税制

最終更新日:2024年02月04日

法人税

2008年1月1日より、外商投資企業および国内企業の基本法人税率は25%に統一された。

法人税は各納税年度の総収入から原価費用および損失を控除した残額(利益)に対して課税される。

居住企業、非居住企業の定義

居住企業とは、法に基づき中国国内において設立され、または外国(地域)の法律に従い設立されたが実際の管理機構が中国国内にある企業を指す。非居住企業とは、外国(地域)の法律に従い設立され、かつ実際の管理機構が中国国内に存在しないが、中国国内に機構、拠点(原文は「場所」)を設置し、または中国国内に機構、拠点を設置していないが、中国国内源泉所得を有する企業を指す。

居住企業、非居住企業の納税基準

居住企業は、その中国国内、国外の源泉所得について企業所得税を納付しなければならない。非居住企業が中国国内において機構、拠点を設置している場合、その設置した機構、拠点における中国国内源泉所得、および中国国外において発生したがその機構、拠点と実際の関係がある所得について、企業所得税を納付しなければならない。非居住企業が中国国内において機構、拠点を設置していない場合、または機構、拠点を設置したが取得した所得がその設置した機構、拠点と実際の関係がない場合、中国国内源泉所得について企業所得税を納付しなければならない。

基本税率

  1. 企業所得税の税率:25%
  2. 非居住企業が中国国内において機構、拠点を設置していない場合、または機構、拠点を設置したが取得した所得がその設置した機構、拠点と実際の関係がない場合、中国国内源泉所得について企業所得税の適用税率は20%とされるが、優遇により10%の税率で企業所得税が徴収される。

軽減税率

  1. 条件に合致する小型の低利益企業:20%
  2. 国が重点的に援助する必要のあるハイテク企業:15%
  3. 税収優遇の具体的方法は、国務院が規定する。

欠損の繰越

企業の納税年度において発生した欠損は、以後の年度に繰り越し、以後の年度の所得により補填することができる。ただし、繰越年数は最長5年を超えてはならない。
新型コロナウイルスにより大きな影響を受ける「困難業界」(交通運輸業、飲食業、宿泊業、旅行業)の企業について、2020年に損失が発生した場合、最長の繰越期間が5年から8年まで延長される。

国外納付所得税の税額控除

企業が取得した次の各号に掲げる所得について、国外で納付した所得税税額は、その当期納税額から控除することができるものとし、控除限度額は、当該所得につき「企業所得税法」の規定に基づき計算された納税額とする。控除限度額を超える部分については、以後5年度以内に、各年度の控除限度額内において当期の控除税額を差し引いた残額から繰越控除することができる。

  1. 居住企業の中国国外源泉の課税所得
  2. 中国国内に機構、拠点を有する非居住企業が取得した中国国外において発生したが当該機構、拠点と実際の関係がある課税所得

企業間の管理費等

企業間で支払う管理費、企業内の営業機構間で支払う賃料およびライセンスフィー等、ならびにノンバンク企業内の営業機構間で支払う利息は、控除してはならない。

駐在員事務所課税

駐在員事務所には、財務計算が適切か否かにより、それぞれ事実に基づく申告、経費支出による収入換算、収入総額による課税所得額の査定が適用される。

予納および納税申告

企業所得税は月ごと、または四半期ごとに予納するものとする。月ごと、または四半期ごとのいずれにするかは税務機関が査定する。企業は、月または四半期の終了日から15日以内に、税務機関に企業所得税予納申告表を提出し、税金を予納しなければならない。企業は年度終了日から5カ月以内に、税務機関に年度企業所得税納税申告表を提出し、かつ追納、還付すべき税額を精算しなければならない。

技術譲渡における企業所得税の免除、減額

1納税年度内に、居住企業の技術譲渡所得が500万元を超えない部分については、企業所得税を免除する。500万元を超える部分については、企業所得税を半減する。

優遇政策の段階的措置

「企業所得税法」公布前にすでに認可設立された企業は、当時の税収法律、行政法規の規定に従い低税率の優遇措置を受ける場合、新企業所得税法施行後5年以内に順次過渡的に法定税率に移行する。そのうち、企業所得税率15%の税率が適用されている企業は、2008年には18%、2009年には20%、2010年には22%、2011年には24%、2012年には25%の税率に移行する。24%の税率が適用されている企業は、2008年から25%の税率が適用される。定期減免税の優遇を受ける企業は、国務院の規定に従い、同法施行後も継続して期間満了まで優遇措置の適用を受けることができる。ただし、利益を獲得していないため優遇措置の適用を受けていない場合、優遇措置の期間は同法の施行年度から起算される。

法律により設置した対外経済協力および技術交流を発展させるための特定地域(深圳、珠海、スワトウ、アモイおよび海南経済特区を指す)、および国務院が前記地域特殊政策の執行をすでに規定した地域(上海浦東新区を指す)において、国が重点的に援助しなければならない新設のハイテク企業は、前記経済特区および上海浦東新区内で取得する所得について、最初の生産経営収入の属する納税年度から起算して、1年目から2年目までは企業所得税は免除、3年目から5年目までは25%の法定税率を半減して企業所得税を徴収する。

国がすでに確定したその他奨励類企業は、国務院の規定に従い減免税の優遇措置を適用することができる。

障害者の雇用時の優遇措置

障害者を雇用している外商投資企業の課税所得額を計算する際、企業所得税の税引前に雇用している障害者の実際の賃金を全額控除することができ、かつ障害者に対して支払う実際の賃金の100%をさらに控除することができる。

出所:

企業所得税法、障害者の就業を促進するための税収優遇政策に関する通知、企業所得税法実施条例、「企業所得税過渡期優遇政策の実施に関する通知」「経済特区および上海浦東新区の新設ハイテク企業に対する過渡期税制優遇の実行に関する通知」「一部の行政法規の改正および廃止に関する規定」

参考:

ジェトロ「中国 税制 法人税 国税・地方税分類表」PDFファイル(191KB)
ジェトロ「中国 税制 法人税 税制体系図」PDFファイル(121KB)

二国間租税条約

日中租税条約で不動産所得、役務提供などを規定(源泉税率は親子会社間の配当が10%、一般配当が10%、利子が10%、使用料が10%)

二国間租税条約の締結状況

租税条約は、国家間における国際的二重課税の防止や租税回避の防止などを主な目的として締結され、原則として国内法に優先する。現在、中国は50余りの国と租税条約を締結している。また、香港との間にも租税条約と同様の二重課税防止規定がある。

日本と中国との間では、1983年9月6日にOECDモデル租税条約の内容に準拠した「所得に対する租税に関する二重課税の回避および脱税防止のための日本国政府と中華人民共和国政府との協定」(1984年6月26日発効)が締結されている。

日中租税条約の内容

  1. 日中租税条約は次の租税を対象として適用される。
    日本:所得税、法人税、住民税、復興特別所得税、復興特別法人税、地方法人税
    中国:個人所得税、企業所得税
  2. 配当、利子、使用料の限度税率
    日本の居住者が中国国内で得る配当所得、利子所得、各種無体財産権使用料所得に対しては、中国は10%を超えない税率で課税できる。
  3. 不動産所得の課税
    日本の居住者が中国国内にある不動産を直接使用するか、または貸与するなどにより得る所得に対しては、中国で課税される。この場合、居住者が個人である場合は個人所得税が、居住者が企業である場合は企業所得税が課される。
  4. 独立性のある個人的役務の課税
    日本の居住者である個人が、中国で医師、弁護士、会計士などの独立した業務活動を行う場合、中国国内に固定的施設を有するときまたは中国滞在期間が183日を超えるときは、その所得に対して中国で個人所得税が課税される。
  5. 給与所得の課税
    日本の居住者が中国において勤務し取得する給料等の報酬については、中国国内での滞在が当該年で183日を超える場合所得税が課税される。

〔出所〕日中租税条約

その他税制

個人所得税、増値税、消費税、関税

  1. 個人所得税
  2. 増値税
  3. 消費税・関税
  4. 契税
  5. 都市建設維持税

詳細はPDFファイル参照。
ジェトロ「中国 税制 その他税制」PDFファイル(316KB)