三峡ダム、長江上流の洪水予防のため、2025年初の放流開始
(中国)
武漢発
2025年10月06日
中国水利部は9月28日、長江の三峡ダムで2025年初となるゲート開放による放流を同月26日に開始したと発表した。洪水防止の安全を確保するため、長江水利委員会は9月17日以降、発電機のフル稼働による放流を継続してきた。これに加えて今回、26日午後6時に2つのゲートを開け、放流量を毎秒2万8,400立方メートルに増やした。これはダムの水位を下げる措置でもある。
増水については、気象予報によると、9月27日から30日、10月1日から3日にかけて、長江上流域で大雨、局所的には豪雨の予想だ。継続的な降雨の影響で三峡ダムには2回の顕著な増水が見込まれており、特に10月1日前後のダムへの流水量は、ピーク時で毎秒3万5,000立方メートルに達する見通しだ。
長江の主な洪水期は毎年6月から8月だが、2025年に入って流域の流水量は全体的に平年を下回っていた。2025年1~8月に長江流域の降水量は平年に比べて1割減、流水量は3割減となり、そのうち長江上流の流水量は2割減少した(2025年9月17日記事参照)。この影響で、三峡ダムへの流入水量は過去の同時期の平均値より3割以上減少した(「湖北日報」9月28日)。
しかし、長江水利委員会の干ばつ災害防御局工程処の張虎処長によると、8月下旬以降は降雨と流入水量が急速に枯渇状態から豊水状態へと転換した。上流の降雨量は191.2ミリに達し、過去同時期の平均値を29%上回り、1961年以降で8番目に多い記録となった。三峡ダムでは既に5回にわたり、毎秒2万5,000立方メートル以上の増水が発生している。張処長は「三峡ダムが秋の洪水期にゲートを開けて放流を行う事例は珍しくなく、過去にも2014年、2017年、2021年などに同様の事例が発生した」と述べた(同)。
(高橋大輔)
(中国)
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