米商務省、CHIPSプラス法による第1弾の資金援助申請の受け付け開始

(米国)

ニューヨーク発

2023年03月01日

米国商務省は2月28日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づく、半導体産業に対する第1弾の資金援助申請の受け付けを開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。手続きに関する詳しい情報は国立標準技術研究所(NIST)のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに集約されている。

申請の受け付け開始については、ジーナ・レモンド商務長官が2月23日に行った講演で明らかにしていた(2023年2月24日記事参照)。商務省によると、申請は3段階に分かれ、第1弾となる今回は商業用の半導体製造施設の建設、拡張、現代化が資金援助の対象となる。今春後半には素材や製造装置施設、今秋には研究開発施設に関する申請を受け付ける。

第1弾の申請受け付けに関するファクトシートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)スケジュール表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、対象となる半導体製造施設には(1)先端半導体、(2)現世代の半導体、(3)レガシー半導体、(4)ウエハー製造、組み立て、検査、パッケージングが含まれる。このうち(1)の予備申請(注)と本申請は3月31日から開始され、(2)~(4)の予備申請は5月1日から、本申請は6月26日から開始される。いずれも申請順に審査される。また、資金援助の形態は、直接の資金援助(補助金、協力合意、またはそのほかの手段)、融資、融資保証のいずれか、またはそれらの組み合わせとなる。直接の資金援助の規模は、一般的に設備投資全体の5~15%となる見込みで、融資または融資保証を組み合わせた場合は設備投資全体の35%を超えないようにするとしている。

受益者には幾つかの条件が課される。全ての受益者に課されるものとして、自社株買いへの資金利用が禁止され、懸念国での半導体製造能力の拡張を伴う重要な取引を10年間行わないことを商務省と合意する必要がある。後者はいわゆる安全保障上のガードレールと呼ばれる条項で、商務省は追加情報を近く公表するとしている。さらに、1億5,000万ドルを超える直接の資金援助の受益者には、施設の従業員や建設労働者に対して安価で質の高い児童ケアを提供する計画の提出と、政府と合意した収益見込みを超えたキャッシュフローの一部を政府に償還することが求められる。

商務省は申請者に次の6点を説明するよう求めている。(1)経済や国家安全保障への影響、(2)商業的な実行可能性、(3)財政面での強靭(きょうじん)性、(4)技術的な実現可能性と即応性、(5)労働力の開発、(6)幅広い影響(米国半導体産業への将来的な影響など)。このうち(1)に最も重きを置いて審査するとしている。超党派で成立した産業政策がいよいよ動き出すことになる。

(注)予備申請は任意のプロセスで、本申請を検討する潜在的な申請者は計画に関する詳細な情報を提出し、CHIPSプログラム室から次のステップ(予備申請書を修正すべきか、本申請にそのまま提出すべきかなど)に関する提言を含んだ回答を得られるとしている。

(磯部真一)

(米国)

ビジネス短信 63703218078fb412