米商務省、CHIPSプラス法に基づきIBM子会社に最大10億ドルの支援、量子ウエハー研究開発向け

(米国)

ニューヨーク発

2026年09月17日

米国商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)は9月16日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づき、米IBM子会社のアンデロン(本社:ニューヨーク州オールバニー)と、最大10億ドルの量子ウエハー研究開発支援に関する最終助成契約を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回の助成の最終決定に先立ち、商務省は5月21日、IBMを含む9社に対し、総額20億ドル超の資金を拠出する意向表明書(LOI)に署名していた(2026年5月22日記事参照、注1)。

NISTは2025年9月から、量子技術のほか先端半導体や人工知能(AI)などの研究開発プロジェクトを公募しており(2025年9月30日記事参照)、今回の発表はこれに基づく(注2)。今回の助成金はアンデロンによる量子半導体ファウンドリーの整備・拡張を加速するとともに、国内量子コンピュータ向け半導体の研究開発を推進するために活用される。IBMが発表したプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(9月16日)によると、アンデロンはオールバニーで量子コンピュータのプロセッサ専用に設計されたウエハー(量子ウエハー)を提供するファウンドリーを運営している。また同社は、将来的にさまざまな量子モダリティ(注3)向けのウエハー製造も目指している。アンデロンのムケシュ・カーリ最高経営責任者(CEO)は「今回の商務省との合意により、自社の(量子ウエハーを製造する)能力が強化され、量子産業が必要とする製造規模を実現する」「われわれは、量子技術が研究上のブレークスルーから現実世界への実装へと進むための基盤を築いている」と述べ、その意義を強調した。

トランプ政権は、バイデン前政権下で成立したインフレ削減法(IRA)に基づく環境分野の補助金の一部に関しては、その支給を撤回や中止している。ただし、量子やAI、重要鉱物といった経済安全保障上の重要分野については、米国内での研究開発や産業育成を目的とした補助金支援を継続する姿勢を示している(注4)。CHIPSプラス法も、バイデン前政権下で成立し、助成のスキームが創設されたが、この運用はトランプ政権下でも継続されている。

(注1)9社のうち、リゲッティ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますディーウェイブ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますクオンティニュアム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますサイクオンタム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますグローバルファウンドリーズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますについては、9月8日に最終助成契約締結が発表されている(2026年9月10日記事参照)。

(注2)プロジェクトの募集期限は2029年9月30日までとなっているが、NISTのシステム更新に伴い、2026年9月15日から一時的に受け付けを停止している。募集の受け付けは2026年11月に再開予定で、再開にあわせて申請手順が更新される。

(注3)量子コンピュータで情報をエンコードする際の基本単位である量子ビットを、物理的に構築・制御する方式やその種類。例えば、IBMは超電導回路を用いた方式の量子コンピュータ開発を主導する一方、真空中に閉じ込めたイオン(電荷を帯びた原子)を量子ビットにする「イオントラップ」方式など、異なる量子モダリティも存在する。

(注4)トランプ政権は重要産業に関し、国内投資を進めるとともに、同盟国・有志国とのサプライチェーン強靭(きょうじん)化や国際的なエコシステム構築にも取り組んでいる。詳しくは、2026年2月6日付地域・分析レポート参照

(滝本慎一郎)

(米国)

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