民間経済特区(ZEEP)法を議会が可決、法人所得税5年間0%に

(ペルー、中国)

リマ発

2025年09月16日

ペルーの議会は9月10日、民間経済特区の特別税と税関に関する法律(通称:ZEEP法)を可決した(議会プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ZEEP法は、港湾や空港などのペルーの立地優位性を生かした民間企業の投資を促すことで、ペルーの産業競争力を高めるとともに雇用創出を図ることを目的としている。

特区内に投資した企業は、政府の認定を受けると最初の5年間、法人所得税が0%になる。その後、6年目からの5年間は7.5%、11年目からの5年間は10.0%と5年ごとに2.5%増え、21年目からの5年間は15%となる。それ以降は現行の29.5%が適用される。

特区内は保税地域の機能を持たせ、認定された企業による域内での物品の移動であれば、一般売上税(IGV)18%と一部の物品に適用される選択消費税(ISC)の課税対象としない。また、鉱業、石油・天然ガス、鉄鋼、電力、軍事、水産、金融の各産業は対象とならない。

公布後、政府が細則を公表することになっているが、特区の地区選定、企業の認定方法、具体的な税法上の運用ルールと手続きなどはこれから関係省庁が詰めるため、制度として具体的な運用が始まるまでには、さらに時間がかかりそうだ。

ZEEP法は、2021年9月に法案が議会に提出されたあと、既に4年が経過した。この間、さまざまな課題が浮上した。当初、法人所得税の減税には経済財政省(MEF)が真っ向から反対した。労務面では、有能な産業人材を育成し直接雇用につなげる仕組みとする必要がある趣旨が明記された。対象とする産業も焦点となった。ZEEP法は外国企業の投資も対象とするため、世界情勢が流動化するなか軍事産業を除外することを明記した。特区の地区選定はこれからだが、中国国営の海運大手の中国遠洋海運集団(COSCO)が60%出資するチャンカイ港の周辺地域も有力候補とみられている(2024年11月18日記事参照)。

(石田達也)

(ペルー、中国)

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