韓国の酒税法改正、国産ビールと輸入ビールの格差を解消

(韓国)

ソウル発

2020年01月14日

韓国の国税庁は1月5日、ビールと濁酒(マッコリなど)に対する課税体系を、出庫価格ベースの従価税から1リットル当たりの出庫量ベースの従量税に転換する、改正「酒税法」の施行(1月1日付)を発表した。またビールと濁酒に関しては、物価上昇率に比例して税率を調整する物価連動制を実施し、従価税が適用される酒類との公平性を維持する(添付資料の表1参照)。

同庁は、従量税導入の理由として、高品質な酒類開発の促進、および国産ビールと輸入ビールにおける不公平性の解消、の2点を挙げた。これまでは、課税時点の差により国産ビールが輸入ビールより不利な立場に置かれていた。出庫時点の価格に課税される国産ビールは、製造原価、販売管理費、利益などが課税標準に含まれていた一方、輸入申告の時点で課税される輸入ビールの場合、輸入価額と関税のみが課税標準に含まれ、販売管理費や利益などは課税標準から除外されていたことによる。従量税の導入により、国内ビールメーカーにとっては、追加の税負担なく、高品質のビールを生産できるようになる。

ビールにおける従価税と従量税の税負担の差を種類別にみると、瓶ビールとペットボトルビールの酒税額は微増にとどまり、消費者価格にはほぼ影響はないとみられる。缶ビールについては、缶の製造費用が課税標準から除外されることになり、酒税負担額や出庫価格が下がるため、価格調整の余力が生まれるとみられる。一方、生ビールは製造費用が低くほかのビールより販売価格も安価だったが、従量税の導入により酒税負担額が大きく増加する。そのため、生ビールには今後2年間、20%の軽減税率が適用される(添付資料の表2参照)。

また濁酒に関しては、従価税体系においても税率が5%にすぎなかったため、従量税の導入後も出庫価格に及ぼす影響は軽微とみられる。

なお、韓国の環境部による「資源の節約とリサイクル促進に関する法律(資源リサイクル法)」の改正案が2019年12月25日から施行され、リサイクルが困難な有色ペットボトル、ポリ塩化ビニール素材の包装材、ペットボトルに使用する接着剤のうち熱・アルカリ性分離が不可能なものは使用禁止となった。

同部は、韓国内で流通される全ての製品の包装材を紙パック、ガラス瓶、金属、ペットボトルなど9つに分類し、リサイクル可否の程度によって、「最優秀」「優秀」「普通」「困難」の4つの等級を設けた。このうち、「困難」等級に該当する製品には「リサイクル困難」という文言を表示しなければならず、最大30%のリサイクル賦課金が賦課される。

〔諸一(ジェ・イル)〕

(韓国)

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