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特集:駐在員が見るアジアの投資環境東南アジア2

2018年4月2日

ベトナム・ハノイ
備えあれば憂い無し


消防訓練の様子(ジェトロ撮影)

ベトナムには、進出企業の負担増につながる「隠れたコスト」とも言える各種制度があり、留意が必要だ。

「自然災害防止・管理基金」は、自然災害発生時の救援活動支援等のため各地方で設置されるもので、企業は最高1億ドン(約50万円)の「企業貢献分」と、各従業員から徴収する「従業員貢献分」を年間で納入する必要がある。しかし、「従業員貢献分」を徴収することについて、従業員や労働組合の理解を得るのが難しいなど、対応に苦慮する企業もあるようだ。

消防関連規制も近年運用が厳格化されており、当局による監査の際、工場への消火設備設置や防火服等の備品購入などが指導されている。中には、法定の消防訓練用に高額な消防車使用料を請求されたり、消防マニュアルの購入を求められるなど、法的根拠が不明確な事例も散見される。

こうした想定外の支出を減らすには、制度運用状況を把握し、近隣企業との情報共有に努めるなど、防災同様日頃の備えが肝要だ。

執筆者紹介
ジェトロ・ハノイ事務所 佐々木 端士(ささき ただし)
2003年、長崎県入庁。2015年、ジェトロビジネス展開支援部ビジネス展開支援課(出向)、2016年よりジェトロ・ハノイ事務所勤務。

ベトナム・ホーチミン
人件費と不動産の高騰


不動産開発現場の写真(ジェトロ撮影)

ジェトロ調査(2017年)によると、ベトナム進出日系企業の投資環境上のリスクは「人件費の高騰」が昨年に続き1位となった。2018年1月から、ホーチミン市の最低賃金月額は398万ドン(約175ドル)と、ドンベースで約6.1%上昇(前年比)した。ホーチミン市周辺の進出日系企業の従業員の月額を昨年と比較すると、製造業ワーカーは約5.8%(約490万ドン、約216ドル)、非製造業のスタッフは18.8%(約1,199万ドン、約528ドル)の上昇率となっており、内需志向型で進出しコストダウンを目指す企業の課題となっている。不動産価格も上昇している。あるレポートでは、2017年のホーチミン市のマンション販売価格は前年比で約4%上昇しており、2020年に開通予定の地下鉄1号線沿線となる2区や9区は上昇が顕著だ。日系企業による不動産開発は活発で、外国人による投資目的の購入も増加しており、不動産市場に注目が集まっている。

執筆者紹介
ジェトロ・ホーチミン事務所 福田 聡志(ふくだ さとし)
2010年、株式会社八千代銀行入行。2016年、ジェトロ・サービス産業部サービス産業課(出向)、2017年よりジェトロ・ホーチミン事務所勤務。

カンボジア・プノンペン
インフラの整備進むカンボジア


プノンペン港で拡張されたヤードに積まれるコンテナ(ジェトロ撮影)

2018年1月、縫製業、製靴業を対象とした最低賃金が153ドルから170ドルに、健康保険の雇用者負担率が1.3%から2.6%に増加した。日系企業は、他の産業セクターでもこれら法令を順守しており、コスト増加分を生産性向上で補おうとしている。

投資環境としてはインフラ関連の改善がみられる。電気料金は近隣諸国から見ると割高だが、発電所が増設され、国内発電の割合は8割近くまで上がった。少額ではあるが安くなっている地域もみられる。政府も2020年までの電気料金を安くしていく計画を掲げており、道路についても、プノンペンとベトナム国境を結ぶ国道1号線はつばさ橋の開通(2015年)に加え、国際協力機構(JICA)がホーチミンとプノンペン間を結ぶ高速道路建設について予備調査中だ。さらに、プノンペン港ではコンテナヤードの拡張、シアヌークビル港ではコンテナターミナルの整備が進められ、時間を含めた物流コストの低減が期待される。

執筆者紹介
ジェトロ・プノンペン事務所 磯邊 千春(いそべ ちはる)
2016年よりジェトロ・プノンペン事務所勤務。

ラオス・ビエンチャン
迫られる電力料金の値上げ


整備がすすむ国内送電線網(ジェトロ撮影)

ラオスは水資源が豊富であり、水力発電所の建設が急ピッチで進んでいる。国の発電能力は、2017年末の6,600MWから、2021年は11,000MWまで増加する見込みだ。

ラオス国内で発電された電力の8割は、タイなど周辺国へと輸出され、その輸出額は2016年には10億ドルを超えた。

電力供給が豊富なラオスだが、国内発電所や送電線の建設・維持には、多額の国家予算が必要だ。そのためラオス電力公社は、2013年から国内電力料金を毎年2%値上げしてきた。

こうした電力料金の値上げが、ラオス国民にとって大きな負担となりつつある。そのため、ラオス政府は2016年、それまで3段階で設定されていた一般家庭向け電力料金を、6段階へと細分化した。電力料金の値上げをより段階的、かつ緩やかにするためだ。ラオス政府は2017年の電力料金値上げを見送っており、2018年の値上げについては、結論はこれからだ。

経済成長に伴う電力需要拡大を背景に、今後の電力料金の動向が注目される。

執筆者紹介
ジェトロ・ビエンチャン事務所 山田 健一郎(やまだ けんいちろう)
2015年より、ジェトロ・ビエンチャン事務所員

ミャンマー・ヤンゴン
最低賃金見直しの年


線路工事に従事する作業員の様子(ジェトロ撮影)

ミャンマーで最低賃金は2年ごとに見直される。前回は2015年9月に日額3,600チャット(約2.7ドル)に定められたが、2017年は最低賃金の見直しの年にあたり、政府は産業界や労働団体などと金額の改定に向けた議論を行ってきた。これらの議論の結果、2017年末に政府はその額を4,800チャット(約3.6ドル)へ引き上げる意向を示した。これに対し産業界からは引き上げ幅が高すぎるとの反対意見や、労働団体からは引き上げ額が小さい等、さまざまな声が聞かれる。近年のミャンマーの賃金は大きく上昇しており、カンボジアやラオスと比較すると、製造業・作業員はラオスを、非製造業・スタッフは両国を超えている。ミャンマーでは現在チャット安が進行し、インフレ率も上昇傾向にあるなど国民生活はひっ迫しているが、最低賃金の大幅な引き上げは企業の経営を圧迫する。今後の最低賃金の引き上げを補う形で政府から魅力ある新たな経済政策が示されるか、注目の1年になりそうだ。

執筆者紹介
ジェトロ・ヤンゴン事務所 堀間洋平(ほりま ようへい)
2003年中国電力株式会社入社。2015年ジェトロ海外調査部アジア大洋州課(出向)、2016年よりジェトロ・ヤンゴン事務所勤務。

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