バイデン米政権、マイクロチップ・テクノロジーに1.6億ドルの助成を発表、CHIPSプラス法で2社目

(米国)

ニューヨーク発

2024年01月05日

米国のバイデン政権は1月4日、米国商務省とマイクロチップ・テクノロジーが、同社の半導体関連製品の米国内生産強化のため、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づき、約1億6,200万ドルを助成する予備的覚書(PMT)の締結で合意外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたと発表した。CHIPSプラス法に基づく助成金提供の発表は、2023年12月のBAEシステムズに続いて2回目となる。助成予定金額はBAEシステムズの約4.6倍と規模が大きく、建設および製造において、700以上の直接雇用創出を見込む。ジョー・バイデン大統領と商務省のジーナ・レモンド長官は、CHIPSプラス法に基づく助成発表が、2024年内に複数回行われると明らかにしていた(2023年12月13日記事参照)。

マイクロチップ・テクノロジーは、マイクロコントローラ・ユニット(MCU)や成熟ノードなどを生産しており、これらは電気自動車(EV)を含む自動車、洗濯機、携帯電話、航空機、防衛産業基盤などの生産に不可欠な部品とされている。今回助成予定の1億6,200万ドルのうち、9,000万ドルはコロラド州の製造施設の現代化と拡張に、7,200万ドルはオレゴン州の製造施設の拡張に充てられる。同社のこれら拠点での半導体生産量はほぼ3倍になると推定され、米国外生産への依存が軽減されることで、サプライチェーンの強靭(きょうじん)化につながるとしている。

今回の発表に際し、国家経済会議(NEC)のラエル・ブレイナード委員長は「半導体を再び米国内で製造するという大統領の目標を前進させ、(新型コロナウイルスの)パンデミック時に価格高騰と長蛇の列を招いたグローバル・サプライチェーンへの依存を軽減する」と、助成金提供の意義を強調する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出した。レモンド長官も、パンデミック期間中に起きた半導体不足は国家安全保障を危機にさらしたとした上で、「自動車から洗濯機、ミサイルに至るまで、あらゆるものに搭載されているレガシー半導体のサプライチェーンを強化するわれわれの取り組みにおいて、意義深い一歩だ」と述べた。マイクロチップ・テクノロジーのガネーシャ・ムーシー社長兼最高経営責任者(CEO)は「米国を拠点とする企業として、マイクロチップの事業は全米の半導体サプライチェーンを強化し続け、同時に労働力の開発と拡大を図る」と述べている。

商務省は今後、提案されたプロジェクトや申請書に含まれる情報について、包括的なデューディリジェンス(DD)を開始する。同省は、DDが完了した後に、申請者であるマイクロチップ・テクノロジーと最終的な助成条件が記された書類を交わすことができる。なお、申請者との交渉により、PMTに記された条件と最終的な助成条件は変わることがある。

(赤平大寿)

(米国)

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