トランプ米大統領、農産品を相互関税の対象外とする大統領令を発表

(米国)

ニューヨーク発

2025年11月17日

米国のドナルド・トランプ大統領は11月14日、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて課している相互関税の対象から、特定の農産品を除外する大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。米国税関・国境警備局(CBP)も同日、ガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

トランプ氏は4月に、原則として全ての国・地域からの全ての品目に対して追加関税を課す相互関税を発表した。その後、相互関税の一時適用停止期間を設け、各国・地域と個別に交渉をし、その結果に応じて相互関税率を設定し直した上で、8月から適用を再開した(2025年8月1日記事参照)。一方で、相互関税の対象外となる品目も段階的に発表しており、4月にスマートフォンや半導体など(2025年9月8日記事参照)、9月に地金関連製品や特定の重要鉱物、医薬品(2025年9月8日記事参照)を対象外とすると発表した。9月の発表の際には、各国・地域との合意内容に応じて、相互関税を免除する可能性がある品目も発表しており、その中には農産品も含まれていた。

今回新たに相互関税の対象外となるのは、肥料、牛肉、バナナ、オレンジ、トマト、ココア、香辛料、熱帯果実・果実ジュース、コーヒー、茶などで、具体的な米国関税分類番号(HTSコード)は、大統領令の付属書に記載した(注1)。

適用除外は、米国東部時間11月13日午前0時1分以降の通関から適用する。関税の還付が必要な場合、CBPの標準的な手続きに従って実施する(注2)。

同日公開されたファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、今回の除外品目の追加について、相互関税などを巡る各国・地域との交渉での著しい進展と、米国内の需要や生産能力などを踏まえて判断したと記した。特に今回は、米国では生産されていない農産品を対象外にしたという。ファクトシートではまた、マレーシア、カンボジアとの相互貿易協定、日本、韓国との投資協定の締結、エルサルバドル、アルゼンチン、エクアドル、グアテマラ、タイ、ベトナム、英国、EU、スイスとの共同声明の発表をこれまでの交渉の成果として挙げている。

(注1)ただし、9月に発表された適用除外の可能性がある農産品と、今回適用除外が定められた農産品は必ずしも一致していない。

(注2)大統領令の発表が11月14日で適用開始が前日の13日のため、関税還付は13日に通関された品目を対象にしているとみられる。ガイダンスでは、推定関税が支払われる前に修正申告をし、還付手続きの回避を推奨している。推定関税を支払い済みの場合、清算前であれば、事後修正(PSC)を行うことができる。PSCの詳細はCBPのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますユーザーズガイドPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)参照。清算済みの場合は異議申し立て(protest)を行える。Protestは清算から180日以内に輸入者、代理人または弁護士がCBPに対して異議申し立てをできる。通常、CBPフォーム19PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)というフォーマットが利用される。詳細はCBPのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(赤平大寿)

(米国)

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