米税関、自動車・トラック部品の232条関税の相殺制度に関するガイダンス発表

(米国)

ニューヨーク発

2026年07月01日

米国税関・国境警備局(CBP)は6月29日、自動車と中・大型トラックの部品に対する1962年通商拡大法232条に基づく追加関税の相殺制度に関するガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

米国は2025年5月から、232条に基づき、自動車部品の輸入に対して25%の追加関税を課している。ただし、「外国での製造と輸入への依存を迅速に減らし、米国内の生産能力を拡大し、製造を米国に移転させることを目的」に、自動車部品輸入に対する232条関税の相殺制度も設けた。利用にあたっては、自動車メーカーが商務省に対して、米国で組み立て予定のモデルや工場所在地、相殺制度を利用する輸入者のリストなどの必要書類を提出し、同省から承認を得る必要がある(2025年6月13日記事参照)。承認が得られれば、2030年4月30日まで1年ごとに、米国で組み立てられる自動車の希望小売価格(MSRP)の年間合計額の3.75%に相当する金額を、232条関税の支払いに充当(相殺)できる。そのため、一定金額までは、輸入時に232条関税を支払う必要はない。商務省は、2025年11月から申請を受け付けている(2025年11月4日記事参照)。同省は中・大型トラック部品に対しても同様の制度を設け(2025年10月21日記事参照)、2026年5月15日から申請を受け付けると官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで発表した。

今回発表されたガイダンスでは、関税相殺制度は、商務省から承認を受けた輸入者に限り、許可された金額の範囲内でのみ請求できることをあらためて強調した。輸入者が相殺可能額を超えて利用しないよう注意喚起も行い、相殺に利用可能な金額を税関の電子申請システム(ACE)内のTR-015レポートを通じて確認するよう促した。

なお、日本、英国、EU、韓国、台湾からの自動車部品の輸入に対しては、米国との合意の下で、232条関税に対する緩和措置を設けている。例えば日本で生産された自動車部品の輸入に対しては、一般関税率(MFN税率)が15%未満の場合は一般関税率と232条関税を合計して15%、一般関税率が15%以上の場合は、232条関税は課さないと定めている(注1)。この点に関しガイダンスでは、相殺制度は232条関税分にのみ適用されるとあらためて記載した。従って日本製品を輸入する場合は、15%と一般関税率の差分が、相殺の対象となる(注2)。

また、相殺制度を利用する場合は、商務省から付与されたライセンス番号(注3)を輸入申告の際に入力する必要がある点もガイダンスで明記した。自動車部品を輸入するサプライヤーに対しては、自動車メーカーが商務省に対する申請時に登録した輸入者のリストに基づき、自動車メーカーからライセンス番号が通知されるとみられる。自動車メーカーが主体となって申請する制度であるため、一部のサプライヤーの間では、同制度を把握していないケースがみられた。ジェトロに対しては、複数のサプライヤーから、商務省による自動車メーカー向けの承認プロセスが完了し始めたとみられる2026年1月以降、同制度の詳細に関する問い合わせが相次いだ。米国では追加関税が常態化しているため、利用可能な制度を漏れなく活用できるよう制度に対する理解を深めておくことが重要だ。

(注1)米国との合意内容について、日本は2025年9月16日記事、英国は2025年6月18日記事、EUは2025年9月25日記事、韓国は2025年12月9日記事、台湾は2026年5月29日記事参照

(注2)仮に一般関税率が3%だった場合、12%分が232条関税として上乗せされることから、相殺金額は輸入金額の12%となる。

(注3)番号は、アルファベット(A)2文字と数字(N)6桁の合計8文字で構成される(例:AANNNNNN)。

(赤平大寿)

(米国)

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