米商務省、CHIPSプラス法に基づきコンピューティング関連の半導体研究開発7社に計8億7,400万ドル助成

(米国)

ニューヨーク発

2026年07月30日

米国商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)は7月29日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づき、コンピューティング分野のサプライチェーン向け半導体の研究開発に関係する米国内企業7社と、総額8億7,400万ドルの連邦助成金を交付する意向表明書を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

発表によると、今回の助成は、集積フォトニクスや先端パッケージング、材料などの半導体分野の研究開発を対象とした。各企業の研究開発内容と助成額は次のとおり。

  • グローバルファウンドリーズ:半導体チップと光通信モジュールを同一パッケージ基板上に統合する「コパッケージド・オプティクス(CPO)」の研究開発に最大3億ドル。
  • ケプラー・コンピューティング:3次元実装技術や強誘電体技術を活用した、高性能な人工知能(AI)向けメモリの研究開発に最大2億4,500万ドル。
  • マルチビーム・コーポレーション:複数のチップを組み立て・積層し、数千本規模の配線で接続する先端パッケージング技術の研究開発に最大1億4,000万ドル。
  • エクストロピック:電子の熱力学的なゆらぎを活用し、従来よりも効率的な計算処理が可能なAI向け半導体チップ「熱力学的サンプリング装置(TSU)」の研究開発に最大7,500万ドル。
  • シントロニクス:先端パッケージングなどに求められる、超低損失(Ultra-low-loss)の層間絶縁膜の研究開発に最大5,000万ドル。
  • オブシディア・セミコンダクターズ:AIや先端エレクトロニクス向けの安全なサプライチェーンの構築を目的とした部品識別システムの研究開発に最大3,400万ドル。
  • アエルマ:AI向けフォトニック相互接続(注1)に用いられる光検出器やレーザーの製造に活用する基板技術の研究開発に最大3,000万ドル。

ハワード・ラトニック商務長官は、「これらの戦略的投資は米国内の(製造・技術開発)能力を強化し、高賃金の雇用を創出し、米国を半導体産業の最前線に維持することになる」と述べ、今回の資金拠出の意義を強調した。

NISTは2025年9月から、先端半導体のほか量子技術やAIなどの研究開発プロジェクトを公募しており(2025年9月30日記事参照)、今回の発表はこれに基づく(注2)。同制度の下、2026年5月には量子コンピューティングに関係する米国内企業9社(総額20億1,300万ドル)を、6月にはAIや量子暗号技術によるソリューションを扱うサンドボックスAQ(5億ドル)と次世代パワー半導体の研究開発を行うI-Pulse(2億5,000万ドル)に助成すると発表していた(2026年6月30日記事参照)。プロジェクトの申請は2029年9月30日まで受け付けている(注3)。

(注1)電子の代わりに光(光子)を用いてデータを伝送する技術。

(注2)今回の助成対象のような研究開発支援については、商務省が各企業の少数株式(非支配株)を取得することが条件となっている。

(注3)トランプ政権は重要産業に関し、米国内への投資を進めるとともに、同盟国・有志国とのサプライチェーン強靭(きょうじん)化や国際的なエコシステム構築にも取り組んでいる。詳しくは、2026年2月6日付地域・分析レポート参照

(滝本慎一郎)

(米国)

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