広東省の電力制限、地域差あるも徐々に緩和

(中国)

広州発

2021年06月21日

中国・国家発展改革委員会(以下、発改委)は6月17日に開催した定例記者会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、報道官が「6月5日から広東省では電力制限は行っておらず、電力不足は雨期を迎え、今後はさらに緩和する見込み」と発言した。広東省では、5月中は週2~3日の休業要請を受ける進出日系企業が多かったが(2021年5月12日記事参照)、6月に入り、地域差はあるものの、電力制限が緩和されるケースが徐々に増えてきている。

報道官は、5月に広東省や雲南省で発生した電力供給逼迫の原因として、(1)工業生産の回復が速かったこと、(2)気温が高温となる日が続いたこと、(3)雨量が少なく水力発電による発電量が不足したことを挙げた。中国南部地域(広東省、雲南省、貴州省、広西チワン族自治区、海南省)の2021年1~5月における電力使用量は、前年同期比23.2%増と全国に比べ5.5ポイント高く、特に広東省は27.0%増、雲南省は23.3%増で、この2年間の平均伸び率もそれぞれ10.1%増、15.1%増と比較的高いとした。高温が続いた広東省では、5月22日に過去最大となる1億3,300万キロワット(kW)の最大需要電力を記録。省内必要電力の3分の1を雲南省、とりわけ同省の水力発電に頼っている広東省では、少雨による水力発電量の減少の影響が特に5月に突出して表れた。発展改革委員会は広東省に対し、中国送電最大手の国家電網がピーク時に100万kW超を送電できるようにしたほか、雲南省や貴州省からも最大限の電力供給ができるようにするなどのバックアップ体制を整備した。

これら措置および降雨による水力発電量の回復などにより、進出日系企業の状況も6月に入り好転してきている。地域差はあるものの、6月3日、4日ごろから制限が解除される企業が出始めた。6日の週は広州市黄埔区、東莞市や珠海市の一部地域などで引き続き制限を受ける企業が多数あったが、13日の週にはその状況に改善がみられるようになった。しかし、供電局は、現在もなお「毎週の電力使用状況によって、電力制限の要否を決定する」としており、日系企業からは依然として楽観できないとの声が聞かれる。

(清水顕司)

(中国)

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