米税関、メキシコのコーヒー製造企業に輸入差し止め命令、人権侵害を理由に

(米国、メキシコ)

ニューヨーク発

2026年02月03日

米国税関・国境警備局(CBP)は1月29日、メキシコのコーヒー製造企業フィンカ・モンテ・グランデに対し、収穫工程での人権侵害の疑いに基づき、違反商品保留命令(WRO)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発令した。同日以降、同社が製造したコーヒーの輸入を差し止める。

米国の1930年関税法307条は、強制労働、児童労働、囚人労働などの労働搾取を通じて生産された物品の輸入を原則禁止しており、CBPは強制労働などの関与を推定した場合、WROを発令し、対象物品の輸入を差し止める。また、強制労働などの関与を正式に認定(Finding)した場合には、対象物品の輸入を差し止め、押収・没収する。

CBPの発表によると、フィンカ・モンテ・グランデが強制労働を使ってコーヒーの収穫を行っているという情報に基づき、労働者の証言、国際機関やNGOの報告書、メディアの報道などを分析した。その結果、同社の労働者は、ILOが示す人権侵害の6つの指標に該当することが確認された(注1)。この指標には、脆弱(ぜいじゃく)性の悪用、賃金の差し止め、身分証明の保持、過剰な残業、債務による束縛、過酷な労働・生活環境が含まれる。また、同社の商品は米国に輸入されているか、あるいは輸入される可能性が高いという。

CBPのロドニー・スコット局長は発表で、「脆弱な立場の労働者を搾取から保護し、企業が人権侵害から不当な利益を得ることを阻止する」と主張した。また、CBP貿易局のエグゼクティブ・アシスタント・コミッショナー代行のスーザン・トーマス氏は、「メッセージは明確だ。強制労働から利益を得ている場合、米国市場へのアクセスを失う」と述べた。

今回のWROは2025年1月の第2次トランプ政権発足後に発令されたものとして6件目となり(注2)、これまでに発令された有効なWROは2026年1月29日時点で55件、認定は8件となる。

(注1)国際NGOのビジネスと人権リソースセンターによる報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、フィンカ・モンテ・グランデが所在するチアパス州での強制労働や児童労働が指摘されている。

(注2)これまで韓国産塩製品(2025年4月7日記事参照)、中国籍漁船が漁獲した水産品(2025年5月30日記事参照)、台湾産自転車(2025年9月25日記事参照)、モーリシャス産アパレル製品(2025年11月21日記事参照)、セルビア産タイヤ(2025年12月22日記事参照)に対するWROが発令されている。一方で、第2次トランプ政権でWROが撤回された事例には、2022年11月に発令されたドミニカ共和国産砂糖製品に対するWRO(2025年3月24日記事参照)、2020年年9月に発令されたマレーシア産パーム油に対するWROがある(2026年1月21日記事参照)。

(久峨喜美子)

(米国、メキシコ)

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