日本からの輸出に関する制度

アルコール飲料の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義するアルコール飲料のHSコード

2203:ビール
2204:ぶどう酒
2205:ベルモット他のぶどう酒
2206:その他の醗酵酒(清酒、濁酒など)
2208:蒸留酒・リキュールその他のアルコール飲料(ジン、ウオッカ、ウイスキー)

韓国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年7月

2011年5月1日以降に韓国へ輸出するアルコール飲料については、次のいずれかを証明する証明書を添付する必要があります。証明書発行の詳細は、国税庁のウェブサイト「東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた輸出証明書の発行について」を確認して、最終の製造場などの所在地を所管する国税局酒税課に相談してください。

  • 2011年3月11日より前に製造(加工)されたものであること。
  • 宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、新潟県、長野県、千葉県、東京都、神奈川県および静岡県(13都県)以外の道府県において製造(産出)されたものであること。
  • 13都県において製造(産出)されたものである場合には、当該産品が韓国の定める上限値を超える放射性ヨウ素131ならびに放射性セシウム134および137を含まないこと。韓国政府が定めている放射性物質の上限値は、すべての食品(嬰児または幼児用の食品、乳製品、アイスクリームなどを除く)について放射性ヨウ素131は100Bq/kg、放射性セシウム134および137は100Bq/kgと基準値を設定している。詳細は関連リンクの「食品の基準および規格」を参照してください。

証明書の発行を申請しようとする方は、関連リンクの「韓国に輸出する酒類に関する証明書の発行について」に従い、「韓国向け輸出酒類に関する証明申請書」、「韓国への輸出申請書」および「分析試料明細書」(宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、新潟県、長野県、千葉県、東京都、神奈川県および静岡県において製造(産出)された酒類である場合のみ)に次の書類を添付し、製造場などの所在地を所轄する国税局酒税課(沖縄県においては、沖縄国税事務所間税課)へ提出してください。
・実際に輸出する酒類が、証明した酒類と同一であることが確認できる書類(例:インボイス、パッキングリストなど)

  • 「韓国向けに輸出する酒類に関する誓約書」
  • その他国税局長が審査に必要として提出を求めた書類

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2021年7月

  1. 輸出酒類卸売業免許
    アルコール飲料を輸出するためには、日本において輸出酒類卸売業免許を取得する必要があります。詳細は関連リンクの「酒類の免許」「酒類卸売業免許の申請等の手引」を参照してください。
  2. 海外製造業所の登録
    食品(アルコール飲料を含む)を輸出するためには、輸出の前に、輸入者または海外製造業所の設置・運営者が海外製造業所の名称、所在地および製造品目など、「韓国輸入食品安全管理特別法施行規則」で定める事項を、輸入申告7日前までに、韓国食品医薬品安全処長に登録しなければなりません。輸出者側または製造業所は、これらの登録の際に、韓国政府による現地実態調査が行われる可能性について同意をしておく必要があります。
    韓国食品医薬品安全処長は、「輸入食品などの危害防止のため」および「輸入食品などの安全性に関する情報の事実確認が必要な場合」に、輸出国政府や海外の製造業者と事前に協議を経て、海外製造業者に対して現地調査を行うことができるとしています。「韓国輸入食品安全管理特別法第6条」に基づいて、現地調査を拒否、妨害、忌避(正当な理由なしに応答しない場合を含む)する場合や、現地調査結果輸入食品などに危害が発生するおそれがある場合は、該当海外製造業所の輸入食品を輸入中断させることができます。また、輸出者側または製造会社は、輸出品の製造会社が日本国政府から許可、登録されていることを証明する書類を添付して韓国食品医薬品安全処長に提出しなければなりません。
  3. 輸出者側で用意すべき書類
    輸入通関にあたり、輸出者側で用意すべき書類は、国税庁が発行する証明書(日付証明書、産地証明書、放射性物質検査証明書のいずれか)、原産地証明書があります。国税庁が発行する証明書の詳細については、国税庁のウェブサイト「東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた輸出証明書の発行について」を確認してください。

関連リンク

関係省庁
韓国食品医薬品安全処(韓国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
韓国企画財政部(韓国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
韓国関税庁(韓国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国税庁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
韓国輸入食品安全管理特別法(韓国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ジェトロ仮訳)
輸入食品安全管理特別法施行規則(改正2021年6月外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
酒税法(韓国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
酒税法施行令(韓国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
酒類免許等に関する法律(韓国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
酒類免許等に関する法律施行令(韓国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
韓国食品医薬品安全処「海外製造業者・海外作業場、輸出業者情報照会サイト」(韓国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
海外製造業所の登録、変更登録(韓国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国税庁「韓国の酒類の輸入等に係る規制等の情報」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(448KB)
国税庁「酒類の免許」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税務署「酒類卸売業免許の申請等の手引」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.80 MB)
国税庁「酒税とお酒の免許に関するご質問やご相談等について」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国税庁「東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた輸出証明書の発行について」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「韓国輸入食品安全管理特別法 施行令・施行規則(仮訳)」
ジェトロ「海外製造業所および海外作業場の現地実態調査方法および基準(仮訳)」
ジェトロ「海外製造業所の登録Q&A(2016年7月25日公表)」PDFファイル(295KB)
ジェトロ「韓国輸入食品安全管理特別法の解説(2016年3月)」
ジェトロ「日本酒輸出ハンドブック:韓国編(2018年3月)」
ジェトロ「食品製造施設の査察への対応事例(韓国)」

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年7月

なし

韓国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年7月

加工食品の規格については「食品の基準および規格」「食品添加物の基準および規格」「器具および容器・包装の基準および規格」などに定められています。
加工食品の場合、共通して、重金属、異物、細菌および大腸菌群、食中毒菌、ダイオキシン、放射性物質、残留農薬、残留動物用医薬品、医薬品成分、タール色素などの規格が定められています。

アルコール飲料の場合には、その種類によって、エタノール、メタノール、保存料、大腸菌、大腸菌群、鉛、アルデヒドなどの規格がそれぞれ定められています。例えば清酒(14-3 청주)は、(1)エタノール(v/v%):酒税法の規定に従う、(2)メタノール(mg/mL):0.5以下と定められています。 また、焼酎、ウイスキー、リキュールなどの蒸留酒の場合は、(1)エタノール(v/v%):酒税法の規定に従う、(2)メタノール(mg/mL):1.0以下(焼酎、ウイスキーなどは0.5以下)、(3)アルデヒド(mg/100mL):70.0以下(リキュールを除く)となっています。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2021年7月

加工食品に残留した農薬および動物用医薬品については「食品の基準および規格」(農薬:第2. 食品一般に対する共通基準および規格 3. 食品一般の基準および規格7)農薬の残留許容基準。動物用医薬品:第2.食品一般に対する共通基準および規格 3. 食品一般の基準および規格 8)動物用医薬品の残留許容の基準」)に定められています。

別途残留許容基準を定めていない場合は、次の基準が適用されます。

  1. 農産物の場合、0.01mg/kgを適用する。
  2. 加工食品の場合、原料食品の残留許容基準の範囲内で残留が許可される。原料の含有量に応じて、原料農産物および畜産物の残留農薬基準を適用する(乾燥などの過程により水分含有量が変化した場合には、水分含有量を考慮して適用)。食品別の残留農薬における基準は、関連リンクの韓国食品医薬品安全処「残留農薬基準検索サイト」でも確認できます。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年7月

重金属および汚染物質、含有禁止の化学物質、食品の成分として使用が禁止される物質などの規定については、「食品の基準および規格」に定められています。
基準が別途設定されていない加工食品の重金属、カビ毒素などの汚染物質の基準は、原料の含有量に応じて、農・林・水産物の基準を適用し、乾燥などの過程により水分含有量が変化した場合は、水分含有量を考慮して適用します。
関連リンクの韓国食品医薬品安全処「食品の基準および規格」でも検索できます。アルコール飲料の場合は、韓国食品医薬品安全処「酒類の基準および規格」を参照してください。

4. 食品添加物

調査時点:2021年7月

アルコール飲料に添加することができる材料は、「酒税法施行令」第3条と同条別表1で定められています。

表:アルコール飲料に添加することができる材料
酒種 添加可能材料 備考
濁酒 アスパルテーム、ステビオール配糖体、酵素処理ステビア、サッカリンナトリウム、乳酸、酒石酸、クエン酸及、アミノ酸類、スクラロース、ソーマチン、アセサルフェームカリウム、エリスリトール、キシリトール、キサンタン‐ガム、グリセリン脂肪酸エステル、糖分、アルロース、「食品衛生法」で許容される植物

植物を酒精などで抽出する場合、その抽出液のアルコール分総量は、最終製品のアルコール分総量の100分の5を超えることはできない。以下、同様。

糖分と果実および野菜類の使用量は、別途法に定める範囲で使用する。

薬酒 アスパルテーム、ステビオール配糖体、酵素処理ステビア、乳酸、酒石酸、クエン酸及、アミノ酸類、植物、スクラロース、ソーマチン、アセサルフェームカリウム、エリスリトール、キシリトール、糖分 糖分と果実および野菜類の使用量は、別途法に定める範囲で使用する。
清酒(発酵して製造したもの) アスパルテーム、ステビオール配糖体、酵素処理ステビア、乳酸、酒石酸、クエン酸及、アミノ酸類、植物、スクラロース、ソーマチン、アセサルフェームカリウム、エリスリトール、キシリトール 植物中のアルコール分1度以上で発酵させることができるものは除く。
清酒(発酵して製造したものにほかの酒や材料を添加したもの) 糖分、酸分、調味料、香料、色素 酒精が添加されている場合にのみ使用することができる。
ビール 糖分、酸分、調味料、香料、色素、植物、アスパルテーム、ステビオール配糖体、ソルビトール、スクラロース、アセスルファムカリウム、エリスリトール、キシリトール、酵素処理ステビア、牛乳、粉ミルク、油クリーム、アスコルビン酸、「食品衛生法」に基づいて許可されている食品添加物の中で乳化剤、増粘剤、安定剤など性状の変化なしに、品質を均一に維持させるもの
果実酒(果実汁入りのものなど) 糖分、酸分、調味料、香料、色素、アスパルテーム、ステビオール配糖体、ソルビトール、スクラロース、アセスルファムカリウム、エリスリトール、キシリトール、酵素処理ステビア、サッカリン酸ナトリウム、アスコルビン酸、植物
焼酎 糖分、クエン酸、アミノ酸類、ソルビトール、無機塩類、ステビオール配糖体、酵素処理ステビア、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、スクラロース、ソーマチン、アセサルフェームカリウム、エリスリトール、キシリトール 茶類、茶類(加工穀類茶を除く)、アルロース、オークチップ
ウイスキー、ブランデー 糖分、酸分、調味料、香料、色素
一般蒸留酒 糖分、酸分、調味料、香料、色素、植物、アスパルテーム、ステビオール配糖体、ソルビトール、スクラロース、アセスルファムカリウム、エリスリトール、キシリトール、酵素処理ステビア
リキュール 糖分、酸分、調味料、香料、色素、植物、アスパルテーム、ステビオール配糖体、ソルビトール、スクラロース、アセスルファムカリウム、エリスリトール、キシリトール、酵素処理ステビア、牛乳、粉ミルク、油クリーム、「食品衛生法」に基づいて許可されている食品添加物の中で乳化剤、増粘剤、安定剤など性状の変化なしに、品質を均一に維持させるもの
その他酒類 糖分、酸分、調味料、カラメル色素

食品添加物の品目別使用基準は、関連リンクの韓国食品医薬品安全処「食品添加物公典」で検索できます。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年7月

食品容器については、「食品衛生法」に基づく、韓国食品医薬品安全処告示「器具および容器・包装の基準および規格」で定められています。同告示には、器具および容器・包装についての共通の製造基準、共通規格、用途別規格、基準および規格の適用、基準および規格の適合性判定、検体の採取と取り扱い方法、保存と流通基準などが定められています。

包装容器のリサイクルに関しては、「資源の節約とリサイクル促進に関する法律」に定められており、製造業者と輸入業者は、環境部令「製品の包装材質・包装方法に関する基準等に関する規則」と環境部告示「包装材の材質・構造基準」などに従う必要があります。

「資源の節約とリサイクル促進に関する法律」に従い、紙パック、ガラス瓶、金属缶、合成樹脂を包装材として使っている食品の輸入業者は、「包装材のリサイクル義務生産者」として、輸入する製品に対して、包装材の材質および構造評価を受けなければなりません(前年度の年間輸入額(年間3億ウォン)、または輸入した製品の包装材の重量がその基準(例えば、ガラス瓶の場合は年間3トン)を超える者が対象になる)。また、リサイクルが困難な有色ペットボトル、ポリ塩化ビニール素材の包装材、ペットボトルに使用する接着剤のうち熱・アルカリ性分離が不可能なものは使用禁止となりました。さらに、韓国内で流通されるすべての製品の包装材を紙パック、ガラス瓶、金属、ペットボトルなど9つに分類し、リサイクル可否の程度によって、「最優秀」「優秀」「普通」「困難」の4つの等級を設けています。
このうち、「困難」等級に該当する製品には「リサイクル困難」という文言を表示しなければならず、1,000万ウォン以下のリサイクル賦課金が賦課されます(今後、最大30%のリサイクル賦課金が賦課される計画ですが、まだ運営における正確な内容は未定です)。
「製品の包装材質・包装方法に関する基準等に関する規則」によると、製品を製造・輸入または販売する者は、リサイクルが容易な梱包材を使用し、重金属が含有された材料の梱包材を製造し、流通させないようにしなければなりません。包装材のリサイクルを困難にする重金属の種類および濃度および試験方法などについては「包装材の重金属含有量推奨基準および試験方法等に関する告示」を参照してください。

6. ラベル表示

調査時点:2021年7月

アルコール飲料を輸入する際には、通関をする前までに、消費者に販売する製品の最小販売単位別の容器や包装に「食品などの表示基準」に従い、次の事項を表示しなければなりません。表示は韓国語で行わなければなりませんが、消費者の理解を助けるために漢字や外国語を混用、または併記して表示することができます。その場合の漢字や外国語は、韓国語表示の活字と同じ、または小さい活字で表示しなければなりません。詳細は関連リンクの「食品などの表示基準」を参照してください。

  • 製品名
  • 食品の類型
  • 輸入者名と所在地
  • 製造年月日(濁酒および薬酒の場合には流通期限、ビールの場合には流通期限あるいは品質保持期限。ただし、製造番号またはボトリング時期を表示した場合には省略可)
  • 内容量(許容誤差は、200ml以下の発酵酒:6ml、200mlを超える発酵酒:3%。その他の酒類の場合は、50ml以下:4%、50mlを超え100ml以下:3%、100mlを超え1000ml以下:2%、1000mlを超えるもの:1%です)
  • エタノール(またはアルコール)の含量(酒類のアルコール分の度数については、0.5度の許容誤差が認められますが、殺菌していない濁酒や薬酒については追加で0.5度の増減が許容されます)
  • 原材料名
  • 容器・包装の材質
  • 品目報告番号(輸入品には不要)
  • 成分名および含有量(該当する場合に限る)
  • 原産国名
  • 保管方法(該当する場合に限る)
  • 注意事項:不正・不良食品の申告に関する表示、アレルギー誘発物質表示(該当する場合に限る。表示対象:卵類(家禽類に限る)、牛乳、ソバ、ピーナッツ、大豆、小麦、サバ、カニ、エビ、豚肉、モモ、トマト、亜硫酸類(添加し最終製品にSO2で10mg/kg以上含有する場合に限る)、クルミ、鶏肉、牛肉、イカ、貝類(カキ、アワビ、イガイを含む)、松の実、その他(該当する場合に限る)
  • 放射線照射(該当する場合に限る)
  • 「遺伝子組換え食品などの表示基準」による表記(該当する場合に限る。蒸留酒の場合は除外)
  • その他(「食品等の詳細表示基準」で定める個別事項)
  • 「資源の節約とリサイクル促進に関する法律」による表記(包装材の材質および構造評価結果、包装材のリサイクル可否の程度が「最優秀」「優秀」「普通」「困難」の「困難」等級に該当する製品には「リサイクル困難」という文言など)
  • 「国民健康増進法」による表記
  • 「酒類の商標使用に関する命令委任告示」による表記

アルコール飲料の商標名は、韓国商標法第4条に規定されている酒類分類および第7条の「商標登録できない商標」を参照のうえ、消費者に酒類区分を誤解させないようにする必要があります。
濁酒と薬酒以外のアルコール飲料については、韓国国税庁が不法流通防止のために導入した「用途区分表示制(酒類の商標使用に関する命令委任告示を参照してください)」により、「家庭用」、または「酒税免税用」と、販売用途を区分して表示する必要があります。適用対象はビール、ウイスキー、希釈式焼酎などRFIDを適用する酒類に限定しており、その他の酒類の場合は、「酒税免税用」だけ表示する義務があります。金属製容器や100ml以下の容器を使う酒類の場合も、「家庭用」表示を省略できます。
なお、日本で食品が流通される際に使われる「賞味期限」は、韓国では法的に通用できるものはないため、「流通期限」または「品質保持期限」として表記しなければなりません。

7. その他

調査時点:2021年7月

食品安全・衛生に関する法律には、韓国食品医薬品安全処が管轄している「食品衛生法」があります。この法律は、食品により生じる衛生上の危害を防止し、食品の栄養向上を図り、食品に関する正しい情報を提供し、国民の健康増進に寄与することを目的としています。
この法律に基づいて、食品・食品原料・食品添加物・食品容器・食品器具・食品包装などの食品関連の基準・規格・規則などが定められています。

韓国食品医薬品安全処長は、食品の原料管理、製造・加工・調理・小分け・流通のすべての過程で危害物質が食品に混じることや、食品が汚染されることを防止するために、各プロセスの危害要素を確認・評価して重点的に管理する基準を食品ごとに定めて告示することができます。
総理令で定める食品を製造・加工・調理・小分け・流通する営業者は、この規定により韓国食品医薬品安全処長官が告示した食品安全管理の認証基準を守らなければなりません。

また、食品の輸入規制は、韓国食品医薬品安全処が管轄している「韓国輸入食品安全管理特別法」で定められています。同法により、輸入する食品などの海外の製造業所の名称、所在地および製造品目など、同法施行規則で定める事項を輸入申告7日前までに韓国食品医薬品安全処長に登録しなければなりません。また、登録をした海外製造業所に対しては、査察官が来日して現地実態調査を行う可能性があります。
韓国食品医薬品安全処長は、「輸入食品等の危害防止のため」および「輸入食品等の安全性に関する情報の事実確認が必要な場合」に、輸出国政府や海外の製造業者と事前に協議を経て、海外製造業者に対して現地調査を行うことができるとしています。「韓国輸入食品安全管理特別法」第6条に基づいて、現地調査を拒否、妨害、忌避(正当な理由なしに応答しない場合を含む)する場合や、現地調査結果輸入食品などに危害が発生するおそれがある場合は、該当海外製造業所の輸入食品を輸入中断させることができます。

韓国での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2021年7月

営業者(輸入者)が販売を目的に、または営業上使用する目的で食品などを輸入する際は、韓国食品医薬品安全処長に輸入申告をしなければなりません。輸入申告にあたっては、通常の通関書類に加え日本の国税庁が発行する証明書(日付証明書、産地証明書、放射性物質検査証明書のいずれか)が必要になります。同証明書については、関連リンクの国税庁「韓国に輸出する酒類に関する証明書の発行について」を参照してください。

食品(アルコール飲料を含む)を輸入・販売する個人または法人は、事前に「輸入食品等輸入販売業の営業登録」を行わなければなりません。

「酒類免許等に関する法律(2021年に酒税法から分離して新しく制定されました)」に基づき、「酒類販売業免許」を取得してからアルコール飲料の販売ができます。酒類販売業免許の種類は、総合酒類卸売業、特定酒類卸売業、酒精卸売業、酒類輸出入業、酒類仲介業、酒類小売業、酒精小売業などがあり、輸入、輸送、流通、販売のそれぞれの過程で免許を持つ事業者が取り扱わなければなりません。

また、食品(アルコール飲料を含む)を輸入するためには、輸入者または海外製造業所の設置・運営者が海外製造業所の名称、所在地および製造品目など、「韓国輸入食品安全管理特別法施行規則」で定める事項を、輸入申告7日前までに、韓国食品医薬品安全処長に登録しなければなりません。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年7月

輸入者(または輸入代行業者)は、食品を輸入通関するため、関税庁「電子通関システム」を通して輸入申告を行わなければなりません。「関税法施行規則 別紙第1号の3書式」によると、輸入申告時に提出する書類は、インボイス、価格申告書、船荷証券副本、包装明細書、原産地証明書などがあります。日本からの輸入の場合には、日本の国税庁が発行する証明書(日付証明書、産地証明書、放射性物質検査証明書のいずれか)が必要になります。

食品の場合は、輸入申告を行う際に、韓国食品医薬品安全処による食品検査を受ける必要があります。食品検査の際には、「食品・医薬品分野の試験・検査等に関する法律」により政府から指定された試験・検査機関において検査を受けなければなりません。詳細は「3. 輸入時の検査・検疫」を参照してください。
前述の試験・検査の結果、輸入しても問題ないと判定された食品については、管轄の地方食品医薬品安全庁より「輸入食品等の輸入申告確認証」が発行されます。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年7月

食品を対象とする輸入申告書が提出されると、管轄の地方食品医薬品安全庁によって、対象食品の輸入条件に従って、「書類検査」「現場検査」「精密検査」「無作為標本検査」などの検査で適合・不適合の判定が下されます。検査の詳細は、「韓国輸入食品安全管理特別法施行規則」で定められています。試験・検査を行う機関は、関連リンクの韓国食品医薬品安全処「試験検査機関の指定現況」で確認してください。 検査内容は、成分分析、動植物検疫、残留農薬、重金属、ラベル内容などで、「食品の基準および規格」「食品添加物の基準および規格」「食品などの表示基準」などを参照してください。
処理期間は、書類検査には2日間(畜産物の場合は3日間)、現場検査には3日間(畜産物の場合は5日間)、精密検査と無作為標本検査には10日間(畜産物の場合は18日間)が所要されます。
食品検査にかかる手数料は、「食品・医薬品分野の試験・検査手数料に関する規定」で定められています。関連リンクの韓国食品医薬品安全処「検査手数料の情報」を参照してください)。
なお、日本から輸入される食品の場合は、食品検査と放射性物質検査が毎回輸入時に行われます。

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年7月

食品(アルコール飲料を含む)を輸入・販売する個人または法人は、事前に「輸入食品等輸入販売業の営業登録」を行わなければなりません。外資企業の規制などは特にありません。

営業登録を行おうとする者は、「韓国輸入食品安全管理特別法施行規則」で定めるところにより、営業に必要な施設を備え、営業登録申請書を管轄の地方食品医薬品安全庁の長に提出しなければなりません。また、事前に輸入食品などの衛生管理に関する教育を受けなければなりません。教育機関、教育内容、教育時間、教育費などの教育に必要な事項は、「韓国輸入食品安全管理特別法施行規則」で定めています。

「酒類免許等に関する法律(2021年に「酒税法」から一部内容が分離され、新しく制定されました)」に基づき、「酒類販売業免許」を取得してからアルコール飲料の販売ができます。酒類販売業免許の種類は、総合酒類卸売業、特定酒類卸売業、酒精卸売業、酒類輸出入業、酒類仲介業、酒類小売業、酒精小売業などがあり、輸入、輸送、流通、販売のそれぞれの過程で免許を持つ事業者が取り扱わなければなりません。
アルコール飲料は、基本的に通信販売で販売することはできません。「酒類の通信販売に関する命令委任告示」により、伝統酒類などを生産する酒類製造業免許者として管轄税務署長の承認を得た者はこの限りではありません。

5. その他

調査時点:2021年7月

食品を輸入・販売する個人または法人は、毎年、「韓国輸入食品安全管理特別法施行規則」で定めるところにより、輸入食品の衛生管理などに関する教育を受けなければなりません。教育機関、教育内容、教育時間、教育費などの教育に必要な事項は、「韓国輸入食品安全管理特別法施行規則」で定めています。

韓国食品医薬品安全処長は、輸入申告された輸入食品などが次の各事項のいずれかに該当する場合には、当該輸入申告の受理を保留することができます。

  1. テロの手段として使用される恐れがある場合
  2. 「感染症の予防および管理に関する法律」による感染症の病原体に汚染されたか、汚染されたおそれがある場合
  3. 人体に危害物質に汚染されたと判断されるが、汚染するかどうかを確認するための検査項目を特定することが困難または定められた試験方法がない場合
  4. 国内で申告および登録などをしていない、もしくは許可、承認などを受けていない農薬、動物用医薬品、遺伝子組み換え食品などの物質が使用されていると判断された場合であって、その原料や成分について定められた試験方法がない場合
  5. その他当該輸入食品などにより、国民の健康に重大な危害が発生し、または発生するおそれがあり、迅速な措置が必要な場合

「資源の節約とリサイクル促進に関する法律」の改正により、紙パック、ガラス瓶、金属缶、合成樹脂を包装材として使っている食品の輸入業者は、「包装材のリサイクル義務生産者」として、輸入する製品に対して、包装材の材質および構造評価を受けなければなりません。
環境部長官は、「包装材の材質・構造評価等に関する業務処理方針」に違反した梱包材を製造・輸入するか、これを利用した製品を販売している者に、1年以内の範囲で期間を定めて材質および構造とリサイクルしやすさなどに関する改善を命ずることができますが、その命令を受けた者がこれを履行しない場合には、当該製品の製造・輸入および販売の中止を命ずることができます。

韓国内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年7月

アルコール飲料には関税が賦課されます。主なアルコール飲料の輸入関税は次のとおりです。

主なアルコール飲料の輸入関税
品目 税率
清酒 (HS2206.00.2010) 15%
濁酒(HS2206.00.2030) 15%
ワイン(HS2204.10~29) 15%
焼酎 (HS2208.90.4000) 30%
ビール(HS2203.00.00.00) 30%
ウイスキー(HS2208.30.10~90) 20%
リキュール(HS2208.70.9000) 20%
ジン(HS2208.50.0000) 20%
ウオッカ(HS2208.60.0000) 20%

関税の納税義務者は、輸入申告の際に、輸入する物品の価格について税関長に申告しなければなりません。その輸入申告(入港前輸入申告を含む)の際、物品の性質とその数量に応じて関税が賦課されます。
賦課された関税については、申告が受理されてから15日(営業日基準)以内に納付しなければなりません。

2. その他の税

調査時点:2021年7月

  1. 酒税
    アルコール飲料には、酒税が適用されます。
    酒税は、CIF価格に関税額を加え、次の酒税率を掛けて計算します。
    • 酒精:1klあたり5万7,000ウォン
    • 濁酒: 2021年2月末日以前に酒類製造場から出庫し、または輸入申告する濁酒は1kl あたり41,700ウォン(※)
    • 薬酒、果実酒、清酒:30%
    • ビール: 2021年2月末日以前に酒類製造場から出庫し、または輸入申告するビールは、1kl あたり830,300ウォン(※)
    • 蒸留酒(焼酎、ウイスキー、ブランデー、一般蒸留酒、リキュール):72%
    • その他酒類:10〜72%(詳細は、酒税法別表「酒類の種類別細部内容」を参照してください)
    (※)2021年3月1日以降、酒類製造場から出庫し、または輸入申告する濁酒とビールの税率は、計算式(前年度12月31日基準税×(1+前年度の消費者物価上昇率))に基づいて、毎年、大統領令で定めるが、100ウォン未満は切り捨てる。
  2. 教育税
    アルコール飲料には、教育税が適用されます。教育税は、酒税額に次の教育税率を掛けて計算します。
    • ビール、蒸留酒、酒税率が70%の場合:30%
    • その他:10%
  3. 付加価値税
    事業または輸入を行う個人、法人、社団・財団などは、「付加価値税法」に基づいて付加価値税を納付する義務があります。課税の対象は、事業者が行う「財貨またはサービスの供給」と「財貨の輸入」です。付加価値税の税率は10%で、次のとおり計算します。
    • 付加価値税=(CIF価格+輸入関税+酒税+教育税)×10%

3. その他

調査時点:2021年7月

食品の輸入時には、日本であらかじめラベルを貼り付ける、または印刷して輸入する場合を除くと、輸入申告する前に韓国の保税倉庫でラベルを貼るための作業が必要です。ラベルの印刷と補修作業のためのコストがかかります。これらの作業は、輸入者が輸入代行者などに委託する業務のため、条件によってコストは異なります。

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その他

調査時点:2021年7月

なし