米国が対台湾232条関税を引き下げ、自動車部品・木材製品など対象、5月以降の輸入に遡及適用

(米国、台湾)

ニューヨーク発

2026年05月29日

米国政府は5月28日、米国在台湾協会(AIT)および駐米国台北経済文化代表処(TECRO)との通商合意に基づき、台湾製の自動車部品や木材製品などに対する1962年通商拡大法232条に基づく追加関税の引き下げを規定した連邦官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公示した。引き下げは5月以降の輸入に遡及(そきゅう)適用し、余分に支払われた関税は還付の対象となる。米国税関・国境警備局(CBP)も5月27日、通関業者向けのガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

米国政府とAITおよびTECROは1月15日、米国の対台湾関税の引き下げや台湾の対米投資の拡大などを含む覚書(MOU)を締結している(2026年1月19日記事参照)。今回の官報は同MOUに基づき232条関税を引き下げるもので、米国東部時間5月1日午前0時1分以降の輸入に遡及して適用する。対象品目や税率は次のとおり。

  • 自動車部品(これまでの232条関税率25%)、ソファ、キッチンキャビネットなどの木材製品(同25%):一般関税率(MFN)税率が15%未満の場合は232条関税率とMFN税率を合わせて15%、MFN税率が15%以上の場合には232条関税を課さず、MFN税率のみ適用する(注1)。
  • 航空機部品:WTOの民間航空機貿易に関する協定の対象品目であり、かつ、同協定の付属書(Annex)に示された米国関税分類番号(HTSコード)に分類されるものは、232条に基づく鉄鋼・アルミニウム・銅に対する追加関税の対象外とする。

なおMOUでは、半導体に対する将来的な232条関税(注2)発動時に「米国に投資する台湾の半導体メーカー向けに優遇措置を適用する」とされているが、本官報では当該措置への言及はない。また、米国は、2月12日にAITおよびTECROとの間で、232条関税対象以外の幅広い台湾原産品に対する関税の引き下げなどを定めた相互貿易協定に署名している(2026年2月16日記事参照)。しかし、同協定は5月28日時点で未発効で、今回の官報では、同協定に基づく措置は含まれていない(注3)。

(注1)なお、232条に基づき10%の関税が課されている木材・製材については(2026年1月6日記事参照)、今回の関税率引き下げの対象外。

(注2)米国は1月15日から特定の半導体に25%の232条関税を課している(2026年1月15日記事参照)。さらに、米国のドナルド・トランプ大統領は232条半導体関税の賦課を指示する大統領布告で、布告発表後90日間各国・地域と交渉を継続し、交渉終了後に232条関税の対象を拡大する可能性や、米国の半導体供給網構築に投資する企業に232条関税の相殺制度を設ける可能性を示唆している。「将来的な232条関税」とは、この交渉終了後に適用を示唆する232条関税を指すとみられるが、5月28日時点で新たな関税の発動などに関する発表はない。

(注3)MOU締結時点では、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく相互関税が課されており、合意内容にはその関税率の引き下げも含まれていた。しかし、連邦最高裁判所が2月20日、同法に基づく関税賦課を無効とする判決を下しており(2026年2月24日記事参照)、本官報もIEEPA関税の取り扱いには言及していない。

(滝本慎一郎)

(米国、台湾)

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