外国企業の会社設立手続き・必要書類
最終更新日:2025年10月24日
- 最近の制度変更 

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                        2024年6月20日
 
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外国企業の会社設立手続き・必要書類
外国企業がモザンビークでビジネスを展開する場合、現地法人の設立(主として有限会社または株式会社)、モザンビーク企業に業務委託する外国企業商業代表、の2つの形態がある。
管轄官庁
                商工省傘下のワン・ストップ・ショップ(Balcão de Atendimento Único:BAU
)
            
            
                ※ウェブサイトが繋がらない場合がある。
                所在地:Av. Josina Machel, N°151, Maputo
                Tel:+258 21 321442
            
                モザンビークにおける会社設立は、商法(法令第1/2022号5月25日付)で規定されている。商業ライセンスについては、商業ライセンス規則(法令第34/2013号8月2日付)にて規定されている。
                モザンビークで商業活動を行う外国企業は、「現地法人」を設立するか、モザンビーク企業に業務委託して商業活動を行う「外国企業商業代表(Foreign commercial representative)」ライセンスを取得する。
            
現地法人の設立
次の4つの会社形態がある。
- 有限合名会社(Sociedade em Nome Colectivo de Responsabilidade Limitada)
出資者(Sócio)は、資本または労働の形で出資し、原則的に出資者であると同時に管理職の地位を有する。出資者は最低2人必要。登記する会社名称には、会社形態を示す「Sociedade em Nome Colectivo Limitada」または「SNCL」を付記する。 - 有限会社(Sociedade por Quota)
有限会社の資本は「Quota(割り当て)」と呼称される。「Quota」の総額は会社の資本金と同額となる。出資者の上限は30人で、これを超える場合は株式会社または簡易型株式会社に変更しなければならない。登記する会社名称には、会社形態を示す「Limitada」または「Ltd.」を付記する。 - 株式会社(Sociedade Anónima)
株式は記名株式のみで、普通株または優先株が発行できる。登記する会社名称には、会社形態を示す「Sociedade Anónima」もしくは「SA」を付記する。 - 簡易型株式会社(Sociedade por Acções Simplificada)
1人または複数の個人または法人が株主となり設立できる。1.~3.の会社形態と異なり、定款に具体的な事業目的を記載する必要がなく、他と比較して企業活動を柔軟に実施しやすい。登記する会社名称には、会社形態を示す「Sociedade Por Acções Simplificada」もしくは「SAS」を付記する。 
                会社設立においては、一部の規制産業を除き株主の国籍規制はなく、外国人資本100%で現地法人を設立することができる。有限会社、株式会社、簡易型株式会社が、単独の株主または出資者(個人または法人)による全額出資で設立される場合、登記する会社名称には「sociedade unipessoal」、「unipessoal」もしくは「”SU”」(引用符“”も含む)を、各会社形態を示す語句の前に付記する。
                資本には最低金額は規定されていないが、資本金額に応じて会社登録料が決定される。
                会社設立手続きの大半は経済省傘下のワン・ストップ・ショップ(BAU)を窓口として実施できる。
            
会社設立の一般的な手続きは、次のとおりである。
- 会社の事業分野を管轄する省からの設立許可(Parecer)の取得
 - 登記社名の予約(3カ月間有効)、基礎定款(Contrato de Sociedade)の作成、定款ドラフト、出資者/株主情報、設立届出書などの提出
 - 会社登記書(Certidão)の発行
 - 単一税務番号(NUIT)の取得
 - 商業ライセンスの取得
 - 初期活動の宣言(所轄税務署、Declaração de inico de Actividades)
 - 社会保険庁(INSS)への登録
 
企業は、「初期活動の宣言」をすることにより、モザンビークでの納税の義務が発生することになる。また、「初期活動の宣言」の開始から15日以内に、INSSへ会社登録する必要がある。
会社定款の原型となる基礎定款(Contrato de Sociedade)は、ポルトガル語で記載する必要があり、記載が必要な内容は会社形態により異なる。
モザンビークで商業活動を行うすべての会社は、商業ライセンス(通称Alvará)を取得する必要がある。会社の活動内容により、産業ライセンス(製造業で必要)や建設ライセンス等の他のライセンスを取得する必要がある。商業ライセンスの発行費用は該当するセクターによって異なる。
外国企業商業代表(駐在員事務所)
                外国企業が現地法人ではなく駐在員事務所を設立する場合、外国企業商業代表(Representação comercial estrangeiro)のライセンスを取得する。また、商法第69条の規定により、モザンビークで1年以上事業活動を行い、現地法人などの拠点を有していない外国企業は外国企業商業代表を設立しなければいけない。
                外国企業商業代表は現地法人と同様に法人格を持ち、納税・社会保険費納付義務などが発生する。設立手続きは、現地法人設立手続きとほぼ同じプロセスとなる。手続きに際し外国企業は、次の書類を提出する必要がある。
            
- 親会社となる外国企業の会社定款と商業ライセンス(※)およびそのポルトガル語訳
 - モザンビークでの代表を選定した議事録(Acta Avulsa)、または駐在員事務所代表者を任命した旨を示す委任状およびそのポルトガル語訳
 - 外国企業の代表者の身分証明書類
 - モザンビーク代表の身分証明書類
                    
※商業ライセンスとは、日本においては、国や都道府県が発行する特定の事業を行うための許認可を指す。
 
その他
- 産業ライセンス
モザンビークで産業プラントを建設する場合、[1]産業ライセンスの取得、もしくは[2]簡素化ライセンスを取得する必要がある。産業ライセンスの取得手続きは、法令第22/2014号5月16日付にて規定されており、次の表の4つの形態に分類されている。大規模、中規模、小規模の産業プラントは、産業ライセンスを取得する必要があるが、零細規模の産業プラントは、地方自治体での登録のみが必要となっている。大規模、中規模、小規模の産業プラントは、産業地区と指定された場所に設置する必要があるが、零細規模の産業は、居住地区に設置することも可能である。
産業ライセンスの取得には、通常、環境ライセンスもしくはその免除証明書、電力設置開発ライセンスが事前に必要であるが、環境ライセンスの取得手続き中に産業ライセンスを申請することもできる。産業ライセンスは、商工省傘下のBAUにて取得することができる。産業ライセンスの取得後、商業ライセンスを取得し、「初期活動の宣言」を税務署に提出し、商業活動を開始することができる。産業ライセンスにおける産業プラントの分類 分類 初期投資額(MZN) 電力設置(kVA) 労働者数 大規模 6億以上 1,000以上 101人以上 中規模 1億5,000万以上 500以上 31人以上100人以下 小規模 150万以上 10以上 11人以上30人以下 零細規模 150万未満 10未満 10人以下  - コンソーシアム
前述の現地法人は、「商業契約に関する法的枠組み」(法令第3/2022号5月25日付)にてコンソーシアムを形成することができる。コンソーシアムの設立には、2社以上によるコンソーシアム形成の契約書を作成する必要があり、BAUにて登記する必要がある。コンソーシアムには法人格はないが、特定の事業に共同で従事する目的で設立される。コンソーシアムには、外部コンソーシアムと内部コンソーシアムの2種類ある。外部コンソーシアムは、コンソーシアムの各会員会社が、第三者に財・サービスを提供するのに対して、内部コンソーシアムは、コンソーシアムを形成する1社に他の会員会社が財・サービスを提供する。 
ジェトロ調査レポート:モザンビークの貿易投資制度および会社設立手続き(2017年3月)
外国企業の会社清算手続き・必要書類
外国企業がモザンビークで設立した現地法人を清算する場合、BAU、登記所もしくは法務省にて法人格の解散を申告する。
会社の解散および清算は、最初に解散を登録し、解散登録日から60日以内に解散登録日時点の財務諸表、資産目録について株主または出資者の承認を得て、3年以内に清算を完了しなければならない。清算期間中は解散までの法人格が維持される。清算人には監査法人または会計士法人を除く他の法人を選任することはできない。会社清算は、清算報告書と資産の分配案を提出することで登録される。
その他
法人の実質的受益者登録義務、モザンビーク政府による社会保険費用管理システムと税務システム。
法人の実質的受益者登録義務
                2024年3月8日付政令法第1/2024号「法人登記規則」により、法人の「実質的受益者」登録が義務化された。モザンビークにおいて、現地法人と外国企業商業代表(駐在員事務所)は法人に該当する。受益者登録は法人設立時と、設立後は毎年、当該法人の設立月に登録情報を申告することが義務付けられる。受益者の登録と申告は、原則的にモザンビーク登記・公証局のポータルサイト
から実施する。
            
モザンビーク政府による社会保険費用管理システムと税務システム
                社会保険費用の申告、付加価値税・個人所得税・法人税の申告は電子化が進んでいる。社会保険費用は、社会保険庁(INSS)が提供するシステム「SISSMO
」から毎月の申告、納付証明のダウンロードが可能となる。付加価値税・個人所得税・法人税の一部は経済財務省国税局が提供する「E-declaração
」から申告、納税の確認が可能となる。
            




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