米税関、中国籍漁船の水産品を輸入差し止めに、人権侵害が理由
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年05月30日
米国税関・国境警備局(CBP)は5月28日、特定の中国籍の漁船が漁獲した水産品に対して、同漁船の操業中の人権侵害の疑いに基づき、違反商品保留命令(WRO)を発令した。同日以降、同漁船が漁獲した水産品の米国輸入はCBPが差し止める。
米国の1930年関税法307条は、強制労働、児童労働、囚人労働などを利用して生産した物品の輸入を原則禁止している。CBPは、強制労働などの関与を推定する場合、WROを発令して、対象物品の輸入を差し止める。また、CBPは、強制労働などの関与を正式に認定(Finding)した場合、対象物品の輸入を差し止め、押収・没収する。5月28日時点で今回の発令を含めて52件のWRO、9件の認定が有効となっている。
CBPは今回、中国籍の漁船「Zhen Fa 7」が漁獲した、イカをはじめとする水産品に対してWROを発令した。調査を通じて、ILOの強制労働の指標に当てはまる状況下で操業していることを確認したとしている。CBPの長官代行のピート・フローレス氏は「(ドナルド・トランプ)大統領は最近、不公正な貿易慣行と闘うことで米国産の海産物の競争力を回復させるようわれわれに指示した。今回の命令(WRO)の発令は、その目標に貢献する手段の1つだ」と述べた。
トランプ氏は2025年4月に、「米国の海産物競争力の回復」と題する大統領令を発令した。同大統領令では、違法・無報告・無規制(IUU)漁業の撲滅や、不公正な貿易慣行への対抗などを関係閣僚に指示していた(2025年4月22日記事参照)。
なお、第2次トランプ政権発足後にWROが発令されるのは今回が2回目(注)。強制労働などを利用して生産された製品の輸入の取り締まりを通じて、米国の経済的利益を確保する目的から、第2次トランプ政権下でも、いわゆる「ビジネスと人権」に関連する通商措置の執行は一定程度継続することが見込まれる(2025年5月9日付地域・分析レポート参照)。
(注)2025年4月に韓国産の塩に対するWROを発令した(2025年4月7日記事参照)。ただし、2025年3月にはドミニカ共和国産の砂糖に対するWROを撤回した事例もある(2025年3月24日記事参照)。
(葛西泰介)
(米国、中国)
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