米商務省、CHIPSプラス法に基づき半導体研究開発4社に計3億8,900万ドル助成

(米国)

ニューヨーク発

2026年10月27日

米国商務省は10月22日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づき、エネルギーインフラやデータセンター向け半導体の研究開発関連企業4社に対し、総額3億8,900万ドルを拠出する意向書(LOI)に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

国立標準技術研究所(NIST)の発表によると、今回の拠出は電力の制御や変換、供給といったパワーエレクトロニクス分野に必要な半導体や材料の研究開発が対象だ(注1)。NISTは、パワーエレクトロニクスが米国内の電力網の現代化や重要なエネルギーインフラへの電力供給において基盤的な役割を果たすと説明し、それらに関わる先進的な製品を米国内で開発することが国外依存の低減や経済・国家安全保障の強化につながるとして、その重要性を強調した。

拠出先企業とその金額は次のとおり。

  • ヘリオン(Helion):核融合発電向けに設計されたパワー半導体などの開発や量産化に必要な研究開発に1億7,500万ドル。
  • コモンウェルス・フュージョン・システムズ(Commonwealth Fusion Systems):核融合炉で用いられる、高周波プラズマを使用した加熱装置向けの半導体や、核融合炉の状態を監視する電子機器などの開発に8,500万ドル。
  • バーティカル・セミコンダクター(Vertical Semiconductor):効率的な電力供給を実現するための垂直型窒化ガリウム(GaN)パワー半導体の開発や、2.5メガワット(MW)級の「スーパーインテリジェンス(SI、注2)」用データセンターのサーバーラックの開発に向けた実証実験などに7,300万ドル。
  • シベルコ(Sibelco):半導体バリューチェーン上でさまざまな用途に用いられる、超高純度の石英の製造に必要な次世代技術開発向けに5,600万ドル。

CHIPSプラス法に基づく助成はバイデン前政権下で成立し、トランプ政権下でも継続されている。資金拠出に向けたLOIの署名は7月以来で(2026年7月30日記事参照)、今後最終助成契約の締結をもって拠出が確定する(注3)。このほかトランプ政権は、量子や人工知能(AI)、重要鉱物といった経済安全保障上の重要分野については、米国内での研究開発や産業育成を目的に補助金を活用する姿勢を示している(注4)。

(注1)商務省が各企業の少数株式(非支配株)を取得することが支援の条件となっている。

(注2)AIの意。ドナルド・トランプ大統領は9月、連邦政府の全ての省庁、行政機関の公式文書、対外広報、ウェブサイト、報告書などにおいて、AIの代わりにSIの使用を義務付ける大統領令を発表しており(2026年10月1日記事参照)、本発表も同大統領令に準じた書きぶりとなっている。

(注3)例えば、商務省は5月、米国内企業9社に対し、総額20億ドル超の資金を拠出するLOIに署名した(2026年5月22日記事参照)。そのうち6社については、最終助成契約の締結を発表済みである(2026年9月10日記事、2026年9月17日記事参照)。

(注4)トランプ政権は重要産業に関し、国内投資を進めるとともに、同盟国・有志国とのサプライチェーン強靱(きょうじん)化や国際的なエコシステム構築にも取り組んでいる。詳しくは、2026年2月6日付地域・分析レポート参照。

(滝本慎一郎)

(米国)

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