米税関、8月7日から適用の相互関税のガイダンス発表、例外品目など明示
(米国、世界)
ニューヨーク発
2025年08月06日
米国税関・国境警備局(CBP)は8月4日、相互関税に関するガイダンスを発表した。ドナルド・トランプ大統領は7月31日、相互関税の適用を8月7日から再開する大統領令を発表していた(2025年8月1日記事参照)。
ガイダンスではあらためて、相互関税が米国東部時間8月7日午前0時1分以降に通関した貨物から適用されることを示した。相互関税率は大統領令の付属書Iに列挙した国・地域に対して、個別に定めている。付属書Iに記載のない国・地域に対しては、ベースライン関税10%が適用される。なお、ガイダンスではEUに対して、一般関税率(MFN税率)が15%以上の場合は相互関税率がゼロになり、15%未満の場合は一般関税率と相互関税率を合計して15%になると明記した。EU以外の国・地域に対して、同様の説明はない(注1)。香港、マカオを含む中国に対しては、引き続き10%のベースライン関税が適用される(2025年5月13日記事参照)。中国に対する相互関税の適用停止は8月12日が期限となっている(注2)。
相互関税の適用例外も記載した。米国東部時間8月7日午前0時1分より前に積載港で船舶に積み込まれ、最終輸送手段で輸送中であり、かつ同10月5日午前0時1分までに通関した貨物に対しては、ベースライン関税10%が適用される。
そのほかの適用例外は、4月に発表した例外とほぼ同様となっている(2025年4月3日記事、2025年4月9日記事参照)。主な内容は次のとおり。
- 米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の原産地規則を満たした産品(注3)。
- 米国の関税率表のコラム2に分類されるベラルーシ、キューバ、北朝鮮、ロシア原産品(注4)。
- 特定の食品、衣類、医薬品などの寄付品。
- 出版物、映画、ポスター、レコード、写真、美術品などの情報資料。
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4月に発表した大統領令付属書II
の適用対象外品目、大統領布告
で明示した半導体など(2025年4月14日記事参照)。
- 1962年通商拡大法232条に基づいて追加関税を課している鉄鋼・アルミニウム製品(2025年6月4日記事参照)、自動車・同部品(2025年6月26日記事参照)、銅(2025年8月4日記事参照)。
- 輸入される製品の価値の20%以上が米国原産の場合、相互関税は非米国原産部分に対して課される。
ガイダンスではまた、CBPが相互関税を回避する迂回輸出と判断した場合、相互関税に代わって40%の追加関税が課されることもあらためて示した。ただし、ガイダンスでも具体的な判定基準は示さなかった。
(注1)日本もEUと同じ内容の相互関税率で合意したと発表されていた(2025年7月28日記事参照)。
(注2)米中は7月28~29日に適用停止の延長について協議したが、中国側が90日間の延長を発表する一方、米国側は延長は確定していないと述べており、双方の見解は異なっている(2025年7月31日記事参照)。
(注3)カナダとメキシコに関しては、4月の大統領令で、不法移民や合成麻薬フェンタニルの流入を理由とした国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく追加関税を課している間は、12%の相互関税は課さないと定めていた。トランプ氏はその後、カナダに対するIEEPAフェンタニル関税を8月1日から35%に引き上げた(2025年8月4日記事参照)。ただし、USMCAの原産規則を満たした品目はIEEPAフェンタニル関税の対象外となる。
(注4)米国の関税体系は、恒久的正常貿易関係(PNTR)のステータスを与えられた国などに対する特恵税率が適用される関税率(コラム1)と、特定国向けの関税率(コラム2)に分かれており、コラム2の関税率はコラム1よりも高い。
(赤平大寿)
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