広東省外資保護条例、外資系企業の権益保護を強調

(中国)

広州発

2022年03月01日

中国の広東省人民代表大会常務委員会は2月22日、「広東省外商投資権益保護条例PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(以下、同条例)」に関する説明会を開催した。

同条例は、広東省政府が1月17日に発表し、3月1日から施行される。2020年1月1日に施行された外商投資法(2019年3月20日記事2019年10月15日付地域・分析レポート参照)に基づく条例で、外資系企業の権益保護に焦点を当てたかたちで制定された。中国全土で地方版の条例を発表しているのは、広東省と上海市(2020年10月28日記事参照)の2省市のみ。

広東省人民代表大会財政経済委員会の余立鋼副主任委員は説明会において、外商投資法と同条例の関係性について「本条例は、『小さな切り口』による立法方式を採用している。上位法(外商投資法)の関連規定をわが省の状況と結びつけて細分化し、補足した」と言及。また、同条例で焦点を当てた点について、余副主任委員は「わが省の経験に基づき、外資系企業の関心が高い問題に注目した。知的財産権、標準制定、政府調達、技術協力、苦情申し立てなどの面で、積極的に外資系企業の訴えに応える」と述べた。

それらのうち、知的財産権に関しては以下の点が盛り込まれている。

  • 地域および部門をまたぐ知的財産権共同保護メカニズムを構築し、知的財産権の行政取り締まりシステムを完備する。
  • 県級以上の地方政府は、外資企業が知的財産権に関する速やかな審査、認定と権利保護などの公共サービスを平等に享受することを保障する。
  • 地方各級の人民法院は外国投資家、外資系企業の知的財産権に関する証拠保全、被告人の行為保全、財産保全の申請について、期限どおりに受理、審査、裁定し、知的財産権の侵害に対して、懲罰的な賠償制度を適用する。

このほか、外資系企業の内国民待遇については以下のとおり適用場面を具体的に列挙し明記している。

  • 各級の地方政府は、政府資金の配分、政府投資プロジェクトの建設、土地の供給、税金・費用の減免、資格・許可の授与、標準の制定、プロジェクトの申告、人的資源など各種政策において、法に基づいて内資企業と外資企業を平等に扱い、差別的な政策措置を制定したり、実施したりしてはならない。
  • 外資系企業は政府調達や入札などに内資企業と平等に参加できる。

なお、広東省商務庁の発表によると、同省の2021年の対内直接投資額(実行ベース)は前年比13.6%増の1,840億元(約3兆3,120億円、1元=約18円)。中国全体の16%を占めている(2022年1月20日記事参照)。

(梁梓園)

(中国)

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