輸出動向と市場分析
日本のみそ、特色とストーリー性がミソ(1)

2026年1月23日

2013年12月に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことや、インバウンド観光客が増加したことにより日本食人気が高まっている。その中でも日本の調味料を代表するみその認知度が向上し、日本からのみその輸出は着実に増加している。世界的な健康ブームも相まって、みそは、健康に良いとされる発酵食品の1つとして、日本料理のみならずさまざまな料理の調味料、隠し味などとして利用できる点で注目度が高まっている。既にみそが海外市場で定着する中、今後は、独自のストーリーや特色のあるみそが海外展開における「ミソ」(キーワード)となるだろう。

シリーズ1本目となる本稿では、輸出統計を基にみその輸出状況について解説し、輸出可能性について分析する。

日本を代表する発酵調味料「みそ」

みそは大豆を蒸し煮にして、麹(こうじ)菌で造る麹、塩、水を加えて仕込み、発酵、熟成させて造られる。土地ごとの気候風土や麹菌の種類、原料の配分、熟成期間の違いで色や風味、味わいなどに異なる特徴が生まれる。例えば、米麹を使えば米みそ、麦麹を使えば麦みそ、大豆麹を使えば豆みそとなる。日本で造られているみその約8割が米みそで、仙台みそ、江戸甘みそ、越後みそ、信州みそなど、仕上がりの色や味わいの異なる地域ごとのみそがある。京都が発祥とされる白みそも米みその一種である。麦みそは九州や、中国・四国地方の一部で、豆みそは愛知県、三重県、岐阜県を中心に生産されている。また、2種類以上のみそ、複数の麹を使用して醸造したみそを調合みそという。

そのほか、塩分量によって米みそは甘みそ(白、赤)、甘口みそ(淡色、赤)、辛口みそ(淡色、赤)の3種類、麦みそは甘口みそ(淡色)、辛口みそ(赤)の2種類に分類される。なお、みその熟成時間が延びると色が濃くなる。

大豆には、うまみ成分であるグルタミン酸が豊富に含まれているが、みそは大豆を上回るグルタミン酸を有するだけでなく、発酵することでアミノ酸やビタミン類が増加する。大豆には本来含まれない、酵母や乳酸菌なども摂取できる。このほかにも、大豆イソフラボンによる美肌効果や、褐色色素成分のメラノイジンによる抗酸化作用などの健康的利点がある。


日本を代表する発酵調味料「みそ」

みその生産は減少傾向も、輸出は年々増加

全国味噌工業協同組合連合会「みそ業界の現状についてPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(246KB)」によると、2024年のみその生産量は前年比2.3%減の35万6,115トン、総出荷量(海外向け含む)は前年比2.6%減の35万5,885トンだった。中でも、国内出荷量は2001年に50万トン、2020年に40万トンを下回り、年々減少傾向にある。

他方で、輸出は好調だ。2020年から2024年までのみその輸出動向を年別に見ると、輸出量、輸出額ともに順調に増加している(図参照)。 2024年には、輸出量・輸出額ともに過去最大を記録。輸出量は2万3,497トン(前年比15.8%増)、輸出額は63億1,242万円(24.6%増)だった。

次に2024年の輸出額を国・地域別にみると、1位が米国で17億1,010万円(前年比36.7%増)だった(表参照)。2位はオランダで5億500万円(35.6%増)、3位が韓国で3億6,190万円(5.5%増)であった。数量ベースでは、1位米国(6,183トン)、2位韓国(1,812トン)、3位英国(1,588トン)であった。そのほか、カナダ、オーストラリア、英国、ドイツへの輸出量の増加が目立った。なお、みそは、農林水産省の輸出拡大実行戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2025年5月)において、しょうゆとともに輸出重点品目の1つに指定されている。しょうゆと合わせた輸出額の目標は、2030年までに926億円(EU向けに241億円、米国167億円、中国81億円など)としている(詳細は、輸出品目別レポート「みそ」PDFファイル(1.05MB)(2025年7月)参照)。

図:みその年別輸出動向(2020年~2024年)
みその日本からの輸出を年別動向に関して、2020年輸出量全体で15,944.7トン、輸出金額38億4390万円から、2024年輸出量23,497.1トン、輸出金額63億1,270万円で推移している。2024年の輸出は、金額ベースで国・地域別をみると、輸出先として1位が米国で17億1,010万円(前年比36.7%増)であった。2位はオランダで5億500万円(同比35.6%増)、3位が韓国で3億6,190万円(同比5.5%増)であった。数量ベースでは、1位米国(6,183トン)、2位韓国(1,812トン)、3位英国(1,588トン)であった。

注:HSコード=210390100。
出所:財務省貿易統計からジェトロ作成

表:みその輸出額・数量(2020年~2024年)(単位:トン、100万円)(△はマイナス値) 注:HSコード=210390100。
国・地域名 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
数量 金額 数量 金額 数量 金額 数量 金額 数量 金額 前年比伸び率(%)
数量 金額
1 米国 4,160 949 4,985 1,060 6,211 1,442 4,978 1,251 6,183 1,710 24.2 36.7
2 オランダ 623 253 916 349 758 301 984 372 1,240 505 25.9 35.6
3 韓国 1,376 223 1,548 255 1,656 290 1,843 343 1,812 362 △ 1.7 5.5
4 中国 1,519 349 1,916 420 2,036 484 1,106 278 1,269 337 14.7 21.3
5 台湾 1,036 294 1,043 295 973 282 1,078 330 1,006 327 △ 6.6 △ 0.9
6 英国 826 167 1,132 197 1,001 181 1,121 229 1,588 309 41.6 34.8
7 カナダ 849 171 969 187 1,156 246 878 195 1,232 297 40.4 52.6
8 オーストラリア 834 230 770 193 852 220 717 211 897 291 25.0 37.9
9 ドイツ 550 201 710 249 587 189 717 241 816 290 13.9 20.4
10 フランス 579 128 912 176 969 188 1,043 226 1,029 258 △ 1.3 14.3
その他 3,644 878 4,753 1,067 5,514 1,253 5,832 1,391 6,426 1,626 10.2 16.9
世界 15,995 3,844 19,654 4,448 21,713 5,077 20,298 5,067 23,497 6,312 15.8 24.6

注:HSコード=210390100。
出所:財務省貿易統計からジェトロ作成

米国、欧州を中心に世界各地で需要拡大

輸出先国1位の米国では、健康志向の消費者に発酵食品であるみそやしょうゆが注目されている。人気の発酵茶KOMBUCHA(発酵茶飲料)やヨーグルト、野菜のピクルス、キムチ、しょうゆなどの発酵食品が心疾患予防や体重管理などに良いという研究が進み、米国の消費者の間でも認識され始めている。また日本食の普及が進み、日本食の定番であるみそ汁など、みその認知度が向上。こうした背景から、米国市場での需要が高まっている(注1)

輸出先国2位はオランダであるが、国内で全て消費されるわけではなく、オランダからEU域内へ流通していると推測される。EU域内は無税で流通できることから、欧州の玄関港であるオランダ・ロッテルダム港に貨物が集中するからだ。EU各国でも、新型コロナウイルス禍以降、健康志向の高まりから発酵食品であるみその人気が高まっている。特に、フランス料理の隠し味やドレッシングへの使用など日本食以外への広がりも見せている(注2)

そのほか、インバウンド観光客の増加や日本食の普及により、韓国、中国、台湾などを中心に着実に輸出が拡大中だ。外食産業向けのみならず、家庭でのインスタントみそ汁の需要拡大も影響している。また、近年ではインスタントみそ汁だけでなく、液状みそや粉末みそなどの品目もある。用途としても、みそ汁以外の料理やみそ加工品への調味料としての利用に、需要拡大が進んでいる。

特色やストーリーあるみそがトレンド

みそは、ジェトロが主催する商談会などでバイヤーからの引き合いが多い品目の1つだ。ただ、発酵食品で「健康に良い」「おいしい」「高品質」という売り文句だけでは、競合製品や現地生産品、外国産との差別化が難しくなっていくだろう。

特に、最近のトレンドとしては、世界的な健康志向の高まりから、減塩、無添加、グルテンフリー、有機(オーガニック)などの特色あるみそが、市場での競争力を高めている。また、日本独自の伝統的な生産方法や手造りであること、自然が豊かで水がおいしい地域で生産しているなど、生産地や生産方法に特色があることも重要である。地域の風土や食文化に根差した独自のストーリーがある商品ほど好まれる傾向がある。例えば、独自のストーリーと商品を結び付けた知的財産権に地理的表示(GI)と地域団体商標がある。生産者団体や地元経済団体などは海外展開やインバウンドにおける地域ブランド化を進めている(注3)

シリーズ2本目では、海外展開やインバウンド向けの取り組みをする企業や、ジェトロ主催の商談会に参加した海外バイヤーから聞いた現地での状況やトレンドなどを紹介する。


注1:
詳細は、米国輸出支援PF「米国における日本の発酵食品事情」(2023年3月)PDFファイル(1.97MB)参照。 本文に戻る
注2:
詳細は、EU輸出支援PF、ジェトロ・パリ事務所「EU(フランス)への農林水産物・食品 の輸出に関するカントリーレポート(2024年3月)PDFファイル(2.3MB)」参照。 本文に戻る
注3:
みそではGIとして、八丁味噌(愛知)、紀州金山寺味噌(和歌山)、サヌキ白みそ(香川)、御膳みそ(徳島)が登録。また地域団体商標として、北海道味噌(北海道)、仙台味噌・仙台みそ(宮城)、会津みそ(福島)、十石みそ(群馬)、江戸甘味噌(東京)、越後みそ(新潟)、加賀みそ(石川)、京味噌(京都)が登録されている。いずれの確認も執筆時点(2025年12月)。 本文に戻る

日本のみそ、特色とストーリー性がミソ

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執筆者紹介
ジェトロ農林水産食品部 市場開拓課調査チーム 課長代理
古城 達也(ふるじょう たつや)
2011年、ジェトロ入構。人材開発支援課、ジェトロ横浜、ジェトロ・ニューヨーク事務所、ジェトロ諏訪を経て、2024年11月から現職。現在、農林水産物・食品の輸出に関して、各国の輸入規制、法令や市場情報などの調査や、日本企業からの輸出相談窓口を担当。
執筆者紹介
ジェトロ農林水産食品部 市場開拓課調査チーム
庄田 幸生(しょうだ こうき)
2025年、ジェトロ入構。現在、農林水産物・食品の輸出に関して、各国の市場情報や輸入規制、法令などの調査を担当。