外国企業の会社設立手続き・必要書類

最終更新日:2024年08月21日

外国企業の会社設立手続き・必要書類

外国企業が香港でビジネスを行う場合、現地法人を設立するか、外国企業の香港支店として公司註冊処(Companies Registry、以下「会社登記所」)に登録しなければならない。また、香港でのすべての事業について、その事業開始日から1カ月以内に商業登記をしなければならない(会社登記と商業登記の申請提出は、1度にまとめて行うことが可能)。

事業免許に関する情報については、次の工業貿易署の中小企業情報センター(Trade and Industry Department Support and Consultation Centre for SMEs)のウェブサイト参照。
Business Licence Information Service外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2011年2月21日より、会社登記所(公司註冊処)と税務局が連携し、会社登記と商業登記のワンストップサービスを実施している。すなわち会社登記の申請提出は、同時に商業登記の申請提出とみなされる。

会社登記と商業登記のワンストップサービス(e-Registry外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(24時間アクセス可能)

※参考:税務局(Inland Revenue Department外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

主な会社登録・事業登録に関する手続きは次のとおり。

現地法人(株式会社)

類似商号の調査

会社名が既に他社によって登録されていないか、類似商号がないかどうかの確認。一連の手続きは、専門家に依頼するのが一般的だが、商号はCyber Search Centreのウェブサイトで事前の簡単な確認も可能(注1)。

会社登記と商業登記の申請

必要書類:設立申請書(Form NNC1)、会社定款の写し、商業登記署への通知書(IRBR1)

  1. 会社定款(Articles of Association)には次の内容を記載。
    • 会社名
    • 株主の責務(有限・無限責任)
    • 株主の責務および出資額(有限会社のみ)
    • 資本金または設立時株主の出資情報(株式会社のみ)
    • 有限会社の設立にあたり、会社条例(Companies Ordinance)第622章103条に基づき(“有限会社”または“Limited”の表示の省略可)ライセンスを取得した組織または有限会社は、ライセンスの有効期間内に係る会社目的を明記する必要がある。
  2. 設立申請書(Form NNC1)は、次の条件を満たす必要がある。
    • 設立者である取締役の場合、同意書(Consent to Act as Director)に署名すること。設立者でない取締役の場合、同意書に署名する、あるいは、会社設立から15日以内に同意書(Form NNC3)を会社登記所に提出すること。
    • 申請書に記入された設立者1人が署名すること。
    • 予定する会社名が基本定款に載っている会社名と同じであること。
    • 私的会社(Private Company)の場合、最低1人の自然人取締役を任命する義務がある。公開会社(Public Company)である場合、最低2人の取締役を任命する義務があり、取締役全員が自然人でなければならない。
  3. 商業登記署への通知書(IRBR1)には次の内容を記載。
    • 3年間の商業登記証を選択しているかどうか

    書類をネットで提出する場合は約1時間で登録書が発行され、郵送の場合は約4日間の作業日が必要とされる。

外国企業の支店

香港で支店を開設してから1カ月以内に、会社登記所に登録申請をしなければならない。
必要書類は次のとおり。

  1. 申請書(Form NN1)には次の内容を含む。
    • 香港での会社名
    • 香港で営業拠点を設立する日付
    • 香港および会社設立地(本国)での主な営業拠点
    • 会社設立地(本国)で登記されている事業所所在地
    • 取締役と会社秘書役、香港で会社の代表権限を与えられている人物(Authorized representative)に関する詳細
  2. 会社構成を示す法律文書の認証謄本(定款など)
  3. 設立認可証(Certificate of Incorporation)の認証謄本(登記簿謄本など同様の書類も可)
  4. 最新の会計報告書の認証謄本
  5. 商業登記署への通知書(IRBR2)

※参考:認証謄本は、香港で翻訳された場合、香港の公認会計士などの公証人または高等裁判所法務官の証明による。

その他詳細は会社登記所のウェブページ(Companies Registry - Local company and registered non-Hong Kong company外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

外国企業の駐在員事務所

法人格がないため、資本要件、会社登記所への登記の必要性がなく、会社名は親会社と同じものとなる。香港で駐在員事務所を開設してから1カ月以内に、商業登記署に登記申請をしなければならない。
必要書類は次のとおり。

  1. 申請書(Form 1(b))には次の内容を含む。
    • 親会社名
    • 香港事務所設立日
    • 会社設立地(本国)で登記されている事業所所在地
    • 取締役と会社秘書役
  2. 親会社設立認可証(Certificate of Incorporation)の認証謄本(登記簿謄本など同様の書類も可)

費用

会社登記の申請提出は、同時に商業登記の申請提出とみなされる。
商業登記証は、更新する必要がある。

  1. 会社登記費用

    1,720香港ドル。会社が設立できなかった場合は1,425香港ドルが払い戻される。
    ワンストップサービスでの登記の場合、1,545香港ドル。会社が設立できなかった場合は、1,280香港ドルが払い戻される。
    詳細は、会社登記所のウェブページ(Companies Registry - Registration of a new company外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

  2. 商業登記費用

    2024年4月1日以降の登記費用は次のとおり。
    1年間有効な商業登記証:2,200香港ドル
    3年間有効な商業登記証:5,870香港ドル

    商業登記費用については、次の税務局のPDFを参照。
    Business Registration Fee and Levy TablePDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(163KB)

商業登記に関する詳細は、税務局ウェブサイトBusiness Registration外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

関係機関

  1. 日本での照会先
    香港経済貿易代表部(東京)投資推進室外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    Tel:03-3556-8980
  2. 香港での照会先
    1. 会社登記所総合照会センターIntegrated Companies Registry Information System:ICRIS) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    2. 会社登記所Companies Registry外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    3. 税務局Inland Revenue Department外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    4. 入境事務処Immigration Department外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    5. 投資推進署(InvestHK - Setting Up In Hong Kong外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    6. 香港貿易発展局(Hong Kong Trade Development Council外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

外国企業の会社清算手続き・必要書類

現地法人の清算/登記抹消手続き・必要書類

会社の清算(株主による任意清算の場合)

  1. 必要書類
    1. 支払能力証明書(Form NW1
    2. 清算特別決議
    3. 清算人任命通知書(Form NW3
    4. 業務停止通知書(Form IRC 3113
    5. 清算完了通知(Form NW5
  2. 手続き
    1. 取締役会を開催
      • 株主総会の招集(株主総会開催の21~28日前に通知を行う)
      • 支払能力証明書(Form NW1)の承認
    2. 承認済み支払能力証明書を会社登記所へ提出
    3. 株主総会を開催(支払能力証明書提出から5週間以内)
      • 清算開始の特別決議
      • 清算人の選任
      • 清算人への会社の資産分配権限の委任を承認
    4. 株主総会より15日以内に、株主総会での清算特別決議および清算人任命通知書(Form NW3)を会社登記所へ提出
    5. 清算開始日(=清算特別決議日)から1カ月以内に業務停止通知書(Form IRC 3113)を商業登記署へ提出
    6. 官報に次の内容を公告
      • 清算の決議(決議から15日以内)
      • 清算人の任命(決議から15日以内)
      • 債権者への通知
    7. 清算人による清算業務
      • 税務当局からのタックスクリアランスを入手
      • 残余財産の確定と株主への分配
      • 清算報告書の作成
    8. 最終清算会議開催1カ月前までに会議招集通知および官報への公告
    9. 最終清算会議の開催
      • 清算報告書の確認
      • 所定の期日以降、会社の帳簿書類廃棄の承認
    10. 最終清算会議開催日から期日以内に次の書類を会社登記所へ提出
      • 最終清算会議の議事録(7日以内)
      • 清算報告書(7日以内)
      • 配当および構成項目一覧(Form 95
    11. j.から15日以内に清算人が清算完了通知(Form NW5)を会社登記所へ提出
    12. 最終清算会議の議事録および清算報告書提出から3カ月後に会社清算が完了

会社登記抹消

  1. 必要書類
    1. Notice of No Objection” 発行依頼申請書(Form IR 1263
    2. 登記抹消申請書(Form NDR1
  2. 登記抹消手続き申請の条件
    1. 会社の全株主が登記抹消に同意している
    2. 会社が設立後ビジネスを開始していない、あるいは事業停止後3カ月以上が経過している
    3. 負債がない
    4. 法的手続きの当事者でない
    5. 会社の資産が香港にて登記されている不動産でない
    6. 会社が持株会社である場合、子会社の資産に香港にて登記されている不動産がない
    7. 会社法第749条に規定されている会社でない
  3. 手続き
    1. Notice of No Objection” 発行依頼申請書(Form IR 1263)を税務局に提出し、“Notice of No Objection” を受領する(申請から約1カ月)
    2. Notice of No Objection” 発行日から3カ月以内に“Notice of No Objection” および登記抹消申請書(Form NDR1)を会社登記所へ提出
    3. 会社登記所が官報に公告し、3カ月以内に異議申立てがなければ、第2回目の官報公告が会社登記所により手配され、これをもって会社登記が抹消される
    4. 会社の登記抹消が申請者に通知される
  4. 留意点
    登記抹消は清算人を選任せず、全株主の同意をもって申請可能な簡便的清算方法であるが、次の点に留意する必要がある。
    1. 登記を抹消すると、会社名義の資産および権利はすべて香港政府に帰属することとなるため、登記抹消前にすべての資産を処分する必要がある
    2. 会社登記抹消まで会社は会社法上の義務を順守する必要がある(年次報告書提出、登記事務所の住所変更通知、会社秘書役および取締役の変更通知など)
    3. 会社登記抹消後20年間は、登記復活申請が可能である
    4. 登記抹消直前の取締役は、抹消日から少なくとも6年間は会社の帳簿書類を保管する必要がある
    5. 登記抹消申請に際し、故意に虚偽または誤解を招く情報を提供した場合、起訴による有罪判決の場合、30万香港ドルの罰金および2年の禁固刑、略式起訴の場合、10万香港ドルの罰金および6カ月の禁固刑が科される

その他

特になし。