為替管理制度

最終更新日:2020年07月16日

管轄官庁/中央銀行

インド準備銀行

為替相場管理

変動相場制。ただし、極端に不安定な変動局面には、インド準備銀行が介入。

貿易取引

経常勘定における為替取引は、原則自由化されている。対日貿易のほとんどはドル・ベース。ネパールとブータンとの輸出入では、インド・ルピーでの決済を義務付け。国内通貨はルピー。輸出で獲得した外貨は全額、無利子のExchange Earners Foreign Currency(EEFC)口座に外貨で保有できる。

決済通貨

輸入のための外貨取得は、ネパール、ブータンからの輸入の場合を除き自由。通常、米ドル、英ポンド、およびユーロが最も頻繁に取引されている。また、米トラベラーズチェックも、ほとんどの金融機関で自由に購入できる。
ただし、輸入製品が輸入規制対象品目の場合、外貨取得には輸入ライセンスが必要となる。

決済手段

  1. 輸入代金

    輸入代金の支払いは、原則、船積みから6カ月以内に行わなければならない。
    6カ月を過ぎても(3年未満であれば)、次の理由で輸入代金の決済が遅れている場合、承認取引銀行(AD Bank)は支払遅延を許可できる。

    1. 荷役の数量や品質が契約不履行で係争中
    2. 資金難
    3. 輸入業者が販売業者に対して訴訟を提起している

    なお、インド準備銀行(RBI・中央銀行)が、特定の業種(未加工・カット・研磨等のダイヤモンド)に対し、輸入代金の支払期間の延長のためのガイドラインを出している場合には、当該ガイドラインが適用される。

    その他のバイヤーズ・クレジット、サプライヤーズ・クレジットを含む延べ払い決済による輸入決済は(船積みから3年超、または承認取引銀行に認可されていない場合)、トレードクレジット扱いとなり、管轄地域のインド準備銀行と財務省の認可取得が必要であるほか、トレードクレジットに関する政府ガイドラインに従った手続きが必要となる〔Para B.5.1, B.5.2, B.5.4 of Master Direction - Import of Goods and Services〕。

    注:COVID-19の発生により、インド準備銀行(RBI)は、2020年7月31日以前の輸入品について、通常の輸入品に対する送金完了期間(履行保証等のために金額が保留されている場合を除く)を船積み日の6カ月以内から12カ月以内に延長した。
    (2020年5月22日付、RBI/2019-20/242 A.P. (DIR Series) Circular No. 33)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(155KB)

    輸入代金の前払いについて、金額の上限はない。ただし、前払額が20万ドルを超える場合、原則として、取消不能のスタンド・バイ信用状、輸出国銀行の保証もしくは承認取引銀行(AD Bank)の保証の取得が求められる。
    ただし、これらの取得が不可能な場合には、輸入者側の承認取引銀行の裁量で500万ドルまでの前払いが認められる〔Para C.1. of Master Direction - Import of Goods and Services〕。

  2. 輸出代金

    原則として、輸出企業*は船積みから9カ月以内に輸出代金を回収しなければならない。
    9カ月を過ぎても(15カ月未満であれば)、一定の条件を満たす場合、承認取引銀行(AD Bank)は輸出代金の回収の遅れを認めることができる〔Para A.2、C.20 of Master Direction - Export of Goods and Services〕。

    * SEZ内企業、ステータス・ホルダー輸出企業、100%輸出志向型企業(EOU)、ソフトウエア・テクノロジー・パーク(STP)内企業、エレクトロニクス・ハードウエア・テクノロジー・パーク(EHTP)内企業、バイオ・テクノロジー・パーク(BTP)内企業を含む。

    一方、輸出代金の前受けの条件は次のとおり。

    1. 金利がLIBOR+100ベーシス・ポイント以下、もしくは金利の支払いがないこと。
    2. 代金の前受け後、1年以内に船積みが行われること(一定の条件をクリアすれば、1年以上の期間が経過しても認められる)。
    3. 前受け金の支払いを行った銀行を通じて、船積み書類がやりとりされること。

    また、輸出から得た外貨は、輸出者がExchange Earners Foreign Currency(EEFC)口座で全額保有できる〔Para C.2 of Master Direction - Export of Goods and Services〕。

    注:COVID-19の発生に伴い、インド準備銀行(RBI)は、2020年7月31日までの輸出品について、輸出された商品またはソフトウェアまたはサービスの輸出額の全額に相当する金額の回収およびインドへの履行期間を、船積み日の9カ月以内から15カ月以内に延長した。
    (2020年4月1日付、RBI/2019-20/206 A.P. (DIR Series) Circular No. 27)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(244KB)

その他外貨支払い・受け取りにかかる許認可など

配当金、技術使用や商標等の使用に関するロイヤルティーの海外への支払いについては、原則、制限がない。

貿易外取引

インド外為管理法(2000年)によると、1居住者が1年間に取得できる外貨の上限は、目的に応じて異なる。それを超える場合、インド準備銀行の事前許可が必要。

インド準備銀行は、2015年5月26日付で、送金自由化スキーム(Liberalised Remittance Scheme:LRS)による居住者(外為管理法)について、事前許可なしでの送金上限額を年間25万ドルに引き上げた。

LRSの対象となる取引は、経常勘定取引や資本勘定取引となり、経常勘定取引〔Para A 1 of Master Direction - Liberalised Remittance Scheme〕は次のとおり。

  1. 海外旅行(ネパールおよびブータンを除く)
  2. ギフトや寄付
  3. 雇用のための海外渡航
  4. 海外移住
  5. 海外の親類への生活支援
  6. 次に関する渡航費用。海外出張、海外での会議・専門的な研修への参加
  7. 海外での治療・健康診断に関連する費用。海外での治療・健康診断を行う患者への同行
  8. 留学
  9. その他

また、項目4. 7. 8.に記載された目的で、海外移住、治療や大学での勉学に関する費用に対して所定の条件を満たす場合には、前述のLRSの上限(25万ドル)を超える両替が可能。

資本勘定取引(Para A 6 of Master Direction on LRS)は次のとおり。

  1. 海外の外貨銀行口座の開設
  2. 海外の不動産投資
  3. 海外への投資
    1. 海外の上場および非上場会社の株式、または債務証書の保有・取得
    2. 海外の会社で、取締役の役職を保持するために必要な株の取得
    3. プロフェッショナルサービスまたは取締役報酬の対価としての海外会社の株式取得
    4. ミューチュアル・ファンド、ベンチャーキャピタル・ファンド、格付けされていない債券、約束手形への投資
  4. 所定の条件を満たす場合100%子会社および合弁会社の事業開始
  5. インド人の非居住者親族(当該親族は、2013年会社法に定義されている)への貸付(インド・ルピー建ての貸付を含む)

資本取引

海外直接投資は、2017年統合版FDI政策の制限リストに記載された政府の特別認可を要する規制業種以外は、自動認可される(2019年外国為替管理 (Non-debt Instruments) 規則および2020年プレスノート3も参照)。また、制限リスト以外の特定業種への投資を禁止するネガティブ・リストもある。インド証券取引所の上場インド企業の株式取得については、登録された外国機関投資家(FII)・外国ポートフォリオ投資家(FPI)また特定インド非居住者がブローカーを通じて可能。

直接投資

直接投資とは、非居住者による居住企業の株式取得、強制転換権付の優先株式や社債取得、および預託証券の取得を指す。転換権のない普通社債・優先株の発行/取得は、対外商業借入(ECB)と考えられる。
直接投資は、2017年統合版FDI政策制限リストに記載された政府の特別認可を要する規制業種以外は、自動認可される(2019年外国為替管理(Non-debt Instruments)規則も参照)。制限リスト以外の特定業種への投資を禁止するネガティブ・リストもある。
ネガティブ・リストについては「外資に関する規制」の項を参照。

インド証券取引所の上場インド企業の株式取得については、FDIの条件、インド証券為替取引所(SEBI)・インド準備銀行(RBI)の手続きガイドラインおよび評価ガイドラインに従う必要がある。上場インド企業へのFDIとは、上場インド企業の発行済み完全希薄化後の払込自己資本10%以上への出資を指す。
なお、インド国外居住者による、上場インド企業の資本調達手段への既存出資で、発行済み完全希薄化後の払込自己資本の10%未満の場合、当該出資は引き続きFDIとして扱われる。

証券投資

インド証券為替取引所(SEBI)に登録された外国ポートフォリオ投資家(FPI)は、インド国内向け送金により、インド企業の株式購入が可能。外国ポートフォリオ投資とは、インド国外の居住者による資本調達手段への投資を指す。当該投資は、次のいずれかの条件を必要とする。

  1. 上場インド企業の発行済み完全希薄化後の払込株式資本の10%未満
  2. 上場インド企業の各資本調達手段の払込価額の10%未満

2014年のSEBI(FPI)規制で規定されている外国ポートフォリオ投資家(FPI)、または投資家グループによるインド企業への投資については、次のいずれかの条件を必要とする。

  1. 完全希薄化後の払込自己資本の10%未満
  2. インド企業が発行した社債、優先株式および新株予約権の払込価額の10%未満

また、外国ポートフォリオ投資家による投資合計については、完全希薄化後の払込自己資本、または社債、優先株式および新株予約権の払込価額の24%以下にする必要がある。当該10%の制限は個別、24%の制限は合算制限と呼ばれる。インド企業は、取締役会決議および株主総会特別決議により、当該24%の制限を適用となるセクターごとのキャップまで引き上げることが可能。

対外商業借入(External Commercial Borrowing:ECB)

対外商業借入(ECB)は、認定された非居住者から適格な居住者によって調達された商業借入であり、最低借入期間、最終的な資金用途、上限金利などの各規定に準拠する必要があり、以下記載の規定を全て確認する必要がある。
対外商業借入(ECB)のフレームワークは、次の2つのオプションを提供している。

  1. 外貨建て対外商業借入
  2. ルピー建て対外商業借入

対外商業借入にかかるガイドラインおよびその他条件等は、次のとおり。

項目 対外商業借入
外貨建て対外商業借入 ルピー建て対外商業借入
借入通貨 自由に交換可能な外貨 インド・ルピー
対外商業借入の種類
  • 借入(銀行借入を含む)
  • 変動・固定利付債・社債・普通社債(強制転換条項付の商品を除く)
  • 3年超のトレードクレジット
  • 外貨建て転換社債(FCCB)
  • 外貨建て転換条項付き社債(FCEB)
  • ファイナンス・リース
  • 借入(銀行借入を含む)
  • 変動・固定利付債・社債・普通社債・優先株式(強制転換条項付の商品を除く)
  • 3年超のトレードクレジット
  • ファイナンス・リース
  • 海外発行のインド・ルピー建て普通社債。当該社債は該当国の規制に従い、私募債として、あるいは証券取引所に上場することで発行できる。
借入資格:借入できる企業

FDIを受けることができるすべての企業体。また、次の企業も借入可能。

  • ポートトラスト
  • 特別経済地区(Special Economic Zones:以下「SEZ」)の企業
  • インド中小企業開発銀行(Small Industries Development Bank of India:SIDBI)
  • 輸出入銀行(Export-Import Bank:EXIM Bank)

外貨建て対外商業借入を受けることができるすべての企業、およびマイクロファイナンスに従事する次の登録済み企業(インド・ルピー建て対外商業借入のみ可能)。

  • 非営利企業
  • 協会(society
  • 信託・協同組合
  • 非政府組織
貸付資格:貸付できる企業または個人

対外商業借入の移管を含め、金融活動作業部会(Financial Action Task Force:FATF)あるいは証券監督者国際機構(International Organization of Securities Commission:IOSCO)の加盟国の居住者。ただし、

  • インドが加盟している多国間および地域金融機関もまた、適格貸付者とみなされる。
  • 個人が外国株主の場合、または、外国に上場している会社の社債・普通社債の購入目的の場合に限り、個人は貸付者と認められる。
  • インド銀行の海外支店・子会社は外貨建て対外商業借入についてのみ、適格貸付者として認められる(外貨建て転換社債(FCCB)と外貨建て転換条項付き社債(FCEB)は除く)。 また、インド銀行の海外支店・子会社は、適用されるインド準備銀行のガイドラインに従った上で、海外市場で発行されるインド・ルピー建て社債のアレンジャー・引受人・マーケットメーカー・トレーダーになることができる。しかし、インド銀行の海外支店・子会社は、インド銀行が発行したものについて引受できない。
最低平均借入期間
  1. 3年。売買オプションが付いている場合、最低平均借入期間到来前は行使不可。
  2. 製造業者が年間5,000万ドル以下(または相当額以下)の対外商業借入を行う場合には1年。
  3. 外国株主からの対外商業借入で、資金使途が運転資金、一般的な事業資金、ルピー建ての借入の返済の場合には、5年。運転資本目的、一般的な事業目的で外国株主以外からの対外商業借入で、かつ同様の目的で非銀行金融会社(NBFC:Non-bank financial companies)によって転貸されている場合には10年。
  4. 設備投資を目的として国内で利用され、かつ同様の目的で非銀行金融会社(NBFC)によって転貸されているルピー建ての借入の返済の場合には7年。
  5. 設備投資以外の目的で国内で利用され、かつ同様の目的で非銀行金融会社(NBFC)によって転貸されているルピー建ての借入の返済の場合には10年。
上限金利 ベンチマークレート(インターバンクレート、国債金利など)+450ベーシス・ポイント
その他の費用 債務不履行または契約違反により、繰上返済手数料、遅延利息が発生する場合、元本残高に対する約定金利プラス2%が上限(上限金利の適用外)
最終的な資金用途(ネガティブリスト方式)

次の用途には使用不可。

  1. 不動産事業
  2. 資本市場への投資
  3. 株式市場への投資
  4. 運転資金(最低平均借入期間の3で記載の外国株主および外国株主以外からの借入の場合を除く)
  5. 一般的な事業資金(最低平均借入期間の3で記載の外国株主および外国株主以外からの借入の場合を除く)
  6. ルピー建ての借入の返済(最低平均借入期間の4および5で記載の場合を除く)
  7. 前記を目的とする他企業への転貸(最低平均借入期間の3、4、5で記載のNBFCから転貸される場合を除く)

対外商業借入れの枠組みに基づくその他の規定、例えば、報告義務、借入登録番号の取得、借入金額の預託としての一時保留、対外商業借入の負債資本比率、債務保証、株式への転換、調査中の法人、ヘッジ条項等は、新しい対外商業借入の枠組みに従って適用される。

関連法

1999年外国為替管理法(Foreign Exchange Management Act:FEMA)

その他

特になし。

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