米商務省、CHIPSプラス法による第2弾の資金援助概要を発表、半導体製造装置・素材が対象

(米国)

ニューヨーク発

2023年06月26日

米国商務省は6月23日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づく半導体産業に対する第2弾の資金援助の概要を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。手続きに関する詳しい情報は国立標準技術研究所(NIST)のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに集約されている。

商務省は2月末に第1弾となる半導体製造施設に関する投資への資金援助の概要を発表しており(2023年3月1日記事参照)、その申請受け付けは既に開始されている(2023年3月28日記事参照)。第2弾の今回は半導体製造装置や素材関連施設の建設、拡張、現代化に関する3億ドル以上の投資が対象となる。3億ドル未満の投資についても、今秋に別途、資金援助の機会を設ける予定だ。今回の資金援助については、9月1日から予備申請(注1)の受け付けが開始され、10月23日から本申請の受け付けが開始される。資金供与機会通知(NOFO)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、資金援助の形態は第1弾と同じで、直接の資金援助(補助金、協力合意、またはそのほかの手段)、融資、融資保証のいずれか、またはそれらの組み合わせとなる。加えて、申請者は投資額の25%を連邦所得税に対するクレジットとして取得できる先端製造投資税額控除の対象にもなり得る。これについては、財務省と内国歳入庁が6月14日に規則案を出している(2023年6月15日記事参照)。このほか、実際に受益者となった場合には第1弾と同様、労働力開発へのコミットメントや、懸念国(注2)における先端半導体製造施設に関する「重要な取引」や「実質的な拡張」を10年間禁止することを含む、いわゆる安全保障上のガードレール条項の順守などが求められる。なお、ガードレール条項は3月21日に規則案が公表され、パブリックコメントの募集が完了している。2023年後半に最終規則が公示される予定だ(2023年3月22日記事参照)。

商務省は併せて、「成功へのビジョン:半導体素材・製造装置の施設PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」と題する文書を公開し、2030年までに達成すべき目標を次のとおり定めた。

  1. サプライチェーンの強靭(きょうじん)性の強化:主に地理的な集中によって生じるチョークポイントのリスクを軽減する。
  2. 米国の技術的リーダーシップの推進:国内外の主要企業による投資を通じて、米国に戦略的な能力や知見を呼び込む。
  3. 活気のある製造クラスターの支援:州や自治体とともに国内外企業によるエコシステムの拡大を促進する。

この文書は、ジーナ・レモンド商務長官が2月に行ったCHIPSプラス法が目指すビジョンに関する講演を基盤にしている(2023年2月24日記事参照)。レモンド長官は「CHIPSプラス法は、米国の半導体サプライチェーンの強靭性を確保する歴史的な機会だ」との声明を出している。

(注1)予備申請は任意のプロセスで、本申請を検討する潜在的な申請者は計画に関する詳細な情報を提出し、CHIPSプログラム室から次のステップ(予備申請書を修正すべきか、本申請にそのまま提出すべきかなど)に関する提言を含んだ回答を得られるとしている。

(注2)北朝鮮、中国、ロシア、イラン。また商務長官が関係閣僚と協議の上、米国の安全保障または外交政策に有害となる活動に関与していると判断した国。

(磯部真一)

(米国)

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