為替管理制度

最終更新日:2026年05月04日

管轄官庁/中央銀行

ラオス銀行外貨管理局

ラオス銀行外貨管理局(Foreign Exchange Management Department, Bank of the Lao P.D.R

Yonnet Road, P.O.Box 19, Vientiane, Lao PDR
Tel:(+856)-(0)21-264-590
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為替相場管理

実態としては間接介入を伴う、クローリング・ペッグに近い管理フロート(crawl‑like arrangement)。

国際通貨基金(IMF)は、為替レートが特定の目標水準や事前に定められた経路に従うものではないものの、金融当局による直接的および間接的な介入が継続的に行われている制度として、当該為替相場制度をクロール型(Crawl‑like Arrangement)に分類している。ラオス中央銀行は、前日の市場取引の加重平均レートに基づき、対米ドルの「日次公定基準レート」を毎日設定している。

貿易取引

輸出入ではラオスの商業銀行に貿易決済用の口座(米ドル、キープなど)を保有しなければならず、全ての決済は商業銀行や金融機関を介する必要がある。輸出で得た外貨収入については一定の比率で国内の口座へと入金する必要がある。

外貨管理に関する規則

ラオスの居住者・非居住者は、商業銀行の外貨での口座開設や、現金保有が認められている〔改正外貨管理法第8条(2022年7月7日付)〕。

  1. 専用口座の原則:商品やサービスの輸出入業者は、商工省から輸出入業者登録証明を取得した後、ラオス中央銀行から登録申請証明書を取得し、国内の商業銀行で輸出入専用の口座を開設しなければならない。全ての決済はこの口座を介して、銀行システム経由で行う必要がある。
  2. 外貨収入の入金義務:商品・サービス輸出による外貨収入については、原則として全額を国内口座に入金する必要がある。
  3. 外貨売却の義務:輸出収入を外貨で受け取る企業は、ラオス中央銀行が定める一定の比率で、その外貨を商業銀行へ売却しなければならない。

詳細は、ジェトロの記事「ラオス中銀、輸出企業の外貨収入管理を強化へ(2024年3月22日付)」を参照。

決済通貨

海外との決済は外貨使用が認められている。一方、ラオス国内での商品・サービスの価格表示、広告、支払いは原則として現地通貨キープ(LAK)で行われなければならない。ラオスの居住者・非居住者は、商業銀行の外貨での口座開設や、現金保有が認められるが〔改正外貨管理法第8条(2022年7月7日付)、ラオスの外貨口座の管理に関する中央銀行総裁合意第155号(2025年2月19日付)〕、ラオス国内での商品・サービス・債務・配当金・給与・賃金・政府への税務といった支払いや受領の前に、商業銀行でキープへと両替しなければならない(改正外貨管理法第9条)。外国人雇用者の給与については、外貨払いが例外的に認められている〔外貨管理の実施に関する首相命令10号2.9項(2023年7月14日付)〕。

ラオス国内での外貨使用に関する中央銀行総裁合意11号(2025年1月3日付)では、ラオス国内で特別に外貨使用を認める以下の項目を規定している。

  1. ラオス中央銀行の許可なく外貨の使用が可能な項目
    1. 金融通貨政策の実施に必要な公的ツールの使用。
    2. 政府機関による無償援助の授受。
    3. 国境や国際空港でのVISA代、政府手数料、サービス料、納税。
    4. 外国の外交使節団(大使館・領事館)が徴収するVISA代や手数料。
    5. 商業銀行自らの業務に関連する手数料、利息などの徴収。
    6. ホテル・リゾート・宿泊施設によるオンラインでの外貨広告、および海外からの電子決済受け取り。
    7. 国際入札プロジェクトの入札額の決定および決済。
  2. ラオス中央銀行から外貨使用許可(1年更新)を取得する必要のある項目
    1. 外貨収入のある輸出企業やコンセッション企業による政府への納税。
    2. 国際輸送(貨物・旅客)、航空券、および国境・国際空港の倉庫サービス費。
    3. 国境・国際空港の出国エリアにある免税店、レストラン、売店。
    4. ドライポートのサービス費(積み替え、輸送、CY費、パッケージング、消毒など)。
    5. 輸出企業に商品・サービスを供給するグローバル・サプライチェーン関連企業。
    6. 外国との保険業務(旅行保険、海外プロジェクト保険、再保険など)。
    7. 国際観光業者による外貨広告および決済。
    8. カジノビジネスのサービス費。
    9. その他、BOLが個別に許可した費用。

さらに、ラオスの外貨口座の管理に関する中央銀行総裁合意155号(2025年2月19日付)および10条改正に関する中央銀行総裁合意288号(2025年4月3日付)で、個人口座で1万ドル相当以上、法人・組織口座で10万ドル相当以上の外貨送金には、ラオス中央銀行が定める必要書類を商業銀行窓口へ提出することが定められた。

決済手段(輸出/輸入)

信用状(L/C)をはじめ、基本的な決済手段は利用可能。

外貨支払・受取時の中銀の許認可・報告義務の有無

なし。

貿易外取引

銀行決済システムもしくは金融機関を介して外国とのサービスに関連した出入金を行うことができる(2022年改正外貨管理法第10条)。

技術援助契約に基づく、ラオス国外の海外本社などの企業にロイヤルティーが支払われる場合にも、外貨の利用は認められている(2015年11月25日のラオス銀行金融政策局外国為替管理課へのヒアリング情報)。

資本取引

国内投資、海外投資いずれの場合も、資金送金の都度ラオス中央銀行から許可を得る必要がある。証券取引は2011年から開始され、2026年5月時点で12社が株式を上場している。居住者・非居住者ともに、ラオスの商業銀行での口座開設が可能。外国投資家による利益・配当・初期投資など、本国あるいは第三国への送金も認められている。

対内および対外直接投資に関する規制・許認可

  1. 対内直接投資

    外国投資家は、企業登録証に記載された金額の登録資本金を、ラオスの商業銀行口座に送金する。複数回にわたって資本の輸入を行う場合、政府に認可された対外借入金を含む全ての外国為替取引と資産の輸入については、その都度ラオス中央銀行に申告する。銀行取引明細書あるいは資産の場合は、税関での申告伝票をもって、ラオス中央銀行は資本金送金証明書を発行する。いずれの証票もない場合は、当該証明書は発行されない。現金を持ち込む場合は国境の関税官へと申告し証明書を取得する必要がある(2022年改正外貨管理法第18条)。

  2. 対外直接投資

    ラオス居住者がラオス国外での直接・間接投資を希望する場合、ラオス中央銀行から認可が必要である(同第19条)。

証券投資に関する規制・許認可

ラオスでは、2011年1月に証券取引所(Lao Securities Exchange:LSX)が設立された。2026年5月時点で株式上場企業は、ラオス外国商業銀行(Banque pour le Commerce Exterieur Lao Public Company:BCEL)、ラオス電力発電(Electricite du Laos Generation Public Company:EDL-Gen)、ペトロリアムトレーディングラオ(Petroleum Trading Lao Public Company:PTL)、スワニーホームセンター(Souvanny Home Center Public Company:SVN)、プーシー建設開発(Phousy Construction and Development Public Company:PCD)、ラオセメント(Lao Cement Public Company:LCC)、マハトゥンリーシング(Mahathuen Leasing Public Company:MHTL)、ラオアグロテック(Lao Agrotech Public Company:LAT)、ビエンチャンセンターラオ(Vientiane Center Publich Company:VCL)、ラオアセアンリーシング(Lao ASEAN Leasing Public Company:LALCO)、ラオチャイナセキュリティーズ(Lao-China Securities Public Company:LCS)、ジョイントデベロップメントバンク(Joint Development Bank:JDB)の12社。

ラオス証券取引所ウェブサイト:Lao Securities Exchange:LSX外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

ラオスでの居住者・非居住者ともに証券取引が可能である。外国人(非居住者)が証券を売買するためには、証券取引所が発行する投資家登録証(Investors ID)の取得が必要である。資金、配当、利益を商業銀行口座を介して外国へ送金することができる(2022年改正外貨管理法第21条)。

対外借入・貸出に関する規制・許認可

個人・法人が対外借入および対外貸出を行う際は、次の書類をラオス中央銀行金融政策局に提出して、認可を受ける必要がある。金額・融資期間・通貨に関する規定は特になく、個別の借入・貸出契約に基づく。未許可で対外借入を行った場合、借入額の10%に相当する額の罰金(2回目以降は前回の2倍)が科せられるので注意が必要(2022年改正外貨管理法第55条)。

  1. 対外借入の際の必要書類
    1. 対外借入申請書
    2. 概要事業計画書
    3. 借入金利用計画書、借入金返済計画書
    4. 借入契約書のドラフト、あるいは借入人と貸出人のつながりを証明するもの
    5. 対外借入に関する株主総会決議書
    6. 事業ライセンスおよび納税ライセンス(法人の場合)
    7. 投資ライセンスのコピー(外国人投資家の場合)
  2. 対外貸出の際の必要書類
    1. 対外貸出申請書
    2. 外部監査済みの貸借対照表および財務諸表
    3. 貸出契約書のドラフト
    4. 貸出元の理事会決議あるいは株主総会決議
    5. 貸出先国の信頼できる銀行から発出された返済保証

預金勘定取引

ラオス居住者、非居住者ともにラオスの商業銀行において、外貨建ての預金口座の開設・利用、利子の受け取りが可能。ラオス居住者は、ラオス中央銀行の認可を受け、国外に銀行口座を開設し利用することが可能(同第30条、31条)。

利子、配当、利益など、対外送金に関する規制・許認可

投資奨励法に規定される外国投資家による利益、配当、初期投資、利子、サービス費用、帰国した外国人労働者の賃金については、本国あるいは第三国への送金が認められている(外国為替および貴金属管理に関する国家主席令第5条)。
送金の際に必要な書類は次のとおりである。

  1. 送金申請書
  2. 預金銀行の銀行口座証明書
  3. ラオス中央銀行が発行した資本金送金証明書
  4. ラオス中央銀行が発行した借入許可書(借入金および利息の送金の場合)
  5. 配当に関する理事会あるいは株主総会の決議
  6. 計画投資省が発出した、投資ライセンスの延長をしない、あるいは一部または全ての事業運営が終了したことを示す合意書、あるいは通達(投資期間満了後、あるいは事業の一部または全て解消した後の資本金を送金する場合)

関連法

関連法として以下がある。

  • 改正商業銀行法第39号(2023年7月17日付)
  • 外国為替および貴金属管理に関する国家主席令第1号(2008年3月17日付)
  • 外国為替および貴金属管理に関する首相令施行令第1号(2010年4月2日付)
  • 証券法(改正)第79号(2019年12月3日付)
  • 改正外貨管理法第15号(2022年7月7日付)
  • 商品やサービスの輸出からの外貨収入管理に関する中央銀行総裁合意333号(2024年3月7日付)
  • 外貨管理の実施に関する首相命令10号(2023年7月14日付)
  • ラオス国内での外貨使用に関する中央銀行総裁合意11号(2025年1月3日付)
  • ラオスの外貨口座の管理に関する中央銀行総裁合意155号(2025年2月19日付)
  • 10条改正合意288号(2025年4月3日付)

その他

暗号資産取引は、採掘および取引所の運営が認可されている。また、現金の持ち込み/持ち出しについては、外貨管理法および関連法に規定されている。

暗号資産取引

ラオス政府は、暗号資産の取引所として「ラオ・デジタル・アセット・エクスチェンジ(LDX)」や「Bitqik(ビットキック)」を認可し、国内の取引を許可している。

現金の持ち込み/持ち出し

1万ドル相当以上のキープおよび外貨の現金をラオスへ持ち込む場合は、国境の税関窓口に申告し、持ち込み証明書を発行してもらう必要がある。
1万ドル相当以上のキープおよび外貨の現金をラオスから持ち出す場合は、ラオス中央銀行外国為替管理局または地方支局に申請し事前許可を取る必要がある。ただし、持ち込み証明書を保有する場合は、証明書の金額の範囲内であればラオス中央銀行への申請は不要で、国境の関税官に証明書を直接提出する。証明書の金額を上回る場合は、ラオス中央銀行に申請が必要。無許可で持ち出しを行った場合、罰金が科される。

ラオス中央銀行:ラオスへの現金の持ち込み・持ち出しに関する告示140号(2026年2月18日)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます