction for Approved International FairDTD

シンガポールの居住企業でシンガポール開催の認定された国際展示会に出展する企業は、出展費、広告費、展示品の保険、招待する海外のバイヤーの渡航費・宿泊費など費用を課税所得から二重に控除できる。本制度はさらに拡充され、2012年4月1日から2016年3月31日までの間、国内での認定された展示会出展に掛かる適格費用が年間10万Sドルを下回る場合に、自動的に二重に控除できるようになった。費用が年間10万Sドルを超える場合は、所管のシンガポール観光局(STB)に事前承認を受けなければならない。

申請窓口:STB
関連法:所得税法14B項
[参考]
https://www.stb.gov.sg/assistance-and-licensing/tax-incentives/pages/double-tax-deduction-for-approved-international-fair.aspx外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 


5. インバウンド観光促進に対する二重税額控除(Double Tax Deduction for Inbound Tourism PromotionDTD

シンガポールの居住企業でシンガポールへのインバウンド観光に携わる観光関連会社は、シンガポール観光局(STB)が支援する海外での観光関連展示会・ミッションに出展・参加するために要する渡航費、宿泊費、広告費、出展費、展示品の保険など費用を課税所得から二重に控除できる。本制度はさらに拡充され、2012年4月1日から2016年3月31日までの間、海外での認定された展示会・ミッションに掛かる適格費用が年間10万Sドルを下回る場合に、自動的に二重に控除できるようになった。費用が年間10万Sドルを超える場合は、所管のシンガポール観光局(STB)に事前承認を受けなければならない。

申請窓口:STB
関連法:所得税法14B項
[参考]
https://www.stb.gov.sg/assistance-and-licensing/tax-incentives/Pages/Double-Tax-Deduction-for-Inbound-Tourism-Promotion.aspx外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます



V. 金融サービス企業向け優遇措置

1. 金融セクターインセンティブ(Financial Sector Incentives)
認定されたファンド管理、証券先物、コモディティ取引、証券化商品、デリバティブ、シンジケートローン、保険・再保険、投資信託に係る取引のうち適格所得増分に対して軽減税率が適用される。
申請窓口:MAS
関連法:所得税法43項


2. 認定ファイナンス&トレジャリーセンターに対する税制優遇制度(TaxIncentive Scheme for Finance & Treasury CentresFTC
シンガポールに拠点を持ち域内の関連会社に財務・資金調達のサービスを提供する会社は、認定されると適格所得増分に対して軽減税率が適用されるほか、FTC活動のための銀行からの借り入れに対する利息支払いに関する源泉税が免除される。

申請窓口:EDBおよびMAS
関連法:所得税法43G項
[参考]
http://www.edb.gov.sg/content/edb/en/why-singapore/ready-to-invest/incentives-for-businesses.html外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

二国間租税条約

2015年11月5日時点、日本を含む世界76カ国・地域と包括的または部分的な二国間租税防止条約(DTA)を締結。


2015年11月5日現在、シンガポールは以下の国・地域と包括的な二国間租税防止条約(DTA)を締結している。

・アルバニア ・オーストラリア ・オーストリア ・バーレーン ・バングラデシュ
・バルバドス ・ベラルーシ ・ベルギー ・ブルネイ ・ブルガリア
・カナダ ・中国 ・キプロス ・チェコ ・デンマーク
・エジプト ・エストニア ・フィジー ・フィンランド ・フランス
・グルジア ・ドイツ ・ガーンジー ・ハンガリー ・インド
・インドネシア ・アイルランド ・マン諸島 ・イスラエル ・イタリア
・日本 ・ジャージー ・カザフスタン ・韓国 ・クウェート
・ラトビア ・リビア ・リヒテンシュタイン ・リトアニア ・ルクセンブルク
・マレーシア ・マルタ ・モーリシャス ・メキシコ ・モンゴル
・モロッコ ・ミャンマー ・オランダ ・ニュージーランド ・ノルウェー
・オマーン ・パキスタン ・パナマ ・パプアニューギニア ・フィリピン
・ポーランド ・ポルトガル ・カタール ・ルーマニア ・ロシア
・サウジアラビア ・スロバキア ・スロベニア ・南アフリカ ・スペイン
・スリランカ ・スウェーデン ・スイス ・台湾 ・タイ
・トルコ ・ウクライナ ・アラブ首長国連邦 ・英国 ・ウズベキスタン
・ベトナム


シンガポールの会社が税制上居住者とされる場合(すなわち、経営および管理がシンガポールで行われている)、当該企業は租税条約上の恩恵を享受できる。租税条約により、シンガポールの居住者企業は原則として、所得が課税対象となる条約国で稼得した海外所得に関して、シンガポールで納付する税額の還付を申請することができる。更に、条約国において利息やロイヤルティーなどの一定の受動的取得に対する軽減税率(または場合により免税)の適用を受けられることになる。

シンガポールは、バーレーン、ブラジル、チリ、香港、オマーン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、米国とは包括的な二重課税防止条約を締結しておらず、部分的条約を締結している。この部分的二重課税防止条約は国際輸送および国際運送分野にのみ適用される。

シンガポールは、バミューダと租税に関する情報交換協定を締結している。

また、エクアドル、フランス、ラオス、ルクセンブルク、ロシア、ルワンダ、サンマリノ、セーシェル、スリランカ、タイ、アラブ首長国連邦、ウルグアイとは、包括的または部分的租税防止条約に署名済みであるが、未発効である(すなわち、法的強制力がない)。

その他税制

1. 個人所得税
2. 財・サービス税
3. 印紙税
4. 不動産税
5. 相続税
6. 管轄官庁


1. 個人所得税
(1) 居住者の個人所得税
個人の居住者には累進課税制度が適用される。税率は2007賦課年度以降、最初の2万Sドルまでの所得額に適用される税率0%から32万Sドルを超える所得額に適用される最高税率20%となっている。
この税率は2017賦課年度より、年間所得が16万Sドル以上の高所得者層に対する税率の変更が行われ、とりわけ32万Sドル超の課税所得を有する最高所得階層にとっての税率が20%から22%と2%引き上げられることが2015年度予算案で発表された。
また、2015賦課年度には所得税額の50%に相当する個人所得税還付(最大1,000Sドル)を受けることができる。

(2) 非居住者の個人所得税
非居住者である個人の雇用所得には一定税率15%で計算される税額、もしくは居住者に適用される税額のいずれか高いほうの税額が適用される。非居住者である個人の取締役報酬、不動産賃貸収入、その他の所得には2005年賦課年度以降、一定税率20%が適用されているが、この税率も2017賦課年度より22%に引き上げられる。

外国人がシンガポールで就労する場合、年間183日以上シンガポールに居住すると、その個人は所得税法上の居住者であるとみなされ、居住者と同様の所得税申告をする義務がある。賦課年度を跨って続けて183日以上居住した場合も居住者とみなされ、2賦課年度に渡って居住者と同様の所得税申告をする義務がある。年間の滞在日数が61日以上182日以下の場合には非居住者とみなされ、非居住者の所得税率が適用される。ただし、シンガポール国内の滞在日数が年間60日を超えない場合は所得税免税の対象となる。

個人による外国を源泉とする所得のうちシンガポールで受領したものは、2004年1月1日以降、非課税扱いとなっている。

(3) 個人所得税の税額控除
2013賦課年度以降の個人所得税について、高齢者の就労継続を支援するため、55~59歳の就労者の基礎控除が倍額の6,000Sドルに、60歳以上の就労者の基礎控除が倍額の8,000Sドルに引き上げられた。また、身体障害者または精神障害者も同様に、基礎控除が倍額に引き上げられ、55歳未満が4,000Sドル、55~59歳が1万Sドル、60歳以上が1万2,000Sドルに引き上げられた。

2010賦課年度より、「主婦控除」に代えて「主夫」も控除対象に含める「配偶者控除」の創設、親や祖父母、障害者親族の扶養に対する所得控除の拡大、職業訓練や寄付に対する所得控除の拡大が実施された。また、創業間もない企業に出資するエンゼル投資家への支援税制として、2010年3月1日から2015年3月31日までの間に実行された投資額に対し50%(年間50万Sドルを上限)の所得控除を申請できる。

駐在員用の借上げ社宅家賃についての個人所得税は、従来、従業員の給与所得の10%から従業員負担家賃を控除した金額で計算されるケースが多かったが、2015賦課年度より、住宅の年次評価額もしくは実際の家賃から従業員負担家賃を控除した金額が現物給付とみなされ、実質的な給与所得および個人所得税の増加につながることとなった。


2. 財・サービス税(Goods & Services TaxGST
財・サービス税は1994年4月1日に導入された税金で、基本的にすべての財貨およびサービスが課税対象となる。例外として課税の対象外となるのは、主に金融サービスと住宅用不動産の販売・レンタルである。広告代理店、旅行代理店、物流業者、電子商取引事業者などの提供するサービスのうち国際サービスとみなされるものについてもGST課税の対象外となる。また、2012年10月1日以降、投資適格グレードの金・銀・プラチナの輸入や供給についてもGST課税の対象外となる。

2007年7月1日よりGSTの標準税率は7%となっている。

GSTの制度上、年商100万Sドル以上の企業は内国歳入庁(IRAS)にGST登録を行い、自社の商品やサービスを国内で販売・提供する際にGSTを課す義務がある。年商が100万Sドルに満たない企業でも任意でGST登録をすることができる。輸出品のGSTはゼロ課税扱いとなる。輸入に際しては輸入通関時点で原則あらゆる商品にGSTがシンガポール税関により徴収される。輸入品が自由貿易地区(FTZ)や指定保税倉庫に搬入される場合、再輸出を前提とした一部加工が国内で行われる場合、修理や展示会出展のため一時的に国内に輸入される場合など輸入時点でGSTの徴収が猶予または免除されることがある。詳しくは「関税制度―その他」の項を参照のこと。

一般的に、GST登録事業者は、GST事業者の登録前に商品およびサービスの購入に関して発生したGSTについては、GST登録した後に使用された商品・サービスあるいは課税物品の生産のために使用されたとみなされる部分だけを請求することができる。GST登録前後の期間に跨いで購入した商品またはサービスが使用される場合には、事業者はGST登録前に使用された商品およびサービスの内容に応じ、GST登録後に作られた商品に貢献する部分のみ控除または還付請求が出来る。この計算方法を容易にするために、GST登録事業者は、GST事業者へ登録した日から6カ月以内に購入した商品、不動産賃借料、その他の商品およびサービスについては、登録前のGSTについてもすべて請求することが認められることとなった。ただし、引き続きどのような商品およびサービスがこの適用を受けることが出来るかは確認が必要となる。当該変更は2015年7月1日以降にGST登録された事業者から適用されることになる。


3. 印紙税(Stamp Duty)
不動産売買、不動産賃貸、株式譲渡、不動産・株式の担保権設定など特定の契約文書・書類には印紙税が課される。印紙税は従価税率または書類ごとに定められた固定額で賦課される。

2010年度予算により、構造改革に向けた合併・買収(M&A)支援税制として、2010年4月1日から2015年3月31日までの間に実行された合併・買収には、通常、株式譲渡額の0.2%の税率で課せられる印紙税が、20万Sドルを上限として免除されることとなった。2015年税制改正において、本支援税制は中小企業による合併・買収への意欲を促進する目的で、上限額が4万Sドルに引き下げられたものの2020年3月31日まで延長されることとなった。

2014年税制改正において、2014年2月22日以降、不動産賃貸の印紙税は平均年間賃貸料(AAR)に契約年数を乗じた金額(ただし、契約年数が4年を越える場合には4年として計算)の0.4%に変更された。

シンガポール政府は、住宅不動産市場の過熱防止と投機抑止に向けて、住宅・住宅用土地の取得後3年以内の短期売却者に課す印紙税(SSD)を2010年2月に導入した。次いで、2011年1月には住宅投機抑止策の追加措置として4年以内の住宅短期転売に課す印紙税の税率を最大16%に引き上げるとともに、民間金融機関が個人・企業に提供する住宅ローンの上限を引き下げる追加措置を直ちに実施した。
この追加措置により、不動産の売り手に課す取引価格の印紙税税率が大幅に引き上げられ、「取得後1年目」の税率を16%(従前最大3%)に、「同2年目」は12%(従前最大2%)に、「同3年目」は8%(従前最大1%)に、「同4年目」は4%(従前は非課税)にそれぞれ設定された。次いで2011年12月に、シンガポール国内の住宅用不動産の取得者に対して加算印紙税(Additional Buyer Stamp Duty)の支払いを求めるようになった。これにより、従来から存在する通常の不動産取得者印紙税(Buyer's Stamp Duty)である約3%に加えて、別途加算印紙税も支払わなければならなくなり、外国人の取得には10%、シンガポール国内に住宅物件を保有する永住権取得者(PR)に3%、2物件以上を保有するシンガポール人に3%が追加課税されるようになった。
さらに、2013年1月12日には加算印紙税の税率が変更され、外国人の取得には15%、永住権取得者(PR)の初回購入に5%、2件目以降は10%に、シンガポール国民は2件目に7%、3件目に10%を課すように改められた。また、工業用不動産についても取得後3年以内の短期売却者に課す印紙税(SSD)を導入した。


4. 不動産税(Property Tax)
不動産税の税率は住宅用不動産には累進税率が適用され、その他の不動産(住宅用土地、商業用・産業用不動産)には年間評価額(土地の場合には土地評価額の5%、建物(商業用・工業用を含むが、ホテル・港湾・製油所・発電所等は除く)の場合には年間賃貸料に相当)の10%が適用される。内国歳入庁(IRAS)には「e-Valuation List」という有料サービスがあり、土地または建物など不動産の当年または過去の年間評価額をサーチすることができるようになっている。

住宅用不動産の累進税率は、所有者自身が居住している場合と所有者自身が居住していない場合により異なる。2015年1月1日から所有者自身が居住していない住宅用不動産の累進税率は10%(年間評価額の最初の3万Sドル分に適用)から20%(年間評価額の9万Sドル超に適用)となっている。また、所有者自身が居住する住宅用不動産の累進税率は、2015年1月1日から、0%(年間評価額の最初の8,000Sドル分に適用)から16%(年間評価額の13万Sドル超に適用)となっている。


5. 相続税(Estate Duty)
従来、シンガポール国籍を有する個人が死去した際に、故人が保有する資産に対して5%または10%の税率で相続税が課せられていたが、2008年2月15日以降、廃止されている。


6. 管轄官庁
税制全般については、内国歳入庁(IRAS)。その他、特定の施策に対してはそれぞれの管轄官庁が存在する

内国歳入庁(Inland Revenue Authority of Singapore:IRAS)
55 Newton Road
Revenue House, Singapore 307987
Tel:+65-6356 8233
Fax:+65-6351 2131
URL:www.iras.gov.sg外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます


経済開発庁(Economic Development Board of Singapore:EDB)
250 North Bridge Road
#28-00 Raffles City Tower
Singapore 179101
Tel:+65-6832 6832
Fax:+65-6832 6565
URL:www.edb.gov.sg外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます


海事港湾庁(Maritime & Port Authority of Singapore:MPA)
460 Alexandra Road
#18-00 PSA Building
Singapore 119963
Tel:+65-6375 1600
Fax:+65-62757719
URL:www.mpa.gov.sg外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます


シンガポール国際企業庁(International Enterprise Singapore:IE Singapore)
230 Victoria Street
Level 10, Bugis Junction Office Tower
Singapore 188024
Tel:+65-6337 6628
Fax:+65-6337 6898
URL:www.iesingapore.gov.sg外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます


シンガポール観光局(Singapore Tourism Board:STB)
Tourism Court
1 Orchard Spring Lane
Singapore 247729
Tel:+65-6736 6622
Fax:+65-6736 9423
URL:www.stb.gov.sg外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます


シンガポール通貨金融庁(Monetary Authority of Singapore:MAS)
10 Shenton Way, MAS Building
Singapore 079117
Tel:+65- 6225 5577
Fax:+65 6229 9229
URL:http://www.mas.gov.sg外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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