税制

最終更新日:2023年11月30日

法人税

課税標準額となる所得金額に応じて税率が異なる。

税率

課税標準 2億ウォン以下 2億ウォン超~200億ウォン以下 200億ウォン超~3,000億ウォン以下 3,000億ウォン超
法人税率 課税標準の9% 課税標準の19% 課税標準の21% 課税標準の24%
地方所得税 課税標準の0.9% 課税標準の1.9% 課税標準の2.1% 課税標準の2.4%
合計 課税標準の9.9% 課税標準の20.9% 課税標準の23.1% 課税標準の26.4%

申告および納付

納税義務のある法人は、各事業年度の終了日が属する月の末日から3カ月以内に、当該事業年度の所得に対する法人税の課税標準と税額を、納税地管轄税務署長に申告および納付しなければならない。各事業年度の所得がないか欠損金がある法人も、申告しなければならない。

グローバル・ミニマム課税

  1. グローバル・ミニマム課税制度の導入(国際租税調整に関する法律第60条などの新設)
    グローバル・ミニマム課税制度とは、多国籍企業の所得に対し、特定の国においてミニマム課税率(15%)よりも低い実効税率を設定する場合、他の国に追加税額を賦課する権限を与える制度である。OECDおよび141カ国が参加する包摂的枠組み(Inclusive Framework)で合意されたグローバル・ミニマム課税(Pillar2)のモデル・ルールおよびコメンタリの内容を反映した韓国におけるグローバル・ミニマム課税の規定が新たに設けられ、2024年1月1日以降に開始する事業年度分から適用される予定である。
  2. 適用対象
    グローバル・ミニマム課税は、直近4事業年度中に2社以上の連結売上高が7.5億ユーロ以上となる多国籍企業グループ(複数の国に企業または恒久的施設を有するグループ)が適用対象となる。事業年度が12カ月でない場合は12カ月に換算する。ただし、[1]政府機関、国際機関、非営利団体、年金ファンド、[2]最終親会社である投資ファンドおよび不動産投資機構、[3][1]または[2]の企業が直接または間接的に所有する企業は対象から除外される。
  3. 国別実効税率・追加税額の計算式

    実効税率は、構成会社(多国籍企業グループに属する企業、法人・組合・信託など)の国別調整対象租税(Covered Taxes)の合計を、グローバル・ミニマム課税所得と欠損の合計(純グローバル・ミニマム課税所得(純GloBE所得))で割って計算する。

    * 実効税率=(調整対象租税の合計)÷(純グローバル・ミニマム課税所得)

    調整対象租税は、会計上の純利益に反映された当期法人税費用のうち、所得に対する税金に該当する額に繰延法人税など一定の調整を行って計算する。純グローバル・ミニマム課税所得は、連結財務諸表に計上された会計上の純利益に税金費用の純額、配当所得、持分評価・処分損益、政策上認められていない費用、過年度の誤謬、会計原則の変更などの調整項目を反映した所得となる。

    一方、実効税率がミニマム課税率(15%)に満たない場合(低税率課税国)は、不足分の税率に純グローバル・ミニマム課税所得を乗じて追加税額を計算する。

    * 追加税額=(ミニマム課税率(15%)-実効税率)×純グローバル・ミニマム課税所得

    ※実質基盤除外所得(「給与」と「有形資産純帳簿価額」の一定割合(5%))を純グローバル・ミニマム課税所得から控除することができる。

  4. 所得合算ルール(IIR)の適用

    最終親会社(Ultimate Parent Entity;他の構成会社の支配持分を最終的に所有する企業)は、すべての低税率課税(15%未満)の構成会社(以下「低税率構成会社」という。)の追加税額のうち、所得合算比率相当の割当額を優先的に負担する。所得合算比率の計算式は次のとおりであり、同計算式における持分とは、企業の利益、資本金、準備金などに対する権利を伴う株式・出資持分を意味する。

    * 所得合算比率=1-(親会社以外の他の所有者が保有する持分に帰属する低税率構成会社のグローバル・ミニマム課税所得)/(低税率構成会社のグローバル・ミニマム課税所得)

    最終親会社が所得合算ルールを適用しない場合、次上位の中間親会社が追加税額を負担する、いわゆる「トップダウン・アプローチ法」を適用する。また、多国籍企業グループが直接または間接的に保有する持分以外の第三者が保有する持分が20%を超える中間親会社(「被部分保有親会社」)が低税率課税の構成会社を所有している場合、上位の親会社ではなく、被部分保有親会社が自ら保有する低税率構成会社に対する追加税額を負担する。

  5. 軽課税支払いルールの適用
    最終親会社が低税率で課税され、または親会社の所在国が所得合算ルールを導入していない場合は、グローバル・ミニマム課税制度を導入している国にある子会社(構成会社)が低税率課税により発生した追加税額を負担する。軽課税支払いルールによる追加税額は、各国における従業員数と有形資産の純帳簿価額の比率の算術平均により各国に配分する。
  6. 申告および納付
    韓国国内の対象となる会社は、事業年度終了日後15カ月以内にGloBE情報申告書を提出する義務を負う。経過措置として、グローバル・ミニマム課税が導入される最初の事業年度は、提出期限が3カ月延長(15カ月⇒18カ月)される。国外の構成会社が海外の税務当局に当該申告書を提出する場合には、国内の構成会社は提出義務が免除される。一方、GloBE情報申告書の提出期限までに追加課税額配分申告書を提出し、同日までに追加課税額配分額を納付しなければならない。納税額が2,000万ウォンを超える場合、各事業年度の所得に対する法人税と同様に1カ月以内の分納が認められる。
  7. 施行時期、制度の意義および企業における今後の対応

    OECD・G20の包摂的枠組みは、2023年を目途にPillar2を導入することを目指している。しかし、米国ではミニマム課税率に関する予算関連法案(GILTIの改正案)が議会で膠着状態にあり、EUにおける法制化の動きはハンガリーの拒否権行使によりストップしている。英国の国税庁も、当初2023年4月1日以降に開始される会計年度からグローバル・ミニマム課税を適用する計画であったが、2023年12月31日に適用時期を遅らせることを決定した。韓国政府もこのような海外の立法の動向や国内企業のスムーズな適応などを考慮し、2024年1月1日より施行することにした。ただし、企画財政部が2023年1月18日に公表したプレスリリースによると、グローバル・ミニマム課税に関する施行令の改正案はまだ公表されておらず、主要国の施行時期や進行状況を総合的に考慮した上で、今後の立法に反映される見通しである。

    各国間の法人税率引き下げ競争に対する防止策が講じられたことにより、相対的にグローバル企業の税負担が増加することが予想される。一方、今後は外国人による投資誘致のために、各国は補助金や間接税の減免による投資インセンティブを増やし、グローバル租税競争は税率、控除・減免といった優遇措置から、課税所得の繰り延べなどの課税標準の調整に移行することが予想される。

    また、多国籍企業グループはその株式所有構造に応じて、最終親会社、被部分保有親会社、被少数保有構成会社などに分類することができ、当該分類によってグローバル・ミニマム課税の計算方法も大きく変動する。そのため、企業は、グループ全体の株式所有構造を分析し、グローバル・ミニマム課税が適用される構成会社を把握する必要がある。また、各会社は税額のシミュレーションなど課税リスクをあらかじめ計量化し、課税リスクを減らすために最も適した株式所有構造の模索が必要である。また、グローバル・ミニマム課税を適時に履行できるよう、会計・税務統合システムなどの内部プロセスをあらかじめ構築し、各国の制度が多国籍企業グループ内の納税義務に大きな影響を及ぼすことを考慮し、立法の動向は注視する必要がある。

  8. 日系企業に及ぼす影響
    所得合算ルール(IIR)と軽課税支払いルール(UTPR)はいずれも2024年1月1日より施行予定の制度であり、現時点では日系企業への影響はない。
    しかし、日本では2024年4月1日以降に開始される所得合算ルールを適用するグローバル・ミニマム課税を含む税制改正法案が、2023年3月28日に国会で成立した。これにより、2024事業年度には、日本に親会社がある多国籍企業の韓国子会社が韓国で軽課税支払いルールに従い、グローバル・ミニマム課税の追加税額を申告・納付しなければならないケースも生じる可能性がある。今後、韓国において軽課税支払いルールに関する規定の施行時期の延期をめぐりどのような議論がなされるか、その動向を注視するべきである。

二国間租税条約

日韓租税条約により規定。

日韓租税条約の適用範囲

日韓租税条約の対象となる租税は、韓国の場合は、所得税、法人税、農漁村特別税および住民税であり、日本の場合は、所得税、法人税、住民税である。
同条約の対象者は、韓国の居住者、日本の居住者、そして韓国と日本の両国居住者である。両国居住者の場合、同条約の規定により、韓国および日本で発生した所得のそれぞれに対して納税義務を負う。

租税条約は、外国法人と非居住者に関する条項の特別法的地位にあるため、租税条約が締結された後に改正された国内法が租税条約の規定と衝突する場合、租税条約が優先適用される。

つまり、日韓両国の居住者は、自国内または相手国内の国内税法によって納税義務を負うが、当該居住者が日韓租税条約の条件を満たした場合には、一方の締約国で発生する所得に対する納税義務は制限的なものとなる。

日韓租税条約上の制限税率

利息・配当・使用料所得に対しては源泉所得発生国で課税できるが、その際には、自国内の税率でない次の制限税率が適用される。

利息、配当、使用料所得に対する制限税率
区分 制限税率 法人税率 住民税率
利子 10% 9.09% 0.91%
配当(支配株主配当*) 5% 4.54% 0.45%
配当(その他配当) 15% 13.63% 1.39%
使用料 10% 9.09% 0.91%

* 支配株主:事業年度終了直前の6カ月間、議決権株式を25%以上所有している法人を指す。

その他税制

個人所得税、付加価値税