広東省、電力需要は5~6月にピークか、ピークシフト要請の可能性も

(中国)

広州発

2022年04月21日

ジェトロと中国広東省商務庁は4月15日、広東省への投資促進およびビジネス環境改善を目的としたオンライン座談会を開催した。座談会では、外国企業向けの投資優遇策、外資系企業の権益保護、2022年の電力需給状況などについて、省政府の関連部門(広東省商務庁、広東省能源局)が説明し、現地日系企業を中心に約80人がオンライン出席した。

座談会ではまず、外資系企業のビジネス環境改善を目的とした「広東省外商投資権益保護条例PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(2022年3月1日記事参照)の解説があった。同条例では、外資系企業への内国民待遇の付与を前提に、政府系投資プロジェクトや政府系科学技術プロジェクトへの参画や、政府の支援策を享受するなどの点で、外資系企業と国内企業を平等に扱うことが明記されている。座談会では、同条例において、外資系企業からのクレームに対応する期限を新たに設け、受理可否の回答期限を5営業日以内、受理後の処理期限を20営業日以内としたことが紹介された。

このほか、多国籍企業の広東省での統括拠点設立を促進するべく、2021年10月1日に施行された「広東省多国籍企業の地域本部設立の奨励弁法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」について解説があった。同弁法の第8条では、「対外開放をさらに促進し外資を積極利用する若干の措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に基づき奨励金を給付するとしており、具体的には年間の外資による投資金額が1,000万ドルを超えた場合、その2%に相当する奨励金〔最大1億元(約20億円、1元=約20円)〕を給付する。同措置では奨励金のほか、税務・通関の利便性向上、人材採用面での優遇策の実施、出入国管理における利便性向上などの内容も含まれている。商務庁によると、2021年の広東省の外資導入状況は、契約件数が前年比25.6%増の1万6,155件、対内直接投資金額(実行ベース)は13.6%増の1,840億元だった。

2022年の電力供給は問題ないとの見通し示すも、ピークシフト要請の可能性も

広東省では2021年、電力供給不足により日系企業の生産活動にも大きな影響が出た(2021年5月12日記事2021年6月21日記事2021年9月30日記事参照)。こうした状況を踏まえ、座談会では、同省能源局が2022年の電力需給状況と電力供給保障措置について報告した。報告では、2022年の同省の電力需要を前年比7%増と予測、電力供給を保障するべく実施する措置として以下5点を挙げ、同年の供給能力は十分確保できるとの見通しを示した。

  1. 石炭や天然ガスの確保を通じた電力発電量の確保
  2. 他省からの電力供給拡大
  3. 需要状況に応じて電力使用の管理強化(電力使用量が多い時に節電を行った場合、節電量に応じて収益を得ることができる仕組みづくりなど)
  4. 電力市場の改革を強化
  5. 政府が配電会社と特別チームを組み、電力供給をモニタリング

ただし、気温が上昇する5~6月は特に電力需要が厳しくなる見通しで、基本的には供給は保障できるが、ピーク時の操業を調整するなどの協力も考慮してほしいとのコメントもあった。能源局によると、気温が30度以上になると、1度上昇するごとに電力負荷が300万キロワット増加するため、極端に気温が上昇し、電力供給が不足する場合は、生活用の電力を優先せざるを得ないとした。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた3月末からの上海の封鎖・分区管理により、物流を含めサプライチェーンに影響が出ており、華南地域の日系メーカーでも操業停止となっている企業がある(2022年4月13日記事2022年4月14日記事参照)。上海の分区管理解除後には、年間の生産量を維持すべく、急速に生産が回復することも予測され、電力使用のピークとされる5~6月の電力使用量が前年を上回る可能性も指摘されている。

(汪涵芷)

(中国)

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