米商務省、CHIPSプラス法による第3弾の資金援助概要を発表、半導体基板・材料の研究開発が対象

(米国)

ニューヨーク発

2024年03月01日

米国商務省は2月28日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づく、半導体産業に対する第3弾の資金援助の概要を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。手続きに関する詳しい情報は国立標準技術研究所(NIST)のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに集約されている。

バイデン政権は、安全保障上の観点から半導体の国内生産能力の増強を図り、2022年8月にCHIPSプラス法を成立させた。米国政府は同法に基づいて、米国で半導体製造施設や製造装置・素材関連施設などの建設や拡張などの投資を行う企業・団体に対して、390億ドルの資金援助と25%の税額控除を行うほか、研究開発を行う企業・団体に対して、110億ドルの資金援助を行う。研究開発向けの資金援助は、(1)その中核となる国立半導体技術センター(NSTC)、(2)国立先端パッケージング製造プログラム(NAPMP)、(3)半導体製造技術・人材開発を行う米国半導体製造研究所、そして(4)半導体開発製造に不可欠な計測(メトロロジー)に焦点を当てたメトロロジー・プログラムの4つを対象としている。また、ホワイトハウスは2月9日に公開したCHIPS法の研究開発に関するファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中で、NSTCに少なくとも50億ドル、NAPMPに3億ドル、米国半導体製造研究所に2億ドル、半導体メトロロジーに1億ドルの投資などを行うと明らかにしていた。

これまで、米国商務省は同法に基づいて、先端半導体製造施設の建設や拡張など投資に対する第1弾の資金援助(注1)、製造装置・素材関連施設の投資に対する第2弾の資金援助(注2)を発表していた。今回発表された第3弾は、上述の研究開発(2)NAPMPに該当し、先端パッケージ基盤および基板材料の国内生産能力を確立・加速させる研究開発事業に3億ドルの資金援助を行う。

ジーナ・レモンド商務長官は「2030年までに、この先端パッケージング・プログラムが資金提供する研究と活動は、これまでの半導体製造イニシアチブと相まって、力強く、自立的で、強靭(きょうじん)な国内パッケージング産業を確立し、わが国が先端半導体製造のリーダーであることを確かなものにするだろう」と述べている。

資金援助の対象となる研究開発事業は、基礎・応用研究、基盤および実証デバイスの開発・生産、商用利用の可能性や国内製造、総合的人材教育・訓練、試験段階の基盤生産などが想定されるが、商務省は必ずしもこれらに限定しないとしている。このほか、資金援助の詳細は資金供与機会通知(NOFO)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

商務省は本件に関して、3月1日にウェビナー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開催の予定であるほか、12日にはメリーランド州ロックビルで申請者を対象としたイベント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開催する予定だ。なお、構想計画書の提出期限は4月12日、申請書の提出期限は7月3日となっている。

(注1)先端半導体製造施設に対する第1弾の資金援助(2023年3月1日記事参照)では、これまでに、BAEシステムズのニューハンプシャー州の工場拡張などに対する約3,500万ドルの助成(2023年12月13日記事参照)、マイクロチップ・テクノロジーのコロラド州とオレゴン州の工場拡張などに対する約1億6,200万ドルの助成(2024年1月5日記事参照)、グローバルファウンドリーズのニューヨーク州の工場新設とバーモント州の工場現代化などに対する約15億ドルの助成(2024年2月21日記事参照)が発表されている。

(注2)製造装置・素材関連施設に対する第2弾の資金援助では、3億ドル以上の投資を対象とした資金援助(2023年6月26日記事参照)、3億ドル未満の投資を対象とした資金援助(2023年10月3日記事参照)に分かれ、それぞれ申請概要が発表されている。

(葛西泰介)

(米国)

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